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やらせ

やらせ

あらかじめネタを仕込んだ上で、仕込んだ事実を明らかにしないまま、さも偶然発生したことのように装うこと。
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概要編集

この行為は事実とは異なる捏造脚色、あるいは過剰な演出などを行いながらそのことを隠し、捏造した誤った情報を「実際に発生したこと」として聴衆に伝えること。

それを真実とした場合、不祥事放送事故の一種として扱われる。

言葉の本来の意味に反して必ずしも誰かに何かをやらせているとは限らず、自分たちの意思で捏造を行っている場合も「やらせ」に含まれる。


用いられる場所編集

主にテレビバラエティ番組等で行われるが、ラジオ新聞等の他メディアでも行われ、また、まれにドキュメンタリー番組や報道番組等でも用いられる有名な演出法のひとつである。

この行為は日本に限らず昔から世界中のマスメディアで広く用いられている。


概要編集

元々は業界用語だったが、あるテレビ番組の「やらせ事件」が発覚し、大きな反響となったためこの言葉は定着したとされる。

ただし、元NHK職員曰く「やらせという言葉は新聞が作った言葉でテレビ局内では使われていない」とのことである。

種類等編集

  • 捏造

実際に存在しなかったものを「あった」こととして伝えること

  • 脚色

事実ではインパクトがないため、内容に装飾を施し、あるいは再構築して話を大きくする行為。

  • 再現

実際に存在はするものの、映像等のソースがない場合、役者等を用いその行為を再現し、その映像を実在のものとする行為。

  • 演出

たとえば「まったく関係のないこと」を関連付けたり大げさな表現を行ったりする行為、特に過剰なものがこれに該当する。

  • 自作自演

自らが行ったことを第三者が行ったように見せかけ、「このようなことが発生している」と報道する行為。

  • 過剰編集

インタビューや著書などから都合よく言葉を取り出し、自らに都合のよいように編集を行うこと。


実例

用語が定着した経緯編集

「やらせ」という用語が日本国内で一般化したのは1985年テレビ朝日製作のワイドショー『アフタヌーンショー』における、やらせ事件(Wikipediaへのリンク)が発端となる。

具体的に説明するとディレクターが「何か面白いもの撮りたいねー」と知人の暴走族に依頼。人を集めて仲間内でリンチを行う映像を撮影し、それに「激写! 中学生女番長! セックスリンチ全告白!」というタイトルを付け放送した。

その後放送から38日後の10月8日、リンチ加害者の少女の証言からこの放送は仕込みであったにもかかわらずその事実が明らかにされていなかったことが発覚。

ディレクターは暴力示唆の容疑で逮捕、テレビ朝日をクビになり、当時の社長が謝罪して番組は切りとなった。

なおこの事件によりテレビ朝日は民放連除名検討に加え、放送免許更新を総務省に拒否されかねないという未曾有の危機に陥っている。


1992年には朝日新聞のスクープによりNHKドキュメンタリー番組でのやらせが発覚した(奥ヒマラヤ禁断の王国・ムスタン事件)。ついでに翌年にはスクープした朝日新聞も珊瑚礁KY事件を起こした。


やらせ発覚後、刑事事件に発展したもの、あるいは番組の打ち切りに発展したものも存在する一方、特にバラエティ番組の場合「どうせ仕込みだろ?」程度の認識で世間に黙認されているもの、あるいは「やらせであることをあえてわかりやすく演出した」ネタ番組まで、捏造や演出等の大なり小なりは枚挙に暇なく、現在も一般的に広く行われている手法である。テレビの街頭インタビュー全般にやらせがあるのではという意見もある(リンク)。


やらせを行った(あるいは疑惑を持たれた)ことで有名な番組の一部編集

※は、やらせ問題が発端で打ち切り、あるいはバックナンバー配信の停止・再放送の中止に至り、メディアにおける大問題に発展したケース。

*1とあるコーナーにて一般人として出演した子供が自己紹介で「キリンプロです」と発言した。このとき、レギュラーだった藤井隆が「吉本興業の藤井隆です!」と言って誤魔化す神対応を見せた。

*2これに類似するパターンとして「番組スタッフをインタビュー回答者に見立てて番組に出演」させたが、結局発覚し「やらせ」と認定され該当番組の打ち切りが決定、番組主要スタッフが減給・降格・解職などの厳しい処罰を受けるなど、局の信用を揺るがす大騒ぎに発展したケースもある。

*3番組内での不正投票ややらせ編集発覚の影響で、当番組とAKB48のコラボグループであるIZ*ONEが事実上の活動休止となる。なお、2019年9月から放送中の日本版については、やらせや不正投票は一切行っていないことを発表している。

*4「アメリカ20世紀の三大スキャンダルの一つ」と言われるほど有名で、『クイズ・ショウ』という映画にもなったクイズ番組。

IQは170以上で凄まじい雑学の知識を誇るが見るからに冴えない容姿のハービー・ステンペルが連勝中、番組の視聴率が大きく低下した事に強い不満を抱いたスポンサーの圧力により、容姿端麗で独身のチャールズ・ヴァン・ドーレン(当時コロンビア大学教員)を「新しい王者」に抜擢。事前に正解を教えるなどのやらせで勝たせ続け「国民的英雄」にした事が発覚し、大問題となった。

*5アルカリ金属の引火性に対し、リチウムの爆発の演出に実際はダイナマイトを使っていたことが後に判明している(リチウムは激しく燃焼するものの、爆発を誘引するものではない)。


写真黎明期から昭和中期におけるやらせ編集

現在の感覚では”やらせ”は「再現映像」と断りがない限り許されるものではないが、写真黎明期より、終戦直後から遅くとも昭和中期までは事情が少々異なる。

現在での報道写真や報道映像は、報道すべき事実が発生しているときに、伝えるべき瞬間を撮影して発表したものである。


日本においては、終戦まではプロパガンダの一翼を担うために様々な写真加工ややらせが行なわれてきた。これは他国も同様である。もっとも防諜上どうしても必要な加工もあったが(艦船航空機の番号や記章を消す等)、事実と異なる報道がなされることもあった。


ところが、当時の撮影機材の事情から、どうしてもやらせを行わざるを得ない場合や、現在での裁判の法廷画のように「あくまでも数十年前まで新聞の主流だった挿絵と同等の扱い」という意識で行われていたこともあった。


例えば、当時はライカコンタックスと言った小型カメラは、あくまでも補助的な記録機材であり、職業写真家や報道カメラマンは中版や大版のカメラを使用していた。ライカなどの小型カメラは機動性が高く優秀な物もあったものの、写真撮影における自由度は大版カメラの及ぶところではなかった。

特に大版カメラは現像の際に一枚ずつ感度の調整ができたり、トリミングを行っても画質の劣化が少ないため報道分野や出版分野では重宝されていた。


当時主流だった大版カメラというものは、外寸は畳んだ状態でもハンドボール程の大きさがあり、ピントが合う範囲が極めて狭く、ピントを合わせるにも時間がかかるものであって瞬間的にピントを合わせて撮影することは困難であった。

また、フィルムハガキより大きいものをマガジンにセットし、一度撮影が終わったら、外光に感光させないように引き抜いて次の撮影に備える必要があった。

このため、撮影にかかる手間は小型カメラや後の一眼レフカメラに比べると比較にならないほど煩雑であり、また撮影のための機材も非常に嵩張る物であった。


このため、これらのカメラではよほどの熟練者でなければ「決定的瞬間」という事実を撮影することは困難であり、例えば「マッカーサーフィリピン上陸」や「硫黄島に掲げられる星条旗」といった写真は「事実に基づく再現写真」とならざるを得なかった。


しかしながら、一眼レフカメラが普及すると、撮影準備はフィルムさえ入れればほとんど掛らないと言ってよく、従来トリミングで行っていた画角の調整は交換レンズで行い、従前なら撮影できない場所でも望遠レンズなどで撮影ができるようになり、わざわざやらせを行う必要がなくなり、報道の質が向上したといえる。

一方で、そのような状況でもなおやらせを行った場合は非難を浴びることとなった。



関連タグ編集

マスゴミ 仕込み 捏造 演出 再現 自作自演

モキュメンタリー 偏向報道 風評被害 炎上

みんなのトラウマ


関連サイト編集

Wikipedia:同項目

ニコニコ大百科:同項目

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