概要
情報番組の一つで、報道バラエティとも呼ばれる。
生放送でニュース、生活、芸能、社会など幅広い話題、テーマを取り扱い、それぞれの話題について芸能人や文化人・専門家などのコメンテーターがコメントするという構成をとる。
世界各地でもワイドショーのような番組はあり、アメリカではTalk show、イギリスではChat showと呼ばれている。
昼間・午後のワイドショー
もともとこの時間帯は主婦向け情報番組がいくつか放送されていた時間帯だった。これがワイドショーの直系の先祖といえる。
主に平日昼の時間帯に各局共に盛んに放送しており、主な視聴者層は主婦もしくは老人が多い。古典的勤務環境のサラリーマンや学生は外に出ている為、あまり観る機会はない。
日テレ、TBS、フジは午後に放送し、テレ朝は正午に放送(午後の時間帯には、主に親会社の一部である東映制作のドラマの再放送を行っている)。
これまで芸能人のスキャンダルなどを扱っていたため、なにかと扇状的な傾向が強い。そして何より、平日夕方アニメ枠を破壊した元凶でもある。
ニュースのワイドショー化
1970年代末よりズームイン!朝、スーパータイム、ニュースステーションなどのニュースとワイドショーの融合が進み、さらにこれらは高視聴率を記録したことで類似番組が多数作られる。
70年代にメジャーであったストレートニュースは次々と姿を消し、「情報番組」がストレートニュースを次々と駆逐していった。そのため、「日本に報道番組はない。あるのはワイドショーだけ」とも揶揄されている。
民放での5分ストレートニュースやNHKニュースのような、視聴率を狙いにいかないようなニュースとして知られていた番組も、今やワイドショーの影響が非常に強い。
したがって、コメンテーターを雇う予算や遊べるネタが少ない地方局のローカルニュースの方が東名阪より質が高いという逆転した状況になっている。
なお、日本の放送法上、地上波のテレビ局は局の主目的が「報道」「教育」のどちらかの目的のみでしか放送免許が発行されない為、Eテレを除いた地上波のテレビ局全てには報道部門が存在しているが、ワイドショーは途中でニュースが流れたとしても、製作しているのはバラエティ番組部門・娯楽番組部門の場合が多い。
また、一見するとバラエティ番組に見えるものでも、社会問題を扱っている場合には報道部門が製作している事も有り、「ワイドショー」「バラエティ」と「ニュース」の違いは、事実上、製作しているのが局内のどの部門か、という視聴者には見えにくい違いしかないというのが現状とも言える。
(バラエティに見えるが報道部門が製作している番組では、スタッフや出演者や取材を受けた側からするとワイドショーとは逆に「そのネタ、裏取りが間に合いそうにないんで使えません」の基準が異様に厳しい、という事も起き得る)
海外(西側)ではストレートニュースの雰囲気はいまだ残されているが、二大政党制を反映し局の政治性を全面に押し出す傾向が強くなり、各党の支持者らが敵対するメディアをフェイクニュースと言い合う光景が見られる。
ワイドショーの時代
オウム事件や酒鬼薔薇事件等で「人の不幸は金になる」「社会不安を煽ると儲かる」と味をしめたテレビ業界はワイドショーを連発、実際に不景気の世の中も相まって視聴率を取りまくる。
2000年代後半からはキャスターやご意見番にアイドルやお笑い芸人が大量に投入されることとなり、特に芸人はひな壇芸人を擁するバラエティ番組に並ぶ中堅芸人の日課と化しつつある。その国民的影響力は1984の二分間憎悪に匹敵する。見たくなくても病院の待合室などで強制視聴させられる点も同じ。
注意
一部では「ワイドショーを見ているとバカになる」と言われるが、どちらかと言うとそれは因果関係が逆で、制作側が視聴者の知的レベルを低く見積もっているというのが実態である。(もちろん見てるとさらにバカになる)
ワイドショーに限らず、基本的にテレビ番組は中学生レベルのメディアリテラシーの視聴者に向けて作られている(あけすけに表現すれば「バカでも楽しめる」)。
また一時期「テレビは駄目だがネットは正しい」といったような論調がネットで流行ったが、実際のところネット民の大半はワイドショー的文化の影響を非常に受けており、その分かりやすい例がまとめブログや某ヤフコメである。
事件・事故・災害などの時事ネタに対しコメンテーターが旺盛に発言するものの、空気を読んで礼賛したりバッシングする、それだけである。
ワイドショーがデマで不安を煽り、それを鵜呑みにした視聴者によりパニックが起こった例は枚挙に暇がない。宮崎勤事件以降のオタクバッシングはワイドショーが大きな拠点となった。
※ただし、宮崎勤事件の際のオタクパッシングの代表例とされる「10万人の宮崎勤」に関しては、同じ人物が書いている話なのに、書かれた時期によって「明らかに紙媒体と読める書き方をしている」「TV局と明言している」など記憶に頼った裏付けに乏しい証言(第三者が出典などを確認出来ない)が多く、極端な例だと、一時期、日本語版Wikipediaに「レポーターの東海林のり子氏がTBSのワイドショーで発言した」という記述が有ったが、そもそも、東海林のり子氏は宮崎勤事件の当時はフジテレビへの出演が主で、TBSの番組には出演していなかった。
ワイドショーが幅を利かせているのは、堅苦しい社会問題から逃避せず真摯に向き合うことを嫌い、何事にもエンタメ性を求めたがる日本人視聴者の性分にも非があるわけである。見る層が同じなので、ネットのニュースも同じ有様どころか更に悪いという状況になっている。
ワイドショーはお茶の間の定番として親しまれている反面、新聞や週刊誌など他のメディア同様に、制作側の思想が多分に含まれている為、中立なものではない。
情報の選別は視聴者に委ねられることを忘れてはいけない。
ワイドショー一覧
ワイドショーと名乗っていない番組
TBSがあまり名乗らない理由は1996年のTBSビデオ問題で、これにより、TBSはワイドショーを名目上は撤退。午後の『スーパーワイド』(事件の発端となった『3時にあいましょう』の後番組)を5月31日で、午前の『モーニングEye』を9月27日で放送終了させたが「報道型バラエティ」として実際にはワイドショーが続いた。
それ以降、TBSのワイドショー番組制作が2015年春に『白熱ライブ ビビット』(2017年4月3日に『ビビット』に改称)が放送開始するまでワイドショーと名乗る番組は制作しなかった(デイリースポーツ online2015年3月10日付)。
関連項目
テレビ ニュース メディアリテラシー 偏向報道 マスゴミ お笑い芸人
1984…「二分間憎悪」というよく似た何かが出てくる。