「カッカッカ!! 信じておったゆえヘチマの皮とも思うておらぬわ 水くさい!」
概要
“新世界”ワノ国出身の侍で、同じくワノ国の侍である“狐火の錦えもん”らと共に光月おでんに仕えていた「赤鞘九人男」の一人。
毛筆で描いたものを実体化させる妖術(悪魔の実の能力)を持つ。
とある目的で、ワノ国から仲間たちと共に海外に旅立つが、漂着したドレスローザでの騒動で錦えもんを庇って逃がし、その後はオモチャの家で人質として捕らえられていた。パンクハザードからやってきた彼の協力者である麦わらの一味に助けられ、以降は共に目的地のゾウに渡った。
プロフィール
本名 | カン十郎 |
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異名 | 夕立ち カン十郎 |
年齢 | 34歳(生まれは54年前) |
身長 | 347cm |
所属 | 光月家家臣「赤鞘九人男」 |
悪魔の実 | フデフデの実(超人系) |
覇気 | 武装色、見聞色 |
武器 | 愛刀「辻死梅」(位列なし) |
出身地 | 偉大なる航路 新世界 ワノ国 九里 |
誕生日 | 7月21日(夏の医者) |
星座 | かに座 |
血液型 | X型 |
好きな食べ物 | 刺身のレタス巻き、ロールキャベツ |
嫌いな食べ物 | 桃 |
趣味 | 水墨画 |
一人称 | それがし |
笑い方 | カッカッカ |
イメージ動物 | ホトトギス |
初登場 | 単行本76巻 第754話『お見知り置きを』 |
CV | 山崎たくみ |
人物
容姿
(地肌なのか化粧なのかは不明だが)真っ白な肌に赤い唇と頬が特徴の長身の男性。
獅子頭のような赤い長髪に、ピンク・黄緑・黄色・水色など派手色で彩られた裃姿と、歌舞伎役者のような出で立ちをしている。背中には、刀同様の柄巻きが施された巨大な毛筆を背負っており、後述される悪魔の実の能力で絵を描く際や、戦闘時の武器として使用している。
性格
先んじて登場した錦えもんやモモの助は当初、やや頑固な振る舞いが目立ったのに対し、カン十郎は両者に比べると朗らかな性格。二人同様、武士として弱気な言葉を避けている節はあるものの、能力で作り出した食べ物で飢えをしのいだり、切腹を宣言しておきながら一言制止されればアッサリと撤回するなど、少々いい加減なところが見られる。
しかし、時には身を挺して仲間の親子を守ったり、やりきれない想いから悲嘆するしのぶを叱咤激励するなど、義理堅く人情に厚い武士道精神といったものを心得ている人物と思われる。過去の因縁から忌避する対象の筈の「龍」についても、自ら作品として描いたりと、分別して受け入れられる柔軟な面もみられる。
戦闘能力
悪魔の実
悪魔の実 | フデフデの実(超人系) |
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解説 | 描いた絵を実体化させたり、自身を絵に変化させる。 |
ワノ国では悪魔の実の能力は“妖術”と称されており、彼は背中に背負った筆で描いた絵を実体化させる。これは数ある悪魔の実の能力でも0から自我を持つ存在を作り出せるという極めて特異な特徴を持つ能力でもある(他に自我を与える能力があるがこれは生物が素になっている)。
しかしカン十郎自身の画力が低いため出現させたものは尽く質が低く、食べ物を描けば腹を壊す者が出て、鳥を描けば飛ぶ動作がぎこちない奇妙な鳥が出る。天駆ける竜を描いても飛べず這い回るばかりであった。絵なので水がかかると半壊してしまう他役目を終えるとその場で絵として戻る。
また、壁などに絵になって入り、壁を抜けたり、壁の中で隠れたりできる。
基礎戦闘力
錦えもんや後に登場する赤鞘九人男の仲間たち同様「侍」という立場であるが、カン十郎自身は帯刀しておらず、普段の戦闘では能力使用時にも使う筆を得物としていた模様。また、武装色の覇気を体得しており、ドレスローザ編終盤にて島を覆うドフラミンゴの糸の鳥カゴが縮小を始めた際には、ゾロや錦えもんと同じく得物に武装色の覇気を込めて押し返していた。
作品
抜け雀(ぬけすずめ)
人を2〜3人は載せられる程の大きな雀なのだが、カン十郎自身の画力のせいで飛翔力は低い。ドレスローザ篇では地下からの脱出やドフラミンゴとの戦いで気を失ったルフィの搬送などに貢献。ウソップからは「そこはかとなく気の毒な生き物」と評された。
元ネタは同名の落語から。
萵苣(ちしゃ)
レタス。
カン十郎がスクラップ場の地下で潜伏中、飢えを凌ぐ為に食していた。ただし、彼の描く食べ物は基本的に不味く、腹も痛めてしまうらしく、再会した錦えもんも「食べるか?」と勧められると即座に遠慮していた。
元ネタは落語の「夏の医者」。
梯子(はしご)
スクラップ場の地下に捕らえられていた人々を登らせる為に描いた梯子。
抜け雀の背中に乗った不安定な足場に加え定規も無いせいか、線が曲がっていたり太さや足場の間隔もガタガタで「登りにくい」と苦言を呈されていた。
りゅーのすけ
抜け雀よりも更に大人数を載せられるであろう長い胴体の昇り龍。
空を飛んで一気に象主の背中に登る為に描いたが、体を起こすだけで息切れを起こし全く飛べない為、象主の脚をよじ登るしか無かった。猛々しさの欠片もないその造形も相俟って仲間達からは散々な酷評も下されたが、ロビンだけは内心「可愛い」と感じており、当初から好印象を抱いていた。鳴き声は「りゅぅぅぅ」。
同志の錦えもんによれば「龍は親の仇同然」らしいが、カン十郎には「目には目をというでござろう」という意識らしい。
必死に登象する姿にいつしかルフィ達も心を打たれて応援し、頂上に到達して絵に戻る際には(約2名を除いて)号泣して感謝の言葉を贈りロビンは花を手向けた。
ねこざえもん
りゅーのすけから落ちたカン十郎と錦えもんが再度登象に使用した猫。
「猫は木登りが得意」と言う事で描いたものの、やはり画力のせいで足取りは重く、更には噴火雨の影響で消滅してしまう。
アニメ版では水で溶けかけてゾンビのような姿となって錦えもんらを驚かせた。
虎三郎(とらさぶろう)
3度目の登象に使用された虎。
ねこざえもんのリベンジとして同じネコ科動物を題材にしたが、錦えもんには頂上に到達するまで虎だと気付いて貰えなかった模様。
鯛(たい)
ワノ国での潜伏中に行商に扮したカン十郎が売っていた鯛。
普通に主婦も買っていたが、画力のせいで活きが悪く見た目も珍妙なせいで花の都の子供達から注目され、潜伏のつもりが逆に悪目立ちしていたためにフランキーから怒られてしまっていた。
経歴
過去
約40年前は、周囲の迫害から宿無しの浮浪者に身を落としており、「希美(きび)」にて夜な夜な人の毛髪を刈り取って筆を作り、それを売ることで日銭を稼ぐ生活を送っていた。
当時から派手な外見をしていたせいか(それに加えて生きている者・死体からも奪っていくことも手伝って)、郷の人々からは「人の毛髪を奪っていく妖怪」とまで噂されていた。
ある晩、九里を目指して旅をしていた光月おでん一行が墓場で野宿している所を見掛け、彼らを死体だと勘違いしていつものように髪を刈ろうとしたが、直様気付いたおでんに殴られて返り討ちに遭う。
おでんに謝罪して許されたカン十郎は、錦えもんら他の家来達同様、勝手におでんに付いて来るようになる。おでんがアシュラ童子一味を屈服させた後は九里の復興にも貢献し、その功績が認められ正式に“家臣”として取り立てられた。
20年前、悪政を布く将軍・黒炭オロチを討たんとするおでんと決起し、9人の家臣の一人として従軍。
だが、なぜかその奇襲に気づいていたカイドウ率いる百獣海賊団1000人が待ち構えていたため、その戦いでも奮戦したが、力及ばず敗北。
その後、捕らえられた10名は罪人として都で釜茹での刑に処されるも、おでんの咄嗟の計略により家臣たちは逃がされる。直前に彼から伝えられた遺志に従い、主君の妻子を守らんと即座におでん城へと駆け出した。
道中にて、追手である百獣海賊団の猛攻により同志のイヌアラシとネコマムシが捕縛され、傳ジローとアシュラ童子が殿軍を務めるなどして次々に脱落しながらも、カン十郎たちはなんとかおでんの妻・光月トキや、子供たちであるモモの助、日和と対面する。すでに城には火が放たれ、崩落が始まり万事休すと思われたが、トキはカン十郎たちに夫の悲願であった“ワノ国の開国”という希望とモモの助を託し、河松を除く家臣たち4人を「トキトキの実」の能力で20年後の未来(現在)へと飛ばした。
未来へ飛ばされた5人は、崩落した城の残骸や、長い時間で風化した主君や自身らの墓を見つけ、悪夢のようなこれまでの出来事が現実であることを否が応でも痛感させられ泣き崩れるが、間もなく、光月家の復活を20年間待ち続けてきた大勢の同志たちから励まされ、跡取りであるモモの助を立て、オロチ・カイドウ一派からワノ国を取り戻すことを決意する。
海外から協力者を求めようと考えた家臣たちは、現在の国の情勢を探る諜報役として菊の丞を残し、モモの助、錦えもん、雷ぞう、そしてカン十郎の4人で、光月家と古くから同盟関係にある「ゾウ」を目指し船を出した。しかし、自身らの出国をカイドウ一派に発見されてしまったことや、大嵐により船が大破してしまったことで雷ぞうとはぐれてしまい、自身らはドンキホーテ・ドフラミンゴが支配するドレスローザに漂着してしまう。
何とか再びゾウを目指そうとするも、モモの助が誤ってパンクハザード行きの船に乗って連れ攫われてしまい、自身らもドフラミンゴの手下に追われる身となってしまう。カン十郎は、自ら囮となって敵兵に捕縛されながらも、なんとか錦えもん一人を小舟で逃がした。
捕まった後は、ドレスローザ地下にあるスクラップ場に落とされていた。
本来ならば、地下に落とされた者は幹部であるシュガーの能力で玩具に姿を変えられ、知人達からの記憶も抹消されてしまうはずだったが、カン十郎は自らの能力を使って偽の岩壁を作り、錦えもんが助けに来るまでそこで潜伏を続けていた。
第2部 最後の海・新世界編
ドレスローザ編
パンクハザードにて、錦えもんは麦わらの一味の協力を受けてモモの助との再会を果たし、その後、それぞれ目的でドレスローザを目指す彼らに同行していた。
地下に潜った錦えもんと再会を果たしたカン十郎は、恩人である麦わらの一味に自らも協力せんと以降は行動を共にする…とはいえ、国内で高額な懸賞金をかけられた一味を討ち取ろうとするゴロツキたちに気付かず、彼らのために梯子を描いてしまうという大失態も犯したが。
それでもウソップと連携し、ウソップのリアクション顔を模した人形を描いて作成した後、それをウソップが弾として狙撃する事でシュガーを再度気絶させる事に成功するという活躍を見せた。
ゾウ編
ドフラミンゴ失脚後はゴーイングルフィセンパイ号に同乗し、漸く当初の目的地だったゾウに到着する。象主(ズニーシャ)の背中にある「モコモ公国」にどうやって登るかを試行錯誤する面々に自ら名乗りを上げ、数人を載せられる巨大な昇り龍を描いて一気に浮上しようとする…のだが、やはり画力が足りないせいで、生み出された“りゅーのすけ”は飛ぶことが出来ず、象主の脚を這い登ることになった。仲間たちでりゅーのすけの背に跨がって登ゾウしている最中、最後尾のカン十郎は錦えもんに目隠しをしてふざけていたが、そのせいで上から転落してきた猿のミンク族・バリエテを避けられず共に転落してしまう。その後、「猫は木登りが得意」だとして新たに“ねこざえもん”を描き、バリエテを加えた3名で再度登象を試みるも、今度は噴火雨の水を受けてしまい失敗。三度描いた“虎三郎”でようやく頂上に辿り着いた。逃げるバリエテを追ってモコモ公国まで到達し、かつての同志で現在公爵(国長)を務めるイヌアラシやネコマムシと再会する。二人は、おでんが処刑された際の因縁から現在も歪み合っていたが、モモの助による涙の仲裁を受けて和解し、同時に雷ぞうが保護されている事実を伝えられ、合流を果たした。
そして、この地にてモモの助たちは自身らの正体と目的を麦わらの一味やローたちに伝え、ワノ国を救うために協力を懇願。ルフィたちもこれに応じ、『忍者海賊ミンク侍同盟』が結成される。その後、数週間後の“火祭りの夜”を決戦の日に定め、それぞれの航路でワノ国を目指した。
ワノ国編
第一幕~第二幕
ワノ国では錦えもんの考案により、「来たる日に向けて正体を隠し準備を整える」ことに徹し、それぞれ敵軍の情報収集や同志たちへの伝達、資金や物資の調達のためにそれぞれ駆け回ることになる。カン十郎は魚売りに扮し都の情報を集めていた…が、その商品である魚もやはりヘタクソな絵によるもの(潜伏中に偶然再会したフラの介からは「逆に目立つからやめろ」と制されるレベル)だった。
この作戦の最中、結集の場所を伝えるための暗号がなぜかオロチ一派にバレてしまい、同志たちが次々に検挙される事態に陥るも、トの康こと霜月康イエの命を賭した大芝居により免れることになる。
その後、処刑された康イエを自ら供養するため、えびす町の人々から亡骸を引き取った。
多くのトラブルを孕みつつも、光月家一行は(傳ジロー除く)赤鞘たちやモモの助の妹・日和との再会を果たし、河松が見つけた大量の武具、軍勢で鬼ヶ島へ乗り込むための大船の用意など、決戦に向けての準備が着々と進んでいった。
第三幕
決戦の当日、同志との結集を約束した常影港に向かう赤鞘(行方不明の傳ジロー、未だワノ国に到着しないネコマムシを除く7名)としのぶ、モモの助たちであったが、そこには他の同志たちの姿はなく、破壊された船の残骸が並んでいた。土壇場で計画が崩され、さらには海も大嵐に見舞われるという窮地に立たされるが、それでも諦めきれない赤鞘たちは、港にしのぶとモモの助を残し、7人で小舟に乗って鬼ヶ島を目指した。
嵐で荒れ狂う海へと小舟を漕ぎ出した赤鞘達。しかし菊の丞が今回の鬼ヶ島討ち入り計画を含め、これまで自身らが密に計画してきた筈の作戦が敵に筒抜けであったこと、かつて百獣海賊団との交戦時にカイドウが仄めかしていた「スパイ」という発言などから、内通者がいるのではと内心疑い続けていたことを明かし、カン十郎自身も他の6人が同じ心持ちであろうと尋ねた。
同心を疑いたくない錦えもんはそんな菊の丞の言葉を遮ろうとするが、「ここで内通者を討たなければ先に進めない」と涙ながらに訴えた。そしてカン十郎も、より語気を強めてこう言った。
「菊の言う通りだ!!錦!!」
「はっきりさせようぞ!!!」
余談
- モデル
単行本104巻のSBSにて左甚五郎という彫刻家がモデルになっていることが明かされた。
ただし名前から、モデルは往年の名優嵐寛寿郎、および舞台上で殺された初代市川團十郎もモデルになっている可能性がある。
- 外見の変化
当初は傳ジローにも似た外見の「濡れガラス」という二つ名を持つ侍になるはずだった。
錦えもんの回想で初出演した際に編み笠を被っているのもこのためで、ジャンプ掲載時には傳ジローのような外見で描かれていた。
- "夕立"
単行本104巻のSBSにて、カン十郎の異名にある「夕立」には「血の雨を降らせる」というヤバい意味が込められていたことが明かされた。
- りゅーのすけ
アニメ版にてりゅーのすけの声を担当したのは、山口竜之介氏。
お気づきかもしれないが、彼は同作品のメインキャラ麦わらの一味の1人であるウソップを演じている山口勝平氏の実の息子である。
奇しくも『竜之介』が『りゅーのすけ』を演じるという、少々稀有な事態となっている。
関連タグ
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