カタログスペック
頭頂高 | 15.4m |
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本体重量 | 8.5t |
全備重量 | 21.7t |
ジェネレーター出力 | 4,570kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金セラミック複合材 |
スラスター総推力 | 92,080kg |
武装 | バルカン砲×2、メガマシンキャノン×2、ビームサーベル×2、ビームスプレーガン、ヘビーマシンガン×2、ヴェスバー/併設同軸ビームキャノン×2、ビームライフル、ビームシールド |
概要
アナハイム・エレクトロニクス(以下、AE社)が、『シルエットフォーミュラ計画』において宇宙世紀0122年8月にロールアウトさせた、技術検証用ワンオフ実験試作機。形式番号にはRX-F91。
(なお、同年の宇宙世紀0122年には、AE社の第二期MSジャベリンが地球連邦軍に制式採用されている)
AEが宇宙世紀0112年に非合法に入手したサナリィのガンダムF90Vタイプ(宇宙世紀0111年ロールアウト/ミッションパック除く)、及びガンダムF91(宇宙世紀0116年ロールアウト/バイオ・コンピュータ除く)のデータが導入されており、機体バランスはF91に近似(但しF90Vタイプやバックキャノンタイプの方がより近い)している。
F91の再現を目的とした実験機ではあるが、フレームにはMSA-0120同様にヘビーガンの物の流用品が使用されている。このため、軽量化の面ではF91に追い付く事ができなかった。しかし、ジェネレーター出力など一部スペックでは上回る事ができ、ハードウェア面における総合性能では同等レベルに達している。 また機体構成はサナリィ製高級試験機であるF9系列で採用されている熱負荷に弱いタイプのコンピュータが使用されていない事も有って機体構造を装甲強度に振った頑丈な造りであり、パイロットのデザイン面での安心感はこちらの方が上だった、との事。またヘビーガンベースのフレームからF91と同水準のハードウェアを構築したと考えれば、アナハイムが長年培った設計能力の一面の優秀さを垣間見ることもできる。
技術盗用のタイミング(何しろオリジナルであるサナリィ側にすら実機はまだF90Ⅱ用の不安定な試験型しか当時は存在していない)から必然的に、AEではバイオ・コンピュータを完成させられなかったため、代替として高性能教育型コンピュータを搭載している。この教育型コンピュータは、戦闘経験を積ませることでパイロット固有の『クセ』を覚える仕様となっている。
機動面においては、既存の機体ではコンピュータに行わせる機体バランスのバイアスやベクトル調整を、コクピットのサイドコンソールパネル上にある各トリムタブにおいて、マニュアルで変更するMACSS(マニューバ・コントロール・サンプリング(サポート)・システム)を採用している。この機能は試験機である当機の運用データからサンプリングを行い、後の量産機用のマニューバプログラムを生成する物で、マニュアル操作によって機体の性能バランスを意図的に変更可能であった。能力を単一方向に偏らせた状態での瞬発的な機動性能は、既存のあらゆるMSを上回るとされる。しかし安定性を著しく欠いた機体挙動となるため、F91同様にパイロットにニュータイプ並みの能力がなければ、性能を引き出すことは不可能とされた。
トキオ少尉は、エリート部隊であるダーク・タイガー隊のデナン・ゾン、デナン・ゲーとの遭遇戦において、MACSSをカットし機体制御を本来のダイレクト状態に戻す事で機体本来の機動特性を取り戻し、デナン・ゲーの撃墜に至っている。
これらの他、シルエットガンダムは技術の模倣に重点が置かれたデータ収集用のテスト機のため、プロペラントの積載量が少なく、戦闘継続時間は通常の機体より短い。一方でパーツの換装・追加が容易な構造であり、この点ではF91よりもF90に近い性質を持っている。
パイロットはトキオ・ランドール、レイラ・ラギオール。
なお、プラモデルの商品名は「ガンダムRXF91」となっているが、これは『シルエットフォーミュラ91』の企画が当初二転三転していてタイトルがなかなか決まらなかった事の名残である(これに合わせてシルエット改も『RXF91改』となっている)。
武装
ビームライフル
専用のビームライフルで通常の物より連射性が強化されている。グレネードランチャーなどのオプションを装備可能。
ビームサーベル
背部に左右一対二基搭載されている。宇宙世紀の一般MSのサーベルとしては珍しくナックルガードの有る形状である。
ヴェスバー
可変速ビームライフル。詳細はリンク先を参照。
アナハイムが入手したデータではオリジナル機に搭載されている内蔵型の大容量メガコンデンサの存在が不明であったため、その部位には独自の解釈としてビームキャノンをセットしている。本体から分離しての使用はできない。 ただしメガコンデンサはあくまで「分離させる事による取り回しの改善」の為の機構である為クランク構造によってF91のヴェスバーより取り回しが改善した本機にとっては無くてもよい機能とも言える。また作中でビームライフルとの同時射撃も行っている。
独自の仕様として、片手での使用に特化し接続にクランクアーム方式を用いることで、AMBAC肢としての可動域を広く持たせられている(AMBAC肢としての機能自体は、F91のヴェスバーも有しているが、コネクタ部のレールスライド移動方式を採用しているためシルエットより可動範囲は低い)。この方式を採用したおかげでジョイントの強度が確保され、F91と比べて戦闘中の破損・脱落を起こし難くなっているため、戦闘中脱落することはなかった。またアームで保持されている為データリンクやエネルギー供給の不完全接続やコネクションロストなども基本的には生じない。その為かF91のサナリィ製ヴェスバーより高出力で一説には「F91のヴェスバーでは貫通出来ないIフィールドを貫通可能」とされている(F91のヴェスバーを引き合いに出している為「貫通出来ないIフィールド」というのは恐らくF91劇中でヴェスバー射撃の防がれた描写の有る「ラフレシア搭載のIフィールド」の事と推察出来る)。Iフィールドを貫通できるビーム兵器自体は後の時代に登場しているが、それは高出力ジェネレーターで稼働するMSでしか扱えないものだった。
ビームキャノン
盗用技術に不安を抱いたAE社の技術者が、フェイルセーフ用の武装として、上述の大容量コンデンサ部に当たるユニットスペース(デッドスペース)に、追加搭載した。これはおそらくバックキャノンタイプの仕様も反映された物。 本体のヴェスバーと併用することで火力向上も容易である。改ではヴェスバーの性能が向上した為、キャノンからライフルレベルに変更している。
メガマシンキャノン
胴体肩口襟元に搭載された機銃。左右一対二基。
ビームスプレーガン
右前腕に装備された補助武装。F90Vのハードポイントオプション装備を参考にしたものであるため、換装や未装備状態運用も想定されている。
漫画版では装備されていない為下記のヘビーマシンガンや上記メガマシンキャノンと混同される事が多い。
ヘビーマシンガン
左前腕に上下一対半埋め込みで装備された補助火器。
漫画版や小説版でも使用描写が無く、ゲーム作品では無かった事にされたり上記二種の補助火器と混同され易い。デザイン上も機銃ではなくスラスターの類と勘違いされることが多い。
ビームシールド
発振機の形状がノウハウ不足から大型化し、シールドビーム発生域も上下に二分割された狭い範囲の物となっており、取り外しての運用も考慮されていない(一応外された状態の接続コネクタ基部の設定画が存在する為、換装などの展開は想定されていた模様)が、後にこのことによる利点が発見されているとされる。高出力となっており、マニュアル変更でシールドビームを発生部片側のみ発生させたり、出力を片側に集中しビームソードとして攻撃に転用することも可能となっている(これが「後に利点が発見されている」という文章の意味を指すのかは不明)。ビーム非発生時にはガントレットとしての使用も可能。
関連項目
シルエットフォーミュラ91
シルエットフォーミュラ計画 ネオガンダム シルエットガンダム改