我が再び地上を歩くとき、貴様達のうち忠実な者は報いを受ける、他のすべての人間の上に永遠に置かれるのだ
残りについては、弱きは淘汰され、臆病は打ちのめされ、強きは私の足元に震え、許しを請うであろう
概要
「破壊」と「変革」を司るデイドラロードで、「破壊の王子」、「血と炎の主」などの呼び名がある。
デイドラロードの中でも定命の者にとって最も有害な魔王や邪神とも呼ぶべき、定命の世界にとってまさに破壊神的な存在でもある一方、オブリビオンの領域のドレモラの多くは彼に忠誠を誓っている。
特に大陸東部に住むダークエルフの祖先からは、大噴火などの大災害を伴って現れる悪しきデイドラとして太古の昔より恐れられており、畏怖の対象となっていた。
そして火難、地震、洪水などの災害を司る一方で人的な暴力や変化も司っており、時に物語の舞台となるタムリエル大陸全土の脅威となることもしばしば。
TES4OBLIVIONではついに帝国に対して総攻撃を仕掛け、同作のラスボスとなる。
のちに「オブリビオンの動乱」と呼ばれたこの戦いは主人公たちの勝利とデイゴンの撃退成功により終結するが、結果として帝国の受けた被害は甚大で、王朝の交代とそれに伴う度重なる反乱により戦乱はむしろタムリエル大陸全土に波及。
遂には「大戦」を引き起こし、その爪痕は三百年後のTES5の時代になっても癒えていない。
どうみても邪神だが変革も領分である為、善神の側面がゼロというわけではない。
実際、何世代にも渡って血で血を洗う泥沼な暗黒時代となり、変化が必要な状況を(※多大な流血を以て)洗い流すように仕向け、次の時代へと続く下地を作ったり……と何だかんだで彼を必要としてやまない人々はどの時代のタムリエル大陸にも存在する。変化を司るデイドラの大王なりに、一応目を掛けてはいるのだ。
人物像
筋骨隆々な巨躯の胴体に、四本の腕、赤い肌、側頭部に相互二つずつツノが生えており、典型的な悪魔そのものである。瞳の色は肌よりさらに赤く、金色の刺青が全身に入れられている。
自身の体長を意のままに変化することができ、山のように巨大化することもできる。
その顔は常に怒りに満ちており、その容姿からもその暴力性が垣間見える。
性格は苛烈で暴力的、下手な甘言を断ると怒り狂うなど、姿は中身を表すと言わんばかりに見た目そのままの性格をしている。
一方で知略などを張り巡らせるタイプではなく、また司るものの性質上、建設的な思考や学習といった概念を持たない。さらに知ってること知らないことなんでも話したがる。
単に分かりやすい脳筋なのか、あるいは権能のせいで本当に頭を使うのが無理なのか、ダークエルフの英雄ヴィヴェクに不意打ちした際は逆にボコボコにされるというあまりにも不名誉な負け方をしているため、いずれにせよ作戦などの立案は彼に向いていないことはことは確実。
なお、ヴィヴェクとの戦いはなんだかんだ彼にいいお灸を据えたのか、彼がこの世を去るまでタムリエルへ侵攻をしなかった。
―――端的に換言すればバカである。
現世に降臨してはタムリエルの英雄たちによって返り討ちに遭うのがもはや様式美と化しており、そのしつこさは某ゲームのあの魔王、あのハゲ、あの博士といったゲーム業界のレジェンドヴィランにも匹敵する。
一方で陰湿なところが無く、もう敵にも味方にも何も秘密にする部分がないジャイアン気質から同じロードの多くからは「扱いやすい(愛すべきバカ)」として親しまれており、今日も生暖かい眼差しでタムリエル侵攻(とその失敗)を見守られているらしい。
(一応、TES5の内部プログラム上ではノクターナル及びモラグ・バルと不仲。)
設定面では不老不死、お友達にも恵まれたデイゴン。
TESシリーズが続く限り、彼は決して退かぬ、媚びぬ、省みぬ。全く懲りない、悪びれない、上に都合の悪いことはすぐ忘れる良い性格の持ち主なのだろう。
「デイゴンは盤上にコマが残っているうちは勝者を宣言しないのだ」
(自分は絶対死なないから負けてない)
とはいえデイゴン卿が求めているのはあくまでも飽くなき「破壊」と「変化」である。
出てくる度に現世に大混乱を与えている為、戦略的には連戦連勝、勝ち逃げの常習犯である。
定命の者であれば、口先でコケにしするぐらいしないと、とてもじゃないがやっていられないレベルの本当に深刻な脅威である。
TES5で大人しくしているのも結界が貼り直されたとは言え、たった200年でいくつもの騒乱が起きているため、不老不死のデイドラの感覚を考慮すればオブリビオンの動乱に始まる破界と変革がまだ続いている真っ最中といっても過言ではない。
一般的に邪神扱いされる事が多いデイドラ公の中でも、デイゴンはもっとも邪神らしい邪神であるといえよう。なにしろ、何かそれらしい宗教的大義を掲げるのではなく、破壊のために破壊を行い、無関係の者を皆殺しにする事も厭わない、実にシンプルに邪神の教義を掲げるのだ。もちろん、タムリエルの諸王が教義を公認する事はほぼ皆無で、信仰そのものが重く罰せられるほど違法な場合が多い。だが、いつの時代にもデイゴン教団はかなりの信者を集めている。それは、教団の教祖たちがしばしば理不尽で不幸な前半生を送っていること(※1)(※2) と、無縁ではないかもしれない。デイゴンが破壊するのは、その理不尽なるこの世の全てなのである。
- Geros Albreigh, THE REFUGEES
- 『破滅の運び手セルディナの遺言』
支配領域「デッドランド(Deadland)」
見渡す限りの真っ赤な空と灼熱の溶岩(マグマ)地帯、魔界で地獄のような世界。
全ての生物を薙ぎ払うかのような激しい雷雨に暴風、地殻変動の起き続ける大地はデッドランドに住む全ての動植物がそこに住むに値するか過酷な試練を与え、変化を促し続ける。
デイゴンの雅称「噴火と洪水の王」とは、まさにこの激動の領域の君主にふさわしい二つ名である。
領域内には多数の崩れた塔も存在し、それは現世ムンダスに侵攻する扉を開く際に使用される。
経歴
これまでにタムリエル大陸東部のモロウィンド地方、中央部のシロディール地方を幾度となく攻めており、ムンダスを破壊によって支配する事を目的としている。
モロウィンド侵攻
モロウィンドに恨みを持った魔女達がデイゴンを現世に召喚したことにより起きた事件である。
モロウィンドの首都であるモーンホールドが滅び、モロウィンド公爵も同時に殺害されたが、アルマレクシアとソーサ・シルという英雄達の奮闘によりデイゴンはオブリビオンへと追放された。
エセリウス侵攻(BattleSpire)
ソブンガルデが一部の領域であるエセリウス、現世と繋がる次元の征服を試みる。その仕上げとして帝国バトルメイジの養成施設であるバトルスパイアを攻撃した。
その生徒の一人である無名の者によって計画は阻止された。
オブリビオンの動乱(Oblivion)
デイゴンを王と崇める深淵の暁というカルト教団が帝国の皇帝セプティムを暗殺し、彼を召喚したことにより起きた事件のこと。
帝国西部のクヴァッチを始めとする主要都市を次々と攻撃し、街の郊外をデイドラが徘徊するという事態に陥ってしまった。
主人公達はオブリビオンの扉を開かせぬ為に動き回るも、メエルーンズ・デイゴン自身が帝都に出現、激しい戦闘となる。
最終的にデイゴンは前皇帝の隠し子であったマーティン・セプティムとクヴァッチの英雄(Oblivion主人公)との死闘により見事撃退され、現世を追放されたことで動乱は終結した。
しかしながら、セプティム朝の皇帝の系譜が途絶えてしまったことで帝国の弱体化が決定的なものとなり、それまで虎視淡々と反乱の時をうかがっていたアルドメリ自治領のサルモールが帝国に牙を剥くこととなった。
スカイリム(Skyrim)
続編となるSkyrimでの彼は、前作の最終決戦にて新しく構築し直された結界の影響からか、ドデカい祠を介して姿は見せずに声のみの登場となったものの圧倒的なパワーはまだまだ健在である。
ドヴァキン自身は2022年のAEアップデートでデッドランドに足を踏み入れることが可能となった。
北方のドーンスター地方のデイドラクエスト「過去の破片」は彼の生み出したとある恐ろしい創造物を修理する内容。
一度彼に対面したが最後、逆らった場合はもちろんのこと、アーティファクト目当てに服従しても騙して悪いがを仕掛けてその恐ろしさを見せつける。
…のだが、如何せん彼の祠はレア素材や金塊が採取できるため、クエスト完了後に定期的に略奪に現れる困ったドヴァキン(Skyrim主人公)がしばしば発生する。
配下のドレモラは祠に配属されたが最後、現れる度に強くなっていくラストドラゴンボーンにハートキャッチ(物理)される運命にある。
変革を司るんだからデイゴン卿も働き方改革してさしあげろ。
ブラックウッド侵攻(ESO)
Oblivionの約800年前にあたる第二紀580年代では、ブラックウッド地方(シロディール南部の都市レヤウィン周辺)において、各地にポータルを開いてドレモラたちを送り込んだり自身の教団の一つである「目覚めの炎」を操って「四つの野望」と呼ばれる兵器を生み出したりなど、自身がタムリエルに侵攻できるよう準備をさせていた。
また、貴族やシロディール関連の人物などといった有力者にも手が伸びており、ブラックウッド地域の上層部にも「目覚めの炎」側についた者たちが潜んでいる状態となっている。(※1)
終盤においてデイゴン自身がついにブラックウッドに降臨するが、謎を突き止めた面影(ESO主人公)によって解決されることとなる。
- 今作ESOでは、シロディールがデイドラに乗っ取られている上に三つの同盟勢力がぶつかる戦場と化しているため、一部の偉い人がブラックウッドに逃れてきている。
デイドラ・アーティファクト
メエルーンズのカミソリ
斬りつけた相手を一撃で死にいたらしめる(ことがある)ダガー。
「正義を滅ぼす剣」「キングスレイヤー」等、数多の不穏な二つ名を持つ。
オブリビオンの動乱の数十年後に破壊され、破片はスカイリム地方に運ばれてTES5の時代まで部位ごとに担当の一族が代々秘匿してきた。
ザルクセスの神秘の書
オブリビオンの動乱において鍵を握る存在。
デイゴン自らの手で書き記されたとされる、主人公の相棒マーティン・セプティム曰く「この世で最も不浄な書物」であるが、皮肉なことに戦乱の世を生き抜いたのかTES5の時代でもその焼け残った切れ端がドーンスターの博物館に辿り着いて飾られている。
(こちらでは攻撃を当て続けると桶になってしまうシュールなバグが存在する。)
ムーン・レイヴァーの剣
タムリエル滅亡の為にデイゴン自身によって鍛えられ、しかして皮肉にもデイゴンを討ち果たすこととなった武器。
関連動画
ESO中のトレイラーにおいて、デイゴンを信奉するカルト教団と彼自身が映り込んでいる映像である。
(ESOのDLCとなる「デッドランド(Deadlands)」内では実際にデッドランドを訪れることも可能。)