概要
MARVELコミックのキャラクターにして「ファンタスティック・フォー」に登場する最大の宿敵。
世界征服を企む、小国ラトベリア(Latveria)の専制君主にして世界屈指の科学者。尊大にして自意識過剰だが、器が大きく、高潔で誇り高い男である。
本国アメリカではダース・ベイダーに肩を並べる程の絶大な人気を得ている。
邦訳コミックにおける表記は「ドクター・ドゥーム」だが、pixivのタグとしては「Dr.ドゥーム」または「Dr.Doom」が多い。
来歴
本名:ヴィクター・フォン・ドゥーム(Victor von Doom)。
いにしえの王朝・ラトベリア王家の末裔である魔女の子供として生を受ける。
その優れた頭脳がアメリカ大学教授の目に止まったことで名門・ステート大学に進学し類い希なる才能を開花させた。
しかし、研究の一環で行った「死者と交信する実験」に失敗、顔に傷を負ってしまった。
なおこれは学術的な意味合い以上に「死別した自分の母親と、もう一度言葉を交わしたい」という理由があり焦っていたため、当時友人だったリード・リチャーズ、のちのミスター・ファンタスティックに理論の不備を指摘されていたがそれを無視し、強行した結果だった。
この傷は小さなものだったが、ヴィクター自身のプライドは深く傷つき、大学からも追放され、世界中を放浪することとなってしまった。
ここから世間に背を向け、リードに対しても恨み(ほぼ逆恨みだが)を抱くように。
その過程でチベットに辿り着き、そこに赴いた寺院にて修行僧となって、荒行の果てに魔法を体得。
そして、寺院で最強の魔法使いとなった後、鎧を製作し装着。
最後に俗世と完全に決別するため、鎧の顔部分のプレートを真っ赤に熱し、自身の顔に押し付けた。
こうして自ら焼けただれた顔になり、現在の「ドクター・ドゥーム」へと変貌したのである。
いささか歪んだ性格ではあるものの、国民から信頼された有能で慈愛のある君主であり、そもそも彼が世界征服を企んでいるのも「世界から争いや差別をなくしたい」という思いから来ているのである。
実際、パラレルワールドで彼が世界征服を果たした未来の世界では、戦争も差別も貧困もない平和な世の中が実現していた。
悪漢であり冷酷ではあるが、作品によってはつまらない僅かな過ちや、自身の油断から逆転される事も多いため、やや憎めない一面も持たれている。
また、ラトベリア人の少年、クリストフ・ベルナルドを引き取った事もあった。
これはクリストフの両親が、ドゥーム自身の政治抗争に巻き込まれて死亡したためであり、ドゥーム自身も責任を感じていた。そのため、引き取って帝王学を教え、自分の後継者として育てていた。
(後にクリストフは、ドゥーム自身が行方不明になった際に、影武者のドゥームボットによりドゥームの知識と人格を移植されて二代目ドゥームとして踏襲。しかし、初代ドゥームが帰還したため、王座を返している)
また仇敵であるファンタスティック・フォーとも縁があり、メンバーのリードとスーザンの間に出来た女児の出産(様々な理由で命に係わる難産だった)に手を貸し、感謝の印として命名権を譲られるなど、単なる悪役には留まっていない。
また一時コスチュームを白一色に変え、ファンタスティック・フォーの一員としてチームに入っていたこともある。
とあるエピソードでは自国の領空を飛んでいるサンタクロースをうっかり撃墜、代理として「サンタドゥーム」を名乗り奮闘するなど、仕事を選ばないお茶目な一面も。
9.11のアメリカ同時多発テロ事件に際し、特別版として刊行されたコミック「アルティメット・スパイダーマン」36号(通称:スパイダーマン911)では、多くの勇敢な人々と共に救出作業に当たるヒーロー達が描写された。
その傍ら、崩壊したツインタワーの前にジャガーノート、マグニートー、ドクター・オクトパス、キングピンらと共に登場。
たとえヒーローと敵対するヴィランであっても、無辜の人間が理不尽に命を奪われるという行為は許容できるものではなく、失われた人命に想いを寄せて涙を流すという一面を見せた。
能力
身体的には至って普通の人間である。
しかし彼が他のキャラクターと一線を画しているのは、地上最高峰の頭脳からきているのである。
この世のありとあらゆる科学技術に精通し、その知識を活かして超兵器の開発や遠大な陰謀を企てている。更に魔法の一部を体得しているため、絶大なパワーを振るうことも出来る他、チベットの修行僧時代に体を鍛え込んでいるので、本人の体力も常人以上である。
ただし、魔法に関しては、魔法使いとして大成するのに必要な「謙虚さ」を欠いている為、ドクター・ストレンジに及ばない、とされる事が多い。
自身の顔の傷を隠すために鉄仮面をかぶり、その体には数々の超兵器を内蔵した鋼鉄の鎧を纏っている。
この鎧の威力は絶大で、バリヤーや反重力装置、テレポート能力、巨大ロボットも一発で吹き飛ばす威力のビーム砲を使うことが出来る万能兵器。アイアンマンのアーマーにも匹敵し、センチネルのような巨大ロボが相手でも、一撃で破壊が可能。
科学技術のみならず、魔術的な要素も含まれており、悪魔などのオカルトな相手に対しても強力な武器になり防御兵装にもなっている。
なお、鎧(アーマー)を着た天才科学者、と言う点ではアイアンマンとも比較され、実際大規模事件の際に一時協力することはあれど、基本的に仲は非常に悪い。
更に、鎧は量産されており、ロボットに装着させ、影武者「ドゥームボット」として稼働させている。そのため、敵対するヒーローやヴィランが挑戦し、何度倒したところで、それらは影武者だったという事が多い。
こういった数々の兵器や天才頭脳のおかげで、MARVELヴィランの中でも最も危険な内の1人という評価は今も昔も揺らいでいない。
なお、パラレルワールドの【アース1610】「アルティメット・ユニバース」では、
- 破産寸前の小国を半年で日本に匹敵する経済大国に変貌させる
- 「近くに居る最も力の強い者に取り憑く」古代の邪神が、アスガルドの雷神・ソーをスルーしてまっしぐら
など、チートぶりに拍車がかかっている。
おー見たところ皆揃っとるな、日本での扱いだよ!
CV:南利明
「ファンタスティック・フォー」のアニメ作品の1つ(邦題『宇宙忍者ゴームズ』)では悪魔博士と呼ばれており、日本における彼のあだ名の1つになっている。
南利明の芸風そのままに、超ネイティブな名古屋弁で喋り倒すという名古屋風超濃い味のアレンジがなされている。
なお、コミックにおける「ラトヴェリア訛りの英語で話す」という設定を再現しようとした結果、名古屋弁になった...という風にネットで取り上げられることがあるが、これはデマであり、吹き替え版の演出を担当した、高桑慎一郎氏によると当時の日本人の視聴者に親近感を持ってもらうための演出として南利明に名古屋弁で喋ってもらったと語っている。
経緯はともあれ、原典のキャラとはあらぬ方向に行ってしまったのか、天才的な頭脳を持つカリスマヴィランがコテコテの名古屋弁でしゃべるという、やや間が抜けた感じになってしまった。
ついでにレトロなアメリカ製カートゥーンである事を差し引いても作画がちょっとアレなため、余計に間抜けな印象のキャラになってしまった。
おまけにこちらではアチャラカ王国の出身という奇妙な設定。
なお、本名の表記については「アクマ・ユウメナール(有名なる)」「アクマ・ユウメイナワル(有名な悪)」「アクマ・ユメノアール(夢のある)」と諸説ある。
悪魔博士がカルト的な人気を誇るのは
- 「鉄より硬いブリキで作ったんだもんなぁ!ブリキだぞオメー」
- 「むりむり」などの反復表現
- 「ペタッ」や「チュ〜っと」と言った擬音
- 「見本だで、サンプルだで、造船所だけにしとく」と言った重複表現を多用
- 「ケッソ!クルッソ!ハァー!」といったわけのわからない掛け声
- 「ふぇーやーぼうい」(ファイヤーボーイ)といった悟空語じみた頭文字の訛り
- 視聴者にもわかりやすい説明口調
- 「(望遠鏡をミニミニ衛星の国王に)タダでやったんだぞオイ」のような妙に悪人とは思えないような発言
このような独特の言い回しがコテコテの名古屋弁と悪魔合体することでキャラが立っている点にある。
しかしながら、上記の言い回しゆえに間抜けに見えて原作の持ち味も生かしている。
例えば、宇宙忍者(ファンタスティック・フォー)をトカゲ人間の奴隷として売り飛ばそうと企んだ際には……
- ゴームズ(ミスター・ファンタスティック):科学者
- ガンロック(ザ・シング):鉱夫
- ファイヤーボーイ(ヒューマン・トーチ):砲撃手
- スージー(インビジブル・ウーマン):給仕
と考えたり(※)と人事面は割と優秀だったり、津波を起こす装置を開発したり、宇宙光線銃を作ったことでガンロックを人間に戻し、彼のコンプレックスを立ち所に解決してしまったり(ガンロックは再び光線を浴びて能力を取り戻した)、ミニミニ衛星で国王と親交を深めて科学者になった上(利用した上で牢屋にぶち込んだが)、対象を小さくする装置を開発したりと科学者としての頭脳を遺憾無く発揮している。
勿論、宇宙忍者の因縁の敵だけあってスージーを迫る壁が左右から襲ってくる部屋に、ファイヤーボーイを回転する酸素のない部屋に、ゴームズを冷凍室に閉じ込めるなど弱点も把握している。まあ、それでも宇宙忍者にやられるんだけどな!
単なるネタキャラに留まらない人間臭い悪役それが、悪魔博士なのである。
ちなみに世界連合会議議長に「我々は君のような悪い人間にこの大事な地球を渡すことはできない」と言われているが、世界征服した世界線には貧困も差別も戦争もないというのは何とも皮肉な話である。
(※)ただし、スージーの役割の割り振りに関してはオリジナリティを尊重してここでは突っ込まない。
他メディア
漫画
「この醜い鉄とコンクリートの町で何人死ぬ!?一万人か 二万人か!?」
「だがなキサマらアベンジャーズが楽しく殺し合いをやっている今日も、他の国では飢えで何万人もの人間が死んでいるのだ!」
「この世界の過ちを私は、粛清せねばならんのだ」
『ウルトラマン アロング・ケイム・ア・スパイダーマン』にてヴィランとして登場。
アイアンマンの言葉でビルに取り残された人を助けられず、失意に陥っていたスパイダーマンに上記の言葉で現実を突きつけて彼の心を完全に折ってしまう。
そしてスパイダーマンと共に異次元列車に乗ってしまい、重傷を負ったスパイダーマンを放り出すとそのまま自身の求めるものを探すために列車に残る。
ゲーム
1995年にカプコンから発売された格闘ゲーム『MARVEL SUPER HEROES』に中ボスとして登場、隠しコマンドで使用可能となる。
後継作である『MARVELvsCAPCOM』シリーズを経てプレイアブルキャラとなり、3作目の『MARVELvsCAPCOM3』では特徴的な『フッダーイ』というセリフが通称として広まっている。
LEGO
『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲーム』にてヴィランのリーダーとして登場。
世界征服を実現させる為に、ありとあらゆるヴィランを雇い、シルバーサーファーを拉致。撃墜の際にバラ撒かれたコズミックブロックをヴィランに集めさせ、ラフトから脱獄したロキと共にコズミックブロックを素材にした秘密兵器を開発していた。
途中でアイアンマン達に一度成敗されるも自由の女神を操ったマグニートーに助けられた。
そしてストーリー後半、宇宙に浮かぶ本拠地にアイアンマンやキャップ達が乗り込み、次々と敗北していくヴィランの内最後まで残ったマグニートーも敗れ、遂に自ら戦いに参戦。なお、この時裏切る気満々だったロキから洗脳を受けるが、気合で洗脳をかき消した。切り札と思われる巨大なドゥームボット(Vシリーズ)も総動員して立ち向かうもキャップ達の前では意味を成さず、最終的にシングに地球までぶっ飛ばされた。
その後、ロキがギャラクタスを呼び出し、地球が滅亡の危機に直面した時は他のヴィランと共にヒーローに力を貸し、共にギャラクタスに立ち向かった。
メインストーリー「目に見える絶望」クリア後、使用可能になる。
使える技はエレキビーム、ハッキングのみ。終盤で解放されるキャラの割に能力は微妙。
続編の『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ 2 ザ・ゲーム』では、ファンタスティック・フォー出身のキャラクターが軒並みリストラされ、ドゥームも残念ながら続投出来なかった。
その代わり彼の意志(?)は、征服者カーンが受け継いで(?)いる。
フォートナイト
アメリカのバトルロイヤルゲームであるフォートナイトにも参戦しているが、非常に特殊なケースとなっている。通算2度スキンとして実装されており、1回目はチャプター2シーズン4「ネクサスウォー」の時にバトルパスのスキンの1つとして、またマップ上のボスとして出ただけだった。しかし時を経てチャプター5シーズン4、「絶対なるドゥーム」にてなんとストーリーのメインヴィランに昇格。フォートナイトのストーリーは省くが、諸々の事情で島に出現した「パンドラの箱」の力を奪い超絶怒涛の強化を遂げてしまう。どのくらい強くなったかというと、あのシルバーサーファーを倒してボードをへし折り、ウルトロンは首だけの状態でケースに飾られ、マグニートーのヘルメットを壊した挙句これまたケースに飾り、ファンタスティック・フォーの面々も椅子にされたりボール状にされたりなど無残な姿にされてしまっている。しまいにはなんとあのギャラクタスをも討ち取ってしまったらしく、マップの外側に見事にぶっ壊れた彼のヘルメット?が転がっている。
しかしこのパンドラの力はあまりに強大らしく、ドゥーム自身も「対策を講じずに行使するのは賢いとは言えないだろう」と安易に使用するべきではないとしている(スタイル変更でこの対策用のアーマー姿がある)。また再度島に君臨した際ミステリオとエマ・フロストを脱獄させており、マップにボスとして配置されている。ドゥーム自身はマップにおらず、影武者のドゥームボットがボスとして登場しており、倒すと特殊な武器とメダリオン(追加効果をもたらすメダル。上記2人も落とす)をドロップする。また、期間中特殊な島を占領することでドゥーム本人の力の一端を使用することができ、まさに「破滅」と形容するにふさわしいぶっ壊れ性能となっている。
このドゥームを倒すことがシーズン4の目標であり、島やバトルパスには対抗するために様々なマーベルヒーローたちが集結している。
アニメ
ファンタスティックフォーシリーズ
現時点で、4回ほどアニメ化されている。
- The Fantastic Four(邦題は宇宙忍者ゴームズ)
記念すべき最初のアニメ化。1967年放送。悪魔博士の人気も相まって日本では一番知名度が高いと思われる。
- The New Fantastic Four
2回目のアニメ化。日本未放送。1978年放送。
3回目のアニメ化。1994年から1996年放送。詳細は該当リンク参照。
- Fantastic Four: World's Greatest Heroes
4回目のアニメ化。2006年9月から2007年放送。日本未放送。
- アベンジャーズ・アッセンブル
シーズン1に登場。タイムマシーンを使用し、本来ならば敵対関係になるはずだったトニーやバナーを彼らがヒーローになる事件を事前に防ぐことにより世界征服を成功している。ただし、アスガルドにいたソーにはタイムマシーンの影響が及ばず、支配体制も圧制だったためか、彼らの持つ元来の正義感に火をつけてしまい最終的に裏切られてしまう。
その他以下の作品でゲスト登場。
実写版
- 2005,07年版
演:ジュリアン・マクマホン、日本語吹替:てらそままさき / 楠大典(テレビ版)
ファンタスティック・フォーを生み出したのと同じ宇宙船事故に遭った後、金属の肌を持ち、電気を操作する能力を得た。
- 2015年版
演:トビー・ケベル、日本語吹替:阪口周平
関連イラスト
関連タグ
ソウル・クラッシャー:どことなく見た目が似ているアメコミのヴィラン。
小泉鈍一郎:秘密結社の総統で、世界征服を目論む目的が共通している。
アマルガム
DCコミックとMARVELのタイトル・キャラが合体する大規模クロスオーバー「アマルガム」にも登場。
スーパーマンと真っ向勝負し、相打ちにして殺害した強力なヴィラン「ドゥームズデイ」と合体、
「ドクター・ドゥームズデイ」として登場した。
本来の頭脳と科学知識に加え、ドゥームズデイの持つ直接的な髙い戦闘能力をも有し、アマルガムユニバースにおいて、最強クラスのヴィランとなっている。
MCU
以下、重大なネタバレを含みます
つい最近まで権利関係の問題があったため、MCUには未登場であった。
だが
- 『アベンジャーズ』シリーズ第6作の副題が『Secret Wars』であり、コミックにおける同名の大型イベントではドゥームがキーマンであったこと
- フェイズ4~6「マルチバース・サーガ」で当初想定されていたラスボスが征服者カーンであり、コミックにおける別アースではドゥームもカーンになっていること
等を根拠に、前々から登場すると予想はされていた。
そしてフェイズ5の映画第1作『アントマン&ワスプ:クアントマニア』にて「ヴィクター・タイムリー(Victor Timely)」という、カーンの同一人物・または先祖らしき人物が登場した。
界隈では彼がドゥーム本人・または先祖ではないかという声が挙がっていたものの、コミックではタイムリーはドゥームとは無関係であるため、その時点では断定できなかった。
衝撃の参戦発表
そして、迎えた2024年7月開催のサンディエゴ・コミコンにてアベンジャーズ第5作『DOOMS DAY』、第6作目『SECRET WARS』のタイトル発表とともに彼のMCU参戦が遂に正式に発表された。
さらに、これまでアイアンマン/トニー・スタークを演じ、『エンドゲーム』で一度MCUを卒業していたロバート・ダウニー・Jr.が演じることも併せて発表された。
考察
演者がスタークと同一であることや、マルチバースに関して扱ったサーガのラスボスという立ち位置から、ファンの間では「並行世界のスタークが悪に堕ちた姿ないしはスタークの変異体ではないか」とする見方がある。また、原作では「チベットの寺院で修行した」「魔法と科学の両分野における天才」という設定があるため、カマー・タージとも何らかの接点を持たされる可能性がある。
一方で、別アースである『ファンタスティック・フォー』の世界に住んでいるトニーとは全く別の人物(所謂他人の空似)という報道もあり、その真相はまだ明らかになっていない。
ファンからの反応
現地では大変大きな驚きと歓喜を以て迎えられたが、ファンの中には「トニーが犠牲を払ってまで世界を救った『エンドゲーム』の感動的なシーンが台無しになってしまう」「マルチバース設定を使えば過去に死亡したキャラでも疑似的に復活できるという悪しき前例を作ってしまう」という否定的な意見も多く、賛否は大きく分かれている(参考)。
また、トニーは2024年のアカデミー賞の授賞式でエマ・ストーン共々アジア系の俳優に対して失礼な対応を取ったことで、アジア系のコミュニティから人種差別主義者だというレッテルを貼られてしまったこともあり、「差別や争いのない世の中を作り出したという設定のドゥーム役には相応しくない」という別方面からの反発の声も多い。
一方、日本ではアメコミ人気自体がそこまで高くないこともあってか、本国アメリカと比べると大きな論争には発展していない(アカデミー賞での一連の行動に難色を示す意見はあるが)。
その代わり、主にX(旧Twitter)で先述のアニメ版を知っているファンの間で、『日本語吹き替え版では名古屋弁で喋るんじゃないか?』『名古屋弁で喋るロバート・ダウニー・Jr.とか見たすぎる』等と、どちらかといえばネタ方面で話題になっており、遂にはインフィニティ・サーガでのトニー/アイアンマンの活躍を悪魔博士に置き換えたパロ絵まで投稿されるなど、完全な大喜利状態となっている(厳密には、ダウニーがドゥームを演じるという噂が流れ始めた1ヶ月ほど前に一度ブームになったことがあり、一度鎮静化したものの正式発表を受けてブームが再燃した形となった)。
そもそも「鉄より硬い」だの「俺は悪魔博士だよ」だの、偶然とはいえ、『ゴームズ』の劇中でMCUでのアイアンマンを彷彿とさせる台詞があったこともこうした珍妙な盛り上がりに拍車をかけたとも言える。
キャスティングについて
一部では、「なぜアイアンマンと接点を持たせるようなキャスティングにするんだ。ドクター・ドゥームは『ファンタスティック・フォー』のキャラクターじゃないか」という意見があるが、原作ではアイアンマンとドゥームとの間には意外にも深い関わりがあり、ドゥームがトニーの後を継いでアイアンマンとなる『Infamous Iron Man』というコミックも存在しており、何らかの縁を感じる配役となっている。
これ以外にも、上記の通り、アイアンマンとドゥームは「スーパーパワーを持たず、仮面や兵装の施された鎧を装着して敵と戦う」という共通点もある。
長らくMCU作品でダウニーの吹き替えを担当していた藤原啓治氏は2020年に死去しているため、ドクター・ドゥーム役の吹き替えは別の声優が担当することになるだろう。
ちなみに、藤原の死後、ダウニー出演の映画やドラマが何作品か日本で公開・配信されているものの、吹き替え担当は一定していない。一方で、MCU作品ではトニー・スターク役は森川智之が引き継いでいるため、声優ファンの間ではドクター・ドゥームの吹き替え担当は森川氏になるのではないかとする見方が有力(もっとも、トニーとどの程度関係があるかによっても配役は大きく変わる可能性があるが)。
コミックとの連動?
なお、MCUへの参戦が発表された2024年のサンディエゴ・コミコンではMARVELコミックの今後の展開も発表されたのだが……何と2024年末から「ドクター・ストレンジから『至高の魔術師』の座を譲り受けたドクター・ドゥームが世界を統一する」という展開のコミック・シリーズ「ワン・ワールド・アンダー・ドゥーム」が始まる事が発表された。