この世の大半の刀剣類は片手で使うものであるため、フィクション作品以外でわざわざこと単語が用いられることはあまりない。
概要
文字通り、片手で扱うことを前提とした構造を備えた剣。
構造
刀身
基本的な刃の長さは50cm以上80cm以下、概ね成人男性の腕の長さに収まるように設計されている場合も多いが、
実際には用途によって差がある。
例えば、サーベルやシャムシールのように馬に乗ったまま扱う剣は長めに作られる上、レイピアなど一部の片手剣は100cmを超えるモノもある。
柄+α
柄の長さは余裕を持って、拳1つよりやや大きいか、1つ半程度であることが多い。柄には鍔のほか、滑り止めや重りを兼ねた柄飾り(別名ポメル)が付属することが多く、時代や地域によってその形態は大きく異なる。
ヨーロッパでは長らく棒状の鍔が主流であり、刀身とは逆方向の柄の端にはポメルが装着されている事が多かった。このポメルは後述の重心位置を調整する重りの役割など様々な役割を持ち、ヨーロッパ以外の地域でも一部で採用されていた。(アラブ地域でも棒状の鍔が主流だったが、ボメルのある剣や刀は少なかった。)
アジア地域では楕円形の鍔が多いが、アラブ地域同様ボメルのあるものは少なかった。重心位置を調整する場合は多くは鍔の大きさや素材を変更して調整した。ヨーロッパでは時代が下ると待つ手を保護する、ポメルと鍔が一体化した護拳型の鍔が現れるがアラブ、アジア地域ではあまり採用されていない。
重さ、重心
重さは使い手により差はあったが、平均して1kg前後になるように設計され、重心の位置は用途を問わず、鍔から10~25cmの間になるように調整されていた。
重心とは、大まかにいえば物体にかかる重力の中心点ようなモノで、棒に近い形なら重心を点で支えるとシーソーのように釣り合う箇所でもある。片手で扱う剣や刀にとって、重心は柄に近いか遠いかで扱いやすさや威力が変わる重要な要素の一つだった。
例えば、重心が柄に近ければ近いほど、その武器を持っている手にかかる負担が減る(≒軽く感じる)ため、
軽快に扱いやすくなる。その反面、切り付けた時に刀身がブレやすく、威力も乗りにくくなるというデメリットもあり、
闇雲に近ければ良いというわけではない。(もちろん刺突武器であれば気にしなくても良い)
逆に重心が刀身の先端の方へ偏っていた場合であれば、武器を持つ手にかかる負担が増す(≒重たく感じる)ものの、
斬り込んだ時に刃先がブレにくくなり、威力も上がるというメリットがある。要は用途に合わせたバランスが大事だった。
例えば、レイピアやブロードソードは片手で素早く扱えるように、刀身と柄の境目から約10cm離れた所に重心があり、またロングソードならば、刀身と柄の境目からなるべく10~15cmの位置に重心が来るように調整されていた。シャムシールは威力を重視して15cm~25cmと重心を遠目に設定していた。
(近代の武器だが、日本刀をベースに片手でも充分に扱えるように作られた九五式軍刀の重心位置は鍔から約9cmのところにある。)
剣≒片手剣
片手剣は刀剣類の標準型といってもよく、世界各地で用いられてきた。例えば、欧州では古代ギリシャの時代から盾を片手に剣を振るう戦法が盛んに用いられてきたため、自然に片手で扱える程度の大きさの剣が定着することとなった。知らんけど。ぶっちゃけ諸説あってよくわかってない。ナイフの延長にある道具だからかも知れない
とにもかくにも世界的には、片手用こそが主流であって、両手で使用する刀剣類(両手剣)のほうが少数派である。そして両手で使う刀剣類というのは、おおむね大型である傾向が強く、長柄武器と刀剣類の中間に位置づけられるある意味特殊なタイプでもあった。
片手剣が戦時の予備武器から平時の護身用まで幅広い用途があり、さまざまな身分の人が扱うのに対し、両手剣は専門の兵士が取り扱い、戦争という限定された場面でしか使えないため汎用性が低い。そのような立ち位置のために両手剣の使用人口は少ない。
日本のフィクションに慣れすぎていると感じにくいが、主に両手で扱い、しかも片手用の刀剣の需要を奪い、日本という地域の標準になっていた(それでいて用途も他国の片手剣と変わらない)日本刀はかなりイレギュラーな部類に入る。
ここまで両手剣と片手剣の話だったが、片手でも両手でも扱える剣のことは片手半剣(バスタードソード)と呼んだり呼ばなかったりする。
Pixiv内での傾向
Pixivでは、主にモンスターハンターシリーズの武器として言及される。
また、プレイヤーが扱っている限り、片手剣とみなすこともある。
片手剣という単語はモンスターハンターシリーズがきっかけで知名度が上がったと言われているが定かではない。