概要
創作における刀剣の一種。初出は『ファイナルファンタジー8』の主人公であるスコール・レオンハートの武器。
拳銃を巨大化したような柄に分厚く長い刃を取り付けた剣で、攻撃を当てた瞬間に柄にある引金を引くことで弾倉に込められた火薬が炸裂して刀身を振動させ、攻撃の威力を飛躍的に高めること可能にした、いわゆる「高周波ブレード」「超音波メス」の一種である。
たまに銃剣(実際はNRSナイフ型消音拳銃やガンスラッシュの事で本来の意味の銃剣とは違う)と勘違いしている人がいるが、銃弾を発射することはできず、剣としてしか使用できない代物である。
その扱いの難しさから好んで使用するものは少なく、開発されてからしばらくたったFF8世界の時間軸では廃れつつある武器と言われている。ラグナ・レウァールの若き時代は軍の研修でこれが使われていたらしい。
劇中での使用者はスコールと、スコールのライバルであるサイファー・アルマシーのほぼ二人だけである。
スコールは自身の嗜好から、サイファーは20年前に制作されたとある映画に出演した主人公に憧れて使っている。
スコールはリボルバー型、サイファーはオートマチック拳銃型のガンブレードを愛用している。
FF14ではガレマール帝国の一部将校が使用する武器として登場。
ただしこれは単純に「刀剣に銃弾の発射機構を組み込んだだけ」であり、実際に銃弾を発射する事ができるが、斬撃にそれを乗せたりする事はできない。
亜種としてガンハンマー、ガンバグナウなどが存在する。
その後、パッチ5.0「漆黒のヴィランズ」で実装された新ジョブ「ガンブレイカー」の専用武器として8と同じ形のガンブレードが登場。
こちらは「ソイル」と呼ばれるクリスタルの粉末を封入した薬莢に魔力を込め、その魔力を利用した技を使うという設定になっており、プレイヤーがガンブレイカーのジョブで戦う際も、特定の行動を取るたびにソイルに魔力がチャージされ、そのチャージを消費して強力な技を使用できる。
ルーツはとある王国の女王「グンヒルド」の護衛から発祥した戦闘技術および武器であり、ガンブレードは「グンヒルドを守る剣」という意味を持つ。
つまり、FF14においては名前の由来は「ガンとブレードが一体化しているから」ではない。まずガンブレードという武器が最初に存在し、アラグ帝国がこれを参考にして生み出した「銃」がガンブレードに由来するという意味で「ガン」と呼ばれるようになったのである。
このように生み出された「ガン」は「ガンブレードの使い手」たちからすれば紛い物でしかなく、アラグ帝国の侵略に抵抗する傍らこれらを破壊して回ったため、「ガンブレイカー」と呼ばれるようになった。
なので「ガンブレイカー」の名の由来も「ガンブレードの使い手」ではなく、「ガンブレードを真似して作られたガンを壊す者」である。
なお、そのアラグ帝国が生み出した「銃」は後の時代にガレマール帝国により遺物が発掘・復元され、刀剣と合体させられて図らずも「ガンとブレードをくっつけたもの」という意味のガンブレードも生まれてしまうこととなった。
メインキャラの中ではサンクレッドがガンブレイカーとしてガンブレードの使い手となっている。
FF以外の作品
このような機構の武器はFF8が初出であるようにも見えるが、TRPGである『天羅万象』に同様の機構を持った珠刀という武器が登場している。
霊力を込めた珠(おうじゅ)と呼ばれる鉱石を装填し、それを破砕することによってその衝撃で切断力を向上させるというものであり銃把はないがガンブレード同様弾倉のついており、銃と剣を組み合わせた外見の刀剣である。
この珠刀もまた『未来忍者 慶雲機忍外伝』に出てくる刀のオマージュと言われている。
(見た目は普通の刀だが、装填された弾丸によって光り輝き切断力が向上する)
FF8に影響されたためか、他の作品にもガンブレードは登場する。といっても他作品ではもっぱら前述のナイフ型拳銃を剣サイズに大型化した物として扱われており(例.ワイルドアームズシリーズの「バイアネット」)、FF8本来のガンブレードとは全く異なる。
このタイプでガンブレードという名称の武器としてはTRPG『神世紀エルジェネシス』がFF8より先に使用している(神世紀エルジェネシス:1998年、FF8:1999年)。尤もこちらのガンブレード(正確には「ガンブレイド」)も電脳戦機バーチャロンに登場するテムジンのマルチプルビームランチャーをモデルにしており、そのMPBLも銀河お嬢様伝説ユナのマトリクスディバイダーが元ネタであろう。
同じスクウェア製ということもあってか、アクションRPGパラサイト・イヴ2にはガンブレードが主人公アヤの武器として登場する。こちらは12ゲージのショットシェルを装填・発射できる機能(刀身と並行した銃口やドラム式弾倉がある)も備えており、どちらかと言うと後年登場したDDFFのガンブレードに近い武器である。
隠し武器の中の隠し武器だけあって入手は容易ではないがその威力はすさまじく、中でも必殺技の「バーストストライク」は、作中最強のレールガン、ハイパーベロシティの威力に匹敵する。
特撮番組「仮面ライダーW」に登場するヒーロー・仮面ライダーアクセルの持つ武器・エンジンブレードはガンブレードと同様の構造を持つが、これはWのメタルシャフト等と同様に火薬ではなくガイアメモリを装填する。
なお、ガイアメモリからのエネルギーを射出する遠距離用必殺技があり、全くの剣としてしか使用できないわけでもない。
形状の異なる「ガンブレード」
ガングレイヴにも屍十二の武器として登場。
こちらは、オートマチック拳銃のスライド及びグリップに反りのない刃が取り付けられたものとなっており、装備した時は右手側が順手、左手側が逆手に剣を持ったようなシルエットになる。銘もあり順手仕様が「疾風(はやて)」、逆手仕様が「旋風(つむじ)」である。
ちなみにこの形状の武器は日本陸軍が「試製拳銃付軍刀」の名で実際に開発していたものである(ただし扱いの煩雑さや手入れの難しさから試作段階で没になった)。
FF8のガンブレードとは射撃ができると言う点で大きく異なる。また、射撃と斬撃を変形無しで同時に行える点が特徴的である(構造が単純であるともいう)。
このタイプのガンブレードは、仮面ライダーシリーズに登場するカイザブレイガン・無双セイバーがほぼ同様の外見及び構造である。他にはクイーンズゲイトのアンリ・マンユ&アエーシェマ等。
ブレード(刃物)に拘らなければ撲殺のパーツがグリップに付いているものが実在する。
未来忍者より古くは『ロボットバトルV』のソードキャノン(銃身で装甲をぶち抜いた後に内部に向けて銃弾を撃つ)や、(ナックル=鈍器だが)『ブラス・ナックル』のブラスターナックル(元ボクサーが吸血鬼を殴ると同時に銀の弾丸をぶち込む」が存在した。
長年パイルバンカーだと思われていたアルトアイゼンのリボルビングステークもソードキャノンに近い機能(ただし内部に叩き込むのはビーム衝撃波)であることが後年に明かされている。
現実では
このように創作ではしばしば「刀剣と銃器が一体化した武器」というのが登場するが、現実ではこのような武器はほぼ存在しない。
理由はただ一つ、「刀剣として使うと銃身が歪んで銃としてはすぐ使い物にならなくなる」からである。
銃というのは命中精度と有効射程を両立するためには一定以上の長い銃身が必要だが、この銃身が曲がっていると弾丸のエネルギーが大幅に削減されてしまいまともに飛ばない。それどころか銃身の内側を強く削るために銃自体の耐久度も激減してしまう。
このような繊細なパーツを、敵に強く打ち付ける刀身にくっつけて振るったらどうなるかは火を見るより明らかである。
日本刀のような切断力に特化した刀剣であれば比較的負担は少ないかも知れないが、日本刀だとそもそも刀身が曲線であるため銃身と融合しない。銃身とぴったりくっつく直剣は「叩き切る」ものであるため銃身の歪みの原因となってしまう。
「剣を突き刺した後に追加ダメージとして至近距離で発砲する」と言うような使い方であるなら、銃身なんて数cmもあれば十分なので実用に耐えるガンブレードが作れるかも知れないが、実際には既に刀剣の攻撃が当たっている状態から発砲する必要はほぼ無い訳で…。
かつて日本帝国軍で使用されていた、突撃銃の先っちょに刃先だけくっつけた「銃剣」が銃+剣の限度であろう。
こちらは突撃銃が本体であり、不意の接近戦や弾切れの時に申し訳程度の近接戦闘能力を持たせるという意味で刃がついているだけのものである。突き刺す使い方しかしないので銃身が歪んでしまう心配もあまり無い。
ただこれも、戦争という用途の都合上、ガトリング砲などの自動火器が登場してからは使われなくなった。