艦体データ
艦級 | ラー・カイラム級 |
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分類 | 機動戦艦 |
全長 | 487m |
全幅 | 165m |
武装 |
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所属 | 地球連邦軍 |
概要
地球連邦軍が開発した機動戦艦。艦級については「カイラム級」とされる場合もある。
一番艦「ラー・カイラム」は地球連邦軍外郭部隊「ロンド・ベル」隊の旗艦で、艦長はブライト・ノア大佐。
高いMS運用能力と武装を両立させた高性能艦である。対MS戦闘における防空戦闘力も高い。
通常ブリッジと戦闘ブリッジの2つの艦橋を持ち、戦闘ブリッジは脱出ポッドにもなる。艦の左右舷に発進用カタパルトを1基ずつ、後部に着艦用甲板を持つ。
設計については過去登場した主力艦からの影響が幅広く見られ、
- 主砲・対空機銃の配置:マゼラン級戦艦
- 艦体前半部の設計:サラミス級巡洋艦
- 艦後半部からエンジン部の設計:アレキサンドリア級重巡洋艦
- カタパルトの配置:アーガマ級強襲巡洋艦およびアイリッシュ級戦艦
- 二種類のブリッジ:バーミンガム級戦艦およびドゴス・ギア級戦艦
からの影響が見受けられる。ティターンズ艦やエゥーゴ艦からも設計を吸収しているのも特徴であろう。
ラプラスの箱事件が発生したU.C.0096年時には極東サセボ工廠にてミノフスキー・クラフトが搭載されたことで地球の重力下でも運用が可能となる。
MS搭載数はジェガンタイプなら約15機。
MS運用能力に関しては大型のファンネルを背負うνガンダムや巨大バックパック(BWS)を背負うリ・ガズィも問題なく運用・整備・出撃できるほどに高い。この時期は一般汎用MSもベースジャバー等のサブフライトシステム(SFC)を使用するのが宇宙地上問わず普通になっていたのでジェガン15機に加えてそれらが使用するための必要数のベースジャバーも積載可能だったとも言われる。
同時期に竣工したクラップ級巡洋艦とは設計思想を同じくし、連携して艦隊を組むことを前提として設計されており、主砲やカタパルト、巨大放熱板などのように設計が共通する部分も多い(さすがに配置は違う)。
もっとも、カイラム級は竣工した数そのものが少なかったため、実際はカイラム級とクラップ級のみの艦隊が組まれることはまれだった(ほとんどはクラップ級がサラミス改級を束ねることが多かった)。
総じて連邦製軍艦の集大成と呼べる傑作である。就航した宇宙世紀90年代においては最高水準の性能を誇っており、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」や「機動戦士ガンダムUC」では宇宙、地球を問わず華々しい活躍を果たした。
また宇宙世紀100年代以降は地球圏において大きな騒乱がなかった事から、以降は地球連邦軍では新鋭艦の開発は行われず、艦就役から50年以上経過した「機動戦士Vガンダム」においても同型艦「ジャンヌ・ダルク」が第一艦隊の旗艦を務めるなど、連邦組織の象徴として扱われた。
120年代に入るとMSの小型化も推し進められたため、もとより大きなペイロードを誇る本級の価値はより向上したという事情もある。
なお上述のジャンヌ・ダルクでは艦首にビームシールドが増設されていた事から、運用時代によって逐次近代化改修を行われていたようである。
主な同型艦と登場作品
アドミラル・ティアンム
「機動戦士ガンダムF90」「機動戦士ガンダムF90クラスター」に登場。艦長はアントニオン・ノヴォトニー大佐。艦名は一年戦争後期に戦死した連邦軍の名将・ティアンム中将に由来しており、他の同型艦と異なり発艦用カタパルトが船体に対して垂直に近い角度になっているのが特徴。
作中では第13独立機動艦隊旗艦で、当初は同艦隊を基とする第13実験戦隊の旗艦としてガンダムF90のテストを行っていたが、火星独立ジオン軍(オールズモビル軍)によってF90・2号機が強奪されてしまう。そのため、本来の第13独立機動艦隊旗艦に戻り、艦隊を指揮してF90奪還とオールズモビル軍掃討を目的に火星へと派遣される。
最後はノヴォトニーが密かに持ち込んでいた核弾頭で味方諸共オールズモビル軍を核攻撃しようとし、それに反対する乗員たちと揉めている中、オールズモビル軍が発射したオリンポス・キャノンが直撃して轟沈してしまった(最もオリンポス・キャノンも発射の衝撃で自壊してしまい、それに巻き込まれたこともあって火星独立ジオン軍も壊滅している)。
エイブラム
「機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122」「機動戦士ガンダムF90FF」に登場。艦長はワイブル・ガードナー中佐。MSデッキの扉回りが青に塗装されている。
作中では当初ガンダムF90の移送任務を主に担っていたが、やがてもう一つの任務である第13反地球連邦組織討伐部隊の旗艦として、オールズモビル軍の掃討とそのスポンサーの調査を行っていく。
エイジャックス
「機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91」「機動戦士ガンダムF90FF」に登場。
艦長は「シルエットフォーミュラ91」時点ではバズ・ガレムソン大佐だが、ガレムソンがネオガンダム1号機で出撃した後は副官のリディア・ドーフマン大尉が指揮を執っている。「機動戦士ガンダムF90FF」時点では艦長はランディ・ホーキンス大佐、副官はリディア・ドーフマン中尉。
「シルエットフォーミュラ91」では、ガレムソンが隊長を務める連邦軍特務部隊「第304部隊」の旗艦として登場。ネオガンダムの試験の傍ら、ガレムソンの私欲で「ネオ・ジオンの残党狩り」に名を借りて当時既に禁じられていたジオン残党の虐殺を行っていた。ゼブラゾーン事件では「シルエットフォーミュラ計画」の後始末のためにゼブラゾーンを訪れるが、ネオガンダム2機のうち2号機を主人公のトキオ・ランドールに強奪された上、トキオ達に虐殺の事実を知られてしまう。ガレムソンが出撃した後、ジオン残党が潜む難民コロニーに逃げ込んだトキオ達の実験船ブレイウッドをコロニーごと砲撃で葬り去ろうとするが、ネオガンダム2号機によるG-バード全力射撃で艦橋を破壊されてしまい、そのまま轟沈した。
「F90FF」では宇宙世紀0116年、新編された連邦軍第2特別実験戦団「ファステストフォーミュラ」の旗艦として就航し、オールズモビル軍との戦いに挑んでいく。
ラー・グスタ
「機動戦士ガンダムF91」に登場。連邦軍フロンティアサイド駐留軍所属。他の同型艦と比較してグレーがかった塗装をしている他、MSカタパルト部分も黄緑色に近い薄黄色となっている。
作中ではダミー隕石に船体を隠してクロスボーン・バンガード(CV)が占拠したコロニー「フロンティアⅣ」に接近。自衛用迎撃ミサイルでダミー隕石が破壊された後はMS隊を急速発進させつつなおもフロンティアⅣに接近し、CVの中心人物が集まる迎賓館に向けて周辺の避難民に関係なくコロニー外から艦砲射撃を実施し、避難民に多数の死傷者を出した。この際に部下から避難民を巻きこむ可能性を上申された艦長が発した「その程度の被害で戦争が終わるなら、安いものだ!」はなかなかの名台詞として知られる。このシーンの後の去就は不明。状況から見て撃沈ないし拿捕された可能性があるが、それも含め明かされていない。
この戦闘は尺が短いシーンながらも、「500m近い船体をダミー隕石に隠して近くまで接近することに成功」「性能で劣るGキャノンで艦砲射撃を回避しながらデナン・ゲーと渡り合うMS隊」など、ラー・グスタや艦載MS隊、そしてそのクルー達の練度の高さを窺い知ることができる名シーンでもある。小説版では「宇宙戦艦」と記述されているだけで艦級までは明かされていないが(そのため一部ではクラップ級とされることも)、CV中心人物攻撃を目的として編成された決死隊であるとされている。
この他にも「F91」劇中ではフロンティアサイド駐留軍に少なくとも艦名不詳の1隻が所属しており、CVとの砲撃戦に参加している。また、終盤ではこれらとは別に連邦軍増援艦隊の1艦として1隻が月より出撃するが、ラフレシアの攻撃に遭い撃沈された。
ジャンヌ・ダルク
「機動戦士Vガンダム」に登場。ムバラク・スターン大将が指揮する連邦軍主力艦隊の旗艦で、ビームシールド装備などの近代化改修がなされている。また、ムバラクが常に通常ブリッジで指揮を執っているため、戦闘ブリッジは廃止されている模様。
作中終盤においてムバラク提督指揮の下、艦隊共々リガ・ミリティアに合流して連合艦隊を編成し、エンジェル・ハイロゥを地球に降下させようとするザンスカール帝国軍と交戦。最終的にザンスカール軍艦隊に特攻を仕掛け、乗員の退艦作業中に艦橋を破壊されてムバラク提督が戦死するなどしたもののなお進み続けた末、ザンスカール軍艦隊の主力であるズガン艦隊旗艦「ダルマシアン」に特攻し、同艦とズガン艦隊を道連れに轟沈した。
なお、登場した「Vガンダム」はTVアニメだったため、それに際して劇場版の設定画よりもディテールを簡略化した新たな画稿が用意されている。