概要
学名はCarcharhinus leucas、英名はBull shark。
英名の直訳から日本ではウシザメと呼ばれることもある。また、沖縄ではシロナカーと呼ばれる。
体長は最大で3.4から3.5mになるといわれる。
生態
太平洋、大西洋、インド洋の熱帯海域から亜熱帯海域に生息し、河口や汽水域といった濁った水域を好む、沿岸性のサメ。
食性は硬骨魚類、軟骨魚類、海性哺乳類、海性爬虫類、海鳥、無脊椎動物など見境なく食べる。
性格は極めて獰猛で、ホホジロザメ、イタチザメと並び世界三大人喰いザメと称される。英名はその獰猛性を雄牛にたとえられ付けられた。
広塩性
本種以外に淡水に対応できるサメは、確実に確認されているものでガンジスメジロザメ、ギャリックガンジスメジロザメ、スピアートゥースシャークの3種類のみ。
アマゾン川では河口から4000km、ミシシッピ川では河口から2500kmの所で見つかった記録を持つ。更にはニカラグア湖のような湖にも侵入している。
更にはオーストラリアのクイーンズランド州ブリスベンのゴルフコースの池に、近隣の川が増水した際に迷い込んだ複数のオオメジロザメがそのまま住み着いてしまったという事例まで報告されている。
おまけにサメ達にとっては快適な環境だったらしく、子供まで生まれている。
淡水に適応するメカニズムは、塩類排出を行う直腸腺が縮み、淡水から大量のミネラル分を摂取することで、淡水中でも浸透圧を一定に保っている。
また、高い塩分濃度の海水にも適応できる。
海水の平均塩分濃度は約3.5%(塩分濃度に単位を付けるのは正しくないが、便宜上%で表記する)であるが、オオメジロザメは5.3%まで耐える事が出来る。
近年の調査・研究にでは『オオメジロザメのメスは子を産む際に、海・河両環境の餌の種類が多くて尚且つ敵となる大型肉食魚が少ない汽水域(つまり河口付近)を選んで出産している』という説得力のある説が浮上している。
これが事実であれば当然幼魚は成長するにあたって『海に出るか川を昇るか』の二択を必ず迫られるという事になる。
普通はより大きい餌を求めて海に出る個体の方が大多数なのであろうが、曲がりなりにも二者択一なのだから川での生活を選んでしまった例もこれだけ多く報告されているのも無理は無いと言えるだろう。
世界三大人食い鮫筆頭
淡水に適応できる上に、自分の体がどっぷり浸かる程度の水深の小川でも生息が可能で、実際にミシシッピ川水系沿岸の住宅地を流れる小川で水遊びをしていた住人がオオメジロザメの被害にあった事例が報告されており、これが海洋でしか生きられないホホジロザメやイタチザメとの決定的な差として、世界三大人喰いザメの筆頭に挙げられているほど。
ジョーズの元ネタとなった1916年に起きたニュージャージーサメ襲撃事件のうち、マタワン川の河口から16マイル(約26キロメートル)遡った上流で起きた事件は、海上で捕獲され、胃に人骨らしき物が発見されたホホジロザメとは別のオオメジロザメではないかという説もある。
見分け方
メジロザメ属のサメは専門家でも見分けることになかなか骨が折れるが、オオメジロザメはがっちりとした体形なので見間違えることは少ない。
ただし、同属のタイワンヤジブカは同じようにがっちりとした体形をしているため、注意が必要。
タイワンヤジブカとの見分け方として、体と背鰭の大きさの比と臀鰭の切れ込みで見分けることができる。背鰭の大きさが身体に対し、より小さく、臀鰭の切れ込みが直角なのがオオメジロザメである。