カタログスペック
頭頂高 | 15.8m |
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本体重量 | 9.5t |
全備重量 | 23.5t |
ジェネレーター出力 | 2,870kw |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
スラスター総推力 | 82,260kg |
概要
宇宙世紀0110年頃にアナハイム・エレクトロニクス社が開発した、地球連邦軍の制式採用量産型モビルスーツ。形式番号RGM-109は、一年戦争で活躍したRGM-79ジムの正統な後継機である事を謳っている。
劇中では「ヘビガン」と呼ばれる。
長らく大規模紛争が無いまま軍事費が削減されていく中でサナリィが打ち出した「小型モビルスーツ」に影響を受けた機体であり、長らく連邦軍の主力を務めた『名機』ジェガンの後継機として量産配備された。
15m級ではあるが、ジェネレーターに旧来型のものを用いているため、第一期MSに分類される。
黎明期は頭頂高18mが一般的であったモビルスーツは、度重なる地球圏の混乱の中、多機能・重装備による大型化が進み、宇宙世紀0100年を過ぎるころには20m級を越え、30m級すら現れるようになった。これに伴い、単機当たりの開発・整備費用は言うに及ばず、整備施設の規模も大掛かりなものとなり、第二次ネオ・ジオン抗争及びラプラス事変を経て、ジオン共和国の自治権放棄が滞りなく済んだ後、非戦時下の平和な時代では、設備の維持に莫大な予算がかかる状態となってしまっていた。
このまま進化を続けた場合、予算が逼迫するのは明白であり、その流れを是正するため、連邦政府は宇宙世紀0102年に外郭団体(半官半民企業)であるサナリィに解決策を要求した。この結果、サナリィで提案されたのは設備規模縮小のためにMSのサイズを見直し、原点に立ち返る意味も込めてMSが生まれた当初の平均全高をさらに下回るサイズに統一するという、「MS小型化計画」であった。
アナハイム・エレクトロニクスは過去に開発した従来型MS・艦船・設備の建造で巨額の利潤を得ていたため、この計画に沿ったMSの開発要請は受け入れがたい要求であった。また、上述の通りこの頃は反地球連邦運動も沈静化していたため、自社開発のジェガン・タイプの続投販売・簡易改修のみでも治安維持には充分という自負もあり、同社の小型MSの開発を鈍化させる一因となっていた。以上のような背景により、当然ながらアナハイム社の新型機開発の気運は低く、完成には連邦軍の発注から実に5年もの歳月がかかった上、完成した機体も「従来サイズのMSを置き換えない軽MS」として何ら革新的な技術も用いられていない「ジェガンを一回り小型化しただけ」と揶揄されるレベルとなった。
小型化(軽量化)により運動性や機動性はちゃんと向上しており、『機動戦士ガンダムF90FF』ではリゼルを翻弄している。
しかしながら、ジェネレーターはジェガンJ型のものを流用しているため、さしたる出力を有していない。クロスボーン・バンガードでは量産機デナン・ゾンですら採用していた次世代防御兵装ビームシールドを稼働させるだけのジェネレーター出力を有していない点は致命的であり、開発側の気運の低さがそのまま具現化したかのような機体であったと言える。
申し訳程度として、RGM系列としては珍しく装甲材にガンダリウム合金が用いられているが、機体性能はサナリィが提唱・要求した基準にはまるで届いておらず、特に初期型は不具合が頻発したため現場からは「ジェガンM型のほうがマシ」とまで言われる始末であった(本件については、年代経過と共に解消されている)。
この後、改良機であるMSA-0120を切っ掛けに、連邦は(一時的に)アナハイム社との蜜月の関係に見切りをつけ、サナリィに小型・高性能MSの開発を依頼する事になる。
それでも小型化の有用性を証明し一応の成功を収めた事で連邦内におけるMS小型化の推進にはつなげたものの、あくまでもより本格的な第二期MSが完成するまでのつなぎという扱いであった。
宇宙世紀0123年に始まったコスモ・バビロニア建国戦争時点で、既に次世代量産機の先行量産型が完成しており、退役を待つ段階であったことから、小型・高出力ジェネレーター等を標準搭載した第二期MSであるクロスボーン・バンガードの小型MSには殆ど歯が立たなかった。
とはいえこの戦闘ではクロスボーン・バンガード側と連邦側とでパイロットの練度に著しい差があった点も事実であり、パイロットの腕次第では本機でクロスボーン・バンガード側のMSに対抗することは可能であった。例として、フロンティア・サイドに配備された機体の内、ビルギット・ピリヨが搭乗した機体などは、シーブック・アノーの搭乗したF91と共に一定の戦果を挙げている。
武装
頭部バルカン砲
ジェガンでは外装式1門だったものが再び内装式2門となっている。
ビームライフル
銃身保護と射撃精度向上のため、フルバレル構造を採用している。時期的に対MS戦闘がほとんど想定されていなかった事もあって、コロニー内で過剰な威力を発揮しないようサブセンサーによるリミッターが装着されている(コロニー内の施設などを検知するとリミッターがかかる仕組み)。不使用時は腰背部のラッチにマウントされる。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム』ではジェムズガン用のビームライフルを装備した機体が登場する。
ビームサーベル
サーベルラックの位置が設定されておらず、サーベルの本数も資料によって1本だったり2本だったりする。
シールド
前述の通り、ビームシールドを稼働させるだけのジェネレーター出力を有していないため、実体盾を装備する。ジェガンのものと異なりウェポンラックとしての機能はない。
ハンドグレネード
腰の左右に4基ずつ、計8基を装備する。コロニーへの被害を考慮し威力が抑えられているため、対MS戦闘には向かない。
サーチライト
コロニー内において電力喪失やミラーの破壊による光源の喪失を想定して頭部に装備されている。MSのセンサーには暗視機能も備わってはいるものの、パイロットによる肉眼での確認も必要とされて採用された。
立体物
1/100シリーズにラインナップ。ビームライフル、シールドが同梱する。 ライフルは、腰部にマウント可能で腰部グレネードラックは開閉ギミックが組み込まれている。
関連動画
バリエーション
ヘビーガン重装攻撃型
両腕・両肩に火力を強化したもの。中距離支援を想定している。
ヘビーガン・カスタム
ハーディガンの前身となるヘビーガンのカスタム機。形式番号RGM-109Ⅱ。
後述のへビーガンⅡを経て「ハーディガン」に改称される事になる。
ヘビーガンⅡ
ヘビーガンのマイナーチェンジモデル。形式番号RGM-111Ⅹ。
性能は不明だが、へビーガンからさほど劇的な変化が無かったとされている。
ヘビーガンⅡ(0116年仕様)
サナリィから得たF70のデータ導入による性能向上型。
各部のハードポイントにF90のミッションパックの装着が可能となっている。
本機で得たデータをによって「ハーディガン」が完成するとのこと。
ハーディガン
アナハイム・エレクトロニクスがシルエットフォーミュラプロジェクトによって開発した、ヘビーガンのアップデートモデル。形式番号RGM-111。
詳細はハーディガンを参照。
MSA-0120
ヘビーガンをベースに、宇宙世紀0111年に行われた、連邦軍の次期主力機コンペティションにおける、サナリィへの対抗機体として開発された。
アナハイム・エレクトロニクスの最新鋭機体ではあったものの、当時のアナハイムはMSの小型化に積極的ではなく、機体の小型化よりも武装面に最新技術が投入された。
詳細はMSA-0120を参照。
シルエットガンダム
シルエットフォーミュラプロジェクトの、最初の到達点として、F91の再現を目指した試験機。形式番号RX-F91。
アナハイム・エレクトロニクスが初めて開発した、本格的な第二期MSにあたる。フレームにはMSA-0120同様に、ヘビーガンのものが流用されている。
詳細はシルエットガンダムを参照。
ヘビーガン(マケドニア仕様)
宇宙世紀0150年代にサイド2の独立国家「マケドニア・コロニー」が自国防衛用の戦力として運用した機体(つまり、元々は現地駐留の地球連邦軍が用いていた機体)。
マケドニア・ヘビーガンとも呼ばれ、マケドニア軍によって独自の改修が施されており、特に頭部~胸部は独自の形状の物に変更されている。本編登場は28~29話。
これら改修によって基本性能こそ向上しているものの、やはりビームシールドは装備されていない。
当時既に旧式化が進んでいたジェムズガンよりも更に旧式の機体であり、サナリィの流れを汲むザンスカール帝国製モビルスーツに対して性能的不利は否めなかった。第一期MS=ビームが直撃してもジェネレーターが核爆発を起こさない機体に慣れていたせいか、マケドニア軍にはゲドラフやVガンダムに平気でビームライフルを発砲しようとする命知らずのパイロットもおり、逆にゲドラフに普通にコックピットを撃ち抜かれていた個体もいた。
また、同型機はサイド5の「ネオ・テキサス」の部隊が運用している。
関連動画
関連項目
機動戦士ガンダムF91 シルエットフォーミュラ91 機動戦士Vガンダム
ビルギット・ピリヨ
キャノン・イルフート…∀ガンダムの脚本段階では「ヘビガン」なる機体名が書かれていたが、結果Gキャノンの全面アレンジ稿とされた。