概要
サービス終了とは、文字通りサービスが終了することを意味する単語である。通称「サ終」。
一口に言っても「ポイントカードの終了」や「商品券の配布停止」など多岐に亙る用法で使用される。
インターネット上でも同義語として用いられ、ブログ、ホームページ、サーバー、アップローダー等のレンタルサービスの提供終了、SNS等コミュニティの閉鎖などに使われている。
近年は特にネットゲームやソーシャルゲーム、ゲーム機(付属品や周辺機器やネットワーク通信サービスなど)の運営終了の意味で使われることがある。本項ではこれを中心に説明を行う。
ちなみに、テレビの放送局によるテレビサービスとしては番組の放送終了に合わせる形で終了という意味で使われることや、修理サービスについては補足程度に解説しておく。
終了する原因
サービス終了の原因は以下の通り。
このうち一部は現実の店舗の完全閉店にも言えることである。
- 経営側の都合
- 経営の破綻。
- 運営元の事業撤退、別事業へのリソースの集中。
- 開発メンバーの離脱や引退、他界などで、他社の運営と取引が不可能になった。
- プラットフォームの消失。
- 損益分岐点を下回っている状態、所謂赤字の状態からの回復が不可能になった。
- 経営に携わった人物・あるいはその関係者が起こした何らかの過ちによって、経営困難に陥った。
- 運営環境の変化に伴い、パブリシティー権のような肖像権・楽曲使用料等の取引が不能になったなどの関係で経営困難に陥った。
- コミュニティの規約違反者が多かった。
- 主な例はうごくメモ帳3Dの『フレンドうごメモギャラリー』。
- 売り上げとしても損益分岐点を上回っており経営に支障が出てないが、別の事情でサービス終了するしかなくなった。
- 主な例は英雄*戦姫WW。
- 意図的なもの
- 番組の放送終了後やキャンペーン期間の終了後に、終了の発表が見込まれている。
- 放送局にて規定をあらかじめ終了日程を決め、データ放送のゲームを意図的にリニューアルした例などが挙げられる。
- ソーシャルゲームでは、主な例はあかねさす少女などがある。
- 番組の放送終了後やキャンペーン期間の終了後に、終了の発表が見込まれている。
- 作品側の都合
- 利用者の過疎化。
- ストーリーの完結など、あらゆる意味で利益的な目的を果たし、これ以上更新の必要がなくなった。
- 上位作、または続編のリリースのため。
- 例えばファンタシースターオンラインのサービスを終了し、ファンタシースターオンライン2で運営を継続してからそのままタイトルを変えずにシステムをリニューアルする、という形など。
- 更新・継続が、技術的な問題や改善のための不具合の修正と改修作業や導入費用のコストの予算などで断固不可能と最高責任者や開発担当者等から判断された。
- データが消失し、バックアップもしておらず復旧不能になった。
- 音楽・画像などの無断転載などの著作権侵害。
- Flashといった、Webブラウザのプラグインや対応ソフトウェアの更新終了による経営困難。
- 場合によってはHTML5に置き換えて継続する場合も。
- 通信時のセキュリティレベルを変更されてアクセスできない(SSLやTLS)またはそのセキュリティ(暗号化通信)料金を運営が支払えない状況になった。
- アーケード筐体の老朽化やICカードの終売でサービスに支障が出た。
「打ち切り」と「予定終了」
一昔前のPBMなどはサービス期間を区切り提供(6か月から1年)されており、こちらは上記の打ち切りというよりか無事終了したと言えるかもしれない(ただしメジャーなものでいうとインターバルを置いて同様のゲームが行われる場合がある)。
しかし近年のソーシャルゲーム等においては、そのようなことはほぼ発生せず、終了の気配がしだしたら、そのうち「重要なお知らせ」が運営から予定日時決定後の終了まであと数ヵ月時点に発表される、ということがほとんど。
中には電脳天使ジブリールやCUE!のように運営期間を決めている、SINoAliceやNieR_Reincarnation、ドラガリアロストのようにシナリオ完結を理由にサービス終了を告知するケースもたまにある。
終了を予知した際は
DMMGAMESに運営変更したCLOSERSや光速軌道アバタードライブのようにパブリッシャーを変更してそこでサービスを続けるケース、プリコネRe:Diveやキルドヤ、リジャッジメント、スクフェス2などのように続編、リベンジなどのケースも散見されるが、こうしたケースはほとんどない。
DMMGAMESの作品で一般版とR-18版が同時存在するものでは、片方をサービス終了してもう片方を続行するケースもなくもない。
中には盛大的に生前葬というイベントを行う作品なども存在するかもしれないが、こうしたケースは例外中の例外と考えておこう(ただしシノアリスは最終章公開後の2024年1月にサービスが終了した)。
場合によっては、サービス終了後も天華百剣-斬-のように別媒体で完結しようとする、結城友奈は勇者である 花結いのきらめきのように家庭用ゲーム機などに移植する、ゲームのプレイはできなくなるもののゲーム内容などが閲覧可能なアーカイブとして残す、ときめきアイドルやきららファンタジアなどのようなオフライン版を実装するというケースもある。
サービス終了後も元の作品は継続されたりするので、あくまでもソシャゲ版などはサービス終了し、元の作品は継続のケースもある。有名な作品のソシャゲ化は、大体がこのケースだが、流星ワールドアクターのような例外もある。
終了後はどうなってしまうのか
かつての家庭用ゲームや携帯ゲームといったコンシューマーゲーム(以下"従来の作品")の場合、多くは販売が終了しようが、縦令開発元が倒産しようがゲームから撤退しようが、実物が存在するならゲーム自体にはあまり影響がない場合が多かった。そのため今なおレトロゲーム市場で取引されている。
一方、クライアントのダウンロードおよびサーバでのプログラム動作が必要となるゲームは終了により様々な方面に影響が及ぶ。アーケードゲームにおいても、ネットワークサービス終了後もオフラインモードで遊べるタイトルもあれば、サービス終了後ゲーム自体がプレイできなくなるものもある。
二度(永久的)と遊べなくなる
従来の作品は販売終了後や開発元の倒産、あるいは業界からの撤退などの後もハードウェア(ゲーム機)および環境、そしてソフトウェアが存在すればいつでも遊べるし、ハードウェアや動作環境が入手できなくとも近年は名作であれば移植の機会に恵まれたり、有名なシステムではエミュレータ等の各種手法も充実しているため、本来の対応機種に拘らなければそれらを利用することで遊ぶことはできる。
だが、ソシャゲなどはサービス終了後主たるプログラムおよび処理を行うサーバーが閉鎖されるため、オフラインモードのあるゲームでもない限りは一切のプレイができない。当然そうしたモードがあったとしても、オンラインでのみ入手できるアイテムや、オンラインのみで解除できる実績が取得できなくなるなど、大体プレイにも少なからず支障は起きる。
パッケージでリリースされたオンライン専用ゲーム(オフライン未実装)の場合、ソフトの方はワゴンセール行きにはなるのだが、当然プレイできないので(CD-ROM系の場合は)ただの円盤と化してしまうのだろう。
(その中でカルト的な人気によってプレミア価格になってしまう作品もあるが、それはレアケースではなくイレギュラー要素が多いので、大抵はそうならない)
アーケードゲームに至ってはソウルリバースがクロノレガリアになったように、サービス終了後にオフラインモードがないかオフライン専用版のリリースがない場合、新作ゲームか別のゲームへリニューアルされるケースがある。
通信とゲーム
また家庭用ゲームにおいても同様の状況が発生している。例えば古いサービスではあるがサテラビューなどは現状プレイ不能で、今となってはダウンロード販売が主となり、フルバージョンのソフトウェアをパッケージソフトとして発売、移植のケースは比較的減っている。
追加コンテンツなどが必要となる場合、同様の事例が起こり、例えば2015年9月10日まで運営が継続した『プレイステーションモバイル』で配信されていたゲームは、サービス終了した後も最後に機器認証済みの機器でのみプレイが継続できるものの、機器認証の手続きが終了しているので再認証は出来ないため、故障などでその機器が使えなくなってしまった場合は今度こそ本当に二度と遊べなくなってしまう。
パッケージ版と併売しているソフトの場合はパッケージ版を買い直す事である程度解決出来る場合もあるが、セーブデータの保存先次第によっては引き継ぎが出来なかったり、更新データの提供を受けられなくなる事もあり得る。上述のようなオンライン専用でプレイできなくなるような問題もあるのだが……。
また、逆のケースとしてURLを開ければストアにページが残っている場合のように、サービスが終了したにも拘らずアプリ自体の配信は停止していないというケースも存在する。
セガのAimeでは、サービス終了に伴いそのゲームをプレイしていたICカードで別のゲームや次回作でプレイした際特典がもらえるケースもある(主なケースは戦国大戦→三国志大戦(2代目)、頭文字D ARCADE STAGE Zero及びSEGA World Drivers Championship→頭文字D THE ARCADE(※頭文字D ARCADE STAGE Zeroの場合は引き継ぎ特典もある)。
購入した関連商品の効力がなくなる
ケース1:実物の場合、専用の周辺機器や機能が使えなくなる。
主にゲーム機では、ドリームキャストや任天堂のハードに使われたサテラビュー機能等もそれに該当する。
3DSではニンテンドー3DSダウンロードソフトの場合、購入した専用周辺機器(所定の用途限定)を使う付属品となるダウンロードソフトの導入に必要なQRコードを使う意味そのものを無くす。3DSのニンテンドーeショップでの販売終了後には周辺機器とQRコード無しでも遊べる様にニンテンドースイッチ用に再設計し復活したゲームも少なくはない。バンダイナムコが発売(ソフトは無料)したバンダイの爆釣バーハンターなどがある。
ケース2:実体を持たないデータ類の場合は固有で様々な問題が発生する。(利用者側)
従来の作品ではアイテム課金に近い要素としてDLCが存在するが、これは基本的に「販売終了前に購入しておけば絶版後も購入した商品の恩恵は引き続き利用できる」場合がほとんどである(購入の真偽の確認用の認証サーバーが閉鎖されてしまった場合は無効になる事がある)。
パソコンソフトでは、ツクールの場合、そのコピープロテクトであるライセンス認証も含まれる。(同シリーズのsteam版を除く)
しかしソーシャルゲームの場合、前述の性質によって課金要素に使用した金額も無意味になってしまい、つぎ込んだ額が多ければ後悔や喪失感も大きくなってしまう。
オフラインモードがある場合を除き、誰もが羨むような名刀も、苦労して広げた農園も、時間をかけて関係を築いた異性も、作品がサービス終了を迎えれば腐海に沈む。
オフラインでもセーブデータが使えなくなる場合がある
アーケードゲームに多い。ネットワークサービスが終了した後、オンラインが必要なモードがプレイできなくなるのはもちろん、一部のゲーム(特にタイトーのバトルギアや近年リリースされているICカードを使うゲーム)ではセーブデータ自体が使えなくなり、連動サイトも終了してしまえば連動コンテンツも使用できなくなるため、上記同様に一部の例外(頭文字D ARCADE STAGE8インフィニティなど)を除きせっかく長い手間をかけてカスタマイズした機体も作品がネットワークサービス終了を迎えれば腐海に沈む。(※SEGA World Drivers Championshipの場合オフライン版ではセーブデータが使えない代わりに最初からGT500クラスも含めたすべてのチームがフルチューン状態で使用可能になっている)
ちなみに3DSダウンロードソフトのパーフェクトシフトONLINEは、必須の追加データがあればソフトの管理設定でデータを消さない限りオフラインでも半永久的に遊べる。
ソーシャルゲームにおいても、ソードアート・オンラインメモリー・デフラグや魔法科高校の劣等生 LOST ZEROのオフライン版でデータが連動できず使えるキャラクターが限られたり、きららファンタジアのオフライン版でサンリオコラボのキャラクターなどが拝めなかったりするケースがある。
場合によっては人々の記憶からも歴史からも抹消される
いわゆる本当の死。
従来のパッケージ販売の作品は、必要なものさえ揃えれば遊べることや、移植版の多さから、有名な作品は勿論、無名な作品でも今なお遊ばれている(むしろ「現存物が無い」、「開発された経緯が不明」といった作品の方が稀である)。
一方ソシャゲなどは有名作品でもプレイ動画やニュースサイトや攻略wikiなど、記憶と記録しか残らないことが多い。終了後に遊べない以上、遙か未来でレトロゲーム気分で久しぶりに遊んでみる…といったことすら無理。これらが残っていればどのようなゲームだったか知ることが出来るかもしれないが、それらがあったとしても、サイトのリニューアルやサービス終了により、それらが削除される場合もあるため保存状態は不安定である。
無名だったりユーザーも少なかった作品の場合となると、紹介も攻略もプレイ動画もなく、情報がほとんど残らない場合も。2010年代以降のものはプレイ動画は部分的にかろうじてあることが多いが、プレイ動画保存の文化が普及途上の2000年代以前となると、BS/CSデジタルでのデータ放送ゲーム、ガラゲー、マイナーflash/Shockwaveゲームなどはこの情報化社会にも拘らず、ほとんど記録が残らないのだ。
その上、それまでには「動作させる環境」や「動かすべきプログラム」などが無くなったり、そもそもどうやって再現すればいいのか分からないということにもなる。
こうなるとゲームの存在を覚えているのは「開発あるいは運営に関わった者」だけになり、彼らが忘れたり死んだりすれば完全に歴史から消えてしまうことになりかねない。これは、アーカイブ(文化の後世への保存・継承)の観点からも非常に危惧される事柄である。
作品保存
けものフレンズや星宝転生ジュエルセイバーのようなコンテンツの一部をフリー化するケースがある。またブログにてストーリー更新が現在も続くケースもあるが、こちらは滅多にないケースである。
更に、これまでのプレイデータの閲覧ができるケースもあるにはある。
海外ではサービス終了後も合法的に独自のサーバーを立ち上げてプレイできるようにしようとしている団体も存在している。
その他
その他のサービス終了も大きい場合が存在する。
コミュニティ
コミュニティの閉鎖の場合、避難所と呼ばれる「ユーザーが集まる場所」が作られたり、アーカイブが作成される場合が存在し、Miiverseの場合、避難所として『MiiverseNEO』というサイトが作成されたりしている。
レンタルサービス
ウェブサイト、wiki、ブログ、電子掲示板等をユーザーにレンタルさせるサービスが存在しているが、この提供終了により、各種情報や絆等が失われる場合も多く、例えばinfoseekのiswebやYahoo!のジオシティーズ提供終了の際には大量の情報喪失が発生し、サービス利用者の難民が発生している。
動画サービス
youtubeにて運営及びメーカー公式からゲームのストーリーが配信されているケースもある
(特にセガのアンジュ・ヴィエルジュ ガールズバトルの場合はアーカイブアプリの開発が困難であることを理由にメインシナリオをf4samuraiのチャンネルから配信している)。
pixivでは
長寿だった作品では終了後もなお熱烈なファンが作品を投稿し続ける場合が多い。もちろん短命でも、先述したように熱烈なファンが作品を投稿し続ける場合もある。
運営期間が短かった順から記載する。
- きららファンタジア(運営期間5年)
- ブレイブフロンティア(運営期間8年)
- トリックスター(運営期間11年)
- スカッとゴルフパンヤ(運営期間13年)
(※イラストの追加は記事を肥大化させないようにお願いします。)
その一方で、短命だった作品は無名である、絵を描く思い出が無いなどの理由で、作品が投稿されていないか、投稿されている数が少ない場合がほとんど。また、評判の悪かった作品では完成度の低さを揶揄した絵が投稿されることも…。
ギャグマンガ日和のエピソード、『ソードマスターヤマト』のパロディ漫画の形でストーリーの終わらせ方や運営の杜撰さを批判している。
サービス終了後の荒廃した世界を描き、世界観の完成度の低さを皮肉っている。
また2枚目の差分では背景の壁に"10 yen per second"(1秒10円)と書かれているのが確認でき、仮想通貨の価格設定への批判も見受けられる。
他にもサービス終了で憂いを見たキャラ
人気PCゲームシリーズの続編として、そしてシリーズ15周年を記念して作られていたゲームだが1年強でサービス終了(一応メインストーリー自体は完結している)。その後は公式サイトが削除され、オフライン版も発表されずなど、サービス終了=全て終了の流れとなっている。
PIXIVにおいてはサービス終了後にも依頼されていた絵師さん達が許可を得たことで仕事絵の公開が度々行われている。その中には↑の絵師さんのようにPIXIV外ではあるが、そのキャラクターを用いた絵師直々のファンアートが描かれたりすることもあるが、サービス終了したことでゲーム中には登場できなかった未実装のキャラ達がそのキャラ名等と合わせてPIXIV上(および外部支援サイト)等で公開されたりもしている。なお、攻略wiki内の情報によると衣装違いも含めて22体もの未実装キャラがいるとのことで、本来はもっと長くサービスを続けるつもりだったのだろうことが覗える。
関連タグ
コミュニティ ネットゲーム ブラウザゲーム ソーシャルゲーム
サジェスト汚染:マイナーなソシャゲだと、本当にサ終が決まったわけでもないのに「サービス終了」の文字が付いてくる事が多い(場合によっては「理由」のワードまで付いてくる)。
外部リンク
togetter:ソシャゲ、ネトゲ等のサービス終了後のゲームの保存について考える
同上:「ケータイ・WEB漫画や小説、ソシャゲ…等の多くは記録・保存されず消え、文化研究に大きな穴が空くかも」識者が懸念。アーカイブ化の必要性も。