「彼に拾われ武士となった九人の男が揃い踏み」
「時は夕刻 真紅に色づく太陽は戦い勇む男達を炎のように赤く照らし」
「腰に差した刀も然り燃ゆる命を写し込む」
「人々は後にその強き忠義心を尊び彼らを「赤鞘九人男」と呼んだ」
「『ワノ国』を開国せよ!!!」
※この記事はネタバレを含みます。 |
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概要
かつてワノ国の「九里(くり)」の大名だった光月おでんに仕えた9人の侍からなる家臣団。
その過去は何れもならず者や孤児など、決して恵まれた立場の者ではなかったが、当時将軍家から勘当され国中を放浪していたおでんの人柄に惚れ込み半ば強引に家来となり苦楽を共にする。彼が九里大名を襲名してからは「どこぞの立派な堅物を派遣されるより おれはお前らがいい!!」というおでんの意志もあり、正式に大名家家臣として取り立てられた。但しその内、海外出身者であるイヌアラシ・ネコマムシ・河松の3名については、おでんが大名になってから数年後に邂逅し家臣団に加わっている。
当初は寄せ集めのチンピラ気質が抜けきらず、領地の金欠問題を解決する為に、おでんの恩人でもあった白舞(はくまい)大名霜月康イエの屋敷から金を盗もうとした挙句に捕まるという騒動も起こしたが、康イエはおでんを思う忠誠心に免じて許すばかりか、彼らが盗もうとした金を与え、更には自らの懐から家臣団のための金まで譲渡した。「だったらこの金で 身なりを整え 礼儀を学び 本を買い 学問を身につけろ お前達の様なゴロツキが家臣ではおでんが恥をかくのだ!!」と康イエに諭された家臣団は、以降は言われた通り服装や所作を改め、勉学や武芸の研鑽に打ち込んだ。3年後の都への訪問時には、民衆が将軍の行列と見紛うばかりの錚々たる侍衆になった。おでん曰く「立派にして貰っただけ おれは何も変わっちゃいねェ」と、いかに彼らの奉公を誇っていたかが窺える。
おでんが海外へ出国してしまった後も、大名不在の九里をなんとか治めていたが、四皇“百獣のカイドウ”と彼を総督とする百獣海賊団、そしてカイドウと手を結んだ新将軍・黒炭オロチの策謀により国は衰退の一途を辿ることになる。後に帰国した主君おでんと決起してオロチを討たんと動き出すが、それを阻んだカイドウ一味との戦いに敗れ、おでんは罪人として処刑され、本丸であったおでん城も失うことになる。
本来、主君と同じく処刑されるはずだった九人男だが、おでんの計らいでその場を生き延び、その妻・光月トキとの共通の遺志でもある“20年後のワノ国の開国”のため、それぞれの時代で活動することになる。その20年後である現在は、二人の息子・光月モモの助を立て、光月家の復興のため、オロチ・カイドウへの謀叛の機会を狙っている。
旧来の家臣の中でイゾウのみ九人男として数えられていないが、これはおでんが海外へ旅立とうと際に、それを止めようとしたイゾウも一緒に“白ひげ”の船に乗り込んでしまい、そのまま現在まで白ひげ海賊団に所属しているため(同じく密航して海に出たイヌアラシ・ネコマムシは後におでんの妻子を連れて帰国している)。
実力
いずれも2mを超える巨漢で、武芸に優れ化け物と称される強さを持つ。
ワノ国の侍の強さは海外でも広く知られ、一人をとっても「海軍本部の将校クラスに匹敵する」と称される。その中でもおでんは当時から独自の剣術流派「おでん二刀流」を振るう大剣豪でもあり、家臣たちも皆、彼を慕うと共に「誰がおでん様の一番弟子になるか」を競う好敵手でもあった。そのため、敢えておでんから武術の手解きを断り各々で技を練磨し、一介の侍以上の実力をそれぞれが有している(因みにワノ国では「侍」は武芸者全般を指すので、雷ぞうなどの忍者も広義では侍に入る)。
以前から期待されていたイヌアラシとネコマムシの月の獅子化であったが、鬼ヶ島の決戦にて遂にその姿を披露した。
先にスーロン化して戦っていたミンク族の精鋭達を相手にカイドウを守る為激戦を繰り広げるジャックであったがこれらを一人で撃退。
しかし、スーロン化したミンク族は手強くゾウの時のようにはいかず自身もかなり疲弊してしまう。
そこに後からスーロン化したイヌアラシとネコマムシの二人には流石に敵わず、ジャックを原作1コマで戦闘不能にするほどの強さを見せた(正確には場面が切り替わった時にはやられていた)。
この際カイドウも「お前(ジャック)が弱いのではなくあいつら(イヌネコ)が強すぎる」と言わせるほど。
また、本人達はおでんからの教えを断っていたが、カイドウにダメージを通せるほどの強さを誇るおでんの流儀「おでん二刀流」を使えることが原作992話で判明。
ただし錦えもん、傳ジロー、アシュラ童子、イヌアラシの描写しかないため残り5名の赤鞘メンバーが使えるのかは不明。
余談だがジャックと戦った酒天丸(アシュラ童子)、ゾロと戦った狂死郎(傳ジロー)は強力な「おでん二刀流」を使用しなかった為本気を出していなかったと思われる(最も傳ジローに至ってはただの足止めであったが…)。
メンバー
“狐火の錦えもん”
赤鞘九人男のリーダー格で、おでんの最初の家来となった一人。
フクフクの実の能力者であると共に、炎で焼き斬り、炎を斬り裂く事ができる“狐火流”剣術の使い手。また、頭が切れ、リーダーシップも優れる。
元々は「花の都」近郊で窃盗などの悪事を働くチンピラ(傾奇者)であったが、都で起こした「山の神事件」の罪を肩代わりしてくれたおでんに男惚れし、都を追放された彼に同行するようになる。
おでんの死後はトキの能力で20年後の現在に飛ばされ、モモの助や仲間達と共に海外へ出るが、その道中での様々な騒動の末に仲間は散り散りとなり、自身はパンクハザードにて遭遇したトラファルガー・ローの能力で頭・胴体・下半身がバラバラにされた状態で放置されることになる。
海外では身分を偽る為、モモの助とは“親子”の関係を演じていた。
傳ジロー
錦えもんと並び、おでんの最初の家来となった一人。
頭の回転が早く、おでんの九里大名時代には金銭まわりの管理を行っていた。
かつては都で暮らす孤児であり、得意の話術で店から金をちょろまかすなどして生活していた。大人は馬鹿ばかりだと見くびっていたが、唯一おでんのことだけは当時から尊敬していた。また、錦えもんとは当時からの友人関係にあり、彼がキッカケで起こった上述の「山の神事件」においておでんと対面し、その後、錦えもんと揃って彼の家来になることを名乗り出た。
居眠り狂死郎と名乗り生きていたが、あまりの変貌ぶりに誰からも気づかれなかった。
“残雪の菊の丞”
ワノ国一の美青年剣士で、般若の面を被る事で知られている。
普段こそ朗らかで子供にも優しい好人物であるが、敵として対峙した相手には一切の容赦なく斬り伏せる強い覚悟の持ち主で、その太刀筋で斬られた傷は「春まで残る雪」のように苦しめ続けるとまで謳われ、異名の由来となっている。また、白ひげ海賊団16番隊隊長・イゾウの実弟でもある。
舞踊の名門「花柳流」の家元に生まれたが、父が罪人として裁かれたことを機に家族は離散してしまい、兄と共に路上生活を余儀なくされる。「鈴後(りんご)」の町中で舞踊を舞いながら極貧の生活を続けていたが、偶然その場を通りすがったおでんのおかげで飢えから救われ、以降、彼らの旅に勝手に付いて行く様になる。
錦えもんと同じく20年後の現在へ飛ばされてからは、海外の協力者を集うために旅立ったモモの助たちと別行動を取り、錦えもんの妻・お鶴が営むおこぼれ町の茶店にて看板娘・お菊として潜伏しながら国の情勢を探っていた。つまりは女装していたわけだが、本人は「心は女です♡」と答えている他、その美貌もあって周囲には疑われず、横綱の浦島からは求愛されてまでいた。
“夕立ちカン十郎”
歌舞伎役者のような外見をした侍。
刀の代わりに大きな毛筆を得物としており、絵に描いたものを実体化できる能力の持ち主(ただし画力は壊滅的)。
かつて「希美(きび)」にて髪の毛を使って筆を作ろうと、夜な夜な人を襲っては毛髪を刈り取っていくという奇行を繰り返し、郷の人々からは“人の毛髪を奪っていく妖怪”と噂されていた。その後、旅を続けていたおでんに鉄拳制裁されて改心し、彼らの旅の仲間に加わった。
トキの能力で現在に飛ばされてからはモモの助と共に海外へ旅立つが、その道中のドレスローザでの騒動で仲間達とはぐれ、ドンキホーテ海賊団に囚われることになる。
“霧の雷ぞう”
様々な忍術を扱う事ができる、顔のでかい天才忍者。
元・将軍家お庭番衆であったが、惚れたくノ一にフラれたショックで下野し、「兎丼(うどん)」にて山賊として身を落とした。現在、オロチお庭番衆隊長の福ロクジュはかつてのライバル関係。後に兎丼に立ち寄ったおでんと再会を果たし、彼の家来となった。
同じく20年後に飛ばされた一人で、海外での道中に仲間と逸れ、ゾウのモコモ公国に保護されていた。
アシュラ童子
山のような巨漢の侍。
刀一本で百獣海賊団幹部のジャックと渡り合い、カイドウから部下に勧誘される程の実力者。
かつては荒廃した「九里」を牛耳るゴロツキ達の親分で、国中で“鬼”とまで噂される凶悪な盗賊であったが、おでんによって一味共々退治され、その後は共に九里の復興に協力。その後、大名となったおでんに侍として取り立てられた。
20年前に主君を失って以降も時代を懸命に生きながらえていたが、おでんの遺志に呼応した大勢の同志が生き急いでしまったことがトラウマとなって世に絶望し、現在は酒天丸と名乗り、頭山盗賊団の棟梁として活動。かつてのゴロツキ時代同様、民に危害を加えて暮らすようになる。
“イヌアラシ公爵”
光月家と同盟関係にある「モコモ公国」の“昼の王”で、犬のミンク。ミンク族の中でもずば抜けた実力者であり、一族の特殊能力である電撃(エレクトロ)とサーベルによる剣技を武器とする。
嘗てワノ国を目指して親友のネコマムシと二人だけで無謀にも海に飛び出し、九里に漂着。その後、後述の河松同様おでんに救われ家臣となった。おでんが海外に出た際にはその従者として、ネコマムシと共に白ひげ海賊団やロジャー海賊団の船に乗り、その後、体調が優れぬトキや子供達に連れ添って先にワノ国へ戻った。
主君を失った後は、長らく苦楽を共にしたネコマムシとも険悪となり、故郷に戻ってからも顔を合わせれば殺し合いになりかねないことから“昼の王”として日中のみ活動するようになる。ゾウに攻め入ったジャックの一軍との戦いでは、彼らの放った毒ガスによって瀕死となったところを捕縛され、その後の拷問により左脚を失ってしまうが、火祭の夜の決戦時には、失った脚にさらにもう一振りのサーベルを装着した二刀流を開眼した。
“ネコマムシの旦那”
モコモ公国“夜の王”で、猫のミンク。イヌアラシと同等の実力を有しており、丸々とした体格に似つかわしくない俊敏な動きと、自前の鋭い爪や牙、投げ技などの体術を得意とし、マンモスとなったジャックを軽々と投げ飛ばすほどのパワーの持ち主。
上述のイヌアラシと共におでんの航海に同行し、彼ら家族を支え、おでんの帰郷後もその明るい性格で一族を献身的に支えた。
主君を失った後は、長らく苦楽を共にしたイヌアラシとも険悪となり、故郷に戻ってからも顔を合わせれば殺し合いになりかねないことから“夜の王”として夜間のみ活動するようになる。イヌアラシ達と同じく毒ガスの餌食となってしまい、拷問で左腕を切り落とされてしまうが、以後も体術は変わらず健在で、さらには失った腕に新たに銃を装着し、遠近ともに敵に攻撃する術を手に入れた。
“河童の河松”
母親とワノ国に住み着いた魚人族で、トラフグの魚人。かつての大相撲横綱で、流桜と“河童流”剣術の使い手。鍔がない「外無双」という刀を所有している。
ある日、ワノ国に漂着したイヌアラシ・ネコマムシを見つけた際、その得体の知れない3人の風貌を蔑む九里のゴロツキ達から迫害を受けていたところをおでんに救われ、その後、3人揃って家臣となる。
トキの死後、その娘・日和を保護して崩落する城から抜け出し、幼い彼女の面倒を見続けたが、自身の食べる分まで分け与えてくれる献身的な姿は逆に日和を追い詰めてしまい、いつしか彼女は河松の前から姿を消してしまう。そして食料泥棒として捕まり、兎丼にある採掘場の牢屋に13年間閉じ込められていた。
イゾウ
白ひげ海賊団16番隊隊長。本編では早い段階から登場し「ワノ国出身」という経歴も明かされていた人物だが、実は彼も錦えもんたち同様、光月おでんの旧臣の一人である。
30年前、白ひげに無理矢理ついていこうとしたおでんを止める形でそのまま違法出国することになり、以後は多少の諍いを経て彼の海賊船に身を置く。その4年後、おでん(およびその妻子とネコマムシ、イヌアラシら)がロジャー海賊団に鞍替えすることになった際に、白ひげたちへの愛着と主君の義理立てのために残留。25年前におでんが冒険を終えてからも、白ひげを訪ねたロジャーを介して「白吉っちゃんを頼む」という伝言を受け、国に帰らず海賊として活動を続けた。
後述の呼称の付いた経緯から元々は赤鞘には含まれていなかったが、カイドウ・オロチ連合軍との決戦当日である火祭りの夜に、兄弟分のマルコや同心のネコマムシに連れられる形で合流。合流前に発覚した裏切り者と入れ替わる形で以後新たに赤鞘の一人として数えられている。
海賊としての活動期に得物を刀から二挺拳銃に持ち替えた。経緯については不明だが、カイドウとの決戦時には大看板キングの刀を弾き飛ばし、“流桜”しか通さないカイドウの肉体にダメージを与えていることから、弾丸に覇気を込める技術を開眼したと推察される。
余談
呼称の由来について
おでんの重臣だった9人を指すこの呼称は、討ち入りに向かう彼らの姿を見た者たちが付けた通称である(ただしこの時のおでんはとある誤解により評判が地に落ちており、実際に呼称が付けられたのはおでんが処刑された後になる)。当然これは正式な呼称ではなく、本人たちが自称しているわけでもないが、敵方の黒炭オロチもこの呼称を使っており、彼ら9人を赤鞘九人男と呼ぶことは現在のワノ国では広く理解されている。
呼称の元ネタは歌舞伎の『青砥稿花紅彩絵』でお馴染みでありスーパー戦隊シリーズの名乗り場面の元になったことでも有名な盗賊・「白浪五人男」。
以下は、おでんたちが20年前に兎丼へ進軍する際に綴られたテロップである。
【彼に拾われ武士となった九人の男が揃い踏み】
【刻は夕刻 真紅に色づく太陽は】
【戦い勇む男達を炎の様に赤く照らし】
【腰に差した刀も然り 燃ゆる命を映し込む】
【人々は後にその強き忠義心を尊び彼らを】
【「赤鞘九人男」と呼んだ】
モデルについて
9人のそれぞれのモデルには一貫性はなく、人物によって往年の時代劇のヒーローやそれらを演じた名優、アニメ出演者の愛猫など様々である。組織としてのモデルは「亡き主君のための仇討ち」「敵方の油断を突いた奇襲作戦」「“赤”という頭文字」などから歌舞伎や演劇などで知られる『忠臣蔵』に登場する赤穂浪士ではないかとも推察されるが、987話のタイトルが『忠臣錦』であったことから、赤穂浪士と忠臣蔵をモデルにしていることは確定した。
好物について
96巻で公開された九人男の好物にはそれぞれおでんのタネ(具材)が挙げられており、全員、主の作るおでんを喜んで食していた模様(先んじて本編に登場している錦えもんやカン十郎、ネコマムシはおでん以外の好物も存在するが)、因みにイゾウやしのぶもおでんの具がそれぞれ好物に挙げられている。また、おでん本人の好物についても「おでんのすべて」だったと判明している。
pixivにおけるタグ付けの注意点
赤鞘とだけタグ付けすると関係ない神物が出てくるので要注意
関連イラスト
関連タグ
光月家
宿敵
協力者
柱(鬼滅の刃)~ジャンプ作品に登場する同じく定員が9名の指折りの剣士集団。