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黒炭カン十郎

くろずみかんじゅうろう

『ONEPIECE』の登場人物、カン十郎の本名である。
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概要(974話以降のネタバレ注意)





















“カン十郎”


光月おでんの家臣団「赤鞘九人男」の一人“夕立ち”カン十郎の本名である。
敵側の大将「黒炭オロチ」と同じ黒炭姓であり、この名前を明かした事で、彼が敵側から送り込まれたスパイである事が明らかとなった。

カン十郎の生まれは実は黒炭家の分家で大衆演劇の家の子。つまり黒炭オロチと同様彼もワノ国による黒炭家迫害の被害者の1人だった。迫害に伴って彼の両親は舞台上で殺害されており、舞台でしか生きる事を知らなかった彼はこれを切っ掛けに心を失ってしまったのである。

絶望のどん底にあったカン十郎に、黒炭の本家末裔であるオロチが接触。オロチから両親の仇を殺した事、これからワノ国への復讐を行う事を伝えられる。同時に彼はオロチから光月に入り込むスパイとして、光月の忠実な部下を演じる役割を与えられた。「光月として生き、光月として死ね」というオロチの命令も、死に場所を求め、尚且“大役”を演じられる機会を与えられたカン十郎は直様承諾し、オロチから渡された悪魔の実を食し、希美にて浮浪者を偽って将軍家の嫡子・光月おでんに接触、ひと悶着を経て家来となり彼らの旅に同行した。以降は九里大名となったおでんの家臣を務める裏で、オロチに情報を提供する黒炭側のスパイとして暗躍するようになった。

つまり光月おでんと出会った時には既にオロチと接触した後であり、最初から光月家を貶めるために行動していたのである。加えて、何者かを演じることでしか生きられないという一種の職業病ともいえる性分から、他の家臣達同様に絶対的な忠義の下おでんに仕え、その上で命を落とすことも厭わぬ異常性を持ち、密かに彼らの情報や郷の予算をオロチに流したりなどはしていたが、おでんやその家族、同心を直接手にかける行動は一切取らなかった。この徹底された演技により、おでんたちも誰一人として彼がスパイであることを見破ることが出来なかった。

当初はオロチの命令通り、20年前の処刑時にそのまま光月の家臣として死ぬ予定だったが、おでんの計らいにより奇しくもその場から生き長らえ、トキの能力で20年後の未来(現在)に飛ばされる。こうした予想だにしない状況の中でもカン十郎の演技はブレることなく、以降も変わらず忠臣を演じ続け、跡取りのモモの助を支えつつオロチと内通を続けていた。
オロチが部下からの信頼を失いつつも、「赤鞘が20年後に自分に復讐に来る」というトキの予言を具体的に信じていたのも、そもそもオロチからしてみれば20年間音沙汰のなかったスパイが急にタイムスリップの事を知らせてきたのであり信じるのが当然だと言える。

ドレスローザでの初登場から正体が判明するまで連載中のリアルタイムで6~7年以上かかっており、否が応でも時間の流れを感じさせるものとなっている。

人物(本性)

役を演じている間は、一人称が「それがし」で、錦えもんと同じような侍口調を用いていたが、本性を表してから一人称は「おれ」に変化し、これまでルフィやローなどの協力者たちを「○○殿」と敬称を付けて呼んでいたことについても呼び捨て、もしくは侮蔑的な呼称を用いるなど乱雑な口調を用いるようになった。

性格に関しても、これまでまんまと騙されていた光月の同盟者達を徹底的に煽り、罵り、逆に錦えもんの策(実際はただの偶然)に騙された際には驚愕や憤怒の表情を顕にしたりなど、以前よりも感情的な側面が目立つようになった。

スパイとして

彼のスパイ行為において、非常に恐ろしい点は光月おでんの部下として共に笑い、オロチやカイドウと戦う時は全力で戦い、情報を流すこと以外は一切の利敵行為を行わなかったことである。

釜茹での刑で他の赤鞘と一緒に処刑されかけた事については、元々死に場所を求めていた彼としては気にするような事でも無かったらしく、むしろ自身の正体を明かした時にその事を問われた際には「共に死ぬ事によって完全なる役が完成していた」として自分の死を歓迎していた節さえ匂わせている。
(飛行力の低い雀に乗った状態で、落ちること等への恐怖心を感じさせずに絵を描く、標高の高い象主を登っている最中に、よくよく考えれば自身も危険な目隠し行為を行うといった行動も、自身の死に対する危機感や恐怖心の乏しさによるものと思われる。)

真の主君であるオロチも、こうした彼の性質を利用しつつも異常なものと捉えているようで、カイドウとの対談で口汚く罵っている。しかしその分、スパイとしての有能かつ忠実な仕事ぶりからオロチ自身も彼に全幅の信頼を寄せている。事実、カン十郎からの情報に部下含む他者から度々疑義を持たれているが、その度に「確かな情報だ」として疑惑を否定している。

能力

上述通り、彼の食した悪魔の実はオロチと初めて出会った際に渡されたものであり、能力者となった期間は意外にも長い。
(入手ルートはおそらくオロチと同様、彼の後見人である黒炭ひぐらしとおもわれる。)

能力で自ら描いた絵を実体化させることに関してはこれまで通りだが、役を演じている時とは異なり非常に精巧な絵を描いておりそもそも絵が下手だった事自体が演技(嘘)であった事も明らかになった。実際、よく見ると過去の食事シーンなどで普通に右手を使用しているのに対し、ドレスローザ等で絵を描く時は左手を使用しているように見え、敢えて利き手でない方の腕で絵を描いていたことがわかる。

正体を現した際に赤鞘達の小舟に乗っていたカン十郎は彼が能力で作り出した分身であり、錦えもん達もそれを斬り捨てるまで偽物であることが見破れなかった。しかも、雨風が吹き荒ぶ悪天候の中でも一切その絵の分身が崩れることもなく、水にかかると消えるという弱点まで嘘であったことが同時に判明した。

画力だけでなく絵を描くスピードも非常に早く、河松との勝負では彼の攻撃を受け交わして退いている僅かな時間に見事な鶴の絵を描いて実体化させ空中に逃げて追撃を回避している。

能力の練度そのものも妙な悪戯などで誤魔化されているが、全長2万m以上もある象主の背中にある国(アフリカゾウの全長と肩高などを基準に大まかな計算をした場合、標高は2千mは軽く超えていると思われる)を登攀できる疑似生物を用意する等、実際は底知れない。また、彼の絵を実物化する能力も本領を発揮すれば、もう一人の自分を生み出しアリバイ作りも容易、オロチの元へ擬態も出来て意思を持って情報を運ぶ鳥と言う伝達能力の高さ、食料難に及ぶ事はない生存能力の高さと必要な要素を兼ね備えている。

その他、髪を筆代わりにして空中に黒雲を描くという描写もあり、彼の能力は「空中でも絵を描くことが出来る」もしくは「墨自体を自在に操る能力」とも解釈できるが、詳細は今のところ不明。いずれにせよ、彼が光月家に潜伏していた現在までの十数年(タイムスリップを含めれば更に20年)もの間、これほどの能力の本質まで偽り続けていたということになる。

作中での動向

決戦当日、オロチの指示もあって鬼ヶ島へ討ち入りに行く途中の小舟にて、同船した赤鞘の6名に正体を明かし「初めからおれのような男はいない」としてカン十郎という人間が作られたものであった事を伝える。
これらの事実を明かしている間に、赤鞘達の小舟はオロチを介してカン十郎の密告を受けた百獣海賊団の軍艦3隻に包囲されてしまう。

許しがたい裏切りに錦えもんは瞬速の居合抜きで両断するも、同船していた彼は能力で描いた分身であり、本物は港に残してきたモモの助としのぶを急襲し捕らえていた。
元々この任務においてオロチから「死なないこと」と「モモの助を生け捕りにする」ことを命令されており、カイドウはモモの助から“世界の真実”について聞き出そうと考えていた為。

勝利を確信し、侍の最期を見届けてやろうと高笑いしたが、直後殲滅できたと思っていた侍集&海賊達の連合軍が港に現れ、状況は一変。
実は錦えもんが暗号の解釈を間違えており、周囲も自分もそれに気づかず信じた結果、密告した場所・日時が侍達の読み取った内容とは違うものになってしまったのだった(破壊した船団もフランキーが作った予備の空船であった)。

もはや正体を明かしてしまった自分ではどうにもならない程に趨勢を切り返され、一杯食わされた(?)事に憤慨。
仕方なくモモの助だけでも攫っていく事にし、彼を抱えたまま地面に描いた鶴で上空へと離脱。一同を必ず殺すと宣言し、能力で攻撃を加えながら鬼ヶ島へ飛んで行った。

その他

伏線について

上述通り、カン十郎の初登場から正体発覚までに(連載期間で)7年近くを費やしており、実際に伏線が多く敷かれていた。

出来事理由
上述の通り過去編や食事シーンと絵を描く時とで右手と左手を使い分けている絵が下手という嘘のため
早害のジャックゾウに来ることができた上に、雷ぞうだけを名指し情報を流したスパイだから(この時点で雷ぞう、イヌアラシネコマムシが内通者の線が無くなる)
ドレスローザにて錦えもん達が異名を含め名前が筒抜けだった(本来であればオロチですら把握出来ていない情報をドフラミンゴが知っていた)同上(この時点でドレスローザに居た侍は錦えもん、カン十郎、モモの助のみ)
当初錦えもんとモモの助は親子関係を装っていたのにも関わらず、ドンキホーテファミリーはモモの助を狙っていた。同上。
錦えもんとカン十郎が再会した後、ドフラミンゴ側がカン十郎を直接的に狙う描写や名前を出す描写が少なかった錦えもん達の味方ではないが、ドフラミンゴの忠君でもないため。 (ドフラミンゴ側にとって、カン十郎は敵ではない。しかし、良くも悪くもオロチの命令に忠実で精神面が特殊なため、どこまで協力するか読めない。)
主君の仇敵である「竜」の絵を平気で描いて使役まともな心がなく、他の人間の気持ちが理解できなかったため。錦えもんに問い詰められた際には目には目をという理屈で誤魔化していた。
過去編にて「迫害された過去がある」と触れている黒炭の一族だから。おでんは当時のカン十郎の行い(死体から髪の毛を切り筆を作って生計を立てていた)だと勘違いしていた模様。
初登場時に頬張っていたのはレタスレタスの花言葉は「冷たい人」「冷酷」 強引な感じもあるがカン十郎の本性を現している。
名前・異名の夕立ちカン十郎の由来夕立ち(『狐の嫁入り』と言われ、『誰かを欺く』、『何かを隠す』という意味がある)カン(=間者=スパイ)十郎(江戸時代に舞台上で殺された『初代市川團十郎が由来だと思われる。

好物について

コミックス96巻のSBSでは、おでんや家臣達(赤鞘、しのぶ、イゾウ)の身長と好物についてが明かされており、好物については全員が皆それぞれおでんのタネ(具)で統一されている。

カン十郎の好物は「ロールキャベツ」であり、おでんの中では唯一洋食の具材という点でも彼の異質感が強調されている…のかも知れない。

余談

演じる山崎氏は、過去にアニメオリジナルキャラクターのカミュ役でシリーズ出演経験がある。
ちなみにカミュも偽りの役を演じる人物であったが、楽な生活ができるという出来心によるものであり、人物像がマトモな部類であった。

関連項目

ONEPIECE ワノ国
役者 スパイ サイコパス
黒炭オロチ 黒炭ひぐらし 黒炭せみ丸 カイドウ

市川團十郎…初代は舞台上で殺害されている。スーパー歌舞伎II「ONEPIECE」を手掛けた澤瀉屋一門から見て主家筋の養先祖に当たる。また、この時期の歌舞伎俳優はいわゆる「被差別階級」であった。

河上万斉…中の人つながり&破滅願望が混じった野心を抱える大将の忠君繫がり。また、高杉のカリスマ性や万事屋一行の個性等に隠れがちだが、彼もつんぽという名義で寺門通とともに芸能界で成功を収めたのにも関わらず、それを不意にするようなテロ行為を続行していた危うい人物でもある。

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