概要
家族員が分離して新たな家族を創設する行為、およびそれによって形成された家族をいう。
しかし家族員の分離がすべて分家とはならないし、また分家行為に基づかない分家もみられた。分家は村の承認を得なければ新しい家の成立とみなされず、また転入した家が社会生活の必要上、ほかの家と本家分家関係を結んで成立する分家もあった。分家は地域によって、バッカ・ワカサレ・シンヤ・シンタク・カマドなどと呼ばれる。
日本の分家には4つの形態があり、最も多い例は2・3男の分家である。第2は親が2・3男を連れて、あるいは2・3男が親を連れて分家する隠居分家である(隠居制) 。第3は娘が婿養子をとって分家する婿養子分家、第4は奉公人の分家であり、農家のみならず商家にもこの形態はしばしばみられた(別家) 。また分家には本家から相当の財産を分与される場合と、分家者が長年にわたるかせぎに基づいて分家する場合がある。前者は分家後も本家の生活援助が必要であり、本家に対して従属的な分家となり、後者は本家から独立した分家となった。本家分家の上下的な関係を基盤として形成される同族の組織は、従属的な分家の場合が多かった。また本家分家の関係は、永続的なものもあったが、多くは2・3代でその関係も不明確になっていった。
ただし、本家の当主が早くに亡くなった場合、分家の当主となった人物の中から選ばれて本家の当主に迎えられたケースも珍しい話ではない。