太陽系の天体における分類の一つ。国際天文学連合(IAU)が2006年8月24日に採択した決議により新たに加えられた分類である。
どんな天体か
上記条件をすべて満たす天体である。惑星の場合はこれに「自分の軌道周囲から他の天体を一掃している」ことが加わる(これを満たしていないため、冥王星は惑星から準惑星に分類を改められた)。
主な準惑星
2006年の決定において準惑星に分類されたのは、以上の5つのみであるが、他にも多数の天体が準惑星候補とされている。なお、候補とされている天体でも"準惑星"と言い切る場面が天文学の公式のニュースなどでもよくある。
このうちケレスは火星と木星の間にある小惑星帯にあり、それ以外は海王星の外側にあるカイパーベルト或いは更に外側の散乱円盤にある。海王星より外側の準惑星を冥王星型天体という。
観測と分類の歴史
先述した通り、"準惑星"(dwarf planet)という概念が作られたのは2006年に入ってのことだが、それに分類される天体の中で初めて発見されたのはケレス(セレス)で、意外に古く1801年。
イタリアの天文学者ジュゼッペ・ピアッツィによって発見され、当時はほぼ同時期に発見された三つの小惑星と共に惑星とされていた。
しかしながら、1845年以降に周囲に他の天体が相次いで見つかり、当初はこれらも全て惑星として数えていたが、やがてケレスを含むこれらの天体は惑星ではなく小惑星(asteroid)とみなされるようになった。
ケレス発見から100年以上経った1930年、アメリカの天文学者クライド・トンボーにより、冥王星が太陽系第九惑星として発見された。その後は長らく『彗星を除き海王星軌道以遠にある唯一の天体』であり『最果ての惑星』とされてきた。しかし、1992年に初めて海王星以遠の小惑星が発見されて以降、冥王星の周囲に次々と新天体が発見され、その中には当時『最大の小惑星』とされていたケレスをも凌ぐ程の比較的大きな小惑星も多数存在した。
このような状況から、かつてケレスが惑星から外された前例があるように、冥王星も惑星でなないとする意見が出てきた。
そして、2005年に冥王星に匹敵するエリスが発見され、いよいよ惑星の定義を明確にするべきとの声が高まり、先述の国際天文学連合によって準惑星という新たなカテゴリーが作られた。(惑星の数を増やす案もあった)
冥王星、エリス、ケレスがまず分類され、のちにハウメアとマケマケが追加された。
2023年時点で、探査機が訪れた準惑星は冥王星とケレスしかない。
冥王星はニュー・ホライズンズ、ケレスはドーンによって探査された。どちらも2015年に探査されているが、ドーンのケレス到達の方が数ヶ月先んじており、人類初の準惑星探査となった。(なお、打ち上げはニュー・ホライズンズの方が一年半以上早い)
両天体とも、予想に反して地質学的に活動していることが明らかになり、天文学的に非常に関心が高い天体となっている。
なお、これ以外の準惑星への探査計画は、今のところ構想段階レベルしか存在していない。