概要
魚人海賊団が撤退した魚人島で勢力を拡大した新世代の魚人達による海賊団。
魚人至上主義のアーロンの思想を受け継いでおり、幹部たちにはアーロン一味のシンボルに加え、人間の首を切り落とし禁止のマルで覆った不気味な刺青が入っている。後者はタイヨウの海賊団のシンボルを改造した悪趣味なデザイン。
人間に友好的な同族に対しても容赦せず、本格活動する前から闇討ち、放火などの悪行を行っていた。
アーロン一味は人間を憎みながらも仲間同士で和気藹々やっていたのに対し、こちらは失態をすれば幹部ですら身が危うい殺伐とした組織。幹部のみならず、構成員の多くは本島から外れた魚人街の出身。
船長のホーディ・ジョーンズ及び幹部達は、魚人島を治めるリュウグウ王国ネプチューン王家の人間との宥和を目指す政策を嫌い、王国の打倒と王族の処刑、そして地上を魚人による絶対支配下とする足がかりのため、王国に対してクーデターを起こした。
一時はネプチューン王、三王子を捕らえるまでに至ったが、しらほし姫やジンベエらと友好関係を築いていて、また「おれこそが真の海賊王にふさわしい!」とのホーディの言葉が癇に障ったルフィを始めとする麦わらの一味の活躍で、クーデターは鎮圧された。
幹部達は投獄された後も狂気的な怨念に突き動かされ、復讐を諦めず怨み言を口にする始末だった……が、その体は後述のE・Sの副作用でまともに歩けないほど老化しており、彼らに殺されかけたネプチューン王さえ「こうなると不憫」「刑はまた考え直すとしよう」、フカボシも「お前達を恨まないからもう黙ってくれ」と哀れんでいた。
ルフィ達との戦いに敗れて奴隷兵士は全員解放され、幹部陣営も軒並み投獄されたのもあって、全兵士が投降し組織は解散。7万人の魚人海賊達は徒労刑を課せられ、非戦闘員である魚人街の住人達も、魚人街の閉鎖に伴い魚人島本島に移住を余儀なくされた。
E・S(エネルギー・ステロイド)
リュウグウ王国の国宝「玉手箱」に収められていた薬で、一粒飲むだけでも腕力が倍になるとされる代物。体力も回復可能な上に飲めば飲むほど強くなる。
かつて王国軍に属していたホーディはこれを盗み出した直後に脱退し、ゼオに量産させた。
幹部だけでなく雑兵も使用したが、彼らは1~2粒しか使っていない。
しかしダメージを負わされるごとに飲んだホーディと、酒のツマミに(多分ナッツとか柿の種のような感覚で)食べていたヒョウゾウは副作用で悶絶しながらも肉体が覚醒状態に至り、大きくパワーアップを遂げた。ホーディいわく「息が苦しくなり、体が破裂しそうな感覚」のようだ。
……しかし、いくら強くなろうとも所詮はドーピングの産物。言わば「強引にパワーを前借りしているだけ」なのでフカボシやジンベエにはしばしば「偽りの力」と称されており、実際2年の修行を乗り越えた麦わらの一味には(ドーピングありの状態でも)ほとんど歯が立たなかった。
更に「命を削る=老化する」副作用があり、幹部達は反動で一気に歳を取り戦闘不能となった。
服用個数の多いホーディとヒョウゾウは当然としても、幹部達は精々1~2粒しか服用してない。幹部達は専用に(反動含め)効果が強まった特別製だったのだろうか。
ただ、普通に考えれば海賊の脱走などを始めとする雑用に、いちいち組織のトップや用心棒が出張ってくるのも変な話なので、たまたま作中で描かれなかっただけで、幹部達は荒事がある毎に数粒ずつ摂取していた=つまり短期間で大量に摂取したホーディらと長期間に少量づつ摂取していた幹部達の老化発症が、偶然にもほぼ同時となったと考えるのもできる。
組織構成
兵力だけで言えば作中一を誇る。
船長のホーディを含め幹部は総勢5人で、殆どがサメの魚人である。その配下には、魚人島の荒くれ者達7万人と魚人島にやって来たところを捕らえられ奴隷にされた人間の海賊3万人がいる。
そして魚人島近海の海獣を殆ど配下に加え、外海から超巨大タコのクラーケンなども脅迫し支配下に置いていた。
幹部内では悪魔の実の能力者は不在だが、船長は魚人空手を嗜み幹部連中も種族特有の能力を有している。また、アーロンと異なりヒョウゾウを雇うのにカネを惜しまない上にその凶行を不問にするなどの好待遇をしたり、他者に従うのを良しとしないデッケンを対等の同盟相手として迎えるなど、組織運営に関してはそれなりに上手くやっていた。
尚、人間を奴隷として利用するホーディ達に対して、ジンベエが「天竜人のマネごと」と嫌悪感を露にしていたが、思想に反する者なら同胞さえも容赦無い点も天竜人に似通っていた皮肉が明らかになる。
受け継がれてしまった意思
ある意味において、この海賊団の船長及び幹部陣は普段はONE PIECEでは概ねポジティブに扱われている「受け継がれる意思」「決して折れない強い信念」のネガティブな一面を象徴する存在である。
彼らの戦う理由は『先達が遺していった人間への憎悪の叫び』であり、その憎悪の遂行を信念に彼らは文字通り自分達の全てを捧げ、限界を超えて尚も戦おうとするのである。
しかし、そこまでの意志を持っているにもかかわらず、彼らの恨みには具体的な経験が欠如している。
そのため、伝え聞いたのみで実際にそれによる不利益を被ったことは一度もないのに、ただ「恐ろしい所」からきた「悪い奴ら」だからその憎悪を果たそうとする。
主要人物
船長
ホーディ・ジョーンズ(船長/ホホジロザメの魚人)
幹部
ドスン(幹部/シュモクザメの魚人)
ゼオ(幹部/オオセの魚人)
ダルマ(幹部/ダルマザメの魚人)
イカロス・ムッヒ(幹部/ダイオウイカの魚人)
その他船員
ハモンド(戦闘員/ハモの魚人)
ヒョウゾウ(雇われの殺し屋/ヒョウモンダコの人魚)
ヒョウゾウは媒体によっては幹部扱いされたり、下記のデッケンと同じ協力者と扱うものもある。
協力者
バンダー・デッケン九世(フライング海賊団船長/ネコザメの魚人)
ワダツミ(フライング海賊団船員/オオトラフグの魚人)
余談
- 親玉のホーディを船長と呼んでいるものの、彼らの旗艦たる船は登場していない。
- アニメでは「魚人海賊団」とテロップ表記されていることもある。参考
関連項目
ONEPIECE 海賊(ONEPIECE) ホーディ・ジョーンズ