概要
かの伝説の色んな意味で話題になったゲーム「LSD」の生みの親である佐藤理氏が送る、輪廻転生アドベンチャーゲーム。1994年発売。
Macintosh用のゲームとして発売され、1995年にWindows版が発売されているが、現在どちらとも入手は困難な状態。
英語版も発売されているため海外ユーザーの一部にも知名度がある。
主人公「リン」は奪われた魂を取り戻すために東脳という緑色の人の頭の形をした島で様々な不思議生物に転生しながら冒険をする。
生と死を繰り返しそれぞれの姿に与えられた役割を遂げながら、「臨兵闘者皆陣列前行」の九字を集めることが目的。
まず初見の人はほぼ必ず度肝を抜かれるようなサイケ&カオスで東洋思想も入ったOPムービーと、奇妙奇怪なキャラデザにキワモノ作品と見られがちであるが、
ストーリーやテーマそのものは案外しっかりしているためLSDのように目的が無いことが目的という類のゲームではない。
ストーリー
ある朝、リンは自分のタマシイがなくなっていることに気づいた。
それは、東に果ての島「東脳」のしわざらしい。
生きた島「東脳」は、年に一度、人のタマシイを吸い取るのだ。
東脳にタマシイを吸い取られた人々は、虚なまま衰弱して死んでいく。
リンは、弱っていく体から力を振り絞り、
自分のタマシイを取り戻すため、東脳の島へ向かう決意をした。
旅立つ前に、社へお参りに行くと、
土の中から白蛇が現れ、お守りと風呂敷を授けてくれた。
社の老人は、弱っていくリンに仮のタマシイを入れてくれた。
仮のタマシイを貰ったリンは、四十九日の間は普通に動ける。
リンは、東の果てに浮かぶ島「東脳」を目指し、小舟で出発した。
世界観
東脳とは
東脳とは、東の果てに浮かぶ島である。
頭のような形をしたこの島はそれ自体が一つの有機生命体、つまり東脳は生きているのである。その中には巨大な脳細胞世界が隠されているとも、不思議な生物の棲む世界が隠されているとも言われていた。
本来は弱った人間の魂を安定させるため、年に一度呼び寄せて清めを行い元に戻す神聖な島だったが、ある時東脳の中で何かが起こり、手当たり次第に魂を奪うようになってしまい、不浄の島として畏れられるようになった。
東脳の中
東脳内部は五行思想に基づく5つのエリアに分かれており、その内の4つがそれぞれ国を形成している。
木:生命の国 ミンケン
モクギョウが治める国。広大な森林が主なエリアで、この島に生きる全ての命はここにある生命の樹ミンケシュから生まれる。
火:時間の国 シチェン
カギョウが治める国で、中央に時間の灯台「トンタア」がそびえ立つ。全ての命の寿命はこの国にあるロウソクの火と連動しロウソクの火が消えるとその火に対応する者も死ぬ。
金:欲望の国 ユイワン
キンギョウが治める国で、全てが黄金でできている。他の国と比べて狭く、屋敷一つ分の面積もない。しかし、キンギョウの掌の上にあるさざえ城「ロシャン」は広大で住民もそこにいる。
水:夢見の国 モンチェン
スイギョウが治める国で、美しい氷でできた世界。住民のほとんどは宮殿の中に住んでいる。
土:中心の山 トンノウ
主人公が最後に向かうべき場所。何かが封印されているらしい・・・
キャラクター
主人公
主人公は9つの生を全うし、「臨」「兵」「闘」「者」「皆」「陣」「列」「前」「行」の9文字を集め、魂を取り戻すことが目的である。
リン(臨)
最初に生きる生で、本来の姿でもある。普通の人間で、多分男。
生を全うする条件は「とりあえず死ぬ」こと。
ビョウ(兵)
葉っぱを身に纏ったトカゲの様な姿をした生物で、擬態プレイが好きないじめられっ子。
生を全うする条件は「ツォモン(後述)の夢見の目玉を交換する」こと。
ぶっちゃけこいつが一番めんどくさい。
トウ(闘)
長い腕と首を持つ緑色の生物。リング状の胴体がコンプレックス。
生を全うする条件は「自分とゾウガエル達の名前を登録する」こと。
・・・まあ登録し終えたら生を全うして死ぬんだけど。
シャ(者)
全身が楽器でできた生物で、どんな楽器も演奏できるプロフェッショナル。
生を全うする条件は「4つの楽器を集め、演奏する」こと。
カイ(皆)
全身が燃えている生物。燃えるような赤が好きだが、熱血キャラではない。
生を全うする条件は「夢見の水を用いて、間違って生まれてきたある者のロウソクの火を消す」こと。ただし、そのロウソクに連動する命は・・・
ジン(陣)
全身が青銅でできている生物。本当は黄金がよかったらしい。
生を全うする条件は「欲望の王キンギョウに仕える」こと・・・なのだが、身体が魂に耐えきれず自壊。ちゃんと生は全うされるのでご安心を。そんなんでいいのか。
レツ(列)
地面を這いずる蟻。生を全うする条件は「困った者の役に立つ」こと。
ちなみに、プレイすると分かる事だが、ある意味自分殺しである。
ゼン(前)
氷の中に生まれた8本足の生物。いつか氷の外へ出るのが夢。
生を全うする条件は「夢見の国の見張りをする」こと。
こちらも、ある意味自分殺しである。
ギョウ(行)
頭が燃えている虫。危険な飛行テクニックdが大好き。
生を全うする条件は「時間のロウソクに火をつける」こと。
なお、頭は平気なのに体は燃えたらダメな模様。なんでや。
生命の国 ミンケン
- 生命の王モクギョウ
生命の国の王。いつもは生命の樹「ミンケシュ」の中にいる。
神経質な性格で、蟻とコマが嫌い。虫を退治してくれるムシクイドリをとても頼りにしているが、実はそうではないことに気がついていない。
- ゾウガエル一族
森の中に住んでいるカエルのような一族。みんな一人でいることが好きで、森のあちこちに点在して暮らしている。たくさんいるらしい。
- タベリナイ
生命の国の砂漠シャアモに住んでいる生物。
あらゆる清潔なことが嫌いなためか、ものすごい虫歯がある。いつもお腹が空いていて、バイオレンスな愛情表現をする。
時間の国 シチェン
- 時間の王カギョウ
時間の国の王。チウの平原に建っている灯台「トンタア」に住んでいて、電算機に名前を入れると現れる。
国王列伝や伝記本を読んだり、かっこいいポーズを考えたりして威厳の研究に熱中しているようだ。バカにされると怒るらしい。仕事の教え方は丁寧。
- インとヤン
時間の灯台「トンタア」の奥にある部屋、電算室ティエンで働く双子たち。インは怠け者でよく嘘をつく、ヤンは真面目なバカ正直者。性格は正反対だが、二人ともカギョウのことを嫌っているらしい。
- ガショウ
時間の灯台の通路にぶら下がっている生物、モノや生物を瞬間移動させる能力を持っている。一階から四階、四階から一階まで瞬間移動してくれる。能力不足で中間の階には行けない。誕生日は1月1日。
- ティビシ
時間の灯台に棲みついている3つで1つの合体生物。
ロウソクの火が好物で、こっそり食べたりしている。
欲望の国 ユイワン
- 欲望の王キンギョウ
欲望の国の王。いつもは祭壇の上で寝ているが、黄金の花を捧げると起きる。欲張りでわがままな性格だけど、愛想はいい。
お礼にアイテムを一つくれて、さざえ城ロシャンに招待してくれる。シャで楽器を全て持った状態で彼を起こすと・・・?
- ロンリィとロンユィ
キンギョウに囚われている2匹の玉龍。
清浄な魂やマガタマに触れると玉から龍になり、2つの火が合わさることで黄金の花を生み出す。
さざえ城ロシャン
- チファン
食欲の部屋「チファン」の主。
唇と手と胃袋だけの生き物。食べることが大好き。他人の胃袋を大きくするのはもっと好き。
- プリャオ
不死の部屋「プリャオ」の主。
キンギョウに月から無理やり連れてこられた月の化身。
黄金の生命である不死を得ることができる「月水」を持っている。
- ショオミ
欲望の部屋「ショオミ」の主で、寡黙な性格。その姿は…。
三人の妻と暮らしている。
- ナイナイ
第一夫人。人間の女性の胸のような姿をしている。ぷるぷるするのが好きで、努力も惜しまない。
- 竹奴(たけやっこ)
第二夫人。人間の女性の顔のような姿をしている。
自分の顔が好き、特にお口が。
ショオミの好みで抜歯をしていることを気にしている。
- トェイトェイ
第三夫人。人間の脚の姿をしている。
勝ち気で自己愛の激しいタイプで、自分の脚を溺愛している。逆に触られるのは嫌い。ショオミにもあまり触らせない。
東脳図絵では8本足の中心に1つ目がついたような見た目をしている。
夢見の国 モンチェン
- 夢見の王スイギョウ
夢見の国の王。夢見宮殿ピンチャオに住んでいる。ことなかれ主義で、夢を見ることが好き。
夢見の国の住民たちは皆、マガタマが映し出す夢の映像の魅力に取り憑かれている。そのため、スイギョウにはすべての住民に夢を供給する重要な責任がある。ツォモンの夢見の目玉が衰えてきているため、機械工が生まれるのを待ち望んでいた。
なぞなぞに正解をすると桃をくれる。
- アーとウン
夢見宮殿でなぞなぞの門番をしている2匹のこま龍。なぞなぞに正解すると宮殿に入れてくれる。錬金術に凝っていて金に目がない。
- モンイー
マガタマ拾いをしている青い龍。夢見の国へ流れ込んでくる川からマガタマを拾う役割がある。良いマガタマはスイギョウにとられるので、自分の夢見の番が来るまでマガタマを隠し持っている。
- モンアル
一つ目の赤い龍。何年もマガタマ拾いを頑張ってきた。夢見の番がやっと回ってきて嬉しい。
- ツォモン
夢見の目玉を取り付けられている生きた器械。集められたマガタマは、彼の眼光に照らし出すことで夢が見られるようになる。夢見の国では非常に重要な存在。
- パンシィエ
大好物の自分の足をひたすら食べているカニのような生物。お酒がダメらしい。
うまいうまい。
中心の山 トンノウ
東脳各国
- ?????
喋る壁画。5つの国のそれぞれに1つずつ存在する。
東脳世界に来たリンに鏡を与え、行く先々で助言をしてくれる謎の存在。
- ファンシン
生命の樹「ミンケシュ」から一番生まれやすい生物でいっぱいいる。
とりあえず親切なので、出会うと何かしら教えてくれる。生命の王モクギョウは、役に立たないファンシンの数が減るように生命の樹に除去対策を施している。効果はないが。
耳に残るBGMが特徴的。ふぁんふぁんふぁんふぁんふぁんふぁん。
まぼろしの市場 ホゥアン
- マイチウ
まぼろしの市場を一人で取り仕切っている商人。
彼の勝手な法則で、アイテムを物々交換してくれる。まずは目玉石を手に入れよう。
ゲーム上では上半身しか見えないが、下半身もあるようだ。
エモン一家
盗人一家。出会うと風呂敷の中のアイテムを一つ盗まれる。ヒトに近い姿をしているが、足は三本ある。
- イチエモン
紙が好きで、生命の国に出現することがある。
- ニエモン
何でも盗む。時間の灯台トンタアに出現することがある。
- サンエモン
寂しがりな性格。中心の山に出現することがある。
- ヨエモン
バクチ好きな性格。さざえ城ロシャンで丁半賭博をしている。
- ゴエモン
食いしん坊。夢見の国モンチェンに出現することがある。
その他
- 白蛇
リンに風呂敷とお守りを授けた白蛇。
- 社の老人
リンに仮の魂をあげた老人。
英語版Eastern Mindでは翻訳の都合でYashiro(やしろ)という名前の老人ということになっている。
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中天…本作の続編。