概要
鮫と聞いてまず多くの人が思い浮かべるようなホホジロザメやイタチザメとは大きくかけ離れた、寸詰まりな顔をした鮫。仲間の分布はかなり広く、日本周辺以外ではアメリカ西海岸のカリフォルニアネコザメや、オーストラリア北部のポートジャクソンシャークなどがいる。
眼の上が隆起していて、それをネコの耳に見立てたのが名前の由来。また背鰭前端に鋭い棘がある。
歯の形状も肉を切り裂く鋭利なものではなく、むしろ硬いものを噛み砕くことに向いていて、主にサザエなどの貝類やカニ等の甲殻類、ウニのような動きの鈍い生物を食べるが、飼育下ではアジやサバの切り身等も食べる。その為新江ノ島水族館ではテレビの取材で飼育しているネコザメにサザエを与えたが、そのネコザメは長いこと魚の切り身を与えられていた為にすっかりサザエの食べ方を忘れてしまい、見向きもしなかった。その後リハビリとして切り身をサザエの殻に詰めて与えられ、無事食べ方を思い出したとのこと。
性質は温厚で、下動画のように十分なサイズの水槽と餌さえあれば一般家庭でも他の魚と一緒に飼育することも可能だが、前述した背鰭の棘や歯には注意。特に指でも噛まれたら骨まで砕けかねないので、大人しいからと手を出し過ぎないこと。
卵
ネコザメは卵を生むのだが、その独特な形状は結構有名。
何故なら螺子の様な螺旋状のひだが取り巻き、一見到底卵とは思えない。むしろ街頭インタビューで聞こうものなら海藻の根とか新手のアート作品とか言われそうなほど。
これは産み落とされた卵を岩の隙間や海藻の間に固定する役割があり、(形状はともかく)こうした要素自体はそこまで珍しくない(例えばナヌカザメの卵は、四隅から伸びる巻きひげがサンゴ等に巻き付けられている)。
余談
海外では眼の上の隆起を牛の角に見立て、「ブルヘッド(牛の頭)シャーク」や「ホーンシャーク」と呼ばれている。
しかし日本では「ウシザメ(正確には別名。標準和名は「オオメジロザメ」)」や「ツノザメ」が別におり、しかも英語の「ネコザメ」は日本だと「トラザメ」と呼ばれ、逆に英語の「トラザメ」は「イタチザメ」のことを指すと言う非常にややこしいことになっている。これが感性の違いか。
関連イラスト