「シシス万歳!」
「影と共にあれ」
概要
The_Elder_Scrollsシリーズの舞台となるタムリエル大陸の暗殺者ギルドの一つ。
英語表記は「Dark Brotherhood」。
モロウウィンド地方の同業者である「モラグ・トング」から分派した組織。組織に関する最も古い記述は第二紀412年とされているが、存在自体はそれより前からあったのではないかと推測されている。 (※1)
その設立経緯と信仰先の違いからモラグ・トングとは激しい対立関係にあり、ご本尊兼最高指導者である夜母の出自(の一説)から盗賊ギルドとも不仲。
一方でブラックマーシュ地方のアルゴニアン(トカゲ獣人)の王直属の暗殺組織「シャドウスケイル」とは繋がりが示唆されている。
- ペラニー・アッシー著『闇の兄弟たち』
組織体制
宗教色が強く、闇の父とされる神シシス(Sithis)とその妻である「夜母」への信仰をその鎹(かすがい)としている。
殺人衝動の持ち主や成人前に吸血鬼化してしまった者など、社会のはみ出し者が家族として団結したアットホームな職場 (少なくともスカイリム地方では)。
他のギルドほどギスギスしていたりもせず、やることも明確に「殺し」なので、居心地良く感じるプレイヤーも多い。
【教義】
■5つの戒律
宗教組織でもある一党の掟。
日本語版のノリは昭和特撮の悪の秘密結社そのものである。
教義1 | 決して夜母に無礼を働かないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 |
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教義2 | 決して闇の一党を裏切らないこと、そして秘密を漏らさないこと。それらを行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 |
教義3 | 決して闇の一党の高官からの命令に背いたり、遂行を拒んだりしないこと。それらを行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 |
教義4 | 決して闇の兄弟や闇の姉妹の所持品を盗まないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 |
教義5 | 決して闇の兄弟や闇の姉妹を殺さないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 |
■シシス
闇の一党の信仰対象となる存在。
虚無を司るなにか、あるいは虚無そのものとされている。「死と闇と原初の混沌の神」「混沌の大蛇」「破壊者」「終わりをもたらす者」「恐ろしい悪魔」「終わりのない虚無の化身」「ドレッド・ロード」などの様々な通称を持つ。 (※1) (※2) (※3)
シセロの言葉を見る限る他の神々ほど擬人化されていない、自然そのものに近いものに受け取れる。だが、第二紀においてはシシスの像が普通に売られていた。
シシスの信仰者は死後虚無に送られるとのことだが、少なくとも当人たちにとっては居心地のいい場所であるらしい。
■夜母
闇の一党の創設者でシシスの妻。不浄なる母、隠匿の淑女、虚無の女王などと呼ばれる。
シシスに授けられた5人の子を、彼の愛顧を得るべく殺し夜母となったと言い伝えられる。
謎の多い存在であり、元盗賊ギルドで殺人部門を作ろうとして組織を追放されたとも、モラグ・トングの指導者だったとも、あるいはメファーラと同一人物であるとも言われている。(※4)
生前は青い瞳をしたダークエルフだったとのことだがTES4では骨と霊体、5ではミイラである。つまり言うまでもなく既に故人なのだが、その魂は遺体に宿りつづけ「聞こえし者」を通じて組織に指示を出す。少なくとも確かなのはデイドラやドラゴンなどよりは格の低い存在であること。普段は定期的な保全作業が必要なただの死体でしかなく、「聞こえし者」がいなければ他のものと意思疎通すらできない。
TES5ではミイラな彼女となんどか顔が近い状態になる。怖い。
ある作家は老女の姿で現れた「夜母」と話した事を書いている。(※5)
【構成員】
■ ブラックハンド(Black Hand)
闇の一党の意思決定機関にあたる集団。ハンド(手)の名前の通りブラックハンドは手をモチーフとしており、"親指"である「聞こえし者」を中心とした5人で構成されている。
ただ別に聞こえし者のワンマンというわけではなく、ブラックハンド内での協議も行われるようである。 (※6)
■ 聞こえし者(Listener)
ブラックハンドの"親指"に当たるリーダー。「聞こえし者」が即身仏的なナニカである夜母の声を聞く能力(もしくは才能)をただ一人持ち、夜母の声を「伝えし者」4人に伝達する役目がある。
■ 伝えし者(Speaker)
ブラックハンドの親指以外の"指"に当たる4人。闇の一党の各構成員たちに依頼内容を伝える役目を持つ。幹部ではあるが聖域にこもっているわけではなく、伝達やスカウトのため必要に応じてフィールドワークに出る場合もある。 (※7)
また、自身の直属として「奪いし者」を従えている。
■ 奪いし者(Silencer)
ブラックハンド……というよりは、"指"の"爪"に相当する存在。「伝えし者」直属の暗殺者。
■ 守りし者(Keeper)
闇の一党にある古い伝統の一つ。「夜母」の魂の器である遺体を護衛する事がたった一つの任務とされる(遺体の管理・保守も)。「夜母」に忠誠を誓う者にとっては最高の名誉であるものの、同時にそれは任命された者の暗殺任務が終わることも意味しているという。 (※8)
第四紀では「聞こえし者」の不在という事態を受けてブラックハンドがシセロに任命している。
【依頼方法】
- まず依頼人が違法の禁呪儀式「黒き聖餐」を行うことによって「夜母」に自動で依頼が伝わる(受信)。
- 「夜母」から「聞こえし者」へと依頼の発生が伝わり、「聞こえし者」から残り4人の「伝えし者」に、そして「伝えし者」から下級構成員へと指令が下る(情報共有)。
- そして末端の暗殺者が依頼人と直接会い、依頼内容や報酬などについて具体的な交渉を行う(営業)。
……という上記のようなトップダウン方式をとっている。
なお組織の弱点としては、「聞こえし者」が殺害や失踪などで不在になると依頼自体が届かなくなってしまい、組織が機能しなくなるという事。
第四紀のスカイリム地方では、この「聞こえし者」と「夜母」が揃って長らく不在だったことで依頼が受信できず、伝統を捨てて「黒き聖餐を行っている人の噂」をアテにして自分たちで探しに行かざるをえなかった。
【モラグ・トングとの違い】
Morrowind地方を中心に活動する暗殺組織モラグ・トングは、闇の一党から見てかつての親元・母体にあたる組織。
ちなみにモラグ・トングとはダークエルフ語で「森の一党」と言う意味で、ネーミングからも闇の一党とのスタンスの違いが見て取れる。
モラグ・トングはモロウウィンド政府と種族全体からの公認による「職業的暗殺者」であり暗部や諜報部的性質を持っているのに対し、闇の一党はカルト宗教の色合いが強く「宗教的暗殺者」といえる。信仰先もモラグ・トングはダンマーの守護神メファーラであるのに対し闇の一党は虚無の神シシスであるなど、明確な違いがある。
そしてモラグ・トングはモロウウィンドの統治者たる大貴族(Great House)達の抗争を最小限に抑えてバランスをとるための必要悪として存在しているので、権力者たちに忖度して仕事を選ぶ。殺しに関しても、上層部から正式な執行令状が出されなければ「処刑ではないただの殺人」になってしまうので動いてくれないのと、指定されたターゲット以外の途中の殺しも許されていないなど、割とガチガチにルールで固められている。
それに対し闇の一党のほうは、パトロンもしがらみもない代わりに、依頼さえあれば誰からでも依頼を受け、そして平等に誰でも殺すというのが最大の特徴で、加えてターゲット以外の途中の殺しもOKという、自由度の高さ(?)や柔軟さ(?)を持っている。
- バスティアン・ハリックス (ESO)
- フルヴィウス・サルヴァ (ESO)
- ガストン・ベレフォート著『夜母の真実』
- イニル・ゴーミング著『炎と闇:死の同志たち』
- エンリック・ミルネス著『聖なる目撃者』
- 『シセロの日記 - 第1巻』
- 第二紀 (ESO)では、「伝えし者」の一人テレヌスが面影(プレイヤー)を闇の一党にスカウトするため姿を現している。
- 『シセロの日記 - 第3巻』
各作品での扱い、構成員
◆TESⅠ Arena
◆TESⅡ Daggerfall
◆TESⅢ Morrowind
主人公が加入できるのはモラグ・トングのため完全な敵組織として登場。
そのため闇の一党は不気味さを強調され、逆にモラグ・トングは高潔に描かれている。
闇の一党から更に分派した暗殺組織「クリムゾンスカー」も登場するが、宗派は同じでこちらはシシス公認の祠を持っている。
◆TESⅣ Oblivion
主人公が善良な人間(犯罪者でないもの)を殺害すると、夜眠った際に勧誘が来る。
殺人を良しとしない盗賊ギルドとはお互いに敵対している。
構成員
シャドウメア
◆TESⅤ Skyrim
今回は主人公ドヴァキンの加入できる組織。
ただし加入前のドヴァキンに暗殺者を送り込んでくることもあれば、本作に加入可能な組織で唯一敵対・壊滅させるクエストが存在する組織でもある。
とはいえ、帝国正規軍はともかくスカイリム地方の一般市民や街の衛兵からは恐れられこそすれど嫌われることは少ない。権力者にすら認知されている。
……が、「オブリビオン動乱」以降のタムリエル各地で続く混乱と戦乱によって、各地の聖域は巻き込まれて[[壊滅]したりわざわざ襲撃を受けるなどで減っていき、最終的にスカイリム地方の1つを残すのみになった。
ブラックマーシュとの繋がりは絶えて資金繰りは悪化、ブラックハンドも壊滅した。
特にサルモールによるシロディール占領の影響は大きく、夜母の墓の破壊と「聞こえし者」の喪失(詳細は不明)はこのときに起きている。不幸中の幸いにも夜母は墓からサルベージされ、生き残りが犠牲を払いながらスカイリムまで運搬している最中となっている。(※1)
「聞こえし者」が不在のため依頼は噂を頼りにメンバーが足で探すという有様で、地域の権力者からも「役に立たないなら他の奴に頼む事にする」と見切りをつけられかかっている。 (※2)
そのような状況であるため、信仰と5つの戒律は「守ってたら組織やってけない」と実質放棄され、現リーダーであるアストリッドのワンマン経営状態になっている。
勧誘も、暗殺依頼をドヴァキンに横取りされてしまった為、という割と情けないもの。ただし今回は美人のお姉さん(ただし人妻)が勧誘に来てくれる。
今回は該当クエストを達成しない限りは勧誘がこない(一工夫必要だが、暗殺を他者に押し付けても可=殺害人数0でも勧誘される)ので、不慮の事故(過失で兵士にスタップ!されたとか、闘技場で対戦相手が死んだとか)や無実の平民に対する快楽殺人で勧誘される事はなくなった。
共に没落したせいか(少なくともスカイリム地方の)盗賊ギルドとは互いの領分を住み分ける形で関係を改善している。
【構成員】
現リーダー。殺人衝動持ちの女性。
全くの狂人というわけではなく、殺人の快楽に目覚めたのは叔父に性的に迫られた際に殺してしまった事がきっかけとなっている。
主人公がウェアウルフの能力を持った状態で出会うと同じウェアウルフであることを見抜く。
暗殺系サブクエストを斡旋する。皮肉屋のレッドガード(中東風民族)男性。
彼の衣装は一点物で、メリットほぼ皆無の壊滅ルートでしか手に入らない。
その正体はウッキウキで寡黙な暗殺者ロールプレイをしようとした厨二病ドヴァキンの心を殺すベセスダの刺客。
興味があれば初対面の会話で「(黙っている)」を選択しよう。
実力主義者であり、厨二病ではなくはっきり実力を示すと最終的にドヴァキンへの尊敬の念を表明してくれる。
また、ゲーム上では完全に唯一のLV90軽装備トレーナーでもある。
ブラックマーシュ地方の王直属の暗殺集団「シャドウスケイル」最後の生き残り。シャドウスケイルの構成員は誕生して即暗殺者として育てられるため、それ以外の生き方を知らない。
訓練時代に闇の一党の手ほどきを受けており、その縁から身を寄せた。
暗殺稼業の良き先輩であり、アルゴニアン汎用ボイスが渋いイケメンである。
とあるクエストでは発見された主人公の援護に駆けつける。
…はずなのだが、それまで一切発見されずに完璧な暗殺に成功していても敵の群れに殴り込んでしまうのはご愛嬌である。
アストリッド曰く「永遠の10歳」(クエスト「乱心の治療」にて)。
米国の規制により絶対に危害を加えることができないので壊滅ルートでは最初から雲隠れしている他、彼女に払ったお金も盗み取れない。
もっとも、そのような考えの持ち主こそ彼女にとって最も容易い標的なのはベセスダ流の皮肉だろうか。
ゲーム上では完全に唯一のLV90錬金術トレーナーというある意味重要人物。
ダークエルフ女性。シシス信仰に忠実な数少ない一人。
信仰故か虚無に還れなど厨二イズムを刺激する台詞を連発してくれる。
コンシューマー版各作品では音声周りに不具合があり、一部日本語台詞が正確に再生されない。
ベテランの老人暗殺者。魔術師。
幼少期は神童、その後は魔術の大学で教鞭もとっていた。つまりマッドサイエンティスト。
ガブリエラ同様シシス信仰に忠実。
闇の一党メインクエストのキーマンとなるピエロめいた狂人。
しかし夜母を確保しスカイリムまで運んできた苦労人でもある。
とある農場の傍で馬車が壊れて立ち往生している姿を見ることも出来る。
条件を満たすと仲間にできる。シシスの元に送ることも出来る。
また、壊滅ルートでは最初の立ち往生時以外は姿を見せない。
闇の一党の新人
一党のクエスト完結後に登場する仲間キャラクター。男女一人ずつ。
能力は低いがレベル上限なしで不死属性がついているので安心して連れ歩ける。
リス
闇の一党・聖域内で飼われているペット。
その正体は名前の通りとっても可愛いリス……などではなく。
尚、原語版でも「Lis」であり、小動物とは何の関連性も無い。日本語版故の妙といえよう。
聖域内に侵入して捕らえられた犠牲者を養分にしているらしく、傍に遺骨が散乱している。
その他関係者
形なき暗殺者召喚
進めていくとアストリッドから授けられる特殊能力。
1日1回制限だがコストや時間制限は不要で倒れても別の日に何度でも召喚できる。
その正体は「伝説の暗殺者ルシエン・ラシャンスの霊体を召喚する」というもの。
別に寡黙ではなく、場面場面に応じて色々専用のセリフや選択のヒントを喋る。
太古の暗殺者
とある遺跡の隠し部屋で朽ち果てている暗殺者の遺体。
最高クラスの軽装備に匹敵する装備を所有している。
ガブリエラの特殊任務を達成することでヒントを得られる。
アベンタス・アレティノ
イーストマーチはウィンドヘルムに住居がある少年。
彼のとある行動がドヴァキンを闇の一党へと導くこととなる。
◆ESO (The Elder Scrolls Online)
Skyrimから約1000年前にあたる第二紀では、シロディールのアンヴィル(Anvil)~クヴァッチ(Kvatch)までのエリアである「ゴールドコースト地域」を舞台としている(帝都がデイドラに占拠されて統治が行き届かなくなったたため、現在はどちらの都市も独自の道を歩んでいる)。
本作ではアンヴィルとクヴァッチの間にある山の中に聖域を置いている。闇の一党では現在、仕事で送り込んだ暗殺者がベテラン・新人を問わず失踪したり殺されたりするという屈辱的な事態が発生していた。新人として闇の一党に加入した面影(プレイヤー)は暗殺の仕事をこなしつつ仲間たちと共にその原因を調べることとなる。
……が、加入する面影の人数が多すぎるせいか、旅の祠(ワープポイント)と聖域の入り口の間の往来がとても激しい。帝国兵じゃなくても聖域の位置がみんなにバレバレなのでは?と感じる面影も居るとか居ないとか。
- 『シセロの日記-第2巻』
- 『闇の一党へ』
シャドウメア
一党の保有する漆黒毛並に赤く光る眼を持つ銘馬。
人外ならぬ馬外なのか、名前を継いだ子孫かは不明だがTES4と200年後のTES5双方に登場する。
4ではクエスト「浄化の儀式」の報酬で不死属性。
5ではクエスト「乱心の治癒」で一党の聖域から出発する際にアストリッドからドヴァキンに貸与される(返却することはない)。
漆黒の沼から泡を立てながら現れる姿がカッコいい。やはり普通の馬ではないのか?
前作と異なり不死属性ではなくなったが、800オーバーの体力と瀕死でも数秒で全快するHP回復速度があるため、高所からの転落や難易度を最低にしてドヴァキン自ら全力で殺しイカない限りはまず死なない。
さらに万が一死なせてしまっても何らかの条件で上記の沼にリスポーンしてくれる(とはいえバグか仕様か、実質「運が良ければ」の範疇だが)。
しかしながらDLCで追加されたアルヴァクは死んでもどこでも何度でも再召喚可能、更に「AE」で追加された馬は軒並み不死属性標準装備、更に一部は高速移動やスタミナ無限などの特殊能力まで備えその価値はアップデートの度に暴落している。
…ようにみえるが、シャドウメアは道場主というAE追加組にすらない唯一無二の役割がある。
特に隠密スキルはシャドウメアに不意打ちを繰り返す以外では意図的に上げるのは難しい。
暗殺組織の馬だけに正真正銘の道場主といえる。
関連イラスト
シセロ
ヴィーザラさん
バベットちゃん
令和になって某ゲームの流行に伴って擬人化されたメアたんの図。