概要
欧州の航空機メーカー・ATRが開発した双発のターボフロップ機。
ATR42の胴体延長型であり、標準座席数は72席になった(これが形式の由来)。胴体延長に伴いエンジンは出力強化型が装備されている。燃費に優れ一機当たりの価格も安いためB737やA320では採算のとりづらい地方路線や大型機材を確保しづらい格安航空会社での運用に向いている。また、貨物機仕様も存在しそういった路線での貨物輸送に使われる。
軍用機としても、イタリアやトルコが哨戒機として使用している。
初飛行は1989年だがその後も改良が続けられ、現行型のATR72-600はグラスコクピットや炭素複合材料が導入されている。
ライバルはDHC-8-Q400。あちらがスピード重視なのに対し、こちらは燃費重視といったところ。
兄弟機のATR42と同じく、日本では比較的最近運航されるようになった機種であり、日本エアコミューターやトキエアが運航している。
芳しくない風評
その一方で、ATR42共々小型旅客機としては結構事故に遭いやすい機体でもある。
まず、防氷装置の面積が足りないというという設計上の問題で、翼に着氷(氷が付着)しやすいという欠点がある。これが原因で起きた事故により、アメリカの航空会社では寒冷地での同機の運用を控えるよう勧告されているが、着氷時のフライトマニュアルが改定されただけで防氷装置の問題そのものは現在に至るまで改善されていない。そのため着氷による事故はその後もいくつか起きており、2012年にはロシアで防氷装置の作動し忘れで同機が墜落した事故が起きている。
ただ、特定の環境での運航に注意が必要というだけで、特段重大な問題を抱えた欠陥機というわけではないという点は留意してほしい。
また、上記の通り小規模な航空会社でも割と手を出しやすい、ということは一部のリスクを軽視しがちな会社に杜撰な運用をされてしまいやすいということでもある。とくに台湾ではトランスアジア航空が1年足らずで立て続けに事故を起こしてしまい倒産している。