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概要

戦後初めて開発された国産輸送機
開発には米軍から供与されていた輸送機C-46が老朽化したことや、YS-11が(物資用の輸送機としては)性能不足気味だったためという背景がある。
日本航空機製造(NAMC)、及び防衛庁技術研究本部が中心となって設計された。
・・・もうおわかりだろう、この時点である意味変態機としてのサラブレッドとなることが確約されたも同然だ。(後述)

・・・とは言うものの、これに社会党、共産党などの左翼勢力が気づいた日には猛反発することは確定的に明らかである。
なにせ当時は太平洋戦争のトラウマが未だ癒えない上に、日米安保条約自動延長反対運動(70年安保)真っ盛り。加えてベトナム戦争での米軍の作戦行動(「枯葉剤作戦」や「ソンミ村事件」)に非難が浴びせられ、世界規模でベトナム反戦運動が沸き起こっていた時期。である。
おまけに左翼勢力内には空母からB-52が発進できる」という航空機工学や造船工学を無視したトンデモ発言を平然としてのけたアホもいた。これ自体は発言・人物ともにC-1開発よりもだいぶ後のものだが、いくら前科(軍事転用しない条件で観測ロケットを輸出したら、輸出先がその技術をミサイル開発に転用した)持ちとはいえ、C-1開発の少し前に軍事転用など考えていない純粋な衛星打ち上げロケットの開発を「誘導装置が軍事転用可能だ」という理由で反対した人達なのであまり変わらなかったのかもしれない(なお、そのロケットは誘導装置を積まない世界初の無誘導衛星打ち上げロケットとなった)。
このように、「物を運ぶための飛行機、それ以上でもそれ以下でもない」ときちんと解説したところで彼らがそんなことなど聞き入れてくれるはずがなく、「他国を侵略するための機体だ」と言って聞かないなんてのは目に見えていた。

・・・という訳で、当時の佐藤栄作内閣と防衛庁の政治判断…ぶっちゃけ「他国に行く事なんてできません!」と言い張るために、航続距離が1500km程度に抑えられてしまった。
貨物搭載量が約8tということからすればちょっとなんてもんじゃない控えめな航続距離である。
C-1が開発された当時は沖縄は返還されていなかったため、一応自衛隊で使う分には支障はなかった。沖縄返還前は、だが……。

問題は他にもあった。国策会社であるNAMCは、法律で軍用機の製造が禁止されていた。さらにNAMCの経営陣は、企業経営はド素人と言っていい通商産業省(当時)官僚出身者多数を占め、詳細は省くが経営は見事などんぶり勘定、YS-11の頃から営業は全くダメ、サポート態勢もなってないで、赤字体質が身についてしまった。
こんな状況では後継機製造どころではない。結果、C-1(当時は「C-X」と呼ばれていた)の量産は、NAMCの大株主である三菱重工業川崎重工業富士重工業、新明和工業、日本飛行機、昭和飛行機の機体メーカー6社の内、T-2の開発にとりかかっていた三菱を除く5社が分担し、最終組立を川崎で行う事が決まった。

メカニズム

機体は軍用の輸送機としては標準的な構造で、後方に積み降ろし用の大きく開くドアがあり、主翼の桁で荷室を圧迫しないように高翼式(機体の上に主翼が付いている、またT字尾翼となっており、短い主脚が胴体から直接生えている。
高翼式は安定性が増すという副次効果もあるが、運動性が求められる戦術輸送機としてはデメリットになるため下反角をつけて安定性を打ち消している。
エンジンはボーイング727などにも採用された名器、プラット・アンド・ホイットニーJT-8Dを2発搭載する。
型は古いが信頼性は抜群である。但し、低バイパス比ターボファンエンジン故騒音が大きく、実際にC-1を運用する基地の周辺では騒音に関する苦情が寄せられたこともある(低バイパス比エンジンは性質的にはターボジェットエンジンに近い)。
また、軍用機という性格上致し方ないとは言え、機内は「与圧だけはされているから息はできる」程度であり、振動や騒音に対する配慮はほとんど・・・というか一切されていない。このため、災害救助などで民間人が(貨物室に)乗った際の評判はお世辞にもいいとはいえない(但しこれはC-1に限ったことではなく、大抵の軍用輸送機に言えることとも言える)。
フラップは強大な揚力を発生させられる四重隙間式を採用。このフラップと、(機体の規模からすれば)強力なエンジンによりわずか600mで離陸することが可能となっている。

カワサキか…

先述の通り、社共両党や在野左翼勢力からの非難を防ぐために、航続距離は物足りないってレベルじゃなくなってしまったが、反面機動性はすこぶる良い。
下向きに角度を付けられた主翼や高めのパワーウェイトレシオによりちょっとした戦闘機並の機動性を有している。
輸送機ながら急上昇・90度近いバンクでの旋回・バレルロールなども可能となっている。さらには宙返りまでできたという噂も・・・ええい、日本の輸送機は化け物か!(もっとも、世界的に見ればこんな変態飛行ができる輸送機が他にいない訳ではないがそのほとんどはプロペラ機である)
さらに輸送機としては高速性能もかなりのものがある。
この輸送機離れした運動性能に、嘘か本当かは知らないが米軍が特殊部隊向けに欲しがったとかなんとか。まあ武器輸出三原則というものがある以上、海外に売るのは難しかったが。

そもそもこの機体の設計には先述の通り、川崎重工(NAMCを通じて)とTRDIという変態組織2つが絡んでいるので当然といえば当然かもしれないが。

後継機

そんなC-1であったが、沖縄返還後に輸送力や航続距離の問題が露呈し(沖縄に飛ばすために貨物室に燃料タンクを増設された機体があったが、当然その分輸送力は落ちた)、航空自衛隊は急遽C-130を導入するハメとなった。
その後は機体延長による大型機化や、早期警戒機化、機雷敷設機化などが計画されたが、いずれも頓挫している。特に早期警戒機化を巡る、佐藤栄作内閣下での中曽根康弘防衛庁長官と海原治同庁官房長(のち国防会議事務局長)との激しい対立は語り草となっている。海原は国民に一定期間の軍事訓練を積ませて民兵化したスイス型の防衛体制を持論としており、C-1の開発自体にも反対していた。
余談だが、後に海原は航空自衛隊のF-4導入の際も「こんな高級で高性能な戦闘機は専守防衛に反するから必要ない。アメリカが途上国向けに開発したF-5で十分(要約)」と主張して導入反対の論陣を張り、しまいにはF-4導入を盛り込んだ第3次防衛力整備計画の初年度予算案に判を押さないと言い出してまで導入決定を覆そうとしたが、流石にこの暴挙が通るわけがなく海原は官房長の職から更迭された。

正式運用開始後は基地間の輸送や第1空挺団の訓練・支援などに用いられてきたが、機体の老朽化のため、C-X(後のC-2)に置き換えられることとなった。
ちなみにこのC-2は搭載能力や航続距離の問題は解決されているが、さらにはパワーウェイトレシオや反応性がC-1よりさらに向上しているという噂がある。
つまり・・・どういうことかわかりますね?

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飛行機 軍用機 輸送機 C-2
川崎重工カワサキ) 防衛庁技術研究本部
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