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ボーイング747

ぼーいんぐななよんなな

米ボーイング社が設計・製造した大型ジェット旅客機。「ジャンボジェット」。
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概略

ボーイング社が設計・製造した大型ジェット旅客機1969年2月初飛行。愛称、ジャンボジェット
デビュー当時、他に類のない圧倒的な輸送力により、航空会社が大衆向けに航空券の安売りを始めた(後のエコノミークラスである)事で、世界的な航空機輸送の大衆化の旗振り役となった。
双発機全盛の2019年現在も貨物型を中心に細々ながら生産が続いており、販売中のモデルは『747-8(通称:ダッシュエイト)』型。

開発経緯

1960年代のジェット航空機はボーイング707やダグラスDC-8が主流となっていたが、増大する旅客需要に応えるために航空機の更なる大型化が望まれていた。しかしボーイング707は主脚の設計上の制約で胴体延長を行うことが困難であり、設計段階で胴体延長を見越していたDC-8にシェアを奪われつつあった。
そうした状況の中、当時ボーイング707を大量導入していたパンアメリカン航空の会長ファン・トリップ氏はボーイング社にさらに大型の機体の開発を要望する。その際ボーイングは一度没案になったアメリカ空軍の大型輸送機開発計画CX-HLSに目を付けた。
この計画は元々1963年にアメリカ空軍が新型の大型輸送機の制作を目論んだことで始動した計画であり、ボーイング社も設計案を提出していたのだが、結果ロッキード社案が「C-5」として採用され、ボーイングは敗北した。しかしボーイング社はこの設計案を旅客機に転用できるのではないか?と考え、パンアメリカン航空に打診。トリップ会長は大いに気に入り、作るのであれば取り合えず25機購入すると持ち掛けた事で1965年12月に開発がスタート。CX-HLS計画に投じた予算の回収を目論んだこともあり社運を賭けたプロジェクトとなった。
驚異的なスピードで開発が進み1969年2月に初飛行。1970年1月にパンアメリカン航空がニューヨーク~ロンドン線に初就航させた。

革新的な航空機として

ボーイング747は設計当時としては未曽有の400席級のジェット機として開発された。そうした中で現在の航空機にも繋がる革新的な設計や独特の構造が施されていった。

・従来の飛行場での運航を可能とした飛行性能
ボーイング747は70m級の大型機でありながら、ボーイング社のお家芸とも言えるトリプルスロッテッド・フラップ(高揚力装置)やディスクブレーキの採用により、3000m級は元より条件が整えば2500mの滑走路での離着陸が可能であり、特別な飛行場の改修を必要としなかった。

・隔絶した旅客・貨物搭載性能
上述したように747は400席~550席配置出来、現在の大型機としてもキャパシティ自体は見劣りしない。また、元々の設計が軍用機だった事もあり、コクピットを2階に設置されている事で、1階すべてを旅客・貨物の搭載スペースに使えるだけでなく、貨物機型は機首部分を丸ごと跳ね上げる「ノーズカーゴドア(機首積み下ろし口)」の設置が可能であり、通常の積み下ろし口の幅では積み込めない、長尺モノの貨物輸送が可能である。
このノーズカーゴドア、貨物の積み下ろしでは断然便利な機能であり、この点では最新のエアバスA380をも凌駕している。
(因みに747-8貨物型に限ってはA380以上の受注を得ている。というかA380は旅客型の開発遅延による貨物型の開発遅延の危惧やノーズカーゴドアを持たないため長尺荷物が扱えない、2階部分に積み込むには専用車両を導入しないと行けないといった欠点も見えてきたため、導入予定航空会社がすべて発注をキャンセルしてしまい開発が凍結されているため、このクラスの貨物型機としては当分ライバルがいないという状況である。)
ただし現在はエンジンの高性能化・信頼性の向上に伴い双発機でも747と同等のキャパシティーを確保できる様になった為、旅客型の747については最新型の旅客機を相手に不利を強いられている。

・エンジンメーカーが選択可能に
当時航空機に搭載されるエンジンは一つの型式あたり1社のみ限定供給と言うのが当たり前だったが、747-200型からはエンジンメーカーの選択が可能になった(ゼネラル・エレクトリック(GE)・プラット&ホイットニー(P&W)・ロールスロイス(RR)の3社より選択)
これにより航空会社が保有する機材に合わせたエンジンメーカーの搭載(例:P&W製エンジンを搭載するDC-8に合わせて747もP&W製エンジン搭載型を選択する)が可能となり、整備場の面からも歓迎されたことにより、更に受注を伸ばすことになった。

バリエーション

747はバリエーションが非常に多い。生産されている期間が長いことが大きな理由だが、もう一つの理由としては、後述するように日本の航空会社が独自にカスタムされたタイプを、しかもわずかな数だけ発注したということもある。

747-100シリーズ

-100(-100A)

最初のモデル。ローンチカスタマーはパンアメリカン航空であり、1970年に世界初就航させたのがこのタイプ。当初は装備されたエンジン(P&W/JT9D-3A)の出力がカタログ値通りに出なかったため水噴射を後付けして対応。
後に改良型エンジン(P&W/JT9D-7A)に換装したモデルを投入し、カタログ値通りの出力を確保できるようになった。
JT9D-3A搭載型を-100、JT9D-7A搭載型を-100Aと区別していたが、後に初期型もJT9D-7Aへの換装を行った為、-100Aも-100に改称された。
日本ではJALが1970年に就航させた。

SR(-100B/SR)

1970年代、利用者が伸び続けて需要が非常に高まっていたにも関わらず空港施設が貧弱な日本向けに特注されたモデル。SRとはShort Range(短距離仕様)の意味。飛行時間は長くて3時間、そして頻繁に行う離着陸対策としてギャレーやトイレの削減・シート間隔の切り詰め、機体フレームや降着装置の強化が施されている。
ローンチカスタマーはJAL(1973年~75年導入)だが、ANA仕様機(1978年~83年導入)は後述する-100B仕様となっていた為エンジンの選択が可能であり、P&W/JT9D-7Aを搭載したJALに対しANAはGE/CF6-45(-200Bに搭載されたエンジンの低出力型)を搭載している。このことからANA仕様機は厳密には-100B/SRとして扱われる(後にJALも増備として-100B/SRを3機追加購入)
なお、ANAの最終増備機の2機はエンジンをGE/CF6-50(-200Bと同型)に換装して導入しており、国際線にも投入していた(ギャレーやトイレは間引かれたままなのでSR仕様)
結局世界中でJALとANA以外に導入した航空会社は存在しなかった。

-100B

747SRを発展させたモデル。というかあまりSRと変わらない。世界中でイラン航空とサウジアラビア航空のみが導入した。

747SP

パンアメリカン航空の東京-NY直行便のために開発されたモデル。
機体の全長を思い切って短縮し重量を軽減させることで航続距離の延長を図っている。
が、この胴体短縮のお陰で主翼が二階建て部分の直後に来たことによりエリアルールに則った形状(二階建て部分が主翼による断面積増加分を吸収し、断面積の変化を抑えることにより空気抵抗を減らした)となり、
空気抵抗を大きく減少させたためにカタログ値以上の性能を発揮することが可能となった。
しかし乗客数の少なさがネックとなり、747シリーズでは最小の生産数(後述の747-100B/SUDを独立したモデルとして扱わない場合)となった。
日本の航空会社からの発注はないが、少し前までイラン航空の保有する機体が成田空港に顔を出していた。

747-200(747LR)

747-100の機体構造を強化し性能を向上させたモデル。構造を強化した分重くなったが、それを帳消しにするだけの高出力のエンジンを搭載したことで航続距離も延長された。東京ーNY直行便はさすがに無理だったが、JALが導入したー200のうち、最後期の3機はエンジンをさらに強力なタイプ(ー300と同じもの)に換装したモデルで、NY直行便での運用を可能にした。
旅客型のB形、貨物型のF形、貨客混合型のC形がある。

747-300

747SPの経験をフィードバックし、二階席を主翼直前まで延長したモデル。
空気抵抗の増加が少ない、というよりむしろ以前のモデルよりも改善された(=燃費がいい、巡航速度が高くなる)割に輸送力を強化できるため、各国の航空会社からの発注があった。

747-100B/SUD

胴体はー300だがエンジンはー100のものを装備したモデル。世界中でJALのみがSRの後継機として導入し、生産数はたったの2機。

747-300SR

747-100のエンジンの製造が終了したために、JALが-100B/SUDから切り替えて導入。生産数は4機。

747-400

フルモデルチェンジを行った747。通称ダッシュ400。このモデルの登場以降、-300までのモデルは747クラシックと呼ばれるようになる。
外見こそ従来の747と(ウィングレットの追加以外は)大差がないが、内部的には大きく変更されている。

  • コクピットのメーター類のグラスコックピット化(メーターではなくディスプレイに情報を表示する)
  • デジタル化の進展により運航乗務員は2名のみで飛ばせるようになった
  • エンジンを新型に変更(P&W JT9D→GE CF6/P&W PW4000)
JALでは「スカイクルーザー」、ANAでは「テクノジャンボ」という愛称を与えられていた。
また日本の政府専用機もこのタイプ。

747-400D

747-400の短距離型。SRの後継機として世界中でJALとANAのみが導入。短距離路線ではウイングレットの効果が期待できないことから取り外されている。ANAは一時期、一部の機体でウイングレットを装備するなど魔改造して国際線に転用させたことがある。

747-400ER

747-400の航続距離延長型。カンタス航空のみが導入し、生産数は6機。

747-8

現在製造が行われている、747シリーズ最新モデル。
747と言いながらも主翼の形状が787に近いものになったり、エンジンもGEnxやR.R トレントシリーズに変更されていたりするため、「747の皮を被った787」とも言える機体になっている。
旅客型は「747-8IC」、貨物型は「747-8F」と呼ばれる。
747-8IC形の二階席後部にはオプションとして多目的スペース「スカイロフト」を設けることが可能。
客席やVIP席、ラウンジなどに使用できる。
但し「スカイロフト」だからといってもここで鳥乗りの儀大乱闘はできないのであしからず。

747-400LCF「ドリームリフター」

ドリームリフター


言ってしまえば現代版スーパーグッピー。
世界各地で作られたボーイング787のパーツをアメリカの組み立て工場へ運ぶためのもの。胴体が大きく膨らんだ形状をしている。日本では中部国際空港で見る事ができる。

日本国内では日本航空JAL)・全日本空輸ANA)の両社が保有運用しており、かつては世界で唯一輸送時間3時間未満の国内輸送に使われる747でもあった。それ故に高頻度運航に対応するため脚部を強化し翼長を変えた日本国内専用機「747-SR」や「747-300SR/-400D」が製造された。SRは短距離を示す「short Range」の略、Dは単純に国内線を示す「Domestic」から来ている。

この理由として、諸外国と比べても格段に多い公共交通による大量輸送需要に加え、日本国内の空港がどこも混雑し「747のような巨大旅客機でなければ輸送が捌けない」状態であったことがあげられる。その結果、747は各地で一般人により手軽に利用出来る国内線で頻繁にその姿を確認出来るようになり、「ジャンボジェット」が日本では特に大衆化される要因となった。
しかし、日本国内でも空港の発着枠(その空港に飛行機が離着陸可能な総量)が増加した。特に羽田空港の沖合展開事業と滑走路増大による輸送力緩和、関西国際空港開港による大阪の空港事情の大幅な改善は、中型機による多頻度運航を可能にした。更には航空会社がそれにつられて増大し、大手航空会社もその競争によって必然的に輸送量を減らした。また、新幹線が東西に伸長し、航空機のシェアを奪った。以上のことから747による大量輸送はさほど必要が無くなっただけでなく、大阪伊丹空港では4発機の運用が制限されることもあって、数少ない大型輸送も777に交代。特に経済性が高く、輸送力も747に引けを取らない777は、国際線でも747を世界的に置き換えていった。このことからJAL保有機は2011年3月に引退した。そして、ANA保有機も2014年3月に引退した。
日本の空にも省エネ化の波が押し寄せているのだ。



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