「お前ごとき下っ端に殺されるんも違う…!!」
「おいどんは…!!死に損のうた!!!」
「おでん様を疑う気はない…」
「これ以上「光月おでん」を汚すな!!」
概要
偉大なる航路の後半の海"新世界"に位置するワノ国の郷の一つ「九里」の大名光月おでんに仕えた家臣団「赤鞘九人男」の一人。現在は酒天丸と名乗り、九里近郊を牛耳る頭山盗賊団の棟梁になっている。
おでんが九里を治める以前は、当時ならず者たちが蔓延り無法地帯となっていたかの地で最も危険な男として知られ、世間では“鬼”とまで称されていた。その後、アシュラ童子の噂を聞いたおでんが討伐に現れ、一味もろとも叩き伏せられてからが彼に従い、九里の復興に協力。大名となった際に当時押し掛け家来だった他の者たちと共に正式に家臣として取り立てられ、侍の身分を授かった。
プロフィール
本名 | アシュラ童子 |
---|---|
年齢 | 享年56歳 |
身長 | 544cm |
所属 | 光月家家臣「赤鞘九人男」、頭山盗賊団棟梁 |
覇気 | 武装色、見聞色 |
出身地 | 偉大なる航路 新世界 ワノ国 九里 |
誕生日 | 4月10日(し←4、ゅ、てん←10、まる) |
星座 | おひつじ座 |
血液型 | X型 |
好物 | きんちゃくもち |
初登場 | 単行本91巻 第921話『酒天丸』 |
CV | 飛田展男 |
人物
容姿
山のような大柄な巨体の持ち主であり、眉間にシワを寄せた険しい面構えに背中の桜吹雪の入れなど、いかにもゴロツキといった風体の男。頭髪はカーリーパーマのような桜色の長髪で、その一部を頭頂部にまとめて髷を結んでいる。その形はナワバリである頭山の頂に咲く桜の木を彷彿とさせる。
性格
「おいどんは光月おでんという男にホレ込みあの人の為に命を張る"侍"だったんど!!!」
他の赤鞘の侍とは異なり、光月家に仕えているというよりも自身に平和をもたらしてくれた"光月おでん"個人に仕えているつもりである様子が見られ、20年越しに再開したおでんの子息モモの助に対しても一度そのような趣旨の発言をしている。モモの助に対する敬意が無いわけではないが、彼に対する忠義は他の侍よりも少し劣っているように感じられる。
仲間想いではあるが、荒れていた経歴もあって赤鞘の侍の中では比較的粗暴な人物。そのためか20年間耐え忍んだあとにやってくる決戦に備えて船を掻き集めたり、鬼ヶ島の屋敷図を入手していたことが発覚した際には錦えもんとイヌアラシにその都度驚かれていた。過去におでんの家臣になった際に礼を言ったときには彼から「気持ち悪い」と称され、思わず刀を向けそうになったこともある。
また、荒くれ者をまとめる才覚はあり、百獣海賊団がワノ国に入国してからはヤクザたちが無益な反乱を起こさないように頭となって統率し、おでんの死後も頭山盗賊団を率いて過ごしていた。
また、アシュラ童子は赤鞘の侍たちの中で最もワノ国の現状と向き合いながら20年を過ごしてきた人物である。そのため本編初登場時には反逆の心が折れかけているような様子が見られ、ルフィたちの活躍でおこぼれ町に支給された食糧を住人の声に耳を貸すことなく奪い取り、光月トキの言葉を信じていると発言した者に対しても「死人だ」と冷酷に言い放っていた。更に20年越しの再会を果たした錦えもんやモモの助たちに対しても当初はつれない態度をとり、イヌアラシとは決闘にまで発展。情報収集に励みアシュラ童子の情報を得ていたお菊からは「見損なった」と言い渡されていた。
だがこの際に放った「20年間国を捨てていたブランクは戻らない」という台詞は的を得ており、実際に錦えもんたちは同志集めに苦戦することになり、特に囚われの身になっていた侍たちの心は完全に折れており、光月家が帰ってきた事実を目の当たりにしてもなお奴隷生活を続けようとしたほどであった。
他にも10年前に無謀にも鬼ヶ島に乗り込んだ侍たちを無駄死にだと最後まで止めていたことも明らかになっている。
これらのことからアシュラ童子は楽観的な思考をすることが決してない、一言で表すならば隙のない性格をしていると言える。
戦闘能力
基礎戦闘力
「侍ナメんなよ…!!!」
花柄の鍔の刀を武器として扱う。
ワノ国の侍の中でも指折りの実力者であり、その剣捌きは百獣海賊団の大看板の一角を担う旱害のジャックとも互角に切り結ぶほどである。過去には 百獣のカイドウとの交戦経験もあり、カイドウは強者であるアシュラ童子を部下に加えたがっている。
また、敵対した相手の息の根が止まるまで警戒を解かない性分であるため、戦場では赤鞘の侍たちの気持ちの引き締め役を担うこともある。
覇気
武装色の覇気(流桜)及び見聞色の覇気を体得している。
技
- おでん二刀流 桃源十拳
かつての主君である光月おでんが使用した"おでん二刀流"の剣技を再現する技。しかし技の威力自体はおでん本人には及ばない。
作中ではカイドウ相手に錦えもん、傳ジロー、イヌアラシと共に使用し、カイドウの古傷に直撃させたが致命傷を与えるには至らなかった。
来歴
過去
41年前には追放された浪人や罪人たちが集い流血沙汰の絶えない無法地帯「九里」で最も危険な人物として名を馳せていたが、手下もろとも自身の噂を聞いて駆けつけた光月おでんに敗れる。
その後、荒くれ者である自分たちを見捨てようとしなかったおでんの人柄に惚れ込み、彼を主君として認め仕えるようになった。
おでんが処刑された後は光月トキの言葉を信じて20年モモの助たちを待ち続ける。だが10年前しびれを切らした同志たちが襲撃や病気や空腹に耐えられず鬼ヶ島に攻め入り玉砕する事件が起こる。
それほどに20年という月日はあまりに長く、彼自身も次第に盗賊としてやさぐれていった。
しかしそれでも彼は、九里の廃港に密かに船を集め鬼ヶ島にあるカイドウの屋敷図を手に入れていたりと来るべき決戦の準備を怠ることはなかった。
ワノ国編
第一幕
おでんの死から約20年経ち、現在はワノ国の現状に絶望。"酒天丸"として頭盗賊団を統率し、貧しい市民から容赦なく食料を奪い盗賊として虚しく生きる。旱害のジャックと遭遇した際は彼からの勧誘に刃を持って答え一戦を交えた。カイドウが九里に現れた際には関わる理由がないとして撤退を選択した。
第二幕
20年前に失踪したかつての同志錦えもんと再会し、カイドウとオロチ達への反逆とワノ国の開国を目指す彼から再び協力を求められるも、イヌアラシと刀を交えた後「自身はあくまでおでん個人に惚れ込んだだけで光月家に仕えたわけではない」、「20年もワノ国を離れていたお前たちは信頼されない」と決別しておでん城跡地を去ってしまう。
数日後、錦えもんの策に乗せられたホールデムによってアジトの頭山を放火され、ホールデムを倒すべく博羅町へ向かう。しかしそこで映像電伝虫により映された霜月康イエの処刑を目撃することとなる。
康イエが処刑された後、錦えもんから事の真相を聞いた酒天丸。自分を陥れた錦えもんに怒りを向けるも彼からの謝罪を受け必死に協力を要請された酒天丸は、20年の間に散っていった同志達の墓標に彼らを連れて行きそこで協力の意を示した。
第三幕
決戦当日、錦えもん達と共に侍達の集合場所である常影港に到着するが、オロチのスパイだったカン十郎の暗躍により港には誰もおらず、自身達は百獣海賊団の戦艦の襲撃を受け窮地に陥る。しかしそこに麦わら海賊団・ハートの海賊団・キッド海賊団、さらに狂死郎として行動していた傳ジローも参戦した事で難を逃れ、自身は錦えもんと傳ジローを除く赤鞘達と共にローの潜水艦で海中から島の裏口に向かう。
島の裏口でマルコに運ばれて来たネコマムシやイゾウと再会した後は、島の裏門で百獣海賊団の軍勢を率いて待ち構えていたカン十郎と対峙。カン十郎を打ち破った後は屋敷の内部に潜入し、モモの助を処刑しようとしていたカイドウに赤鞘全員で一斉に不意打ちを仕掛けたのを合図に、遂に決戦が始まった。
ジャックが月の獅子化したミンク族やイヌアラシ・ネコマムシとの戦いで倒れた後、赤鞘全員でカイドウに猛攻を加えていき、自身も錦えもんや傳ジロー、イヌアラシと共におでん二刀流の技「桃源十拳」を喰らわせる。しかしそれでもカイドウに致命傷を与えるには至らず、今度はカイドウによって赤鞘全員が叩きのめされてしまう。
そこにルフィ、ゾロ、キッド、キラー、ローの5人の最悪の世代が到着。彼らに打倒カイドウは託され、ローの能力で赤鞘達は屋敷内の「宝物殿」という部屋に転移される。
その後、何者かに傷の手当てを施され、再び動けるようになるまで回復。戦線に復帰しようとするが、そこに死んだはずの光月おでんが現れる。赤鞘達は歓喜の涙を流すが、楽観的な思考を持たないアシュラ童子は目の前に現れたおでんが偽物だと看破し、自身が負傷させられる形をとって錦えもんたちの目を覚まさせる(なお、アニメ版において偽おでんのとある一言で違和感を感じ、原作の方ではわかりづらいが雷ぞうも疑念を抱いた)。
そして偽おでんの正体が生きていたカン十郎が描いたうえで遠隔操作している絵だと発覚。アシュラ童子は仲間を守るためにダイナマイトで自爆しようとする偽おでんを捕まえて宝物殿から飛び出し、無防備の状態で爆発に巻き込まれ、元々重傷を負っていたこともあって命を落としてしまった(アニメ版では爆発に巻き込まれた後のアシュラ童子が描写され、彼の姿を見た錦えもん達はカン十郎に怒りを燃やすシーンが追加されている)。
だが、この最期の決死の行動はドクロドームの天井に月が見える穴を開通させることにもなり、後にイヌアラシがジャックと戦う際に再び"月の獅子"に変身して彼を撃破するきっかけを作ることとなった。
決戦後は生き残った錦えもん曰く、アシュラ童子は花の都を一望できる丘に立てられる御堂にて、おでん及び各郷の大名たち、そして同じく決戦の最中に命を落としたイゾウと共に祀られる予定であるとのこと。
余談
- モデル
名前の由来は、現在国中に広まっているもう1つの名前"酒天丸"と合わせて、“日本史上最強の鬼”とも呼ばれる酒呑童子(しゅてんどうじ)から。同音で“酒天童子”と書くこともある他、一説では鬼ではなく盗賊の頭目として扱われることがあるなど、本作のアシュラ童子に関連付けられる要素も多い。また、桜の木のような頭髪や傘下である「頭山盗賊団」の由来は、落語『頭山(別名:さくらんぼ)』が由来とおもわれる。
キャラクター像については、一人称が鹿児島弁の「おいどん」であることや、荒くれ武士たちをまとめ上げるカリスマ性から推測すると、明治維新を成し遂げた幕末の英雄にして維新の三傑の一人・西郷隆盛がモデルではないかと推察されており、彼のエピソードで本来の意味が明かされた「スナッチ(捨名ッ知)」も、西郷の出身である薩摩藩発祥の剣術である示現流の掛け声「チェスト」ではないかとおもわれる。
(明確ではないが「チェスト」の語源も「知恵を捨てよ」が訛ったものという節がある。)
- 20年間無事であった理由
アシュラ童子は名前を酒天丸と偽るだけで特に容姿に変化を施すことなく20年間九里に身を潜め、決戦の準備を整えながら生きていたが、何故オロチや百獣海賊団に捕まらなかったのかという疑問が生じる。
というのも、酒天丸としての知名度はワノ国中に広まっているとともに、アシュラ本人はジャックたち百獣海賊団の船員の前には姿を堂々と見せていたこと、そして本編でカイドウが九里でアシュラ童子を発見したときには酔っていながらも「お前を覚えている」と言及されたことから、赤鞘の侍が生きていることをカイドウたちは既に知っていたことになる。にもかかわらずアシュラ童子が決して敵(特に赤鞘を執拗に狙うオロチ)に捕まらなかった理由を説明するのは難しい。
強い彼を部下に加えたいというカイドウの意向で放置されていた(酔った状態ではあるものの部下になるなら過去を水に流して迎え入れると公言する場面もあった)のか、カイドウがそれまでアシュラ童子と酒天丸を結び付けていなかったのか(ワノ国の手配書は写真ではなく人相書きとなるため顔を直接見てようやく連想できたという線。実際にカイドウが現れた時、彼は酒天丸と呼んでいた)、あるいはアシュラ童子の身の隠し方が上手かっただけなのか(彼はカイドウやオロチにバレないように討ち入りの準備を重ねていた)、詳細は未だに不明である。
- 声優
声を担当している飛田展男氏は、本作では過去にペコムズ役も演じている。
- アニメ初登場回
アニメでは下記の回にて初登場。原作921話に該当する回であり、当時原作では不明だった髪色などが判明した。
この回ではおでん城跡でサンジが錦えもんに対して「かつておでんと戦ったアシュラ童子が何故仲間に数えられているのか」という素朴な質問をしており、その質問に錦えもんが答えることでアシュラ童子が家臣になった経緯と、アシュラ童子と酒天丸は同じ人物を指すということが視聴者に分かりやすく伝わるようになっている。
他にも、この話ではおこぼれ町でのジャックとの戦闘シーンが補完されている。
関連タグ
赤鞘九人男 錦えもん 傳ジロー イゾウ お菊 カン十郎 雷ぞう イヌアラシ ネコマムシ 河松