概要
『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』は『機動戦士ガンダムF90』と『機動戦士ガンダムF91』の外伝として企画されたガンダムシリーズのプラモデル商品、及び小説や漫画等のメディアミックス作品である。
プラモデルでの商品展開におけるシリーズ正式名称は『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91 IN U.C.0123』である。
キャラクターデザインは『機動戦士Ζガンダム』から『機動戦士ガンダムF91』までの間に数多のガンダム作品で作画監督を務めたベテランの小林利充氏。
メインメカニカルデザインは『機動戦士ガンダムF91』と同じく大御所の大河原邦男氏が担当した。
小型モビルスーツ開発に乗り遅れたアナハイム・エレクトロニクス社が、サナリィから非合法なスパイ活動で手に入れたデータを基に極秘のモビルスーツ開発計画『シルエット・フォーミュラ・プロジェクト』を開始したことから端を発した一連の事件を描いた『ゼブラゾーン事件編』と、サナリィが『フォーミュラ計画』により開発した新型コア・ファイターを巡る戦闘を描いた『クラスターガンダム編』の二部構成となっている。
ただし、プラモデルのシリーズとして商品展開を企画中に『機動戦士Vガンダム』のTV放送が急遽決定したために、『クラスターガンダム編』は序章のみで終了しており続編は全く展開されていない。
コミカライズ等のメディア展開
BANDAIが刊行していた月刊情報誌『MJ(模型情報)』で1992年6月号~1993年1月号までプラモデルのジオラマ作例と絡めて『シルエットフォーミュラ・ジオラマストーリー』として全8章構成で連載されていた小説版と、こちらもBANDAIが定期的に出版していたガンダムのアンソロジー漫画作品集『MS SAGA』で1992年8月~1995年11月まで3年間に渡り連載していたやすだひろし氏による漫画版の二つのストーリーがある。
両作品共に『ゼブラゾーン事件編』で終了しているが、ストーリー展開と結末は大きく異なる。
漫画版は『MS SAGA』の廃刊後にメディアワークスの電撃コミックスより単行本として纏められて発売されており現在も容易に入手可能だが、小説版は単行本化や電子書籍化、他誌での再掲載等は全くされていない為、閲覧するには当時の『MJ』を中古で入手するしかない。
『クラスターガンダム編』は1993年3月にプラモデルが発売されるのに先駆けて、講談社より1992年12月に発行された『コミックボンボン12月号増刊・冬休みジャンボ増刊号』においてコミカライズされた読み切り漫画が掲載された。
漫画を担当した岩村俊哉氏は後にコミックボンボン本誌において『機動戦士Vガンダム』のコミカライズ連載も手掛けている。(ただし、漫画の内容は全くアニメとは異なる話だったが…。)
このコミカライズ版は1993年6月に発行された『コミックボンボン六月号緊急増刊・機動戦士Vガンダム特集号』にも漫画の枠外に設定解説を追加する等して再掲載された。
その後は単行本化や再掲載などは全く行われなかったため、漫画が掲載された雑誌の入手は非常に困難であったが、2006年に講談社コミックス『ガンダム短編集2』にて『機動戦士ガンダム シルエット・フォーミュラ フォーミュラ91の亡霊』のタイトルで単行本に初収録され、漫画作品としては容易に入手が可能となった。
ちなみにそのコミカライズ版の内容とは、当時流行っていたドラゴンボールのような絵柄で少年漫画的なご都合主義展開が進行すると云うものだった。
まるで超サイヤ人孫悟空のような主人公のウォルフ・ライルに、敵側のデス・ガンズはドドリアさんのようなドドンガ・ドン中尉と、髪形をツインテールにした人造人間18号のようなイアン中尉と例えればイメージがしやすいだろうか。
敵側のボスキャラであるガンマッド少佐とウォルフの上司である連邦軍の名無し大佐も長大で立派なケツアゴをした鳥山テイストなダンディーキャラに描かれている。
内容もかなり荒唐無稽で奇妙な描写が目立ち、例えば…
①クラスターガンダムの武器が、何故かトレードマークの筈の二丁のメガビームバズーカではなくゲルググJG型のビームマシンガンになっている。
②しかもシーンによってはF91版のジェガン・ノーマルタイプが装備していた物に似た謎のビームライフルだったり、装備数も二丁だったり一丁だったりと、最後まで作画が安定しない始末。
③クラスターガンダムがコロニーミラーの残骸でビームを反射したり、ガンマッド少佐の耳付きデナン・ゾンが電撃を纏ったショットランサーの一薙ぎでクラスターガンダムの残像を全て消滅させると云った物理法則や設定を無視した様な技を使う。
④クラスターガンダムがメインノズルやバーニアを噴射する様子が全くなく、宇宙空間を走るように移動して物理分身をしたり、何故か「ゴォオオオ」と全身からオーラを出して飛行すると云う常軌を逸した性能を見せる。
…等々、上記に挙げただけでもかなり突っ込み所が多い。
クラスターガンダムの武器が変なのは設定画の提供が間に合わなかった為と思われるが、シーンによってライフルの大きさや物自体がコロコロと変わるのは流石に失笑せざるを得ない。
そして…ガンダムエース2024年8月号で連載が開始された『機動戦士ガンダムF90クラスター』において、なんと『クラスターガンダム編』が31年ぶりに上述の岩村版に準拠したキャラクターデザインで再びコミカライズされることとなった。
ゼブラゾーン事件編
劇場版アニメ『機動戦士ガンダムF91』の前日談となる物語である。
宇宙世紀0123年2月──月の裏側。
かつてのジオン共和国サイド3と月の中間に位置する暗礁宙域であるゼブラゾーンを舞台に、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクス社の合同モビルスーツ開発計画『シルエット・フォーミュラ・プロジェクト』により編成された新型モビルスーツ試験部隊『ブレイウッド』とクロスボーン・バンガードの新型モビルスーツ試験部隊である『ダーク・タイガー隊』との衝突に端を発した事件を描く。
プラモデルのシリーズ商品展開中に急遽TV放送が決定した『機動戦士Vガンダム』との橋渡しとなるべく後半主役機のネオガンダムにはコア・ファイターによる合体システムが設定された。
GジェネレーションFに登場した『シルエットフォーミュラ91』は、このゼブラゾーン事件が取り上げられている(ただしユニットの内何体かは初代Gジェネレーションの段階で出ていた)。
キャラクター
アナハイム・エレクトロニクス社
RXF-91シルエットガンダムのパイロットで階級は少尉。
『SFP』のテストパイロットとして連邦軍よりアナハイム・エレクトロニクス社へ出向している。
戦争を知らない世代で戦闘は経験不足である。
21歳。
アナハイム・エレクトロニクス社のエンジニア助手。
冷静沈着な性格で常に理論的な思考をする。
周囲からは「アイス・ドール」と渾名されるが本人は嫌がっている。
20歳。
アナハイム・エレクトロニクス社専属の民間人テストパイロット。
ハーディガンのパイロットを担当する。
軍人であり天才的な操縦技術にも長けるトキオをライバル視している。
ゼブラゾーンの廃コロニーで出会ったレイラに好意を寄せるが…。
19歳。
元ネオ・ジオン軍の大尉でMSパイロット。
Gキャノン・マグナのパイロットを担当する。
アナハイム・エレクトロニクス社に拾われ第二の人生を送っていた。
52歳。
『SFP』のためにアナハイム・エレクトロニクス社に艦長として雇われた、元連邦軍大佐。
極めて小心な男ではあるが、民間船のブレイウッドにメガ粒子砲を仕込む等、やる時はやる職業軍人的な策士の面も併せ持つ。
55歳。
アナハイムテスト部隊のチーフエンジニア。
アイリスの亡き父の親友であった。
42歳。
地球連邦軍
オールズモビル掃討の一環としてネオ・ジオン残党狩りを受け持つ禿頭の連邦軍士官
階級は小説版では中佐だが、漫画版での階級は大佐となっている。
連邦軍の傭兵部隊の隊長でもある。
35歳。
ガレムソンの部下で階級は大尉。
小説版にのみ登場。
機体各所にあるハードポイントに追加武装を装着し、小型ビームランチャーを装備したカスタム型ヘビーガンを駆る腕利きベテランパイロット。
トキオが乗るネオガンダムと対峙し追い詰めるが、シェフィールド大尉のビギナ・ゼラによって撃墜された。
戦艦エイジャックス所属、第306特務部隊の副長で、階級は大尉。
ショートカットをオールバックに纏めた髪形をした、クールビューティーな女性士官。
ガレムソンの忠実なる部下である。
漫画版のみ登場。
本作の漫画版では『ドーフマン』の呼称のみであったが、『機動戦士ガンダムF90FF』でフル・ネームが明らかになった。
トキオのネオガンダム2号機がコロニー内から撃ったG-B.R.Dのビームによってエイジャックスの艦橋ごと蒸発させられ死亡。
階級は大佐。
漫画版にのみ登場。
アナハイム上層部とクロスボーン軍のジレ・クリューガー大佐らと共謀し、ガレムソンに命令を下していた黒幕の一人。
アナハイム・エレクトロニクス社とサナリィはおろか、ブッホ・コンツェルンとも太いパイプを持つ。
クロスボーン・バンガード
クロスボーン・バンガード軍の新型モビルスーツ試験部隊の隊長で階級は大尉。
ベルガ・バルスとビギナ・ゼラのパイロット。
ザビーネ・シャル大尉とは同時にクロスボーン・バンガードに参加した竹馬の友の間柄である。
「フレイム・タイガー(炎の虎)」の異名をもち、深紅に塗装されたMS群を率いる。
23歳。
ダーク・タイガー隊が初配属の新人パイロットで階級は少尉。
試験型デナン・ゾンのパイロット。
シェフィールド大尉の部下となり、深紅の機体を与えられた事に誇りを感じている。
19歳。
ネオ・ジオン残党
ゼブラゾーンにある廃コロニーでネオ・ジオン残党により育てられた娘。
小説版と漫画版では容姿が全く異なる。
小林利充氏のキャラクター設定画では髪形がボブカットで利発そうなイメージで描かれているが、漫画版ではショートカットでボーイッシュな印象が強くなっている。
ゼブラゾーンでのサバイバル生活は彼女が幼い頃からMSに乗ることを強要し、18歳という年齢の割にMSを巧みに乗りこなす少女へと成長させた。
初登場時の乗機は幼い頃から乗り続けたギラ・ドーガだったが、小説版ではハーディガンに乗り、漫画版ではトキオがネオガンダムに乗り換えた後のシルエットガンダムを操縦した。
レイラの父であるアデル・ラギオールはカール・シュビッツの元同僚だった。
レイラの父で初老の男性。
小説版にのみ登場。
漫画版では劇中の6年前にガレムソンが行ったネオ・ジオン残党狩りという名目の虐殺によって死亡している。
セブラゾーンの廃コロニーに隠れ住むネオ・ジオン残党のリーダー格である。
ネオ・ジオン残党の人々が暗号通信を解析したことにより、地球連邦政府高官とブッホ・コンツェルンの裏取引を知り、単身でダーク・タイガー隊の旗艦に出向きシェフィールド大尉を説得した。
その勇敢な行為はシェフィールド大尉をして「偉大なるアデル・ラギオールに感謝するんだな」と言わしめた程であった。
漫画版にのみ登場。
廃コロニーに隠れ住んでいたネオ・ジオン残党の長老であり代表。
小説版のアデル・ラギオールに相当する。
ブレイウッドのクルー達が提案した「コロニー住人の保護勧告」をカール・シュビッツが交渉に当たったが、これを拒否した。
カールとはかつてネオ・ジオン軍での同胞であり、彼に「廃コロニーのネオ・ジオン残党はクロスボーン・バンガードとの間に中立前提の協定を結んでいた事実」を明かす。
メカニック
アナハイム・エレクトロニクス社
小説版では物語序盤でダーク・タイガー隊の包囲網をリミッター解除して突破した時点でほぼ出番は終了。
プラモのインスト版ストーリーでは追加ブースターを使用してグラナダのアナハイム・エレクトロニクス社の工場へとネオガンダムを受領しに向かうが、クロスボーン軍の猛攻に晒され大破してしまう。
小説版ではレイラから「肩に91のマーキングがある白いやつは冷たい感じがして嫌」だと言われていたが、漫画版の後半ではレイラが乗ることになる。
小説版では最後に「テスト結果を基に改修された」と記述があるのみ。
漫画版には全く登場しない。
小説版ではレイラに「あたし、この青と白のモビルスーツが好きだな」と言われてケビンが大喜びするシーンがある。
が、クロスボーン軍に廃コロニーを襲撃されたドサクサで、コロニー住人を守ろうとしたレイラに乗り逃げされてしまう。
小説版ではレイラに「赤いのはダサい」と言われてしまう。
ハーディガンをレイラに乗り逃げされたケビンが乗るが、肝心のビームキャノンがマシントラブルで作動せず。
クロスボーン軍の攻撃をモロに喰らった機体は大破し、ケビンは重傷を負う。
連邦軍のコロンブス級輸送艦に外観を似せた民間船。
実際はスペース・アークの様にクラップ級巡洋艦を改装したものである。
民間船のため、メガ粒子砲等の武装は施されていない…筈であったがホルストの計らいでコンテナに偽装してメガ粒子砲を装備していた。
地球連邦軍
漫画版のみ。
小説版にはトキオの乗った一機しかネオガンダムは存在しない。
小説版ではブレイウッドにネオガンダム用のコアファイターが試験目的で積んであり、トキオはこれを使用して月のグラナダ工場までネオガンダム本体を受領しに向かった。
バズ・ガレムソンの率いる第306特務部隊(小説版では306特務中隊)の旗艦。
小説版ではダーク・タイガー隊の奇襲により、所属するMS部隊ごと殲滅された。
漫画版ではトキオのネオガンダムがコロニー内から外壁ごしに放ったG-B.R.Dの高出力ビームによる一射で艦橋をまるごと蒸発させられ、そのまま航行不能となり轟沈した。
クロスボーン・バンガード
ベルガ系の最終型で、ベルガ・ギロスのシェルフ・ノズルをウィング状に改良した高機動型。
1993年頃にBクラブよりガレージキットで改造パーツが発売されたが、未だにプラモ化はされていない。
- 試験型デナン・ゾン
ダーク・タイガー隊仕様は深紅に塗装され、試験型は偽装のために頭部のデュアル・センサーを保護するモノアイ型のゴーグルカバーを装着している。
またオバリー機の試験型ショットランサーは模擬戦用で、槍部分はダミーのラバー製である。
劇中にはガンダムタイプの頭部で初登場し、「赤いガンダム!?」とトキオを驚愕させた。
クラスターガンダム編
劇場版アニメ『機動戦士ガンダムF91』の後日談となる物語である。
F91がモビルアーマー・ラフレシアを撃破し、殺人兵器バグの驚異が去った後の、クロスボーン・バンガード軍に制圧されたフロンティアⅠが物語の舞台となる。
連邦軍上層部から「サナリィの施設からフォーミュラ計画に関する極秘メモリーチップを奪還せよ」との特務命令を受けた腕利きパイロットのウォルフ・ライル少尉とクロスボーンの傭兵部隊『デス・ガンズ』との戦いを描く。
『機動戦士Vガンダム』のTV放送決定後に急遽企画されたもので、Vガンダムへと繋ぐべく主役機のクラスターガンダムにはネオガンダム同様にコア・ファイターによる合体システムが組み込まれた。
またクラスターガンダムのメイン武装となるメガビームバズーカは『機動戦士Vガンダム』本編では連邦軍とリガ・ミリティアのモビルスーツが使う標準的な武器として設定された。
キャラクター
地球連邦軍
階級は少尉。
年齢は不明。
地球連邦軍きっての問題児だが、腕利きのMSパイロットであり、特殊工作任務を易々とこなす戦闘のプロでもある。
「──ったく!コアファイターたった一機でこさせやがって…メモリーチップだかポテトチップだか知らねーけどよ──てきとーにすませて帰ろ」
『フォーミュラ計画』のメモリーチップを回収し、残りの書類を焼却するために爆薬を仕掛けたが量を間違えてサナリィの施設を全て吹き飛ばすという抜けた面もある。
ドドンガに利き腕を撃たれ、脱出の際の爆風で火傷を負うも、コア・ブースターで暗礁宙域に隠された「大佐からのプレゼント」であるクラスターガンダム本体まで辿り着いてドッキングを敢行し、初めて操縦したクラスターガンダムを完璧に乗りこなして『デス・ガンズ』を全滅させクロスボーン軍の追撃部隊を撤退させた。
『ゼブラゾーン事件編』と同様に小林利充氏による明確なキャラクターデザインが存在するのかは不明だが、クラスターガンダムのプラモデルのボックスアートには逆立った様な独特な髪形をした人物のシルエットが描かれているため、BANDAIとサンライズによるオフィシャル版のキャラクター設定画が存在している筈であるが、詳細は不明。
コミカライズ版の超サイヤ人の様な髪形はこのシルエットの基になった画を参考にしたと思われるが、漫画が描かれた時期的に逆の可能性も有り得る。
ガンダムエース2024年8月号より連載開始の『機動戦士ガンダムF90クラスター』でも同様に鳥山明先生リスペクトなキャラデザのままで登場した。
- 大佐
ウォルフ少尉に『フォーミュラ計画』のメモリーチップ回収任務を指令した地球連邦軍の大佐。
名無しである。
「コアファイターにはまだまだ無限の可能性が秘められているのだ……いつの日か…コアファイターそのものがガンダムと呼ばれる日がくるかもしれんな……」 と云う名言を残した。
- ラウル
基地にいた大佐の部下で階級は大尉。
「連邦軍きっての問題児」であるウォルフが大嫌い。
クロスボーン・バンガード
- 死神三銃士“デス・ガンズ”
友軍にすら平気で銃を向けるその凶悪さから、クロスボーン・バンガードの兵士達から「死神三銃士」と呼ばれ畏怖される傭兵部隊。
「髑髏と拳銃」をモチーフとした部隊章をメンバー3人それぞれの機体にマーキングしている。
ガンダムシリーズに度々登場する3人チームの例に洩れず、敵機に対して三位一体で仕掛ける『トリプル・ガンズ・シュート』と云う名のフォーメーション・アタックを得意とする。
「イアン中尉、トリプルシュートをしかけるぞ…いや…ドドンガがいないからダブルシュートか…」
『機動戦士ガンダムF90クラスター』本編ではなんとF80を駆って登場。
これに併せて「髑髏と拳銃」の部隊章も新たに詳細なデザインが起された。
連邦軍の傭兵だった時代に参戦したオールズモビル軍掃討作戦のエピソードが描かれる。
- ガンマッド
『デス・ガンズ』の隊長で階級は少佐。
ダンディーな風貌でカウボーイハットを目深に被り、西部劇のガンマン風の格好をして、常に葉巻を咥えている。
一見するとニヒルで冷酷な性格に思えるが、意外とノリが良い。
イアンが提案した【殺人ゲーム】に対しても 「頭だ…」 と、ちゃっかり参加したり、時限爆弾による爆風を利用してパラシュートで脱出したウォルフに対しては 「味なマネを…」 と評していた。
鍛え抜かれた射撃の腕はかなりのもので、モビルスーツの操縦にも長ける。
状況判断に優れ、ドドンガを射殺したウォルフの銃弾が心臓に2発撃ち込まれていることを即座に見抜いたり、モビルスーツでの戦闘ではクラスターガンダムの物理分身をいとも簡単に見切る程の凄腕パイロットである。
専用にカスタマイズされた「耳付き」のデナン・ゾンを操る。
ザビーネ・シャル大尉と面識があり、彼からラフレシアを撃墜したF91の存在を聞いていたために、「腰だめに二門のハイパワービーム砲を持った白いモビルスーツ」であるクラスターガンダムをF91と誤認した。
『機動戦士ガンダムF90クラスター』には序章からの登場。
こちらではクラスターガンダムを「ビームシールドのガンダム」としてF91と誤認した。
第一次オールズモビル戦役時にはOタイプ装備のF80を操っていた。
- イアン
『デス・ガンズ』の紅一点で、階級は中尉。
カウガール風のヘソ出しファッションで、髪形はツインテールと見た目は小柄で可愛らしい少女のような容姿をしているが、性格はかなり冷酷かつ残忍。
戦闘や殺人をゲーム感覚で愉しんでいる節がある。
無抵抗の連邦軍の捕虜をいたぶって殺すだけでは飽き足らず、「貴様ら、無抵抗の捕虜を撃つのか?」と抗議してきた捕虜に対しては 「なら抵抗してみなよ」 と、あえて銃弾の込められた拳銃を渡して 「わたし、心臓に10ドル…どう?ドドンガ中尉」 と発言し、あろうことか【捕虜を生きた標的にした殺人ゲーム】を提案する等、血も涙もない様な非人道的行為を平気でする。
でもガンマッド少佐の言うことだけは素直に聞くツンデレ。
クラスターガンダムの謎の二丁ライフルで乗機のデナン・ゾンを撃ち抜かれ死亡。
少しもったいない。
『機動戦士ガンダムF90クラスター』には序章から登場する。
相変わらずのツインテールな人造人間18号だが、絵柄が現代風になったせいか頭身も上がっており、より一層可愛らしくなった。
第一次オールズモビル戦役時の乗機はQタイプ装備のF80。
- ドドンガ・ドン
階級は中尉で『デス・ガンズ』のドドリアさん枠。
物語冒頭では、撃破した連邦軍モビルスーツの無惨な残骸の山を前にガンマッド少佐から「反乱分子制圧のためまだフロンティアⅠから撤収しない」ことを告げられ 「連邦のやつら皆殺しだーっ!グハハハハ!!」 と大喜びしていた。
顎髭を生やし、禿頭にバンダナを巻いて、上半身は素肌に袖無しチョッキだけのヒッピースタイル。
小指で鼻くそをほじくる癖がある。
イアンから【捕虜を生きた標的にした殺人ゲーム】を提案されて 「乗ったぜ!オレはどてっ腹だ」 とノリノリでOKしていた。
巨漢で下品で残虐な性格である。
名前からして作者のやる気が全く感じられない。
「デブ」と言われると大激怒し、地形が変わる程に銃を乱射するが、舞空術で空中へと逃げたウォルフには全弾避けられてしまう。
直後にウォルフの利き腕を銃で撃ち抜くが、逆に心臓に2発銃弾を撃ち込まれ死亡した。
ここで死亡したために『機動戦士ガンダムF90クラスター』の序章には登場せず…。南無阿弥陀仏。
第一次オールズモビル戦役時にはGタイプ装備のF80に搭乗。
通信しながら撃破した敵機の頭部を無意味に蹴飛ばすなど、MS操縦にも性格が滲み出ていた。
メカニック
地球連邦軍
岩村版コミカライズではメガビームバズーカも専用のビームライフルも手持ち式のビームシールドも一切登場しなかったため、武装の性能は不明。
ウォルフからは終始「F90サード」と呼ばれクラスターガンダムの名は劇中には一切出てこなかった。
『機動戦士ガンダムF90クラスター』ではドッキングシーンが丁寧に描かれ、更にビームシールドを使用したが、腰には何故か見覚えのあるライフルが…。
クロスボーン・バンガード
『デス・ガンズ』の機体は特別にチューンナップされた性能向上型であり、通常機とは異なりショットランサーと併せてビームライフルも装備する。
更にガンマッド少佐の機体は指揮官用として、索敵機能と通信機能が特に強化されており、頭部にデナン・ゲーと同タイプの通信アンテナが追加されている。
上述したF80と同様の「髑髏と拳銃」をモチーフにした部隊章を胸部中央にマーキングしているが、『機動戦士ガンダムF90クラスター』のものとはデザインが少し異なる。
部隊特有のパーソナルカラーがあるのかは不明。