概要
四方を守護する四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)に対し、中央を守護するものとして黄龍または麒麟を加え、五行(木火土金水)と対応するようにしたもの。
五獣とも。
四神と五行は密接であるのだが、実は中途半端な対応となっており、土(中央、黄色)の所のみが空席となっている。
そこで、これに対応する神が求められるわけである。
麒麟はこの場合、(中国語の時点で)黄麟(こうりん?)とも呼ばれており、これによって五神の全員が、対応する色を名前に冠する形となる。
なお、麒はオスで麟はメスと説明される事が多いが、これは後で付けられた意味であり、「麟」の一字で麒麟を意味する事例は古くから存在したとされる。
更に黄龍と同一視される事もある。
黄龍は青龍と龍で被っているが、麒麟も四霊においては白虎のポジションにあり、黄龍と同一視される事のある応龍も青龍のポジションにあり、どちらにしても少々ややこしい事になっている。
ただ、麒麟は白虎とはだいぶ性格が異なっている他、龍の特徴も多く備えており、西方に位置する必然性も特に無く、麒麟自体は白虎と被っているとも言い難い。
四神と四霊の関係はいまいちはっきりせず、麒麟が白虎のポジションに配置されたのはあくまで没設定的なものである可能性もあるため、四霊を持ちだす方が不適当かもしれない。
四神は守護する対象の四方に描かれるような形で扱われる事が多かったため、五神が揃ってたとしても、中央の神は扱われる機会が中々無かったかもしれない。
他にも、勾陳(勾陣)が代わりとなったり、騰蛇が加わって六神となる事もある。
逆に、朱雀、白虎、玄武も龍(赤龍、白龍、黒龍)に置き換えた形の五龍というものも存在。
類似のもので、中央に人間あるいは聖人を当てるものもあるが、そちらは五虫という考えに基いており、主に四霊との組み合わせとなっている。
五虫では人間を「裸の動物」として扱っているが、麒麟も黄龍も特にこれに該当しておらず、五虫の考えを五神に取り入れる動きは無かったようだ。