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五行

ごぎょう

古代中国で発祥した五行説における元素。木・火・土・金・水の五つ。
目次 [非表示]

概要

の5つの元素のこと。

火曜日」や「水星」など、馴染み深い幾つかの曜日惑星を示す日本語の由来となっている(但し後述のように、曜日については五行とも元素とも直接結び付いてるわけではなく、「火曜日」の「火」は本来「火星(Mars)」を意味している点に注意)。


古代中国(詳しい年代は不明だが、紀元前である)で生まれた概念であり、これらによって万物が成るという思想の中で語られた。

この思想は五行説五行思想と呼ばれ、西洋の四大元素とよく比較される。

同じく東洋の五元素としてインド五大五輪)があるが、別々に成立したとされる。


五行は通常「木火土金水」の順で並べて表記され、「もっかどごんすい」と読まれる。

それぞれ「木行」「火行」「土行」「金行」「水行」とも呼ばれる。

「五材」とも。


成り立ち

五元素である事について、当時知られてた惑星が「水星・金星・火星・木星土星」の5つだったから、という説がある。

この5つの惑星は総称して「五惑星」等と呼ばれる。


五惑星は五行説の登場より先に知られており、五行とは無関係な名前で呼ばれていた(水星なら歳星、金星なら太白)。

各惑星に、五行の各元素が当てられた由来は、色・明るさ・動きによるものと言われる事もあるが、いまいちはっきりはしない。


なお、中国語では惑星は「行星」と呼ばれており、これは語源由来辞典によれば、五行に因んで古代から用いられている名称との事。

一方、「行星」という表現は、恒星を意味する「定星」に対し、「定まらない星」という意味で呼ばれたものとする説もある。

一説では「五行」という表現は、最初は「五つの元素」の意味ではなく「五つの惑星の運行」の意味で用いられたという。


五行と五惑星の結びつき自体はこのように、五行が生まれると同時か否かというくらいに古いが、「水星」のように五行を冠した呼称は、もう少し後世(西暦700年代?)になってから使われはじめたと見られている。


五行の要素を分子論的に分解するという発想には至らず、東洋はイスラム圏以西に対して長らく科学が停滞することになる。


金行について

五行における「金」は、黄金に限ったものではなく、金属全般を指す。

金属自体も五行に分けて考えられており、金属の中で金行に当たるものはであり、黄金の意味の金は土行に当たるという、少々ややこしい話となっている。

曜日名・惑星名の上では「キン」と読まれており、金行も「きんぎょう」と読むのが主流のようである(?)が、「木火土金水」と書いた場合には「ゴン」と読まれている。

創作などでは黄金と解釈され黄色が当てられることが多いが、イメージカラー的なものは後述のようにであり、黄色は土行の色となっている。


五行間の関係、相生・相克

五行の間の有名な関係として、「相生」や「相剋」というじゃんけんの発展型のようなものがある。


相生は、木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生むという関係(木 → 火 → 土 → 金 → 水 → 木)。

相剋(相克)は、木は土の力を吸い上げ、土は水の勢いを防ぎ、水は熱い火を消し、火は固い金を溶かし、金は木を切り裂くという関係(木 → 土 → 水 → 火 → 金 → 木)。

相生の各々の関係は「木生火」「火生土」「土生金」「金生水」「水生木」、相剋の各々の関係は「木剋土」「土剋水」「水剋火」「火剋金」「金剋木」と呼ばれる。


ここで、相剋の関係は完全な無双の関係というわけではなく、強過ぎれば相性が悪くても勝てるし、弱過ぎれば相性が良くても負けるという「相侮」という概念もある。

火が水を倒す場合の内、前者のケースは「火侮水」と呼ばれ、「火が強すぎると、水の克制を受け付けず、逆に火が水を侮る」のように表現される。

後者のケースは「水虚火侮」と呼ばれ、「水自身が弱いため、火を克制することができず、逆に火が水を侮る」のように表現される。


逆に、相性の良い相手をオーバーキルするような状態は「相乗」と呼ばれ、こちらも片方が強過ぎるパターンと片方が弱過ぎるパターンの二通りで分けられている。

水が火を倒す場合なら、前者は「水乗火」と呼ばれ、「水が強すぎて、火を克し過ぎ、火を完全に消火する」のように表現される。

後者なら「火虚水乗」と呼ばれ、「火自身が弱いため、水剋火の力が相対的に強まって、火がさらに弱められること」のように表現される。


相生と相剋は、今日においては五行の看板のような要素となっているが、五行と同時に生まれたわけではなく、更に相生と相剋もまた同時に生まれたわけではないと見られている。

金が水を生む事については、金属表面水滴が付く事によるものという話が一般的な様子(融解して液体となる性質で説明される事もある)。

金が木を倒す事については、金属のが木を切り倒すという解釈が一般的(金属の毒性が植物を枯らすと説明している例もあったが、現在行方不明)。

また、陰陽五行説に基く中国の伝統医術では、重要なのは、あくまで相生・相克の関係であって、「木火土金水」は5つの要素を区別する「ラベル」に過ぎない、と云う考えも有る。

なお、相生と相克の関係が共に成り立つには、ある要素に対して他の要素が4種類(例えば、火に対しては、火を生み出す木、火から生まれる土、火に打ち克つ水、火に負ける金)が必要になるので、要素が5種類が相生と相克の関係が共に成り立つ最少条件であり、四大元素説などの「五行に似ているが要素が4種類以下」のものでは、相生相克は成り立たない。


五行の並びで代表的なものである「木火土金水」という並びは、相生の関係によるものとなっている。

五行で特に重視される「土」でなく「木」が筆頭となっているのは、季節が木行のから始まるイメージがあるからであろうか(なんか後述する方角との対応関係と天子が南面した場合をデフォにしてるとか太陽の運行が関連するらしい上、「左を貴ぶ」という東アジア特有のナニがあるらしい)。


また、中国の歴史上の王朝にも五行に対応する「徳(属性)」が有り、ある王朝と次の王朝の関係は、禅譲による王朝交代の場合は相生、武力による王朝交代の場合は相克とする説が漢の時代以降は広く信じられるようになった。(例:ある王朝が火属性の場合、次の王朝は、禅譲による交代の場合は火から生まれる土属性、武力による交代の場合は火を打ち消す水属性)


陰陽との融合、陰陽五行

同じく中国で生まれた陰陽と組み合わさったものは陰陽五行と呼ばれる。

陰陽五行においては、五行の各要素についても、とに分類したりされる。


まず、木と火は陽、金と水は陰、土はどちらにも偏らない中性的なものとされる。

更に、火については陽の中でも陽、木については陽の中で陰寄りという扱いとなっており、陽→陰という順番で並べると以下のようになる。


←陽 火・木・土・金・水 陰→


これとは別に、五行のそれぞれを「陽の木」「陰の木」という具合に陰と陽に分ける考えもあり、これは元々別に存在してた十干に当てはめられ、以下のようにされた。


これはちょうど「陰陽×五行」の形となっている。


七曜との関係

一週間の曜日名を総称した「日月火水木金土」は、五行に「」と「」を加えた形となっており、七曜と呼ばれたりしている。

但し、七曜は五行に日月を加えて成り立ったわけではなく、あくまで「(太陽+月+五惑星の)7つの天体」を意味し、五行とは独立に成り立ったものである。

例えば「火曜日」というのは本来、「Fireの日」ではなく「Mars(火星)の日」である。


七曜はそもそも中国発祥ではなく(バビロニア説が有力視されているようだ)、西洋においても曜日名の中にその痕跡が残っている。

一方で、惑星と五行の結びつきは東洋独自のものであり、西洋においては神話の神々と結び付けられている点にも留意されたい。

陰陽説では太陽は陽、月は陰であるため、七曜はちょうど「陰陽+五行」という形となってはいるが、古典の範囲では陰陽五行との関連が語られる例は見られない。


つまり、惑星と五行は直接結び付いているが、曜日と五行は本来、惑星を介して文化をまたいだ遠い繋がりとなっている。

(なお、五行の発祥国である当の中国では、曜日名は五行とも惑星とも無関係なものとなっている)


七曜の並び方は五行の範囲では見られないが、これも五行とは無関係に成り立ったものである事を踏まえれば当然の事である(「七曜」を参照)。

ただ、偶然なのか、日と月、火と水、木と金という陰陽のペアとなるものが全て、陽・陰という順番で隣接しているという、陰陽五行と整合の取れた並びとなっている。


五行の生成

陰陽五行においては、五行の生成の物語も考えられた。

水・火・木・金・土という順番で生成されたとされ、陰の中の特に冷たい部分が水を生み、その残りが金を生み、陽の中の特に熱い部分が火を生み、その残りが(となって)木を生み、余った四気が合わさって土を生んだとされる。

似たような生成が八卦でも語られているが、八卦の場合は「陽→陽+陰」「陰→陽+陰」の形になっているのに対し、五行の場合は「陽→陽+陽」「陰→陰+陰」の形になっている点は要注意。


季節等との関係

五行と五つの要素の対応としては、有名な所では以下のようなものがある。

五行
含む)
方角中央西
季節土用
五虫動物鱗虫羽虫裸虫毛虫甲虫(介虫)
五神青龍朱雀黄龍あるいは麒麟黄麟白虎玄武
五龍青龍赤龍黄龍白龍黒龍
五虎?青虎赤虎黄虎白虎黒虎
惑星歳星木星熒惑(営惑/火星鎮星(填星/土星太白金星辰星水星
金属あるいは黄金

このうち、色と方角の対応は後にモンゴル帝国の手により遠く東欧ルーシ人にもたらされている。

色で方角を表現するという風習は、現在でもベラルーシ(白ルーシ)の国名にその名残が見られる。


他にも様々な要素との対応が考案されているが、後は関連外部リンクを参照。


サブカルにおいて

わかりやすい「四大元素」に比べると、相克関係が直感的に理解しづらいためか、「金」が扱い辛いためか、逆に扱い易い「風」が無いためか、設定として登場することは四大元素に比べると少なめ。

しかし、「仙人」や「陰陽師」系のキャラにとっては縁が深いので、それらのキャラを主体とした作品では重視されることも多い。

また、「複数の魔法体系がある」とする作品では、西洋の四大元素に対抗する東洋のモチーフとして扱われることも。


サブカルでお馴染みの風やは、イメージカラーを青にして木に当てられる事が多めであるが、実はこれはかなり古典と整合している。

風と雷は八卦においては存在しており、が雷を、が風を表すが、共に五行は木とされている。

そして木と風の関係は、陰陽五行の生成の物語において暗示されており、方角的にも四大元素の風と一致している(四大元素の影響であるとする説も)。

なお奈良時代までの日本ではローリングサンダーが出るような空を「あをぞら」と言った。


五行をモチーフとしている作品・キャラクター

※七曜に該当するものは「七曜」を参照。



五行を内包しているもの


関連タグ

五行説/五行思想 陰陽五行 陰陽

四神 五神 八卦 十干 十二支

七曜 惑星 一週間

五大 四大元素 じゃんけん


青春 朱夏 白秋 玄冬

木属性 火属性 土属性 金属性 水属性

五芒星 五色 クインテット


思想 哲学 エレメント/元素 属性


関連外部リンク

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