友よ、アズラの知恵と共にあらん事を
概要
ダンマーとは、タムリエル大陸北東部にあるMorrowind(モロウウィンド)出身のエルフ族で、青黒い肌と赤い瞳を持ち、ダークエルフとも呼ばれる種族のこと。キャラメイク時にプレイヤーキャラクターの種族として選択することも可能。英語の綴りは「Dunmer」(Dark Elf)。
エルフらしく知性、魔力共に優れているのは勿論のこと、炎に対する先天的な耐性と優れた肉体的な能力を持っているため、魔術師や魔法戦士としての適性に秀でている。家族の繋がりや身内感情、祖先や家名をとても大切にする種族で、義理堅く人情深い性格。
反面、外部の者に対しては非常に排他的で人当たりが悪く、攻撃的で捻くれた態度をとることから他種族からは嫌われてしまうことも多い。
ただ、年若いダンマーの女性は尻軽だとはその筋で有名。興味があるなら作中書籍「本物のバレンジア(できれば未検閲版を)」どうぞ。
※バレンジア女王は書籍の内容を肯定も否定もしていません。
地理
ダンマーたちの故郷は、シロディールから見て東北にある、火山と灰で覆われた大地モロウウィンド(英語ではMorrowind、日本語は他にモロウィンドという表記もある)。
首都モーンホールドのあるU字型の本土、およびタムリエル最大の火山レッドマウンテン(Red Mountain)を中心としたヴァーデンフェル島の二つからなる。なお、第四紀にはアルゴニアン侵略に伴い、モーンホールドから北西のブラックライトに首都を移している(ウィンドヘルムやソルスセイム島に近い北西地域の都市)。
タムリエル有数の火山地帯であるため不毛の地が多い。ダンマーたちは常に火と灰に晒されてきた影響か、他種族に比べて炎に対する耐性が高い(沼や水気が多いブラック・マーシュ近くはそうでもない)。ただし、都市周辺は北国とは思えない温和で緑豊かなな農園風景が広がる。原色の樹の花が咲き乱れ巨大な茸が生える疎林を、家畜化された空飛ぶ巨大クラゲや、荷運びに重用されるトカゲが歩んでいくといった不思議世界である。(※1)
モロウウィンドの動植物の環境はブラック・マーシュに似たものがあるが、アルゴニアンによると、ブラック・マーシュへの侵略が行われた際にモロウウィンドに持ち帰られたものが多数あるらしい。(※2)
国家体制としては貴族による議会制度が設置されており、「レドラン家」や「テルヴァンニ家」などのダンマーの名家と呼ばれる者たちの中から「評議員」の職につく。
- 『ESO』 ストーンフォールなどモロウィンド主要地域
- ロアマスターの記録:マークマイア Q&A - TESO/ESO
大家とアッシュランダー
モロウウィンドには、テルヴァンニやレドラン家などの大きな一族をもつGreat House (大家、名家)、および指導者と賢女に率いられた部族単位で生活するAshLander(アッシュランダー)の二つの文化がある。
以下に大家とアッシュランダーの大まかな傾向を記す(作中書籍「モロウウィンドの大家」「アッシュランダーの部族と慣習」などから一部引用)
【大家】
大家は3人の現人神である「トリビュナル」(Tribunal)を信仰しており、家どうしで役割や傾向が異なる。五つの大家が議会を構成し、しかも主要都市の一つを拠点としその周囲の広大な領域を実質的な所領としてモロウウインドを分割支配する。その下に中小農園主クラスの家(House)、さらに下層に使用人クラスが並ぶ封建貴族制的な社会を構成する。
外部の者も雇用や養子縁組で大家に入ることはできるが、一つの家に所属すると他の家に所属することはできない。家の一族から使用人への命令は一方的であっても許され、忠誠が何よりも重んじられる。また、家の使用人の間でも上下の階級が明確になっており、功績によって昇進していき、最終的には養子などで大家の一員にもなりうるしくみである。
- レドラン家
責務や信念を重んじる家柄。よく言えば高潔、悪く言えば頑迷。筋目を重んじるところはどことなくヤのつく方々を連想させる。名家の中では軍事を担当し、個人戦闘、集団戦闘の腕を磨いている。自前の私兵団を擁しており、第三紀のオブリビオンの動乱、第四紀のアルゴニアン侵攻などで防衛の中心的な役割を担ったことにより、勢力として躍進する。
巨大な甲殻類の殻を家として利用する習慣があり、彼らの本拠地アルドルーンには中でも一際巨大な遺骸を用いた邸宅がある。
- フラール家
主に貿易や商業に携わる一族である。本拠地は南西部にあるナルシスの街。職業的に人の交流、さらに異国との交流も必要とするので、排他的な傾向のあるダンマーにあって例外的に融和的な施策を重んじる。特に第三紀初頭の帝国への併合にあたって音頭をとったことで政治、経済的に非常に強い権勢を持つようになる。
そうした結果から来る傲り故か内情は腐敗しており、彼らと良い関係を築きたいなら袖の下が非常に有効。末端からトップに至るまで笑顔で受け取ってくれる。
第三紀末期から帝国の影響力が薄れたことで後ろ盾を失い、モロウィンドの苦難に対する援助を帝国が行わなかった事への憎悪がフラール家に集中した。その結果、五大家の地位を追われてしまった。
- テルヴァンニ家
魔術の追究を旨とする家系。周囲から浮世離れした変人の集まりだと揶揄されるが、実際浮世からも魔法の常識からも超越した変人の集いである。地政学的な争いには興味を持たず影響力はそれほどでもないが、上位のマスターウィザードの実力は筆舌に尽くし難く、タムリエル最高齢のウィザードが在籍していたりドゥーマー唯一の生き残りを保護していたりと実力は底知れない。
彼らの家屋は巨大キノコを利用したいかにもメルヘンチックなもの。しかし、偏屈な彼らに会いたいと願うなら最低限の魔術を扱えなければ居間にすら上がることはできないだろう(物理的に)。とは言え第四紀の頃には多少世俗慣れしたようだが。
彼らにとっては「魔法魔術の研究や力の追求こそが偉大なこと」であり、「それ以外の低級で雑多なことは下々の者たちにやらせておけばいい」という考え方。そのため奴隷文化を肯定しており、ESOではエボンハート・パクトの奴隷禁止に反発し、大家の中で唯一パクトに関わっていない。 (※1)
- インドリル家
後述する現人神、トリビュナルを輩出した宗教的な権威を重視する家。デイドラ信仰や先祖崇拝、そしてその力を借りてダンマーを守る伝統的文化を継承してきた。英雄ネレヴァルの生家でもあるのだが彼を謀ったトリビュナルを尊崇しており、独自の僧兵団「オーディネーター」を擁し異端者狩りを行っている。彼らの前でネレヴァル復活を論じようものならその場で死罪である。トリビュナルが君臨した時代にはその力を借りる事で大家で最大の勢力を有した。エボンハート・パクトを結成して外敵に対処する計画はトリビュナルの賛同を得たので、タンヴァル・インドリル評議員が率いるオーディネーターは同盟軍の中核として活躍している。極めて保守的な思想故にタイバー・セプティム帝がモロウウィンドを帝国の支配下に置こうとした時は激しく抵抗し、敗れる。そしてモロウウィンドの覇権をフラール家に奪われてしまうが、以後も帝国の文化や宗教観を明確に拒絶している。
トリビュナル消滅後はかつてのデイドラ信仰に戻っているが、神殿の実権はデイドラ信仰の神官たちに奪われてしまった。しかも本拠地のモロウィンド中部をアルゴニアンに奪われるなど苦難が続いている。
- ドレス家
モロウウィンド南部を地盤とする家系。本拠地は古都ティア。農耕や塩田経営を主軸としており、結果他種族の奴隷を積極的に活用、というより依存している。第二紀のパクトには加わっているが、アルゴニアンの奴隷を解放した代わりにカジートを奴隷にしている。第三紀の帝国に対する態度はインドリルと同じく保守的であるが、もっぱらの理由は帝国法が奴隷制を認めていないため。
第四紀にアルゴニアンが侵攻を始めた際、恐らく真っ先に領地が戦場になったと推測され、その後の勢力の推移は杳として知れない。
- ダゴス家(既に消滅)
ダゴス・ウルの生家。ダゴス・ウルが指導者ネレヴァルを支えていた時期には大家として栄えていたが、レッドマウンテンの戦いの後にその存在は抹消された。成員は殺害されたか、他の家に吸収されている。
【アッシュランダー】
アッシュランダーは「善きデイドラ」の信仰及び英雄ネレヴァリンの崇拝(五大家間では異端扱いされる)を古くから続けている派閥で、昔ながらの部族生活である。
灰の(アッシュ)土地に住む人(ランダー)の名前の通り、昔ながらの部族生活を心がけているダンマーの一派である。大家が支配するモロウウィンドでは主流でなくなっている「善きデイドラ」の信仰および異端視される「ネレヴァリン」(ネレヴァルの転生者)の信仰を続けている。アッシュランダーはいくつかの部族に分かれ、その指導者はアシュカーンと呼ばれて軍事を担当する。その下に交易や外交を司るグラカーン、伝承や予言を司る賢女がいる。その下の人々は平等でダンマーに一般的な階級制度ではない。
同じダンマーでありながら大家に属する側の者たちにとっては原始人扱いで迫害対象となっており、住んでいるところを立ち退かされたりするのはかなりマシな方で、扱いが悪ければしばしば攻撃されたり殺害されるケースもある。逆に反乱を起こして大家の居住地を襲う事もあるが、基本は大家とは相互不干渉で平和を維持している。
しかしトリビュナルが崩壊した第四紀には立場が一変する。トリビュナル懐疑派の神官たち(Dissident Priests)が善きデイドラ信仰を掲げてダンマー宗教界を制すると、アッシュランダーは正しき見地(true vision)を保持してきたとして神聖視され、彼らの住む荒野は他のダンマーが賢女の知恵を求めて訪れる巡礼地となった。
- マブリガシュ族
- カゲシュ族
- アヘムサ族
最も平和的な部族で最も弱い部族とされる。軽装を好み(ナイフや槍など)仕事にも使えるような道具を護身に使う。狩りや牧畜、特に釣りをして暮らしている。
かつての生活場所に大家の集落ができたことで追いやられ、現在は人付き合いを避けて孤立を好んでおり、沼地に生息する魚やその他の野生生物を獲って生活しているという。
- エラベニムスン族
気難しく危険で好戦的とされる部族。重装系を最も好み、戦いや力を重んじており、他のアッシュランダーたちからも強欲で残酷とみなされている。
予言、歴史、伝承を軽視しているためこの部族では賢女がほとんど権力や影響力を持っていない。
- ウルシラク族
最も尊敬され人数もアッシュランダーの中では2番目に多いとされる部族。魔法を使うこともあるが付呪や錬金術を行う方が多いという。
伝承者の存在が名高く、アッシュランダーの中では唯一の千里眼を現在も擁している部族。また、ネレヴァル(および転生者ネレヴァリン)の信仰を強く保っている。
- ザイナブ族
アッシュランダーの中でも最大の人口と繁栄を誇る部族。収穫・採集・採鉱を中心に行っていて物は生産ではなく交易によって手に入れることが多く、これによって繁栄したとされる。
よそ者に対しても友好的だがその反面やや強欲で横柄なところもあるとか。伝統を維持するアッシュランダーでは珍しく変化を求める者が多く、本来ならば敵対関係である大家側とも交易を行ったり関係を持とうとしたところもある。
文化
作中の多くの種族から快い感情を持たれておらず。他のエルフ族からもダンマーの慣習が好意的に評価されることは少ない。
これは主な崇拝対象として他種族では邪神として扱われている事も多いDaedra(デイドラ)ロード信仰している(特に「アズラ」「ボエシア」「メファーラ」の三柱)ことに加え、ダンマーの宗教儀式が作中世界では禁忌として嫌われている死霊術に似ている点が拍車をかけている。具体的には先祖の遺体の一部、特に遺骨を御守りに用いるのだが、他の種族にはこれが、ある種の死霊術に見えてしまうわけである。(※1)
特に、先祖の武勲と死後の平穏を重んじるノルド文化ではダンマーの死者の扱いは冒涜的に評価され、しかも神話の時代からの仇敵であるため非常に仲が悪い。レッドガードも死者への敬意を重んじるため、先祖崇拝の風習こそ共通しているがダンマーに良い感情を持ってはいない。
ただし、デイドラ信仰については、どの神を特に奉じるかによる違いもある。特にAzura(アズラ)のように人間にも信者が多く、それほど人間社会で邪悪と見なされないデイドラを信じるダンマーには、問題なく人間社会に溶け込んでいる者も少なくない。
何より、帝国は国に害を為さない限り国に従う各種族の文化を平等に尊重することを法で定めている。故にダンマーの宗教儀式も合法として尊重する事が市民に求められる。ただし、市民あるいは官僚が個人的にダンマーの慣習を忌み嫌うかどうかは、また別問題である。(※1)
- 『先人とダンマー』
【交通】
モロウウィンドでは特定の場所に留められている「シルトストライダー」と呼ばれる高脚の生物に乗って移動するのがこの地域における基本の交通手段になっている(いわゆるタクシーやバスの停留所みたいなもの)。
それ以外には、「グアル」と呼ばれる二本足で走る爬虫類を、個人で乗る騎乗動物および人々の荷馬として利用している。
【食文化】
モロウウィンドにクマや狼のような獣は少なく逆に昆虫などは多い。また、一般的な緑地から取れる食物がなく、アッシュヤムのような灰でも育つ野菜や果物を栽培している。
ダンマーは野菜などが取れない関係で、家畜として飼っている昆虫、ニックス・ハウンドなどの動物、そのほか色々なものを食べる。ちなみに先述のグアルも食料の対象。
ほか、クワマーと呼ばれる虫とクワマーが山の中に作るコロニー「卵鉱山」もあり、これは採取する卵にとどまらずクワマーやその幼体スクリブも食用にできる事から産業として大きな利益が出るという。(※1)
- フラール家のドレイン・レダス著『クワマーの採掘の楽しみと利益』
【葬儀】
いわゆる先祖崇拝が広く行われており、適切な埋葬と祈りを欠かさなければ現世の子孫の危機に祖霊が助太刀に現れることすらある。ただし、現世を苦しみの絶えない世界(仏教観でいうところの六道にちかい)と認識しているのであまり進んで現れることはないようだ。
墓所に大量の灰が盛られているプールのような場所が何箇所か設置されており、その中に遺体がまるまる入っている形になっている。灰の山にはアッシュヤムという芋に似た作物を植える習わしがあり、灰から育つアッシュヤムを再生と昇華の象徴としている。(※1)
遺体の取り扱いとも関わるので死霊術にも簡単に触れるが、モロウウィンド域内では概ね合法である。一例ではダゴス・ウルの配下の者や有害な火山灰であるブライト・ストームを防ぐため、先祖の霊を活用してレッドマウンテンを囲むように築かれた「ゴーストフェンス」などがある。なお公共の場への死体の連れ回しなどはこの限りではない。
- DLC『Dragonborn』
【暗殺】
メファーラより暗殺を授けられた事もあってか、暗殺はダンマーにとって身近なものとなっている。
そのためモロウウィンドには、「モラグ・トング」と呼ばれる、ダンマーおよびトリビュナルによる公認の暗殺者集団が存在し、同業の闇の一党とは教義やルールがかなり異なる。(※1) (※2)
モラグ・トングは大家同士の軋轢を戦争に発展させないための政治的必要悪の役割を持たされており、暗殺対象は吟味される。
- エリス評議員 (ESO)
- アシュール (ESO)
歴史
【第一紀】
ダンマーがこの世に姿を見せたのは、第一期、レッドマウンテンの戦いの後である。この戦いまで、ダンマーはチャイマーというエルフ種族であった。チャイマーはデイドラを信仰したゆえにアルトマーと決別し、聖ヴェロスという指導者に導かれてサマーセットからモロウウインドに移住して来た。あえてアルトマーに反逆したチャイマーはその意気をボエシアに祝福され、さらにアズラとメファーラも支援を申し出た。この三柱が「善きデイドラ」である。そしてモロウィンドに定住し、ネレヴァルという半神の英雄とその盟友ダゴス・ウルに率いられて、ノルドやドワーフを撃ち破る。だがチャイマーはドワーフをレッドマウンテンの決戦の果てに消滅させた後、赤い目に灰色の肌であるダンマーに種族ごと変身したらしい。またネレヴァルに代わって次節に挙げる三柱の現人神が出現したのもこの戦いの後という。この時期の歴史については記録に相違が多く互いに相反する伝承が語られるのみとなっている。有力な説としては、ダゴス・ウルがドワーフの秘宝に魅入られてネレヴァルを謀って死に至らしめ、自らもその報いで倒れたというものがある。また一説には、使用を禁じられた強大なエイドラのアーティファクトを用いて現人神を生み出したチャイマーへのアズラによる呪いとして、赤い瞳に灰色肌の姿が与えられたという。
【第二紀】
第三紀ごろまでのダンマーは、Almalexia(アルマレクシア)、Sotha Sil(ソーサ・シル)そしてVivec(ヴィベク)という、ダンマーでありながら神に匹敵する力を持つ、現人神が統治し守護していた。善きデイドラに守護されたこの三柱を「トリビュナル」(Tribunal)と呼ぶ(もしくは三柱それぞれの名前をとって三位一体とした「アルムシヴィ」とも)。
ただし地域の部族アッシュランダーたちはトリビュナルを崇拝せず、アズラ、ボエシア、メファーラの三柱を引き続き「善きデイドラ」として崇拝している。
デイドラ公たちもトリビュナルを「偽神」として扱っており、トリビュナルに支配されているモロウウィンドをよく思っていない。
【第三紀】
強大なトリビュナルに守られたダンマーは、本拠地のモロウウィンドばかりか、隣国のBlack Marsh(ブラック・マーシュ)をも保護下に置いて住民のアルゴニアンを奴隷にしていた。
しかしTES3にてトリビュナルは三柱とも消滅してしまい、その加護を失う。その結果、現人神たちが守っていた首都が崩壊する。
加えて、第三紀の終わり頃にメエルーンズ・デイゴン率いるデイドラの軍勢がタムリエルへと侵攻する「オブリビオン動乱」(TES4)が発生。帝国の常備軍は首都シロディールの防衛を優先して撤退してしまったため、モロウウィンドは自前の戦力で凌ぐしかなかった。
【第四紀】
首都崩壊、オブリビオン動乱と続いたモロウウィンドにさらに追い打ちをかけるように、第四紀の初頭、先述のRed Mountainが大噴火。これによりモロウウィンドは壊滅状態に陥る。(※1)
さらに、この時に攻めてきたブラック・マーシュのアルゴニアンによってモロウウィンドは逆に征服されてしまう。
アルゴニアンの侵攻部隊はモロウウィンドを徹底的に破壊しながら北上し、出会ったダンマーもほぼ皆殺しにするという容赦の無さを見せたらしく、噴火による荒廃も併せて首都モーンホールドを初めとする名だたる都市群は見る影もないほど崩壊してしまったらしい。(※2)
ただ、完全に制圧されてしまったわけではなく、レドラン家主導の下にそのお膝元にあたる港町ブラックライトに首都を移し、オブリビオン動乱で活躍したレドラン家直属の精鋭部隊を中核とする戦力によってアルゴニアンの攻勢を押し留め、スカイリムにほど近い北部の沿岸地域などのごく一部の領土の維持には成功している。
しかし、それらの領土では大量に発生した難民を抱え切れるはずもなく、TES5の時代では多くのダンマー達は各地方に散り散りになって落ち延びたり、solstheim(ソルスセイム)島のような北西の果てにある僻地の片隅に追いやられる羽目になってしまっている。
特にSkyrim(スカイリム)地方に落ち延びて来た難民のダンマーと、彼らが自分達の土地に入り込んでくることを快く思わない排他的なスカイリムのノルドの間の差別意識や確執は深刻なものとなってきている。モロウウィンドに近く、多くのダンマーがまず逃げのびてきたスカイリム東部には排外的でノルド至上主義的なノルドが多いこと、また彼らを背景にした反帝国軍ストームクロークが成立したことも問題を悪化させ、街にダンマーのスラム街が成立したりしている。逆にノルド至上主義が薄いスカイリム西部では、戦士としても魔術師としても強く義理人情を重んじる気質から、重要な地位についているダンマーも少なくない。
また、このような経緯からアルゴニアンに対して恨み骨髄となっているダンマーも多く(ウィンドヘルムでは、不自由を強いられているダンマーの難民たちが自分たち以上にノルドから疎外されているアルゴニアンを嘲笑うことで留飲を下げていたり、ソルスセイムでは、島に渡って来たアルゴニアンの一般人が現地のダンマーによる私刑で殺害されたりしている)、オブリビオン動乱に続いてまたもや援軍を出さなかった帝国への失望・不信も増大している。
- メリス・ラヴェル著『赤い年 第1巻』
- ただしブラン・シェイ (Skyrim)のように良心的なアルゴニアンに育てられて生き延びたダンマーもいる。
信仰
エイドラ(Aedra、エドラ)を崇拝するのが多いタムリエルでは異端とされる、デイドラ信仰が一般的である。
ダンマーを守護しているとされるデイドラ公(Daedric Prince)の「アズラ」、「ボエシア」、「メファーラ」三柱は「善きデイドラ」として崇められている。「善きデイドラ」の信仰はサマーセットにアルドマー(Aldmer)がいた時代から一部のアルドマーの間で行われていた。 (※1)また祖先も熱心に崇拝し、特に聖ヴェロスや聖ネレヴァルのような歴史的偉人は「聖人」と呼び、その言動が広く手本とされた。
のちに、現人神のアルマレクシア、ソーサ・シル、ヴィヴェクの三柱を崇拝する「トリビュナル」信仰も加わった。モロウウィンドではほとんどがトリビュナル信仰に変わり第三紀ごろまでこれが続く。
しかしTES3の事件により第四紀以降は善きデイドラ信仰に回帰する動きとなっている。なお回帰の際に、ダンマー間での協議により、現人神とされてきたトリビュナルは「聖人」に格下げとなった。 (※2) (※3)
トリビュナル | 相当する神格 | 説明 |
---|---|---|
ヴィヴェク | トリビュナルの一柱。キカイダーっぽいカラーリングの「モロウウィンドの主」。元はネレヴァルの副将であったという | |
ソーサ・シル | トリビュナルの一柱。「モロウウィンドの謎」。科学や機械に詳しいがトリビュナルの中では最も知名度が低い。元はネレヴァルの宮廷魔術師であったとか | |
アルマレクシア | トリビュナルの一柱。「モロウウィンドの母」。ネレヴァルの妻だったとされている。 | |
ネレヴァル | アルマレクシアの夫でありトリビュナルの仲間だったダンマー。トリビュナルではない。謀略により暗殺されたとされるが、「いつの日か復活し暗殺した者たちに復讐する」という言い伝えも残されている。 | |
ダゴス・ウル | ネレヴァルと同様、こちらもトリビュナルではない。 |
ダンマーにおける神格 | 相当する神格 | 説明 |
---|---|---|
アズラ | 夜や闇、および死者の国を司るデイドラでソーサ・シルの守護者とされている。チャイマーにアルトマーとは別の存在たりえる事を教えたとされる。 | |
ボエシア | 反逆や裏切りなどを司るデイドラ。アルマレクシアの守護者とされている。また、哲学・魔術・建築などはボエシア由来とされている。チャイマーがアルドマ―と決別し追われていた時、追っ手の神トリニマックを倒して捕食したのもボエシア。 | |
メファーラ | 陰謀や謀略を司るデイドラ。ヴィヴェクの守護者とされている。また、暗殺および隠密をダンマーに教えたとされる。 | |
トリニマック | ダンマーの伝承では、トリニマックがエイドラを誑かして人間を率いるロルカーンとの戦いを起こしたとボエシアが証明したという。ダンマーがエイドラ崇拝を捨てるきっかけともなった(※4) | |
マラキャス | 災いの徒党として知られるデイドラ。オークの神王とされ、ダンマーの身体的な弱さを試す | |
メエルーンズ・デイゴン | 災いの徒党として知られるデイドラ。自然災害を起こし、ダンマーの生き延びる意思を試す | |
モラグ・バル | 災いの徒党として知られるデイドラ。大家とダンマーの遺伝子を汚そうと試みる | |
シェオゴラス | 災いの徒党として知られるデイドラ。狂気の王であり、ダンマーの精神的な弱さを試す |
アズラ(Azura)は宵と暁の女神で、チャイマーというエルフの一族を守護していたが、禁じられた武器を使ったことに怒り、一族全員を呪って青肌赤眼の今のようなダンマーの姿に変えてしまったという恐るべき神話がある。しかし、その後も忠実であったダンマーを守護しているのは事実なようで、レッドマウンテンの噴火を事前に警告し、これを信じたダンマーたちを壊滅前にモロウウィンドから脱出させたという。
謀略や裏切りなどを司る神Mephala(メファーラ)も迫害されていたダンマーに生き残っていくための術として隠密や暗殺の技を教えたことから、ダンマーたちに広く崇拝されるデイドラである。
虚偽や反逆などの神Boethiah(ボエシア)もまた、ダンマーを熱心に支援して崇拝されてきた。これら二柱は暗殺や裏切り等を教義としている為、他種族からは邪神扱いされることが多い。アズラ・メファーラ・ボエシアの三柱は、「善き」デイドラと呼ばれて、ダンマーの主神的な位置にある。(※5)
しかしその一方で、身体的に脅かすMalacath(マラキャス)、破壊をもたらすMehrunes Dagon(メエルーンズ・デイゴン)、血統の略奪者Molag Bal(モラグ・バル)、狂気のSheogorath(シェオゴラス)という四柱のデイドラは「災いの徒党」あるいは「災厄の四柱神」と呼ばれてダンマーからも忌み憎まれる。一説には、トリビュナルが成立した時にデイドラ公たちはそれぞれ忠誠を誓ったが、拒否したデイドラがこの四柱であったという。これら四柱は聖人ともされるが、それはあくまでもダンマーに試練を与える障害物であるからという意味のみである(※6)。災いの徒党を崇拝すれば古代からの掟と秩序において処刑に値するとされる。これら悪しきデイドラの崇拝者は、邪教徒としてダンマー社会から、そして帝国への加入後は帝国軍からも、追われることになった。 (※6) (※7)また、
- エリンヒルのファラスタス著『デイドラ崇拝:チャイマー』
- リハドのサラ著『奪還せし神々』
- ミカエル・カルクソル修道士著『様々な宗派:ダークエルフ』
- 『変容せし者』
- 『守護者たち』
- 『災いの徒党』
- ミカエル・カルクソル修道士著『様々な宗派:ダークエルフ』