「楽しむがよい!!ここはワノ国!!!」
「天国と見紛うな!!!存分に食し!!存分にのめェ!!!」
「不快な…わしは将軍であるぞ」
「20年前の遺恨 わしが恐れているとでも言いたいのか」
「わしは勝者じゃ おでんに勝った…」
「赤鞘の亡霊共よ!!!孤立無援の絶望を味わえ!!!」
「お前達には復讐のチャンスすら与えぬ!!!」
概要
先代将軍光月スキヤキから政権を奪い鬼ヶ島での戦いまで数十年ワノ国を治めていた元「将軍」(ワノ国における”国王”の立場)で、動物系幻獣種の悪魔の実「ヘビヘビの実 モデル“八岐大蛇(ヤマタノオロチ)”」の能力者。元四皇の一角である百獣のカイドウと手を組んでワノ国を支配していた。カイドウもオロチを過小評価はしておらず、互いに協力関係を25年以上にも渡って継続してきた。
将軍直属部隊と百獣海賊団の指揮系統は基本的に分かれているが、オロチは百獣海賊団に一定の指揮権を持ち併せており、作者も百獣海賊団ギフターズを「オロチとカイドウの手下」と表現している。
プロフィール
本名 | 黒炭オロチ |
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年齢 | 享年54歳 |
身長 | 350cm |
肩書き | 元ワノ国将軍 |
所属 | 霜月家小間使い→元光月家将軍代理 |
悪魔の実 | ヘビヘビの実 モデル“八岐大蛇”(動物系幻獣種) |
出身地 | 偉大なる航路 新世界 ワノ国 |
誕生日 | 9月23日(く←9、ろ、ず←2、み←3) |
星座 | おとめ座 |
血液型 | XF型 |
好物 | ヤシオリの酒、サンマ |
笑い方 | ぐふふふふ、ムハハハハ |
初登場 | 単行本92巻 第927話『禿のおトコ』 |
CV | 岩崎ひろし |
人物
容貌
顔が非常に大きく頭身が低めで割とずんぐりした体格の巨漢。
丁髷頭に王冠を被り、どことなく獅子舞を彷彿とさせる顔立ち(獣型ではより顕著)と、上の犬歯(と思われる歯)が出っ歯のようになっているのが特徴。
評価
政権を掌握した後はプロパガンダによって「開国しようとした悪人の光月おでんと、その部下赤鞘九人男を討ち取った英雄」と知らしめ、都に住む子供達からも「オロチ二刀流」と剣術を真似される程の人気がある。
その一方で、おでんの妻である光月トキが遺した辞世の句「月は夜明けを知らぬ君 叶わばその一念は 二十年(はたとせ)を編む月夜に九つの影を落とし まばゆき夜明けを知る君となる」を『20年後の月夜にこの恨み晴らすべく 九人の侍達が化けて出て貴様を殺し…!! ワノ国を開国する』と解釈し警戒を強めている為、臆病者と馬鹿にされたこともある。
しかし、これはただ報復を恐れている訳ではなく、様々な状況を踏まえて冷静に判断しているからこそであり、実際のところ彼の本質は単なる臆病者と言うよりもむしろ、勘が鋭く油断ならない曲者としての側面が強い。
好色・好物
多くの国民と同様にワノ国一番の花魁とされる小紫に惚れ込んでおり、自分のものにしようと狙っている。一週間後に行われる「火祭りの夜」の前哨戦として宴を開き、そこで小紫を侍らせたりもしている。
また派手好きで食べ物の好みにうるさく、刺身はマグロを特に好んでいる様だ(単行本92巻第929話の「マグロに限る!!」という台詞は、落語の「目黒のさんま」へのオマージュである)。
性格
傲慢・臆病な小物?
性格は横暴、傲慢、それでいて小心と小物な部分が目立つ(なので家臣達も内心オロチを見下している)。過去にはオロチが低い身分であった事を憐れんで、小間使いに取り立てた元主君の霜月康イエを落ちぶれさせ、処刑の際には晒し者として処刑シーンをワノ国全土に中継してSMILEの副作用により、康イエの死を悲しめずに笑ってしまう人々を見て高笑いするなど、恩知らずも甚だしい所業を見せる程に嫉妬深く残忍である。
更に自尊心の強さに加えて、自身が光月家を恐れている事そのものには引け目を感じているのか、それを指摘される事を激しく嫌う。機嫌が悪いと女子供でも容赦せず、家臣たちは笑ったら殺されると恐れている。
遂には、子供1人を殺す為だけに、刺客を差し向ける程に執念深い。
自分への反抗の意志は決して許さず、二度と刃向かえぬよう圧倒的な力で敵を潰さなければならないと考えている他、剣道・空手・柔道と言った武道を禁じ、徹底した兵農分離政策を敷くことで、反乱の芽を尽く摘み取る辺りに狡猾さがうかがえる。
その行動は正に悪逆非道と称すべきもので、康イエから「姑息な計略」と比喩され、錦えもんから彼の汚さを聞いたルフィは激怒し、光月日和は「──これが将軍オロチの最大の罪…」と語り、カイドウからも「趣味が悪ィな」と笑いながら評されている。
慎重深く・油断のならない大物?
悪辣で小心な暴君(独裁者)と美点を見つける方が難しいような男ではあるが、光月家への警戒心を抱きつつもそれに駆られて軽挙妄動に走る事はなく、しかし確実に反乱の芽を摘み、その上で情報収集も抜かりはない慎重さを持っている為に非常に厄介。
例を挙げれば、都の者は恐れて手を出さないヤクザの狂死郎一家の三下やジャックの部下達が襲われた事件を、ワノ国の外から来た余所者の仕業と考え、「全て錦えもんの指示やもしれぬぞ!!」と判断して用心を強めた事にも現れている。
但し、実際には当事者のその場での自己判断が理由であり、なるべく目立たないようにと念を押していた錦えもんの想定からは外れた行動であった。その為、結果的にオロチが懸念した「錦えもんの暗躍」からは逸れていたが、この理由は百獣海賊団だけでなく、オロチが何らかの反乱の兆候を察知する事を恐れた可能性もある。何れにしてもその判断能力は並ではない。
その小心さ故なのか、非常に用心深い・勘の鋭い部分を持つ事から、知略と政略(及び保身)に関しては凄まじい能力の持ち主。
しかし、この小心さは後述のように、自らもまた“復讐者”であるが故に、その恨みの根深さを実感している事に端を発したものである。
ただし、長い間持ち続けた絶大な権力に酔いしれたことで慎重さが低下している傾向も見られる。作中では13年前に捕縛された即刻始末するべき対象である河松に毒魚を与えるという時間のかかる遠回しな死刑を処していたり、内通者から敵方の動きを知らされたうえで討ち入りを阻止する為に実行大橋の破壊も土地の距離感を見誤ったことでうまくいかなかったりなど、肝心な部分でその持ち味を活かしきれていない場面があった(最も討ち入り阻止の件については、内通者も思わぬ形で騙されていたが)。
また、「ワノ国への復讐」および「ワノ国からの復讐の回避」という目先の目的に固執するが故か、味方に引き込んだ者の素性や本質、あるいは国外の状況の変化に対する無関心さも見られ、「味方」の心変わりによって自身の復讐が内側から突き崩されることを全く危惧しない危うさも抱えている。事実、素性のわからぬ小紫や狂死郎、本質の見えない協力者たちなどをまるで恐れもせず「味方」としたままトキの辞世の句の「二十年」を迎えてしまった結果、後述するように、無関心だった国外の変化をきっかけに「味方」の本質をまざまざと見せつけられた挙句に全てを失って滅び去る顛末を辿るに至った。
戦闘能力
基礎戦闘力
作中で本人が使った事はないが、剣術は「オロチ二刀流」と呼ばれている。
もっとも、おトコを斬り捨てようとした時は普通に一刀を振り回しており、おでんの二刀流を自分のものと言い張っているだけかもしれない。
また、小銃を使用しており、能力なしでの戦闘描写がない為、正確には測れないが、その狙撃能力は確かなようで、遠く離れた馬上から康イエを撃ち貫いて見せた。
その一方で、ゾロから攻撃を受けた際は予想だにせぬ反撃に戸惑い、狂死郎に助けられなければ命が危ういと言う絶体絶命の危機に陥る。
これらの事から元々、戦闘を得意としない・戦闘の経験が少ないのではないかと思われる他、攻撃にばかりかまけ、防御の術を疎かにしているとも考えられる(事実、若い時は無敵の鉄壁を展開する妖術使いに守られていた)。
悪魔の実
「遊女風情が生意気に武士を語るな!!!小紫ィ〜〜!!!」
名前通り8つの頭を持つ大蛇「ヤマタノオロチ」に変身する事が可能。
緑ベースの体色をしており、オロチ本人の頭部にあたる首は顔がダークグリーン、首が黒い鱗で縁が赤になっており、他7つの首が緑色で鱗の縁が黄色い。
動物型の能力である為人獣型もあると思われるが、オロチ自身戦闘能力が低く能力も使いこなせていないのもあってか作中で披露される事は最後まで無かった。
本編では描写されずに103巻SBSで判明したことであるが、8回首を斬られない限り死なないという特有の性質を持ち、その為首を斬り落とされても7回は復活できる。能力発動時はもちろん通常時に首を斬り落とされても絶命することがない。
斬られた首が再生することはないようで、7本の首を斬られた後に日和の前で能力を発動した際には首が一本だけになっていた。首ではなく胴体が切断された場合や、脳天から下に一刀両断された場合、銃で撃たれたり、弓矢や槍などでの刺突攻撃をされた場合、鈍器で撲殺された場合はどうなるのだろうか...
このように厄介な能力を有しているものの、元々戦闘能力が低いオロチが能力を行使しても大した活躍をすることはできず、作中ではカイドウに負傷させられてもはや満身創痍であると高を括って対峙した赤鞘の侍たちに一瞬で首を6本斬り落とされている。つまりオロチは能力をうまく使いこなしているとはお世辞にも言えず、復活能力も即座に首を斬られるオロチにとっては宝の持ち腐れと言わざるを得ない。そもそも首どころかどの部位を切られても死なない能力(しかも回数制限は一切無し)なら既にある。動物系特有のタフさも活かせていないので、能力を研ぎ澄まさず鍛錬もしない前提ならば、分類は異なるがあちらの方がほぼほぼ上位互換といえる。
尤も、「命を8つ持っている」という点においてだけは誰よりも報復と死を恐れている小心者のオロチにはある意味お似合いの能力なのだろう。
経歴
過去──迫害からおでんの処刑まで
「そうだよ!あいつさえ生まれて来なきゃ…お前もいずれ『将軍』だった!!」
かつて大名だった黒炭家本家の生まれ。しかし物心ついた頃には既に一家は路頭に迷う状態となっていた。
彼が生まれる前、光月家には子供がおらず、代わりに大名達の中から次の将軍家を選ぶ話が取り沙汰された。結果、彼の祖父がその座を狙って他の候補を根絶やしにすべく大名殺しを実行。ところが程なく光月スキヤキが生まれたことで計画が瓦解・露見し、オロチの祖父は切腹、お家も断絶となってしまったのである。
この為、若い頃は黒炭家の生き残りとして迫害から逃げ続ける貧乏暮らしを送っていた(当時のオロチは祖父の切腹や黒炭家断絶の事実は知っていたが、理由は詳しく知らなかった)。
41年以上前のある時、出会った黒炭ひぐらしから祖父の死の真相を聞かされ、更には「光月スキヤキさえ生まれなければ自分もいずれ『将軍』だった」という彼女の言葉によって権力欲と復讐心を刺激されることになり、ひぐらし達に協力するようになる。
「昔───おれのジジイが罪を犯し切腹させられた!!お家は転落!そこまではいい!!」
「だが 残された親族まで見ず知らずの“正義の味方”に追い回され!!殴られあるいは川へ投げ込まれ!!殺された!!おれはバカが恐くて眠れなかった!!!」
「罪を犯した張本人はとうに死んでんのによ!! 『黒炭』の名がつけばガキでも罪人になるらしい!!!」
しかし、彼が抱いた復讐心というのは光月スキヤキの誕生により、黒炭家の策略が水泡に帰したことに対する光月家への逆恨みではなく、ましてや陰謀を企てた祖父が切腹させられたことや黒炭家が没落して一族が露頭に迷ったことに対する怒りによるものでもなかった。そうして落とし前をつけたにもかかわらず、尚も『大名殺しの一族』として自らを含む黒炭家を迫害・虐殺して来た“正義の味方”と、それを正義として黙認したワノ国そのものに対しての怒り、それこそが彼の復讐心の根源となったのである(黒炭家一族が大名として横暴・圧政を敷いた様子はなく、大名殺しも当人の切腹で仮にも落とし前がついた以上、『身内の謀反のとばっちりで落ちぶれた』存在でしかない一族を笑みすら浮かべて迫害・虐殺した者たちの『正義』に正当性があるとは言えない。とはいえ一族の生き残りを『再び国を乗っ取り始めかねない恐怖の象徴』=『滅ぼすべき悪』と見做す者が出ること自体はそこまで不自然でもなく、その実態はあの天竜人の一家がされた「怒りや憎しみの暴発」にも通じる、『悪』への行き過ぎた敵意が高じたいじめや村八分にも近いものだったと言うべきだろう)。
暴君として振舞うオロチの行動理念はこうして確立されたわけだが、他の作品や他のキャラの言葉を借りて説明するなら『やったら、やり返される。やられたらやり返す』『国とは人』を突き詰めたような存在、それこそがこれ以降の彼の本質と言えるだろう。
悪魔の実を与えられ、ワノ国の将軍になる計画を持ち掛けられたオロチはひぐらしの提案に乗り、“武器”を生産する為の資金を貯める為白舞の大名康イエの小間使いとなる。おでんからは頻繁に金を借り、更に康イエの金庫から盗んだ金を元手に“巨大な後ろ盾”を得る。更に、分家出身のとある者を密偵としておでんの下に送り込む。
後にひぐらしのマネマネの実の能力で周囲を欺き、おでんの弟分と偽り、光月家に仕える様になる。先代将軍スキヤキの死後、おでんが帰還するまでの“人形”という形で将軍の座に就いた(スキヤキの死因は不明だが、おでんはオロチの仕業と疑っており、オロチも否定の言葉は発しなかった)。
将軍の座に就くと、大量の武器工場を建設しカイドウを後ろ盾にして圧政を敷く。
25年前、帰還したおでんに命を狙われ、オロチ城の城内まで攻め込まれて兵士を全滅させられるが国民を人質にすることで「毎週定時刻に『黒炭家』への謝罪の“裸踊り”をすれば5年後に船でこの国を出航する」と嘘の約束を取り付け、結果としておでんの信用を失墜させた。
20年前、カイドウと兎丼の戦いに(ひぐらしの横槍で)敗北し「花の都」に投獄されたおでんとその家臣達を釜茹での刑に処し、おでんが処刑の直前に決めた“一時間耐える”という条件を切り抜けるとその場の判断で「“銃殺の刑”に変える事を…一分前に思いついた さらに一家皆殺し!!」と新たな条件を立て、彼をカイドウの銃撃で死に追いやった。しかし、おでんの咄嗟の判断で赤鞘達は処刑場から完全に取り逃がしてしまい、それから20年の長い間、復讐の恐怖に怯え続けることとなる(入浴する時は沸かし過ぎて火傷を負うぐらいの熱湯になっても「寒いんだ…!!」と感じる程)。復讐する側であった為、復讐される恐怖もまた1番よくわかるのだろう。
「震えが止まらねェんだよ!!!」
「光月の侍達の骨を持ってこいよ!!なぜ見つからねェ!!?」
「あいつらが死んだ証拠を持ってこい!!!」
余談であるが、このシーンのせいで「地球最強生物のカイドウ相手に、唯一オロチが勝てるのが長風呂対決」などとネタにされることがある(カイドウが1時間程度でのぼせる為)。
第2部 最後の海・新世界編
おでんの妻トキが遺した辞世の句を「20年後に光月家の侍達が自分を殺しに来る」と解釈し、警戒している。しかし配下の者は誰も信じておらず、「カイドウという味方がいながら亡霊に怯えている」と陰では小馬鹿にされている。
現在のワノ国では、「開国を行おうとしたおでんと赤鞘九人男を討ち取った英雄」として知られている。数年前からワノ国で作らせた武器と引き換えに人造悪魔の実「SMILE」を輸入しており、人々が日々死亡し咽び泣く花の都のおこぼれ町を疎ましく思い、おこぼれの中に食べかけのSMILEを混ぜ込み、住民達から“笑顔”以外の表情を奪うという仕打ちを行った。
ワノ国編
第二幕
オロチ城での宴
「天竜人?海軍?我々がそれを恐れてもいない事くらいわかるよな」
「お前達が束になっても我が国は落とせぬ」
「ワシのバックにはカイドウがついておるのじゃ!!!」
オロチ城にて武器を買い取る為交渉に来たCP-0と会談し、更なる力として「戦艦」で手を打つ(カイドウの後ろ盾があることから無理難題を押し付け、次回の見返りとしてDr.ベガパンクを要求している)。
その夜、火祭りの前哨戦として盛大な宴を開き、配下の者達に光月おでんが死んで20年目の事や赤鞘九人男の話題など光月家の伝説を語り、自身が未だに光月家への警戒を続けている事を強調する。…がそんなオロチの懸念も、周囲は「──また始まった………」「とんだ妄想だ………」と呆れるやら笑いをこらえるやらで気まずい空気に。
だが、堪え切れずに「だって殿様 みんなにバカにされてる」と笑った禿のおトコに激怒し、容赦なく斬り殺そうとする……が、小紫に阻止される。
しかし、怒りの収まらないオロチはそのまま八岐大蛇に姿を変え、小紫に命乞いをするよう迫るも「弱い女がご所望ならば──どうぞ斬り捨てなさいまし」と拒絶。
小紫を自身の手にかけようとするがしのぶの“塾々忍法”“枯散衰”で天井の下敷きになった直後に、その彼女が狂死郎に斬り捨てられてしまい、おトコに再び矛先を向けたところを新米くノ一おナミの“忍法”“雷霆”に妨害されて取り逃がす。
(おこぼれの中に食べかけのSMILEを混ぜ込んで笑うことしか出来なくさせたのはオロチ本人であることを踏まえると、とんでもないシーンである。)
康イエの処刑~火祭りの日
翌々日、捕らえられた康イエを小紫のお供に殉死させる為、羅刹町の牢屋敷に赴き、自らの手で康イエを処刑する。更に康イエに駆け寄るトコも狙撃銃で殺そうとしたが、ゾロ十郎達に阻まれた。そして、ゾロから逆に攻撃され“七百二十煩脳鳳”を放たれて倒されようとしたが、咄嗟に助けに入った狂死郎によって難を逃れ、オロチ城に逃げ帰る。
その後、密告者からの報告で『錦えもん達の新たな集合場所が常影港』だと知り、火祭り前日に常影港へと続く全てのルートを塞ぐ事で、錦えもん達の作戦を妨害した。
火祭り当日、宴の為に鬼ヶ島へ向かう。
第三幕
金色神楽〜突然の裏切り
カイドウとの宴席で赤鞘九人男のカン十郎改め“黒炭カン十郎”から錦えもん達の鬼ヶ島への討ち入り作戦の妨害工作が失敗した事を聞かされ、侍達が自分の元へ迫り来る可能性を恐れる。
光月家の歴史を終わらせる為、攫って来させたモモの助を宴の余興に処刑しようと準備を始める。
処刑の準備が整い、処刑前の演説を始めるもカイドウに制され、直後にカイドウが発表した「新鬼ヶ島計画」に対して異を唱え、憤慨して詰め寄るが、即座にキングの日本刀で首を斬り飛ばされてしまう。この大事件にオロチの部下たちは驚愕こそしたものの、カイドウの「部下になるか戦うか」という問いに対して、即座にカイドウの手下になることを選んだ。また、鬼ヶ島に訪れていたCP-0にはオロチは死んだと判断された。
復讐劇
だが実は八岐大蛇の能力で一命を取り留めており、カイドウに復讐すべくただ一人カイドウに従うことなくオロチに仕えることを選んだ福ロクジュとともに鬼ヶ島に火を放って回る。
その最中にカイドウに敗北したあと何とか回復して戦線復帰を果たした赤鞘の侍と鉢合わせ。狂死郎が傳ジローであったことに驚きつつも、カン十郎が黒炭家の人間であったことについて赤鞘たちを煽った後、20年の因縁に決着を付けるべく能力を発動。しかし実力差は大きく彼らに6本の首を一瞬で切り落とされてしまった。
しかし、その後にまたしても再登場し、ジャックがイヌアラシに撃破されている場面を目撃し驚いていたが、既にカイドウに切り捨てられた自分には関係ないと開き直った。
その後錦えもんに斬られて虫の息になっていたカン十郎に復讐の舞台のアンコールと称して鬼ヶ島の爆破を命じ、自身は鬼ヶ島からの脱出を図ろうと目論む。
そんな中死んだはずの小紫に遭遇し、生きていたことに歓喜するも、隙をつかれて海楼石の釘を刺され、能力を封じられてしまう。さらに、彼女から自身が光月日和であることを明かされ動揺したところに崩壊した天井の下敷きとなる。
ここでようやく自分が追い詰められていることに気づいて、「自分はカイドウに利用されていた」「本当はおでんが好きだった」など虚言を並べるが、おでんの娘である日和にとってはもはや怒りを煽るものでしかなく、日和の剣幕に押されながらも「復讐など今時流行らぬぞ」等と自身の存在意義が失われかねないような命乞いをする。そこに爆破に失敗したことを報告しに現れた火前坊(カン十郎)に日和を焼き殺すように命令するも、突然縋り付かれたことで焼かれ、そのまま炎に包まれてしまう。
それでもなにかの拍子で海楼石の釘が外れたことで動けるようになり、火達磨な上に半狂乱になりながらもせめて日和を道連れにしようと獣形態で彼女に襲いかかるが……
「ゲホッ!!グフ…!!クソッタレ!!!小紫ィ~~!!!グフハハ 道連レニシテクレル!!黒炭の怨念アナドルナァ~~~!!!アノ世デ再ビ酌ミ交ワソウゾ!!!ブヒャヒャ」
「修羅場でござる…」
寸前で現れた傳ジローによって残っていた最後の首を斬り捨てられた。
蛇の如き執念で、二十余年に亘って祖国を蹂躙してきた復讐鬼は、遂に討ち取られたのであった。
余談
- もし光月スキヤキが生まれてなければ?
原作965話によると、オロチは黒炭ひぐらしの誘導を受けた結果、「光月スキヤキが生まれたせいで黒炭家は将軍への権力闘争に負けた」として逆恨みを抱くとともに、これがキッカケとなり権力欲を刺激されるに至った。免罪符というわけではないが、ひぐらしが語った“黒炭家以外も将軍の座を狙い権力闘争していた”という言葉が事実ならば、オロチの祖父や黒炭家だけを責めて他の大名家の権力闘争への批判がまるでなかった時点で、都合の悪い情報を切り取りした他大名家や、思考停止して黒炭家の迫害に没頭したワノ国の民の闇を訴えているようにもみえてくる。
もっとも、光月スキヤキが生まれなかったところで、どの道他大名家の手でオロチの祖父の悪事は発覚し、黒炭家没落は避けられなかっただろう。ひぐらしの願望通りオロチが将軍になっていた場合、それはそれでオロチも祖父と共に即処刑だったかもしれない。(あるいは史実のルイ16世の子のルイ17世のように、悲惨な境遇となったうえでの衰弱死などの末路となった可能性はある。)
オロチからすれば目の上のタンコブなはずのスキヤキだったが、おでんはオロチが毒殺したのではと疑ったものの、スキヤキは生き延びていたことが原作1053話で発覚している。なぜか殺さずに何年も地下のコケシ部屋に幽閉し、その後スキヤキは逃げ出して編笠村で変装して潜伏生活につながるが、結局のところ、スキヤキを殺せず、幽閉から逃げられても指名手配している描写がない為、(光月家を貶めはしてはいるが)オロチが過去に自身が体験した件が引っかかった上で、たった一つ良心が働いた結果での中途半端な空回りだったのかもしれない。もしくはオロチの性格上、わざと生かして現状を見せつけることで生き地獄を味わわせようとした可能性もある。いずれにせよ、それが巡り巡ってある人物を介する形でオロチ自身が滅ぶ一助になったことを考えると、あまりに皮肉な話と言えるだろう。
- 家臣からの評価
形勢が自分に有利になると世界政府の使者たるCP-0相手にも高圧的な態度を取るオロチだが、光月トキの辞世の句を信じるあまり「光月の亡霊が自分を殺しに来る」と解釈して恐れ、家臣が「有り得ない」と否定している事実でも簡単に信じ込んで警戒していたりする為、居眠り狂死郎を始めとした家臣からは一様に「小心者」と評され、陰ではバカにされている。
それは主要な家臣に限った話ではなく、(「将軍」に強い忠誠を抱くお庭番衆以外の)一般兵にもオロチは内心で馬鹿にされて信用されていない。
その為、カイドウがオロチを屠った直後に「おれと共に海賊になるか!!! 今ここでおれ達に挑んで死ぬか!!!」の二者択一をワノ国の侍衆・忍者衆に迫った際、両集団は揃ってあっさりと寝返りカイドウに恭順してしまった。
恐らくだが、このシーンは『おでんと赤鞘九人男の忠義の対比』として描かれていると推測される。この光景はオロチの敵であるヒョウじいさえも「武士の風上にもおけん奴らめ!!」と憤り、同志に宥められながら、必死に怒りを抑えていた。
また、オロチが殺された光景を目にしたしのぶは「オロチを討っても何も変わらない!! 討つべきは20年前からカイドウだけだった」とし、オロチが眼中に入っていないに等しい扱いである事が判明した。
オロチは『赤鞘九人男』を最大の障害と認識しているに対し、肝心の『赤鞘九人男』からはオロチは主君の仇敵ではあるものの、本丸はカイドウ=オロチは脇役程度と認識され、既に敵からも軽んじられているのが実状だった。
だが、オロチはワノ国の民全員を恨んでいる以上、バカにされて怒りはすれど、内心では最早「評価などどうでも良い」と思っているか、後述の理由で思惑通りと思っている可能性は高い。
- オロチが犯した“約束破り”
原作971話でカイドウと共に、1時間釜茹でに耐えたらの解放を約束したはずのオロチだが、裏稼業者同士なりなケジメをおでんに直々に(射殺はしたが直前にひぐらしのマネマネ卑怯を詫びた)果たしたカイドウとは逆に、翌972話にて釜茹で1時間完遂1分前に銃殺刑および一家皆殺しに変更という人治あるいは情緒主義な(つまり法治主義に完全に違反した“突然の思いつき”“朝令暮改”)手のひら返しを平然と犯し、これにはおでん以外で赤鞘で1番気が荒いあのアシュラ童子さえ『ガキみてえな屁理屈を!』と真っ当に答えたほど。祖父が犯した以上の悪行だったとしかいいようがない。
約束を守って黒炭家謝罪の裸踊りと釜茹でを果たしたおでんの件は原作1044話でも光月日和の口から再確認されたが、オロチ自身は自己中心性の成れの果ての保身しか頭になく、約束破りは己の自己責任の自由意志だったのを全面的に棚上げし、おでんは大好きだっただのカイドウに利用されていただの終始息を吐くような虚言癖の悪あがきはすれど、約束を破った件に関しては良心の呵責がまるでなく、それに関しては死ぬその時まで“嘘をついたり約束を破って悪かった”の類はとうとう詫びなかった。
一応、直前の原作985話でオロチはカイドウに裏切られて(能力で復活回数制限はあるが)一度殺害されたし、987話でも(復活したオロチが耳にしたかははっきりしないが可能性がある)カイドウの口から海賊の裏切りを語られている。カイドウを長年バックにしていたオロチからすれば裏切りが当たり前で、カイドウと同じく海賊経験があったおでんが裏切りとは無縁な約束に忠実なのが異質に写ってしまったのかもしれない。
しかし、どんな理由があれ“自分がされた苦痛を他人にしてはいけない(免罪符の屁理屈を盾に自分がされた苦痛を他人に八つ当たりするのは避けなくてはならない)”といった信念の無いまま復讐の鬼に憑かれてしまったオロチは、死ぬまで己が犯した祖父以上の黒炭貶め(民衆の真ん前で約束を文字通り死守したおでんと対照的に約束を平然と破った)に乗算してしまったことを悟ることも、振り返って改心することもなかった。ここばかりは若い頃不道徳の極みを犯したのが嘘かのように改心したおでんとは真逆に、オロチは元々良心の素質においておでんに及ばなかったのだろう。
実際、オロチの最期は上述の通り「他者による『斬首』」だったが、これは彼の祖父に課された「自身による『切腹』」をも上回る、侍にとって最も屈辱的と言える最期であり、オロチの数々の悪行がこの約束破りも含めて祖父以上のものであることを間接的に示している、とも解釈できる。
オロチは知る由もないが、編笠村のお玉が黒炭家最後の生き残りだと単行本105巻のSBSで発覚している。オロチが黒炭家に悪名を乗算という置き土産を犯してしまった今、お玉の先行きは読者目線でも憂慮されているが、果たして...?
- 本編における彼の政策
オロチの目的が『ワノ国の支配』でなく、『ワノ国への復讐』であるのを前提として考えると、本編の彼の政策は
- 極端な格差社会にして内憂を築き上げる
- 世界政府相手に高圧外交を行って外患を作り上げる
- ワノ国中に作られた工場により食料も水も僅かしかないが、女子供でも人を殺せる武器なら腐る程ある
という、仮に現状でクーデターが発生すれば、結果がどうなろうと(それこそ同盟相手である、カイドウ諸共オロチが打ち倒されようと)も亡国へ向かう道筋が御膳立てされている(食料を奪い合っての内乱、カイドウの庇護を失う事により国防体制の崩壊、またワノ国は世界政府非加盟国な為、アラバスタ王国やドレスローザの時のように、海軍による助けも期待出来ない)状態を作り出している事になる。
尚、これらの問題は本編でオロチの妨害を覆し、5400の兵力で鬼ヶ島への討ち入りが実行可能な事が明らかになった時点でも、全く解決の目処が立っていない。
そして現にカイドウ戦が佳境に差し掛かったころ、あることを理由にCP-0がカイドウが敗北次第、ワノ国を制圧し世界政府直轄地にする事を決定している。それはつまり「オロチが将軍でなくなるとともにワノ国が滅び、国民が『暴力の世界』を望む海賊あるいはオロチ以上の人間の屑にそれまで以上に苦しめられる」ことを意味しており、(オロチにとって想定外の形でこそあれ)カイドウが勝とうが負けようがワノ国を滅ぼさんとするオロチの野望が成就されかねない危機的な状況に至った(なお、ある男の行動などが功を奏し、幸いにしてワノ国滅亡は回避された)。
その一方、上述のようにカイドウ自らワノ国を滅ぼすことには明確に反対しているほか、圧政を続けつつも自身の拠点たる花の都の繁栄だけはある程度維持しており、自分が将軍である間はワノ国が完全崩壊しないよう彼が注意を払っていたことが窺い知れる。
こうした『支配者』としての行動は『復讐者』という目的とは一見矛盾しているようでもあるが、これは先述したように極端な格差社会を作り出す目的と、『(黒炭の一族が次々殺される中、次は自分かもしれないと思うと)バカが怖くて眠れなかった』という部分から、『親族や友人知人が次々殺されていく中、次は自分かもしれないと戦々恐々しながら夜も眠れぬ日々を過ごさせる』ことも復讐の一環と考えているとすれば説明がつく(また、花の都からも役に立たなければ容易に追放されることから、没落する辛さやそれに対する恐怖、比較してより自らの生活環境の酷さを理解させる目的もあるかもしれない)。
つまりは『バカ殿』である自分がワノ国に君臨し続ける限り、そうした恐怖で苦しみ続ける生活を過ごさせることも含めて彼にとっての『復讐』であり、短期間で滅ぼしたり部外者に滅ぼされたりしてしまっては台無しなのである。
だとすればオロチはワノ国の生かさず殺さずの状態を20年以上にわたり明確な意思を以て維持し続けてきたことになり、徹頭徹尾ワノ国への復讐の為に将軍の権力を用いていた事が分かる。
- オロチとワノ国
オロチの生い立ちを見ると同情できる部分は少なからず見受けられる。だが一方で、オロチのやったワノ国の住人の一部から迫害されたことを理由にワノ国全体を憎み滅ぼすという行為は黒炭家の人間が悪さをしたから黒炭の一族全員が罪人と見なして迫害したワノ国の一部の者がやった事と同じであった。
復讐として同じ目に遭わせてやるというのは誰しも少なからず理解できるにせよ、黒炭家を迫害したのは決してワノ国の民全員というわけではない。自覚の有無にかかわらず、憎しみの対象と全く同じ思考と行為を躊躇なく嬉々として実行している辺り、根本の部分は黒炭家を迫害した人間達、即ち自分が嫌悪した正義の味方という名のバカと大して変わらず、過去がどうあれ根っからの悪人であったと言える(それが証拠にオロチは同胞であり、恩がある黒炭ひぐらしがカイドウに殺されても特に恨む様子もなく、そのうえ最も信頼できるであろう自分と同じ境遇の黒炭家の部下に対しても全く情など見せないどころか内心ではその人間性を自らを棚に上げて異常者扱いして罵っていた)。
また、虐げられていたワノ国の民はと言えば、オロチの悪政に対して恐れおののき、そして嘆き苦しみはすれど、その根本となった黒炭一族に対する迫害について言及し彼らを憐れむ者はほとんど誰もおらず、オロチの「復讐」の意図がワノ国の民(特にオロチにとって最も忌むべき対象のはずの『正義のもとに自らを迫害した者たち』)に正しく伝わっているかはかなり怪しいと言える。
更に、オロチはこの見境なき復讐によって知ってか知らずか黒炭家の一族の人間までも自身の復讐対象に巻き込んで不幸にしており、同じく迫害された一族の名誉回復といった利他的な行動にオロチがまるで無関心だったことも見て取れる。
結局のところ、「黒炭の名の下の復讐」というのは自身を正当化する為の建前に過ぎず、その実態は「『自分が』受けた理不尽を他人にも味わわせたい」「『自分が』権力者として欲望を満たしたい」という、誰でも同じ状況に置かれれば抱くであろうごく単純な我欲のもたらす醜悪な部分を「黒炭家」という大義名分で塗り潰していただけだったのかもしれない。
- モデル
いくつかの人物の説がある。
簡易解説版
“明智光秀”
主君である“織田信長”(光月おでんのモデル)を本能寺で討つ。
鉄砲の扱いに長け、源氏、足利氏など将軍家を輩出した血族の分家にあたる(正確には分家の分家。明智氏の祖である人物が土岐氏の出。その土岐氏が源氏の末裔。)。
作中のオロチの武器は鉄砲で、将軍を輩出できる黒炭の一族である。
“豊臣秀吉”
“光月おでん”のモデルとなった“石川五右衛門”を釜茹でにて処刑。
小間使いから出世してワノ国の頂点に立った元おでんの家臣。
(おでんのモデルの1人は“織田信長”)
あくまで一説として、晩年は暴君化していたと言われることもあり、その面をクローズアップしているとも言われる。
また秀吉はオロチとは異なり名家の家柄ではなく、一農民、土豪、下級武士の出と言われる。
ちなみに、秀吉の死後、豊臣家はその権力を失ったうえ大坂の陣にて滅亡する顛末を辿っているが、終戦後、逃げ延びようとした一族郎党は江戸幕府から反乱分子として追われた上、子供に至るまで一切の容赦無く処刑されている。
光秀も秀吉も知略、軍事、政治に長けた名将だが、オロチもワノ国を工業化し(資金集めの手間も含めると、協力者がいたとはいえ並大抵なことではない)、上記の目標を狙い通りに達成している時点で並大抵の難易度ではなく、また国民の大半に大きな不満を抱かせ苦しませながら、その状態を二十年以上維持するのも当然ながら簡単ではない。そうした意味ではその手腕は非凡な物がある。
また、幸運と間一髪のタイミングで不発に終わったとはいえ、オロチがルフィ達を妨害する為に行った妨害工作には討ち入りメンバーは誰一人対応出来ておらず、あと一歩のところで成功しており、成功していれば鬼ヶ島への討ち入り自体が不可能となっていたと、決して凡愚ではない。
付け加えて言うと、“徳川家康”をモデルにしたと言われる“トの康”、“織田信長”をモデルにしたと言われる“光月おでん”と志を同じくした“モンキー・D・ルフィ”こそ“豊臣秀吉”を(ワノ国編の立ち位置で)モデルにしているのではないかという説もある。秀吉は猿という異名を持ち、かつての主君信長の孫を優遇しているが、これがルフィと“モモの助”の関係性に落とし込まれているとも言われている。
“吉良上野介”
主君の仇討ちに勤しむ忠義の臣である、おでんの家臣達「赤鞘九人男」を“赤穂浪士”をモデルにしたと
見立て、その赤穂浪士が活躍する物語、“忠臣蔵”の悪役である“吉良上野介”をモデルとする。
史実の吉良はともかく、物語の吉良は陰険かつ残忍で臆病な悪臣として描かれている上、物語では、吉良上野介が浅野内匠頭をあの手この手でイジメた結果、松の廊下の殿中が発生。これが「忠臣蔵」の物語の端緒にあたるのだが、作中のオロチもワノ国の民を人質に、光月おでんにあの手この手の無理難題を浴びせるなど、内面性における類似性は非常に高い。
また吉良上野介の一族である吉良氏は、足利氏の「御三家(斯波、吉良、今川)」に相当する為、光秀同様に「将軍を輩出しうる名家としての黒炭家」という共通点を持っている。ちなみに吉良家は忠臣蔵の後、吉良上野介の孫である「吉良義周」が家督を継ぐが、自身も負傷したこの忠臣蔵の責任を取らされる形で改易処分となり、この系統の吉良家は断絶している。一方、江戸時代中期頃には別の吉良家が再興されており、作中での黒炭家もまた、「別の黒炭家」の復興が予想されることから、家柄のストーリー性は前述の明智、豊臣以上に類似性が高いと思われる。
なお当時の吉良家は上杉家と二重三重の親戚関係で結ばれており、この上杉家の先祖には戦国最強と呼び声高い“上杉謙信”もいる。謙信は酒好きであり、また無類の戦上手である。
いくらかその人物像が“百獣のカイドウ”に受け継がれた可能性はある。
- カイドウとの共通点と相違点
(個人の)武力と(国家元首の)権力と違いがあるものの、カイドウもオロチもそろって強大な存在である。それに合わせて両者は破滅願望をも持っている(カイドウは『自殺の為の戦争』、オロチは『復讐の為に祖国を滅ぼす=自身の権力の放棄=自身の破滅』)。
かつて、トラファルガー・ローから「話の通じるヤツじゃない」と酷評されたカイドウが、何故オロチとは手を組んだかは、同類であったからではないかと推測される。
また、彼らはどちらも蛟(蛇から成長した竜)に関する悪魔の実の力を持つ。民衆がおでんをバカにする俗謡で「ヘビににらまれ腰抜かす♪」と言うフレーズがあり、そのコマでは共に龍と八岐大蛇になったカイドウとオロチが描かれており、まさしく蛇の如き執念と冷血ぶりを持つ彼らに相応しい能力と言えよう。
しかし、両者は自らの強さに関する自負と、敵への対応が全く異なっている。
前者の場合、オロチの強さは前述の通り、攻めに偏り守りが疎かになっている上、窮地に陥るや情けない醜態を臆面もなく晒す。
それに対してカイドウは『最強生物』の異名に相応しい、攻守共に桁違いの強さを誇っているが、それ故に卑劣な策による勝利を嫌う、ある種の高潔さを隠し持っている(但し、心情的なもので、実利においての必要性は理解しているが)。
後者はオロチは敵であれば、容赦なく殲滅の一択である。
カイドウも基本的にオロチと同様だが、敵であっても一定の実力者ならば、最低限の礼儀を持っており、おでんへの卑劣な策を弄した実行犯を(自分の矜持を踏みにじった意味もあってだが)殺している他、ルフィやユースタス・キッドのように自分に刃を向けた存在であっても、自らの勢力に迎えようとする度量も持っている(但し、相手の自尊心を踏みにじる意味合いもある)。
また、オロチと同じくカイドウのかつての取引相手であった、ドンキホーテ・ドフラミンゴも強い破滅願望の持ち主である。オロチと同じく、先祖の行為が原因で民衆から迫害を受けた、という点も共通している。
ちなみに岩崎氏は過去にドクトル・ホグバックで出演しているが、こちらも「マヌケな三枚目的人物」「手腕だけは優秀な悪人」の共通点を持つ。
また岩崎氏は「クイズ脳ベルshow!」に出演した際、オロチの格好で登場した。しかしその登場回ではボケに次ぐボケでMCの岡田圭右を困惑させるなど、とても極悪人の役者とは思えないようなコミカルな面を見せた。
- ベガパンクを欲した理由は?
原作929話ではCP-0にベガパンクを要求しているが、仮にベガパンクを手中に収めた場合、何をさせるつもりだったかは不明。ワノ国で作れないものはないと蒙語しているところは史実で清国に貿易交渉を試みたマカートニーと対応した乾隆帝のやりとりを彷彿させる。(しかし、史実ではこの時の清側は西洋科学にはほぼ興味も関心もなかったらしい。)
一応、ベガパンク要求以前は軍艦で取引とは口にしており、かといってオロチ自身軍艦を率いている描写もなく、やはりカイドウへ引き渡す為だったのだろうか?(カイドウのワンピース獲得計画ならば己の拠点にベガパンクの頭脳で防衛強化も考えられるが、ベガパンク自体カイドウには因縁があり、オロチは知っていたか否か...?)
関連タグ
クイーン…オロチと同じく小紫に惚れた百獣海賊団の大看板
主なオロチの部下
黒炭ひぐらし 黒炭せみ丸 黒炭カン十郎…ワノ国乗っ取り計画の共謀者
主なオロチの敵
赤鞘九人男 錦えもん カン十郎 雷ぞう ネコマムシ イヌアラシ 菊の丞 アシュラ童子 河松 傳ジロー
小紫…オロチが惚れ込んでいたワノ国一の花魁。
おトコ…小紫の従者。彼女の存在がきっかけで幾つかの事件が起こる。
霜月康イエ…かつてオロチがコマ使いとして仕えていた白舞大名だったが、第二幕にてオロチ自らの手で処刑される。