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概要

1991年「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に対して与えられるのを目的として創設された。

名称はノーベル賞創設者のノーベルに、否定を表す接頭辞的にIgを加え、英語の形容詞ignoble(恥ずべき、不名誉な、不誠実な)にかけた造語に由来する。

公式パンフレットにはノーベルの親戚と疑わないIgnatius Nobel(イグネイシアス・ノーベル)という人物の遺産で運営されているという説明も書かれているが、これはノーベル賞にちなんだジョーク

賞金は10兆ジンバブエドル(日本円に換算して約170円だが、既に現行通貨との交換は停止されているので実質ゼロ円である)


授賞対象

最初からウケ狙いで行った研究に授与されることはほとんどなく、多くは「真面目な研究の副産物として面白い結果が出た」場合に授与される。どのような賞にせよ、名誉だけを追いかけていては偉大な研究はできないということだろうか。


後述のように愚行に対する痛烈な皮肉を込めた授賞が見受けられることや、ジョークパロディまみれの授賞式などから、この賞を受賞することを不名誉と捉える者もいるが、一方で「笑わせてくれる」バカな偉業を称え、時に真面目に「考えさせてくれる」成果に素直な賞賛を送ることもあるなど、単なる悪ふざけでは決してない。


実際、2022年の経済学賞は「なぜ最も才能のある人ではなく、最も幸運な人が成功することが多いのかを数学的に説明したことについて」という真面目なテーマに対して授与されており、これは"成功していない人は才能・能力がない"という努力して成功した立場の者が陥りがちな誤謬(公正世界仮説、一種の生存バイアス)に気付かせてくれる「考えさせてくれる研究」と言えよう。


また、「何の役に立つのかわからない」・「下らない」研究に授与されると思われがちだが、時に具体的な実益がある研究に贈られることもある。2015年の化学賞は「ゆで卵を部分的に生卵に戻す化学的レシピを発明したことに対して」として、で変性したタンパク質を手軽に元に戻す方法を確立した研究に贈られたが、これは医薬品製造などにおいて「年間1600億ドル(当時のレートで約19兆円)を削減できる技術」と称賛されたものである。なお、"ゆで卵を生卵に戻す"とはタンパク質変性の不可逆性を分かりやすく説明したたとえ話であり、研究で実際に行った訳ではない。


また、受賞対象は必ずしも個人の研究に限定されるものではない。

現に2009年にはジンバブエドルによるハイパーインフレを引き起こした元凶としてジンバブエ準備銀行の「ギデオン・ゴノ総裁」が数学賞に選ばれ、ポーランド語で運転免許証を意味するプラヴォ・ヤズディを人名と誤認して50回以上違反切符を切り続けた「アイルランド警察」が文学賞に選ばれている。


授賞式

毎年10月にハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われる。ノーベル賞では式の冒頭でスウェーデン王室に敬意を払うのに対して、イグノーベル賞では、スウェーデン風ミートボールに敬意を払う。受賞者の旅費・滞在費は自己負担で、受賞式の講演では、聴衆から笑いをとることを要求される。

スピーチ中、制限時間が近づくと8歳の少女がステージに現れ、「もうやめて、私は退屈なの」と連呼する。これは「8歳の少女に罵られるのが最も心的ダメージが大きい」という立派な研究結果に基づくものであるが、この少女を贈り物で買収する事によって、スピーチを続けることが許されるが、贈り物だけを持ち去られてしまうこともある。


日本人の受賞者

これまでに26回開催され、そのうち20回で日本人の受賞者を出している。

特に2007年以降17年連続で受賞者を輩出している。

主な受賞者は以下のとおり


神田不二宏ほか資生堂の研究チーム

「足のにおいの原因となる化学物質の研究」で1992年医学賞受賞。


柳生隆視

「噛んでいるガムの味で人の脳波は変わるのか」で1997年生物学賞受賞。


横井昭宏・真板亜紀

たまごっちの開発により、数百万人の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせた業績」で1997年経済学賞受賞。


田島幸信・今井真・漆畑直樹・種村秀輝・後藤秀晃・溝口浩一

火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発」2011年化学賞受賞。


馬渕清資・田中健誠・内島大地・酒井里奈

「バナナの皮を踏んでしまった際の、バナナの皮の摩擦係数の計測」で2014年物理学賞受賞。


木俣肇

キスアレルギー患者のアレルギー反応が減弱することを示した研究」で2015年医学賞受賞。


東山篤規・足立浩平

「前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える『股のぞき効果』を実験で示した研究」で2016年知覚賞受賞。


渡辺茂ほか

「典型的な5歳の子供(自分の子供を含む)が、1日に分泌する唾液量の測定」で2019年科学賞受賞。

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