概要
上空1万mに位置する白々海という特殊な雲で満たされた海に浮かぶ「島雲」で出来た空島。近くに約400年前に地殻変動で地上から飛ばされて来た島(通称アッパーヤード)がある。
スカイピア、アッパーヤードの両方とも背中に羽を付けた空島独特の文化圏の人々が主たる住人となっており、中でもアッパーヤードは普段上空に無い土(スカイピアではヴァースと呼ばれる)で出来た土地であるため聖地とみなされ、国王(スカイピアでは"神”と呼ばれる)とその部下達が住んでいる。島内は常夏の楽園のような雰囲気だが、内情ではアッパーヤードに元々住んでいたシャンディアと呼ばれる原住民とスカイピアの民族間でアッパーヤードの領有権を巡る武力衝突が絶えない状況だった。
ただし、現在は両民族共に和解し、シャンディアが国家運営や国王の警護に携わるなど友好関係を築いている。
空島はこの「スカイピア」の他にもエネルの生まれ故郷である「ビルカ」、ナミがバーソロミュー・くまによって打ち上げられた「ウェザリア」など複数存在している。
文化
特殊加工された雲と貝(ダイアル)と呼ばれる特殊な貝殻を使った文化が構築されており、それを応用して作られた発明の中には、音楽レコーダー、無風で動ける船など、地上の文明(青海)を遥かに凌駕するものが多数存在する。
こうした文化は第2部以降、青海にも齎された。ブルックのソウルミュージックを録音したトーンダイアルは途轍もない売上を叩きだしたとか。
スカイピアの住人は頭に丸っこい飾りを付けるのが特徴で、幼少期のウルージにも似たようなものが付いている。
また土への憧れが非常に強く、数少ない土で像を造り通りの真ん中に置く信仰があるほど。空に住む人々からすれば永遠の“憧れ”とまで言われており、土地があるゆえにスカイピアの住民は恵みある暮らしをしていた。またその憧れの強さから、地殻変動で空に偶然飛んできた地上の島アッパーヤードを神からの贈り物と思い込み、原住民であるシャンディアを無理矢理追放して後々の民族間抗争の元凶を作り出すなど、悲しい歴史を作り出した一面も持っている。
だが、今ではその紛争もなりをひそめワイパーのような若者の反感はあるにしてもシャンディアの酋長とガン・フォールで和解は進んでいたのだが、そんな折にエネルはやってきた。
挨拶は「へそ」。「おはよう」「こんにちわ」等の意味で使われる。
原作での関わり
アラバスタ王国を出航した主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味は次の島への航路の途中、突然巨大なガレオン船が空から降ってくる現象に遭遇し、その直後記録指針が空を向く事態に陥る。ナミは記録指針が壊れたと慌てるが、船に乗船していたニコ・ロビンは「壊れたのではなく、「空島」に記録を奪われた」と主張。ガレオン船のサルベージで空島スカイピアの地図が見つかったこともあり、一味は空島への到達方法を模索することになる。
ガレオン船が降ってきた海域をナワバリとする猿山連合軍からジャヤの永久指針を奪った一味はジャヤに上陸。猿山連合軍最終園長のモンブラン・クリケットと出会い、彼から400年前に実在したうそつきノーランドの話と海底に沈んだとされる黄金郷の存在を聞かされ、彼の協力で空島への到達手段が判明する。途中夢見る者を嘲るハイエナのベラミーに襲撃されるもルフィはベラミーを一撃で沈めジャヤを出航。遂に空島スカイピアへ到達する。
しかしスカイピアを支配する神エネルの思惑によって一味は不法入国者の扱いになってしまい、神の島「アッパーヤード」で四神官の試練を受けることになる。何とか試練を1つ乗り越えたあと、一味はアッパーヤードが元々ジャヤの一部であったことを知る。クリケットの話を思い出した一味は黄金郷が海底ではなくこの空にあると確信し、黄金を目指すことになる。
翌日には黄金を狙う一味とそれを察知したエネル率いる神の軍団、そしてその混乱に乗じてアッパーヤードを取り返そうとする先住民シャンディアの軍団による三つ巴のサバイバルに突入した。そしてその過程で400年前のノーランドの真実も明かされていき…。
この壮絶な戦いの結果、神の軍団が敗退し一味とシャンディア、及び他のスカイピアの一般住民は和解という形で終結した。また、ルフィが「シャンドラの灯」や「島の歌声」などと評される「黄金の鐘」を鳴らしたことで、黄金郷が空にあることは青海にいるクリケットたちにも伝わった。
その後一味が去った後は、スカイピアとシャンディアの住民達により国の名を"スカイピア"、都市の名を“シャンドラ”とする新国家が建国された。
新世界突入編以後、直接の描写は無いがベラミーがルフィ達の後にスカイピアを訪れ、そこから黄金の支柱を持ち帰ることに成功していることがベラミー自身の口から明かされた。その際、ルフィはベラミーに対し「スカイピアの住民に何もしてねえだろうな」と尋ねたが、ベラミーは不気味な笑みを浮かべ「さあな」と返すのみで、島民達の安否はわからなかった。
実際、空島編に登場した人々は扉絵で元気な姿を見せているようだが…(とはいえ、ベラミーの実力ではワイパー達に勝てるとは考えづらいため、ルフィたちの話をしたところ知り合いだと勘違いされ彼らに渡そうとしていた黄金の柱を代わりに渡したのではないかとする説が有力)。
主要人物
神の軍団
- エネル(スカイピア唯一神)
- オーム(エネルの部下で四神官の1人)
- シュラ(エネルの部下で四神官の1人)
- サトリ(エネルの部下で四神官の1人)
- ゲダツ(エネルの部下で四神官の1人)
- ヤマ(エネルの部下で神兵長)
- マッキンリー(エネルの部下でホワイトベレー隊長)
- アマゾン(エネルの部下で天国の門監視官)
住人
シャンディアの戦士
- ワイパー(シャンディアの戦士であり、大戦士カルガラの子孫)
- カマキリ(シャンディアの戦士)
- ブラハム(シャンディアの戦士)
- ゲンボウ(シャンディアの戦士)
- ラキ(シャンディアの戦士)
- アイサ(シャンディアの少女)
その他の人物
- ガン・フォール(先代神)
- モンブラン・クリケット(ノーランドの子孫)
400年前
- モンブラン・ノーランド(地上時代のアッパーヤードを訪れた400年前の探検家)
- カルガラ(400年前のシャンディアの大戦士)
関連タグ
本編の流れ
ジャヤ編→空島編→ロングリングロングランド編
考察
ONE PIECEの物語において、頂上戦争編を大雑把な境目として前半・後半の各エピソードが意図的に似た構図・対応した要素を持たされているのは有名な話だが、空島編については魚人島編との対比とは別に、本編自体のエミュレーターとして位置づけられた節がある。
青海と空島の場所の違いはあれど、
- 大衆の前で公開処刑されたが、その場で自身の見つけた財宝について述べた冒険家(ロジャーとノーランド)
- 我欲にまみれた権力者(天竜人と当時の国王)
- 過去に発見はされたが、現在ではあるかないかもはっきりしない宝(「ひとつなぎの大秘宝」と黄金郷シャンドラ)
- 支配者であり、雷に関連し、(片方は恐らく)「空飛ぶ兵器」を持つ「神」(エネルとイム)
- 支配者層の直下だが、その不興を市民に買わせまいとする治安維持機関(ホワイトベレーと海軍)
- 支配者層を倒そうとする第三勢力(シャンディアと革命軍)
- 高所に存在する「神」についての伝承(ビルカの伝説とルナーリア族の記録)
など、重要なファクターが多く類似している。