概要
人物の姿や形が持ちうる権利のことである。
日本の法律には一切記載されていないが、法律にない概念であっても認められることはある。
人の顔を使用して収益を得るためのパブリシティ権と、私生活の情報を守るプライバシー権に分かれる。先述の通り法律に書かれていないので細かい定義は定まっていない。
すべての人物や状況で認められるものではない。例えば、テレビ番組の撮影中に通行人が映り込んだというだけでは肖像権の侵害は認められない。無名な人が映りこんでいたところで番組側の利益が増えるわけではないし、通行人に損害が発生するわけではないのでパブリシティ権の侵害とはならない。通行人は街を歩いているだけなのでその人の名誉が毀損されるようなこともありえない。よってプライバシー権の侵害にもならない。テレビ番組で通行人の顔にボカシを入れているのはあくまでも配慮であって、入れなかったからといって違法になるわけではない。
被写体となった人物が死亡した場合、日本では亡くなった時点で肖像権は消滅するが、遺族や財団が肖像権を管理する場合もある(パブリシティ権も同様)。
他にも政治家は公人なため、一般的な国民よりも制限されることがある。
その保護期間は著作権とは異なり、そもそも明文化されてないこともあってか明確に定められておらず、当人の死後にいつまで権利が存続するかは専門家の間でも判断が難しい問題となっている。
メディアミックス作品での肖像権
実写作品はもちろん、CG取り込みがなされたビデオゲーム等では演者の容姿そのものが作品の一部となる。
立体のグッズ(マスコット等)ではルックス的特徴を反映して低頭身キャラに落とし込んだりする例がみられる(アイドルグッズやコラボ等と同様)。
しかし、漫画版において敢えてキャラクターを演じた本人から離したキャラクターデザインが施される例がある。
GACKT氏を主人公「劉王羽(ラウ・ウォング)」役に起用したタイトーの『武刃街』や『仮面ライダーW』の主人公コンビが主役の正統続編作品『風都探偵』と『仮面ライダー555』の2号ライダー主役のスピンオフ『仮面ライダー913』がこれにあたる。漫画版『武刃街 斬皇伝説』では作中において肖像権の件が明言された。
『スーパーロボット大戦X-Ω』や『スーパーロボット大戦DD』に特撮作品が参戦した際は肖像権の問題を回避するためか、変身前の姿は一切描かれずに常時変身状態のままでストーリーが展開された。
逆に、実写作品に関連する漫画作品でも『ULTRAMAN』における早田進のキャラクターデザインは原典でハヤタ隊員を演じた黒部進氏の姿を反映している、という例もある。
Pixivでの肖像権
写真の投稿は禁止されているので論外だが、似顔絵にも肖像権の概念は適用されうる。先述の通り収益・プライバシー・名誉棄損などに抵触していれば法的に問題となる。有名人のヌードなど描いて投稿していたら大問題になる可能性も高い。また、似顔絵を商業活動に利用するとパブリシティ権の侵害になる恐れがある。
逆に考えると、これらの問題に配慮していればただ似顔絵を描いただけでは肖像権の侵害とはならない。芸能人のファンアートを描いて公開するだけなら違法性はないので安心して描いてよい。
関連タグ
脱衣麻雀:90年代にゲームセンターで流行っていたゲームジャンルだが、中には実在する人物にリアルに似せたデザインのキャラを登場させるといった肖像権にモロに触れるものも当時はあった。