TESシリーズの設定について
そのほとんどは発言者の思想全開のセリフや、著者の主観の入った書籍で解説されるため、我々の現実サイドによる発表以外は新作の度にいくらでも覆せる形となっている。
なので、可能なら、どの作品のどんなシーンやアイテムに書かれていたか出典を添えていただきたい。
ほとんどの設定に「著者がデタラメを書いていた」「むしろ作中の世間一般で信じられている情報こそ嘘」といった疑念がいくらでも付き纏うのである。
さらには世界レベルで人の記憶を改鋳できる存在がいたり、ESOでは時空を超えて未来の書物を引き寄せる書庫まで登場したため、本の出版の日時から推測した時系列すら信用ならないのだ。
概要
デイドラ(Daedra)とは、Bethesda Softworks社開発の3DオープンワールドRPG、The_Elder_Scrollsシリーズに登場する別次元の生命体である。語源は古代エルフ語でエイドラが「祖先」を意味するのに対し、デイドラとは「祖先ではない者」を意味する。タムリエルでの平均的な認識では、邪神あるいは悪魔に近い存在である。
不老不死の存在であり、たとえ肉体を失っても数十年数百年かけて復活する上、それは彼らの感覚では大した時間ではない。デイドラは、現世の住民すなわち人やエルフ、獣人などの種族全てを「定命の者」(限られた命しか持たない者)と呼び、程度の差はあるが基本的に見下している。
本来デイドラとはオブリビオンの次元に住む生物たちを指すが、作中でデイドラと言われる場合は大抵統治者階級である16柱の「デイドラ・ロード(Daedra Lord)」のみを指すことが多い。デイドラロードともなれば、その強大な力は現世の神々にも匹敵するほどである。下位のデイドラであれば魔力は限られるが、それでも現世の住人には十分すぎるほど危険である。
デイドラは、今でこそ異次元オブリビオンに住んでいるが、そもそも定命の者が棲む現世ムンダスは、オブリビオンより外側のエセリウス出身のエイドラたちによって強引にオブリビオン次元の内部に線引きされて作られたという。当然、元々ここに暮らすデイドラからすれば、エイドラに強引に奪われた次元=現世(+そこの住人達に干渉するのは当然だろうという感覚がある。
時として彼らはそれぞれの好奇心や利益のために現世に干渉し、気に入った者たちに肩入れしたり、祝福を授けることがある。しかし魔族故に人とは倫理観が全く異なる彼らは善悪の区別が曖昧で、子どものイタズラレベルなものから徐々に歯止めが効かずに++国家間の全面戦争の勃発まで悪気なく引き起こしてしまうことさえある。デイドラとの契約は計画的に。
現時点では現世の八大神、特に「アカトシュの結界」により、デイドラが直接的に現世に干渉することは封じられている。
(他にも、ダンマーの現人神ソーサ・シルとの協定で多くのデイドラに直接干渉が禁じられているとも。)(※1)
そこでデイドラとしては、様々な間接的手管で干渉を試みる。一番簡単な方法は定命の者の側から現世へ召喚される方法で、隙あらば召喚者を騙そうとデイドラは定命の者を狡猾に誘惑する。 (※2)
魔法使いがデイドラを利用しようと彼らを召喚したものの、契約の穴を突かれて破滅するのはよくあるパターンである。 (※3)
以上から、ゲームプレイヤーのメタな観点では「エイドラとは世界を保護する神のことであるのに対し、デイドラとは世界に危害をもたらす邪神のことである」でだいたい合っている。しかし、世界観としてはデイドラを邪神と要約するのは難しい。デイドラロードは人間と利害が一致した場合などでは時として人類に有益な側面も持ち、それは現世を我が物にせんと侵攻を繰り返すデイゴン様ですら例外ではない。むしろ少なくないロードが個人的にこっそりお気に入りの人間に肩入れしたりもするし、時代によって皇帝とも契約した例も存在している。
更には盗賊におけるノクターナル様のように現世利益を齎す職業の守護神として、あるいはオークたちにおけるマラキャス様のように、歴史的な理由から種族全体を守護してくれる有難いデイドラ王様として堂々と信仰されるものすら存在する。
また個々のデイドラの中にも、
- (本人の趣味として)人間界で海賊として名を挙げたり
- 人類相手に意気揚々と商売をしたり
- 執事として仕えるものがいたり
- 定命の者との一途な恋愛に夢中になる者がいたり
- デイドラ王たち全員の支配が嫌で、中立の領域で暮らしていたり
……と、定命の者並みに本当に多様性があったりするため、一概に邪神や魔族に扱われるようなたぐいの者ばかりではない。
デイドラ・プリンスと契約したり信仰した場合、死後の魂は通常の冥府(善神であるエイドラの領域)ではなく彼らの領域に送られることになる。そこが地獄か天国か、どちらでもないよくわからないナニカは送られた本人次第である。
ドレモラたちの身につけているデイドラ装備は、ニルンにおいては黒檀と同様の素材と手順で作られるが、特定のタイミングでドレモラの心臓を炉へと投げ入れる工程を踏んで鋳造されるのだとか。
月齢が極めて重要であり、満月が最適な一方、新月の時期には絶対にやってはいけないとか。(※4)
- ESO、結界はメインクエスト「避難所」 協定はチャプター「Morrowind」アズラのセリフ他
- クエスト「大義」(Skyrim Anniversary Edition)
- 『ブラックでの悲劇』
- セブン・トゥ・ハンマーズ著『重装鎧の鍛造』
Daedric Prince(デイドラ・プリンス)
通称:「デイドラロード(Daedra Lord)」。日本語だとプリンス=王子と翻訳される作品もあるが、元々英語圏のPrinceには「大公」「(大国に属する小国の)王」という意味もあるためこちらの意味で使うほうが正しい。
実際に、公式日本語版のOblivonやSkyrimでは書籍・状況によって「デイドラの王子」「デイドラ王」がややこしく入り混じり、ESOでは「デイドラ公」と訳されている。
デイドラロードは最も強大な力を持つオブリビオン領域の最高権力者達で、各々が独自の司る「概念」と王国のような支配領域を持ち、そこに君臨している。
邪神と言いかえてもよい強大な存在であり、職業や種族などによっては神と呼べる存在でもある。四作目Oblivionのメインストーリーでは彼らは物語に大きく関わり、次回作skyrimでは例外を除き比較的大人しい。
最新作のESOではまだアカトシュの結界が存在しない時代設定の為に世界各地にデイドラロードたちがやりたい放題で干渉し、場合によっては不倶戴天の宿敵として、もしくは尋常じゃなく頼もしい味方として登場することとなる。
ロード同士の関係
力を持つデイドラ公たちは基本的に並び立つが、別段仲が良いわけではなく、むしろ険悪な間柄もいる(扱いやすいバカとしてほとんど嫌われていないデイゴン様は例外)。相手の支配領域に侵入して破壊を行っていく事もあれば、現世の信者や祠・聖域などを狙って潰していく事もある。ニルンの神々であるエイドラは「八大神」等と呼ばれる多神教を一般に構成して役割を分担して定命の者を守護しているが、デイドラ信仰は先述の理由から原則として一神教であり、信ずるデイドラ以外のデイドラはしばしば敵である。ダンマーはアズラ・ボエシア・メファーラの三柱を「善きデイドラ」と呼んで種族の多数が並べて信仰しているが、これはむしろ例外である。
また、デイドラ公は決まった特定の姿で必ず顕現するわけではなく、状況・時代によっては異なる姿で出てくることもある。ボエシア様やモラグ・バル様のように性別の違う姿で現れることもあれば、ノクターナルやアズラのように外見上の種族が少々変わったり、デイゴンやハーシーンのようにサイズも可変な御方も。彼ら/彼女らにとっては姿も性別も大きさというのもまったく大した問題ではないのかもしれない。 (※1)
デイドラ公それぞれが自らのチャンピオン(※お気に入りの決闘用の戦士)を従えている。チャンピオンに任命されるのは、デイドラである場合もあるが、強さや実績を示した定命の者がチャンピオンとしてデイドラ公自らがスカウトしにいく場合もある。(※2)
デイドラ公のしもべであるチャンピオンやデイドラ公にその実力を認められた定命の者の中には、後にデイドラ公のパートナー(夫・妻・恋人)になっている者やデイドラ公から寵愛を受けた者もいる。デイドラと定命の者との間で交配は可能であり、デイドラの王と定命の者との間に生まれた子孫は「デイドラの半公」(Half Prince)と呼ばれる。 (※3) (※4) (※5)
- アズラはダンマーの姿で現れることもあるが定命の者に憑依して話すこともあり、ノクターナルはSkyrimでは色白の女で現れるがESOではレッドガードの女性の姿で登場している。また、ボエシアはDaggerfallでは男神であり、モラグ・バルはMorrowindに女性として記述されている書籍が登場している。
- 『フローミルの歌』
- 『狂気の十六の協約 第十二巻』
- ロアマスターの記録 :メイルストローム・アリーナ 第1部 - TESO / ESO
- 『フローミルの歌』
◆Azura(アズラ)
詳細は個別記事へ。
宵と暁を司るとされ、月と太陽を携えた美しい女性の姿をしたデイドラロード。
デイドラアーティファクトの中でも非常に有名な魂縛石「アズラの星」の所有者で、支配する領域は夜明けとも夕暮れともつかない美しい領域「ムーンシャドウ(Moonshadow)」。
デイドラの中でも数少ない善神成分多めの女神で熱狂的なファンも多く、ロード達の中では親しみやすいためかプレイヤーや帝国市民たちからの人気も高い。
◆Boethiah(ボエシア)
謀略・隠された殺人・暗殺・反逆を司る。ダンマーの守護神の一柱。
支配領域は、塔や巨大な迷宮・庭園が広がり裏切りや反逆が絶えず起こっている「Attribution's Share(アトリュビューションズ・シェア)」(以前はスネークマウント(Snake Mount)と呼ばれていた)。
権能からして邪神さんだが、skyrimで語ったところによると「いかなる謀略や裏切りを用いてでも目的を完遂しようとする事を重んじる(意訳」ということらしい。
自身も反抗的な態度を取る者を見ると喜ぶ反骨野郎で、選択肢で否定的な態度を取ると喜ぶ。
……作中の書物によれば99人の愛人がいる上、性別可変なふしだら疑惑あり。また、暇つぶしに"どの人種が一番強いか"といった武闘会を開催したりもしている。
所有するアーティファクトは強力な隠匿能力を持つが、持ち主に似て気まぐれに所有者を変えるという「黒檀の鎖帷子」、第四紀の大戦にて皇帝タイタス・ミード2世が携え、戦に用いたと言われている刀「ゴールドブランド」などがある。
◆Clavicus Vile(クラヴィカス・ヴァイル)
詳細は個別記事参照。
バルバスという名の喋る犬っころ、そして本体のヴァイル様で二人一組という珍しいデイドラロード様。
約束事や取引、嘘と契約を司り、「虚偽と約束の王子」とも。
彼と契約を結ぶことで途方もない利益を得ることができるが、巡り巡って結果として碌な事にならないことや、契約時に隙を見せれば彼の甘い言葉や二枚舌に出し抜かれる結果になることさえある。
…プレイヤーすら例外ではなく、スカイリムでは彼の言いなりになるとトロコンに失敗する。
◆Hermaeus Mora(ハルメアス・モラ)
詳細は個別記事を参照。
世界中のありとあらゆる知識、運命や記憶を司る深淵のデイドラロードで、所有する領域はオブリビオン最大の書物庫の領域「アポクリファ(Apocrypha)」。
知識のためであれば手段は厭わない、ひと時も油断してはならない存在……なはずなのだが、口調のどこか節々にお茶目さや愛嬌を感じられずには居られない知識大好きデイドラさん。
◆Hircine(ハーシーン)
詳細は個別記事を参照。
「人獣の父」、「狩りの神」の呼び名の通り、狩猟全般を司る強大なデイドラロード。
狩人にとっての守護神で、獲物を仕留める直前にハーシーンの名を呟けば狩人の視線に彼の力が宿るのだという。
狩猟大好きなデイドラらしく、彼の領域は狩るものと狩られるものが永遠に鬩ぎ合う「ハンティング・グラウンド(Hunting Ground)」という狩場。
ウェアウルフの呪いを生み出した祖でもあり、狩りの祝福でもある一方、呪いとして忌み嫌っている者たちもいる。
Skyrimではバグが重なったせいで、二者択一のアーティファクトを騙し討ちで両取りしても潔くドヴァキンの知略を褒め称えるネタキャラ兼器のデカすぎるお方と化した。(しかも、このパグはヴァイル様に騙され、トロコンを逃したプレイヤーへの救済措置にまでなっている。)
◆Malacath(マラキャス)
"嫌われる者"の神で、オークの守護神。
拒絶されし者、追放されし者を守護する武闘派デイドラロード。「呪いの製造人」、「怒れる者」などの呼び名がある。
彼の領域は、大地はおろか大気に至るまで灰と塵で構成された「アッシュピット(Ashpit)」。浮遊魔法と呼吸魔法を使わなければ、生きていることすら困難な場所。
特にオークの父を称して彼らに力を貸し、彼らの歴史的経緯(=オルシニウム建国)からも数千年単位で熱烈に崇拝されている。
他デイドラロードとは非常に険悪で、特にマラキャスが不死のデイドラを殺してしまうこともできる武器を作ったりしているので犬猿の仲、現世のデイドラ崇拝者からも目の敵にされている。
一方で、人類にとっては邪神退治に力を貸してくださるというマジ有難い存在でもある。
彼の正体は一説では元々エイドラで、戦いを司る武神トリニマック様(Trinimac)であり、裏切りの神ボエシアに食い殺されてその大便から蘇生した結果、デイドラに堕ちてしまった。
オークを手厚く庇護するのも、自身とともにオークもまたエルフ種から堕ちてしまったことへの贖罪の精神のためである。
……一方でオークたちをただ甘やかすだけではなく、弱腰のオークの部族には心を鬼にして試練を与えて叩き直そうとしたりしたこともある。
所有するアーティファクトは、ドワーフの氏族が作り出し、大戦争の度にその持ち主を変えた逸話の伝わる禍々しい強大なウォーハンマー、「ヴォレンドラング(Volendrung)」。
(ハンマーフェル地方の由来にもなっている。)
そして、いかなるデイドラをも一撃で粉砕してオブリビオンの荒野に送り返す「デイドラの災厄」なども彼の所有物。
◆Mehrunes Dagon(メエルーンズ・デイゴン)
詳細は個別記事へ。
今シリーズ全体を代表する名ヴィランにして、破壊と変革を司るデイドラロード。
灼熱の溶岩流にあらゆる生命体を破壊する暴風、変化のエネルギーが絶えず満ちる領域「デッドランド(Deadland)」が彼の統治する領域である。
デイゴン様は腕を四本持つ真っ赤な魔王の姿が実に特徴的で、登場する作品のほぼ全てで常に現世ムンダス全土を我が物にせんと怒り狂っている。
TES4OBLIVIONではメインストーリーのラスボスを務め、悪魔博士のような愛すべきヴィランとしての側面と、現世に顕現するたびに帝国存亡の危機という全く笑えない恐るべき大災厄の側面を併せ持つ名悪役。
◆Mephala(メファーラ)
偽り・姦淫・殺人を司る両性具有のデイドラロード。「ウェブスピナー」、「囁きの女公」とも呼ばれる。
生き延びるための手段としての「暗殺」を教えた、ということでダンマーの守護神に数えられる。
彼女の支配領域は、恐怖や裏切りなど複数のエリアで構成される「スパイラルスケイン(Spiral Skein)」。
三作目Morrowindでは、歴史上初めて登場する暗殺ギルドの始祖であるモラグ・トング創設に関わっているとされ、その後継組織である「闇の一党」にも影響を及ぼしているとされる。
人間を弄ぶことを心の底から面白がっている気質があり、特に定命の者たちの社会を壊れそうで壊れないギリギリのラインまで弄ることが大好き。
……とはいえど、信者がおおっぴらに信仰を公表するようなタイプの神格ではないため、現世に干渉しにくい身ながら今日も今日とて不安の種をせっせとばら撒いている。
そんなわけでSkyrim本編でこの御方がくれる「黒檀の剣(Ebony Blade)」は最大強化のために親しいNPCを10人も殺害しなければならない悪夢のような武器だが、それに見合うバランスブレイカーかつ最序盤から手に入る。それもバグで通常の強化が不可能なので、これでもまだ自重しているというおまけ付き。
しかも日本刀型両手剣という唯一無二のカッコよさがある。
◆Meridia(メリディア)
女性の姿をした光明と生命力を司るデイドラロード。「陽光」、「光の淑女」などの呼び名がある。
古代エルフアイレイド(Ayleid)のラロリアラン王などが絶対の忠誠を誓っていた存在で、比較的定命の者に寛容なデイドラとされる。
不死者や穢れたアンデッド、生命を冒涜する死霊術が何よりも大嫌いなアンデッド絶対殺すウーマンであり、人類にとっては完全な善神。そこ、「自分も不死の存在のくせに」とか言わない。
光と生命力を司り、アンデッド退治を守護するという特徴から、実はこのお方エイドラの親戚か何かなんじゃ?という説すらあったりする。
ただ、アズラなどと同様に彼女も恐ろしいデイドラっぽい一面を持っており、自身の祠を冒涜したアイレイドの古代遺跡開拓団を洪水と落盤で遺跡もろとも皆殺しにした過去がある。ほなエイドラちゃうか……。
...最近は信者不足に悩まされているのか、五作目のSkyrimでは自身の神聖な祠とアーティファクトをよりにもよって死霊術師に悪用される始末。これを解決すると対アンデッド用の柄に擬似太陽を収めた聖剣「ドーンブレイカー」を授けてくれる。性能はともかくめちゃくちゃかっこいい上にバグで2本もらえる。
所変わってESOのメインストーリーでは冒涜を司るデイドラ王モラグ・バルの前に立ち上がった主人公たちに頼もしい味方として登場し、最終的に見事バル様の野望を打ち砕くことに成功する。(クリア後の彼女はどことなく満足気であり、ただ彼をボコリたかっただけに見えなくもない……) 明確な代償なしに生き残った仲間全員の救出まで朝飯前とばかりにサービスしてくれるなど、ぶっちゃけエイドラ八柱全員を束にしたよりもよっぽど優し(ゴホゲホッ
彼女のアーティファクトは上記の「ドーンブレイカー」の他に、カジートの盗賊ラジーンが愛用したことで名を馳せ、最終的に彼を見限る形で引導を渡すこととなった指に嵌めたものの姿を隠す「カジートの指輪」がある。
支配領域は「色彩の間(Colored Rooms)」で、オーロランという黄金の鎧を着たデイドラが住んでいる。ESOチャプター「サマーセット」でオーロランが鎧を脱いで実体を表すシーンがあるが、全てのオーロランが同様な存在なのかは不明である。
◆Molag Bal(モラグ・バル)
黒い大角を持った巨大な骸骨のような外見で、「支配」と「冒涜・陵辱」を司るデイドラロード。
元々は下級のデイドラであったが、そこから今のロードの位にまで成り上がった。
生きとし生けるものが死に絶えた氷の大地と、空には黒い巨岩が浮遊した荒廃した冒涜の領域「コールドハーバー(Coldharbour)」
デイゴン様などと同様に、司る概念が概念なだけに邪悪なデイドラ王達の一柱とされる。
現世の生と死を司るエイドラの女神アーケイに中指を立てるためなら手段は惜しまず、この世界で最初の吸血鬼を生み出したほか、あらゆる国で禁忌である死霊術の存在とは切っても切れない関係にある。
そんな一方で、風の噂では見た目金銀ガチムチマッチョのキカイダーな現人神ヴィヴェク(※成人男性)を手篭めにした話や(※真偽不明だがバル様なのであり得る)、現世から不死のドラゴンを拉致・監禁・調教して新種のデイドラ:タイタン(Titan)を作り上げたエピソードなど、とにかくクラ◯ザーさんばりにスゴいエピソードに事欠かない。
……正直、タムリエル在住の一般市民からは口に出すことも遠慮したいほど厄介な魔神様である。
例によってバル様も善神の側面が(というには彼の場合微妙だが)刺身の上のタンポポ程度に無くはなく、吸血鬼を生み出したのもバル様としては至ってド真剣にたかがエイドラ風情が人間やエルフの死を支配するのは高慢だろうが……という、冒涜の神なりに筋の通った反骨心のような考えによる。(※)
彼の所有するアーティファクトは攻撃した相手の活力と魔力をじわじわ奪い、相手方の性別が男だろうが何だろうが老若男女問わずに服従を強いる「モラグ・バルのメイス」がある。
ESOではラスボスを務めた。
※:ESO ゲーム中書籍「オプスカルス・ラマエ・バル」
https://elderstory.net/opusculus-lamae-bal-ta-mezzamortie/
※:ESO ゲーム中書籍「デイドラの調査報告書:タイタン」
https://elderstory.net/daedra-dossier-the-titans/
◆Namira(ナミラ)
暗黒・腐敗を司るデイドラロード。「廃滅の女公」とも。
支配領域は亡霊が泣き叫ぶ砂の島「スキャトリング・ヴォイド(Scuttling Void)」。
「見た目で忌み嫌われ、罵られることは喜ばしい」とまで宣う不幸や嫌われている状況、ムカデやクモ、昆虫、ナメクジなどの不快生物、不浄なる者が大好きな喪女。神性自体は不幸な者、疎まれし者を救う慈悲深い女神様なのだが、疫病を用いたり死者冒涜を推奨したり手段がかなりヤバイ。しかも悪い意味でその慈悲に分け隔てはなく、カニバリズム嗜好のような排斥されるべきものすら救済する、残念ながら邪神寄りの存在。
カジート神話ではロルカーン(ロルカジュ)から産まれた存在で、太古の原始世界の暗闇を司るとても古いデイドラロードではあるらしい。
彼女は排斥されるものの庇護者、ということで一部マラキャスと似ている部分があるかもしれないが、マラキャスは慈悲の心で試練を与えた上で心を鬼にして民族を鍛え上げる武闘派:超スパルタ思考なのに対し、ナミラさんの方はただただ腐敗しながら不幸を分かち合うダメ人間製造機の女神様とでも言おうか。
それだけに生と死を司るアーケイ、および不浄を嫌うメリディア様たちとは本能的に敵対関係にあり、リア充(アーケイの信奉者たち)が自分の神殿に入ってきた時にはブチ切れた。
彼女のアーティファクトは、人喰いに際してより高い効能と加護をもたらす「ナミラの指輪」。
◆Nocturnal(ノクターナル)
詳細は個別記事へ。
夜と闇を司る美しい女神のデイドラロード。
さらにはもう一つの権能から秘密裏に盗賊の美しい職業神も務めている。
支配領域は永遠の黄昏が続き、深い影に包まれた「エヴァーグローム(Evergloam)」。
所有するアーティファクトはあらゆる錠を開け、さらには所有者の潜在能力や能力や可能性といったものさえ「開けて」しまうことのできる「不壊のピック」、着用者の隠密能力を大幅に高める代償に世界から着用者の「あるもの」を失わせてしまう「ノクターナルの灰色頭巾」など。
◆Peryite(ペライト)
長大な翼をはやした四足歩行の竜の姿をしており、風邪から風土病まであらゆる「病気」を司るデイドラロード様である。
本業の片手間にオブリビオンの最下層の秩序を司ってもいるようで、別名は「親方」、「疾病の主」とも。
信者の面倒見が比較的良いことで有名で、人間に召喚されれば相談に乗ってくれる上、難航した問題の解決を主人公達に依頼してくることもある気さくなデイドラロードさんである。
彼の支配する領域は「ピッツ(Pits)」。どこまでも続く奈落の次元であるとされる。
彼には別に現世を支配したい欲求はなく、彼自身が現世に顕現したこともごく僅かな回数である。
しかし問題なのは彼の司る「病気」という概念で、しばしば悪気なく悪疫を世に広め、本当に悪気なく世界各地の辺境に祝福と称して感染した信者を解き放つ。
どっからどう見ても邪神にしか見えないが、信者曰く彼という存在は「傷口に溜まる膿であり、穢れた体液を吸い取るのは膿」「世界は病でしか救えない時もある」。何らかの現世利益はあるのだろう。
ペライト様のアーティファクトは、ドワーフによって作り出された全魔法を無効化する最強の盾「スペルブレイカー」。タムリエル大陸の歴史において最古のアーティファクトとされる一品。
元の持ち主を今もなお探し続けながら一人の元に長く留まることはないとされる。
◆Sanguine(サングイン)
放蕩や快楽を司るデイドラロード様。「歓喜の主」との呼び名を持つ。
見た目はかなり普通の陽気なお酒好きのデイドラで、定命の者に呼び出されようが分け隔てなく笑顔で対応する。
支配領域は「無数の宴の領域(The Myriad Realms of Revelry)」。その名の通り様々な宴会が常に催されている小さな領域が泡のように連なってできている。五作目Skyrimでお目にかかる場所は、その泡の領域のうちのほんの1つ。
とにかく乱痴気騒ぎと酒が大好きで、司るものの都合上、娼館などでは彼の名にあやかることも多いという。
宴会好きで情熱的な性格をしており、実際に会話してみると気さくで陽気な飲兵衛のおっさんそのもの。ただし、彼が司る”快楽”には"堕落の快楽"や"殺人さえ含む快楽"といった血みどろかつ熱情の行き着く先の暴力等も含まれているため、実は割と危険。お酒はほどほどに……。
四作目のOblivionに登場する王位継承者Martin Septimは僧侶になる前にこのサングイン様を信仰していたと話してくれる。(彼にとっての黒歴史)
また、しばしば娯楽目当てなのか現世に人の姿に変身してこっそり呑み歩いており、次回作のSkyrimでは主人公相手にとびっきり愉快ないたずらを仕掛ける。
所有するアーティファクトは一振りすれば貴族階級相当の強大なドレモラの戦士を(少しばかり制御の効かない情熱的な状態で)喚び出すことができる「サングインのバラ」などがある。
◆Sheogorath(シェオゴラス)
詳細は個別記事へ。
もっとも邪悪かつ、最強クラスのデイドラロード。なぜならあたまがおかしいから。
会話自体が全く一筋縄ではいかない狂乱のお爺ちゃんで、司るものは「狂気」という巨大な概念そのもの。
何千年後も後の未来に起きる事象を知っていたり、高笑いとともにどこにでも偏在し、定命の者たちの世界に混沌を撒き散らして去っていく。
支配領域はシヴァリング・アイルズこと「戦慄の島(Shivering isles)」、通称ガクブル島。
◆Vaermina(ヴァルミーナ)
捩れた杖を持った老婆の姿をした女神で、夢の世界、悪夢を司るデイドラロード。
「授けし者」、「悪夢の女主人」とも呼ばれる。
特に彼女のお名前は五作目のSkyrimでは「ヴァーミルナ」「バエアニマ」、書籍では「ヴァエルニマ」、最新作のESO付近では「ヴァルミーナ」と、公式日本語名がコロコロ変わる不思議なお方。
夢は夢でもとりわけ悪夢の方を好んでおり、人間の記憶の蒐集が趣味。時に人々を悪夢の中へ閉じ込めたりして魂や精気を吸収している。
彼女の領域「クアグマイヤ(Quagmire)」は閃光や雷のように数分ごとに風景が変わり、常に悪夢のような光景が現れ続ける。
魔術を司るエイドラの神マグナス(Magnus)の妹に近い存在とも言われているが、この魔術に極めて秀でたデイドラロード様ならあながち本当のことなのかもしれない。
所有するアーティファクトは周囲の人間の夢や記憶を奪い、一振りすれば対象の幻影を作り出す「堕落のドクロ」。
「夜の恐怖のガルシス」と呼ばれるデイドラを夫に持っており、彼は元はヴァルミーナ直属の勇者(チャンピオン)であったと云われる。
◆Jyggalag(ジャガラグ)
秩序という概念を司る、強大な古代のデイドラロード。
現代はその名は殆ど知られておらず、支配領域も知られていない。
かつては他の全てのデイドラロードを圧倒したオブリビオン最強格の実力者であり、オベリスクと呼ばれる灰色の水晶の柱から文字通り無限に召喚されるオーダーというデイドラの軍勢を率いては、他の領域の存在を脅かし続けていた。
秩序やルールが大嫌いな他のデイドラたちにとって、本能的に天敵とも呼べる存在だった。
最終的に、危機感を覚えて結託した他のデイドラロードたちが全身全霊の力で抵抗したことでようやく危機は去り、ジャガラグは強力な呪いを掛けられた上でオブリビオンの海のどこかへと封じられたはずだった。
Lesser Daedra (下級デイドラ)
オブリビオン世界から現世へ召喚術で召喚される、比較的弱めのデイドラさん達のこと。。
シェオゴラス様配下のゴールデンセイント(Golden Saint)さんたちのように人間とほとんど変わらない姿から、無機質な精霊のような見た目のアトロナク(Atronach)たち、海洋生物や蜘蛛のようなデザインのデイドラさんまでその姿は実に多種多様。
また、下級デイドラ同士でも関係性も様々。
ルイナクと呼ばれる4本腕のデイドラは、自分たちの事をメエルーンズ・デイゴンの直接的な子孫であると信じているものの、同じ領域のドレモラさんたちからは戯言扱いされている。(※1)
基本的に程度の差こそあれど、永遠の時を生き続ける不死の身な上にそれなりに高知性な方々であるため、せいぜい数十年そこらで死んでしまう現世の住民達を「定命の者」「弱き者」とは呼ぶが、本人達なりにはこれでも可哀想に思う気持ちをオブラートに包んでくれている。
彼らは召喚術で現世に呼び出されれば契約に応じるうえに、高名な召喚者であれば実力・力量を認めて戦場で頑張っちゃう可愛いデイドラさんもいる。ヴォァー!!(雄叫び)
大多数は弱き者の力を侮っては返り討ちにあったり、何かとこきつかわれては不憫な目にあったりすることもある下っ端階級ではあるものの、中にはクラヴィカス・ヴァイル様のお気に入りの犬っころバルバス、そしてシェオゴラス閣下直属の執事ハスキルさんのように一度見れば忘れられないくらいの個性を持ち、ほぼ全シリーズ常連として主君達のために奔走し続けている方々も存在する。
「ドレモラ(Dremora)」
破壊と変化のデイドラ大公、メエルーンズ・デイゴン卿に忠誠を誓う下級デイドラたち。
上司の出番の多さに比例し、下級デイドラ≒彼らドレモラぐらい有名な存在。特に五作目skyrimでは、精霊達を除けば登場する唯一の下級デイドラである。
男女の性別はあるがいずれも赤黒い肌にスキンヘッドに黒い角が生えており、加えて戦化粧のような文様の刺青を漆黒の顔に入れていることが多い。
定命の者たちと同様に、彼らの社会もまたチュール(下層階級)やケイテフ(捨て駒の戦士階級)、マルキナズ(貴族議員)、そしてヴァルキナズ(王侯)といった階級制度が存在しており、ドレモラ同士で日々苛烈極まりない権力闘争に明け暮れている。
彼らはロード同様不老不死だが苦痛は感じる為、恥や喪失といった精神的苦痛は文字通り死ぬほど耐えがたいものであり、彼らがデイゴン卿という絶対的な力と野望の化身を崇拝するのはそういった恐怖から逃れるためでもあるだろう。
そして残忍で頭に血が上りやすく、乱暴事を好む傾向といい、風貌も性格も彼らの君主であるデイゴン卿にとてもよく似ている。
一方では定命の者を下位の生物として徹底的に見下す強大な魔族であるが、武勇や名誉というものを非常に重んじており、自らが勇者と認めるに足る人物には武人として礼儀正しい態度をとる。
……Skyrimでは召喚→殴り合いの末に主人公に恐喝されてしまい、命よりも遥かに大事な契約の石(※儀式用の魔道具)をデイゴン様から盗み出さなくてはならなくなった可哀想なドレモラさんも登場した。
「ズィヴィライ(Xivilai)」
ドレモラたちと同じく、こちらもオブリビオンの住民。
下半身に腰布を巻いた青い肌の鬼のような姿格好をしており、特に武術と魔法に精通した上に、召喚術まで使いこなす魔法戦士タイプのデイドラさんたち。
支配を司るモラグ・バル様の眷属であるため彼の領域、コールドハーバーに多く暮らしているが、皮肉なことにズィヴィライたちは何者に対しても服従することを嫌う。
ドラモラたちとはお互いに刃を交えたり、時に一緒に現世に侵攻したりと気まぐれに立ち位置が変わる。
デイドラの秘宝(Daedric artifacts)
デイドラロードが所有する特別な力を秘めた大秘宝。強力な武具や鎧、アイテム。
作中では、主に彼らロードたちの押し付けてくる無理難題を見事こなした勇者に報酬として渡される。
なお、このアーティファクトはロード達自身の力で作り出したものも含まれるが、別の誰かが生み出したものを後から所有することになった古代の秘宝な場合も多い。
(ヴォレンドラングやスペルブレイカーなどの古代の武器や、過去にモラ様が蒐集した本など)
大抵はひとところに留まることはなく、強盗や盗難、契約不履行による没収、物自身が意思を持って持ち主の元を離れる、など所有者は変転する。
スカイリムではAE配信に伴いオビリビオンに登場したアーティファクトの一部の流転状況が半ば公式化した。他、本来の所有者そのものもデイドラたちの情勢で変わることがある。具体例としてはマラキャス所有のヴォレンドラングがESOの時代ではシェオゴラス様に勝手にパクられていた。
余談・その他
- 一般的にはデイドラは不老不死、殺してもいずれは必ず復活する存在だとされている。しかし中には、「エセリウス(エドラのいる次元)で殺せば、デイドラの次元とのエネルギーの繋がりを断ち切り死んだままにさせておける可能性」、つまり、デイドラを蘇生させることなく殺せるのではないか?という仮説を立てている学者もいる。(※1)
- オブリビオンの次元は主にデイドラの王が支配し管理しているとされているが、どこの領域にも属さない空白地帯もまた存在する。ファーグレイヴのようにロードがおらず、定命の者たちと地域のデイドラたちが混じったまま独自の街を形成した例外的な場所も。
- 五作目のSkyrimのDLC「Dawnguard」に登場した魂の領域ソウル・ケルンを支配しているアイディール・マスターなど、一応領域らしいものはあるがロードと呼ぶには貧弱過ぎるし、その領域もいやに貧相という例外的な存在も存在している。また闇の一党で信仰される虚無の父シシスなども、その正体がデイドラなのかさえはっきりとせず、まさしく全ての情報が闇の中という御方もいる。 (※2) (※3)
表記ゆれ
関連動画
下記動画の中にたびたび映っている、威圧感がある存在が、デイドラたちの王、「デイドラ公」である。
見ての通り、彼らが顕現した時点で状況は手遅れに近く、空間そのものを支配する神当然の存在であるため、まず一般人ごときで勝てるようなレベルの相手ではない。もし勝てるとすれば、八大神(九大神)をはじめとする現世の神々の力を借りた大英雄か、他のデイドラ公の御加護を受けた者ぐらいである。
関連タグ
The_Elder_Scrolls エイドラ エドラ デイドラ
関連リンク
[[星霜物語 │ オブリビオンの伝承 > https://elderstory.net/eso/library/oblivion-lore/]