金星
きんせい
主に以下の意味で使われる。
基礎データ
太陽からの距離 | 1億820万km(地球の0.723倍) |
---|---|
直径 | 12104km(地球の0.95倍) |
表面積 | 4億6000万km² |
質量 | 48垓6900京t(地球の0.815倍) |
重力 | 0.91(地球を1とする) |
公転周期 | 225日 |
自転周期 | 243日 |
表面温度 | 464〜500℃ |
分類 | 岩石惑星(地球型) |
太陽系第2惑星の天体。地球より太陽に近く、水星より太陽から遠い。全天で太陽、月についで明るく見える星である。明け方と夕方にひときわ明るく輝き、明けの明星、宵の明星として馴染み深い。肉眼では、金星がいくら明るい星とはいっても点にしか見えないが、望遠鏡を使えば、満ち欠けも確認できる(口径8センチメートル程度の入門機で十分である)。過去には発見したとの報告もあったが、現在のところ、衛星は確認されていない。
西洋では「Venus」と呼ばれ、美の女神の化身とされる。その名の通り硫酸によって形成された雲に覆われた姿は非常に美しいといえよう。
日本や中国における金星という名は五行に由来している。太白とも呼ばれる。
高圧力ガスによって構成される木星、土星、厚い氷によって構成される天王星、海王星とちがって、岩石と大気によって構成される岩石惑星。水星、火星より大きいが地球より少し小さい、質量もほぼ同じ大きさであるがその環境は地球とは似て非なる。灼熱の地表と二酸化炭素によって形成された高温高圧(気温:約400~500℃、気圧:約90気圧)の大気、美しくも見える外側を覆う二酸化硫黄の雲によって、外部からの侵入を拒んでいる。
太陽に近いため地球が太陽から受けている潮汐力の2.6倍の潮汐力を太陽から受けており、水星ほどでないにしても自転運動は太陽からの潮汐力による影響が大きい。自転速度は異様に遅く、しかも逆向き(すなわち自転軸が倒立)である。
実は倒立した自転軸・自転周期以外は地球も誕生直後はほぼこの姿であったと推測されている。但し太陽公転軌道の位置の違いのせいで金星では水が存在せず(最終的に分解された水素が全て宇宙へ拡散)、生命が生まれることもなかった。
金星の水がどのような歴史を経たのかは2つの説が存在する。
- 水は最初から最後まで水蒸気の状態に留まり続け、液体になることは一度もなかった。
- 地球と同様に、大気の冷却の過程で「最初の雨」が降り、一旦海が形成されたが、その後太陽の光度上昇により海の蒸発が始まり、暴走温室効果により大気が高温となり海もすべて水蒸気となった。
どちらの説にしても、水蒸気は太陽紫外線による光分解に対して不安定なため金星大気に留まり続けることはできない。水蒸気は酸素と水素に分解され
- 酸素は反応性が高いため他の大気成分や地表岩石との化学反応で消費し尽くされ、
- 水素は分子量が小さいため容易に宇宙空間に散逸して、
水蒸気は構成原子レベルで惑星大気中から不可逆的に失われることになる。いずれのルートでも現在の金星の状態を説明できるのだが、特に「一時的にせよ金星に海が存在していたかもしれない」という可能性は宇宙生物学上の興味を集めている
太陽の光度は太陽の寿命を通じてほぼ上昇を続け、60億年後の主系列星段階の末期には現在の2倍以上の光度になり、その後の準巨星・巨星段階になると現在の太陽の数百倍の光度に達するので、地球も金星と同様に海洋が蒸発するルートに入ることは不可避と考えられている。
探査
最初に金星に送られたのは、旧ソ連のスプートニク7号。しかし、これは軌道には乗れず失敗。次にベネラ探査機を立て続けに打ち上げる。だが、金星は上記の通り、極めて過酷な環境。その計画で使われた探査機はそれに耐えうるための様々な工夫を凝らした設計がなされた。
最初こそ、金星に到達すら出来なかったり、出来ても大気中で壊れてしまったりが続き、後発のアメリカに先を越される有り様。しかし、執念が実りついに着陸に成功。
ゴツゴツした岩だらけの表面、上記の高温と極端な高気圧という過酷な環境であるなど、金星の文字通りベールに包まれていた実態を明らかにしたのであった。
下記のように、過酷な環境にアメリカが関心を失う中、ソ連のベネラはサンプル調査などで金星の実態を次々に明らかにし、金星探査をリードした。
一方、アメリカのNASAも、ほぼ同時期にマリナー計画を実施している。上記の通り、ソ連は失敗を重ねる一方、こちらは全体的に先行した。この探査の結果、金星が高温・高圧の環境であることを明らかにし、気圧の測定にも成功した。
しかし、ベネラ探査機が表面への着陸に成功し、金星表面の実態が明らかになると、表面への観測より周回軌道からの観測を主軸に置いた。
1990年代、アメリカは探査機マゼランを打ち上げ、金星の厚い大気を透過する強力なレーダーにより表面の90%以上を明らかにした。
現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)によって打ち上げられた金星探査衛星PLANET-C「あかつき」が金星を観測している。2010年12月、金星の軌道投入を試行したが失敗、軌道・速度を調節し、次回金星に接近する2015年に到着した。
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