概要
刀剣類の刀身と柄の間に有る金属製の部品。
刀剣による戦闘の際、力んだり相手に押されたりすることで誤って手が滑り、柄から手が刀身にいかないようにする役割を持つ。
また、相手の刃が容易に自分の手に滑って来ないようにする為の防具としての意味合いもある。
西洋剣や中近東、日本以外の東南アジア圏の鍔は、左右に棒状の板が広がっている「棒鍔」が主流で、あまり飾り気は無い。一部では先を尖らせてハーフソード剣術時のピック代わりなどに用いる
物も有った。
またサーベルやレイピア、カットラス等の片手剣には、鍔を発展させた文字通り「握る拳を防護する」護拳(ナックルガード)が付いている場合がある。
中華圏の刀剣も西洋と同じく質素なものが多く、古代の剣や儀礼用の剣でない限り装飾は多くない。
一方、日本刀の場合は銅銭の様な円形をしており、その切れ味からより手を守るための意味合いが強く出ることになった。
さらに、刀の鍛造技術の向上につれて鍔にも芸術性を求める動きがおこり、結果として龍や鷹などの動物から、松竹梅などの植物に至るまで、非常に幅広いく趣向の凝った装飾が施される事となり「鍔師」と呼ばれる専門の職人も現れる様になった。
そのため、鍔だけでも100万円単位の価値を持つ、骨董芸術品の域に達するものも少なくはない。また、日本の時代劇系ドラマやゲーム等では紐を通し眼帯の代わりとして使用する登場人物がいたりする。