概要
新魚人海賊団に雇われた殺し屋で、毒を持つタコ「ヒョウモンダコ」の人魚。主要メンバーの中で唯一の人魚族である。
タコらしくひょっとこのように長く伸びた口、ドレッドヘアー、背広と青いワイシャツを着崩した格好が特徴で、得物は日本刀風の刀(鍔は目立たない)。また酒の入った瓢箪をぶら下げており事あるごとに飲んでいる。
ちなみにタコの8本足は両手と「足」に分配されており、よく見ると足の触手は6本。しかし両手とこの触手で一度に8本もの刀を振るう事ができるタコ八刀流の剣士であり、ヒョウモンダコの特性によって強力な毒液を出すこともできる。
登場したのは物語後半になってからだが、存在自体は序盤の「アーロンパーク編」時点で匂わされており、ハチがゾロに放った「おれ様を一人を除けば魚人島No.1の剣豪"六刀流のハチ"と知っているのかァ!!!」というセリフがそれ。
その「ハチより強い"魚人島一の剣士"」こそがヒョウゾウであった。ハチとヒョウゾウはかつて同じ剣術道場に学んだ同門の間柄であり、実際ハチは子供の頃から一度も勝てなかったらしい。
裏社会のみならずカタギである魚人島本島の住人達からも魚人島一の剣士として知られているようだ。
プロフィール
本名 | ヒョウゾウ |
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年齢 | 39歳 |
身長 | 327cm |
所属 | 新魚人海賊団殺し屋 |
出身地 | 偉大なる航路 魚人島 リュウグウ王国 魚人街 |
種族 | 毒種ヒョウモンダコの人魚 |
誕生日 | 4月18日 (酔い=4,1、タコ八刀流) |
星座 | おひつじ座 |
血液型 | X型 |
好物 | 酒、肴になるもの、二日酔い時のシジミ汁 |
初登場 | 単行本62巻 第607話『海底1万m』 |
CV | 坂口哲夫 |
人物
- 総評
態度は飄々としていてフランクな雰囲気を漂わせているものの、本性は打算的かつ自己中心的である上に人を斬るのが好きという快楽的な危険人物。
剣士としてのプライドは高いが、かといって正々堂々とした勝負を好むわけではなく、勝つためなら卑怯な手段も辞さない上に思想や良識もなく金でしか動かない実利主義者。
また魚人島No.1の剣士である事に非常に固執しており、自身の剣術や身体的特質による恵まれた才能と実力に大いに酔い溺れている。さらに仲間意識や同胞愛的なものも特になく、雇い主のホーディ・ジョーンズ共々酷薄な性分が見られる。
- 「人斬り上戸」
しばしば酒を飲んで酔っぱらっており、相当の呑兵衛な様子。また深酔いすると敵味方関係なく人を斬りまくる"人斬り上戸"という恐ろしい酒癖も持つ。
酔っぱらって馴れ馴れしい態度で周囲を振り回す上、「人斬り上戸」も急にスイッチが入ってしまうので危険極まりない。その上素面の時でも自身の気分を害する相手には味方だろうと非戦闘員のカタギの民間人だろうと容赦なく危害を加える。
この辺はアニメで補完されており、自身を差し置いて魚人島一の剣士を目指そうと野心を吐露していた味方であるアンコウの魚人・ヌルやオトヒメの踏み絵を拒否した魚人島の民間人を泥酔抜きにしても切り捨てている。
おまけに自身の得物を大事に扱う事もなく、酒の入った瓢箪に至っては前述の民間人諸共切り刻んでいるくらいに物を粗末に扱うなど、心根もかなり乱れている。
- 「アーロンの奴は金離れが悪かった」
かつてアーロンに金銭で雇われていた事もあり、一味としての仲間入りを誘われた事もあったようだが、「金離れが悪かった(彼を雇えるほどのお金を出せなかった)」という理由で断った様子。またハチには面と向かって「お前止まりの剣士しか連れていけなかったアーロンは気の毒だったなァ」とこき下ろしており、彼らとの相性は非常に悪いことがうかがえる。
そもそもアーロンは同胞は心から大事にし、たとえ自身の嫌う「人間」であっても、味方であれば基本的に手は出さない。
対するヒョウゾウは泥酔すると(下手をしたら泥酔抜きでも)同胞はおろか味方すら平気で斬る危険人物であり、たとえヒョウゾウを雇えるほど羽振りが良かったとしても相性の悪さから長続きしなかったことは明白。
雇い主のホーディ自身が味方や同胞すら平気で盾にする人物だから容認されているのだろう。
- 新魚人海賊団での立ち位置
雇われの殺し屋・一戦闘員ながらその実力面から組織内でも実質幹部級の待遇がなされており(アニメでは「魚人海賊団幹部」と字幕で表記されている)、下っ端からも基本的にはさん付けで呼ばれてはいるが、前述の泥酔状態での仲間への攻撃から危険視する者も多い。
魚人島本島の市民からも魚人島一の剣士と認識され、用心棒として傘下にいることから恐れられてもいる。泥酔したヒョウゾウを上手く介護できるのはハモンド辺り。ヒョウゾウもルフィにやられたハモンド達を担いで撤退してやる等、比較的馬が合うらしい。
戦闘能力
両腕はもちろん、6本の"脚"でも剣を器用に扱い、掴みどころのない予測不能なトリッキーさを駆使した八刀流の剣術使い。ヒョウゾウ曰く「タコ八刀流」。
また毒液は触手から出し、これを剣に纏わせて振るう「毒の剣」を切り札としている。
必殺技は前進しながら8本の刀を振るって周囲を斬り刻む「千鳥足ハッシュ」。
タコの人魚という特性によるトリッキーな動きに加え、「泳ぎは速いが陸上ではシャボン製の浮き輪や椅子を使わないと移動が困難」という人魚故のデメリットも"脚"があるので気にならず、その上「猛毒で攻撃可能」と恵まれたスペックを持つことも、ヒョウゾウが魚人島一の剣士たる所以なのだろう。
ギア2のルフィの攻撃を受けた際には、とっさに攻撃を防ぎながらルフィに毒を刺すなど技量は高く、ルフィですら強さと危険性を評価している。
なおホーディ以外のメンバーでは唯一、E・S(エネルギーステロイド)を覚醒状態まで服用して白髪になっており、その状態では鋼鉄の盾を容易く切断するなど、最終的な戦闘力は他の幹部級とは一線を画すレベルにまで強化されている。そして前述通りに酔っ払って敵味方関係なく斬りかかったり手段を選ばない危険性が加わることで危険度・脅威度が増すこととなる。
しかしいくら強くとも魚人島とその周囲でしか経験を積んでいない上に、本質的には自身の恵まれた肉体的メリット頼みでしかなかったヒョウゾウは、世界最強の剣士の元で2年間鍛えに鍛えたロロノア・ゾロの敵ではなかった。
作中での活躍
麦わらの一味をホーディ・ジョーンズ率いる新魚人海賊団の傘下に加えるため人魚の入り江でハモンド達と現れ、傘下になる事を拒絶したルフィと戦闘になった。
この時、ヒョウゾウだけルフィの「ゴムゴムのJET銃」を刀で受け止め防御し、更にルフィの体に毒を刺すという芸当を見せ、マゼラン戦で毒への抵抗能力を得て事なきを得ているとはいえ「アレはだいぶ強ェなァ」とルフィにいわしめた。この時、ヒョウゾウはハモンドとカサゴバらを抱え撤退しながらルフィを毒で死に至らしめたらどうしようかと思っていた。
その後酒のつまみに食べていたE・S(エネルギーステロイド)の効力が出始め、悶絶した末に肉体が覚醒し超強化された状態になるが、ギョンコルド広場での麦わらの一味vs新魚人海賊団では、ゾロ相手にまったく刃が立たず、8本の刀を全て粉砕され、最後は落ちていた剣を拾い背後から奇襲して毒を喰らわそうとしたところを返り討ちにされた。
ゾロに敗れてネプチューン軍により投獄された後は、ドーピングの副作用で体が老化してしまい、戦闘不能の状態となってしまった。
余談
戦意喪失のフリをして猛毒の剣を繰り出そうとした際、ゾロは「やめとけ、カエル野郎」と言い放ったが、それに返した台詞が原作とアニメ版で変わっている。
原作では
「カエルってのはァ!!こんなに手足があんのかァ!? ウィ~…… 猛毒があんのかァ!!?」
だが、アニメ版ではシンプルに
「おれはカエルじゃねェ!!!」
となっている。
直後の「おれが魚人島ナンバーワンのタコ八刀流のヒョウゾウだ 覚えとけェ!!!」は共通。
おそらくカエルにも猛毒を持つものがいるからだろう。
また、ヒョウゾウをKOした直後、ゾロは「悪かったな…カエルかと思ったよ、井の中のよ…!」と言っているが、ゾロ自身も東の海でミホークと手合わせした際に「井の中の吠えし蛙(かわず)よ、世の広さを知るがよい」と言われている。
ゾロ相手には呆気なく惨敗したものの、自身の身体的メリットを活かし切っている特異な剣術を有する実力者というのは確か。
また魚人島周辺は偉大なる航路前半から新世界への中継地であるため、それなりの経験を積んだ多くの海賊と遭遇する。その上で島の外へ出てもっと鍛えられていたなら……。
かつて同門の間柄だったハチとは色々と対照的な描かれ方がなされている。アーロンに仲間入りを誘われた時期の詳細に関しては不明。もしタイヨウの海賊団に入る前に誘われていた際、仮に仲間になったとしてもフィッシャー・タイガーやジンベエ達と上手くやっていけたか怪しいが。アーロンやジンベエが尊敬し忠誠を誓うタイガーに対して彼がどう思っているのかは不明である。
新魚人海賊団の構成員として扱われている媒体が多いが、媒体によってはバンダー・デッケン九世と同様の同盟相手や外部協力者、用心棒として扱われているケースもある。