概要
宇宙飛行中に未知の宇宙線を浴びた結果、それぞれがユニークな特殊能力を身に着けることになった4人組が、ヒーローチーム「ファンタスティック・フォー」を結成して活躍する。チームのシンボルマークは「④」。略称は「F4」など。
元々はSFを下地としたパルプフィクションに生活感や人情などの要素を加えたような物語で、スタン・リーが漫画家ジャック・カービーと組んで描いた作品。
デビューは1961年で、キャプテン・アメリカなど戦時中にデビューしたいわゆるゴールデンエイジ組を除けば、MARVELの中でも最古参のヒーローに数えられる。また、チームとしてデザインされ生み出された初のMARVELヒーローでもある。
初のチームヒーローであるのみならず、初の「ヒーローたちのファミリー」を描いた作品でもある。これまでのヒーローは、冒険譚や悪漢との戦いをメインとしていたが、その分生活感や日常といったものがあまり描かれていなかった。
しかし本作では、集まった皆が家族として、どのように生活しているのか、一つ屋根の下でどんな事が起こっているのか。そういった事も描いている。
つまらない事で喧嘩し、家出したり、仲直りして戻ってきたり、仕事と(ヒーロー稼業と)家庭とどちらを優先すべきか、交友関係や恋愛関係、社会的な立場、そういった「家庭・家族」を描いたヒーローチームでもあるのだ。
原作の世界ではスパイダーマンといった同社ヒーロー同士の競演がしょっちゅうある(スパイダーマンに至っては「給料が出るだろう」と思い、チームに入れてくれと言ったら「非営利団体だから給料でないよ」と言われ、ガックリした過去がある)。
正体を公表しており、世間的には有名人。
あらすじ
若き天才科学者リード・リチャーズ博士は恋人のスーザン、その弟のジョニー、学生時代からの友人のベンと共に自身が製作したロケットで宇宙飛行に挑んだところ、未知の宇宙線を浴びてしまう。その影響で、彼らは超能力を獲得した。
地球に帰還した彼らはその能力を正義のために使うことを決意し、ニューヨークに本拠基地を設置。
各々の超能力と、リーダーとなったリード / Mr.ファンタステックが開発したさまざまな超発明を武器にして、地球を脅かす様々な悪と戦い続ける。
登場人物
ファンタスティック・フォー
- リード・リチャーズ / ミスター・ファンタスティック
リーダーにしてチームの頭脳。宇宙線を浴びた結果、体をゴムのように変形させることができる様になり、体を変形させて攻撃をしたり相手の攻撃をかわしたりできる。Dr.ドゥームとは大学時代の友人だった。
非営利団体であるF4の活動資金は彼の特許収入で賄われている。
- スーザン”スー”・ストーム=リチャーズ / インビジブルガール / インヴィジブル・ウーマン
後にリードと結婚し、1男1女を設ける。
- ジョナサン・”ジョニー”・ストーム / ヒューマントーチ
年齢が近いピーター・パーカー / スパイダーマンやボビー・ドレイク / アイスマンとはワルガキ仲間。
一時期家族を守るために死亡してたけど、アメコミのいつものテコ入れで無事復活しました。
F4以前、ゴールデンエイジにも「ヒューマン・トーチ」というヒーローは存在したが、これは全くの別人。炎を身にまとう能力を持った人造人間という設定で、キャプテン・アメリカと共に第二次世界大戦を戦った。
(後年の作品では、「オリジナルトーチの能力に似ているため、ジョニーは同じヒーロー名を名乗る事にした」という設定もある。詳細はヒューマントーチ個別記事を参照)
- ベン・グリム / ザ・シング
他の3名と外見が明らかに違う事がコンプレックスで、能力を捨てようと考えた事もある。容姿の所為で妻に逃げられる、世間からジョークや怪物扱いを受ける等、悲劇性が最も強い受難の人。ジョニーとは良いケンカ友達。元パイロットだったので、宇宙船の操縦士を務めた。
バトルの前には「It's clobberin' time!」という掛け声がお決まりの台詞となっている(『宇宙忍者ゴームズ』では「ムッシュムラムラ!」、実写映画では「鉄拳制裁タイムだ!」、90年代に発行されたコミックの邦訳では「戦いのお時間だぜ!」と訳された)。
関係者
- フランクリン・リチャーズ
リードとスーの息子。非常に強い能力を持ったミュータント。強力なテレキネシスやテレパシーなどを使えるほか、強力な「現実改変能力」を持つ。これを用い、母が流産した子を平行世界で新生させたり、「オンスロート」事件で犠牲となったヒーロー達を別世界に再生させ(「ヒーローズ・リボーン」)、そこからヒーロー達を帰還させたり(「ヒーローズ・リターン」)、その潜在的能力は計り知れないものがある。
マーベルユニバースの20年後を描いたMC2の世界(スパイダーガールの舞台)では「サイロード」と名乗り、「ファンタスティック・ファイブ」と改称したチームのメンバーとして活躍する。
また、一時期は未来世界に連れ去られた後、青年に成長し、ヒーローチーム「ファンタスティック・フォース」に在籍していた事もあった。
- ヴァレリア・リチャーズ
別世界で成長し時間を遡って元の世界へ戻ってきたため、兄であるフランクリンより年上になってしまったが、平行世界の破滅を狙う敵を打ち倒した際の世界再生の影響を受けて肉体が消滅。再びスーの胎内へ宿る形で新生を果たす。名付け親はドゥームで、彼の初恋相手から取った。
ゼン・ラ星人。宇宙魔神ギャラクタスの尖兵だったが、地球人の優しさを知り、主人に反旗を翻す。ギャラクタスは撤退するも、その際宇宙を飛び回る力を奪われ地球にとじこめられてしまう。白銀のサーフボードで宇宙空間を渡る。コズミック・パワーを駆使する、高貴な魂を持つヒーロー。
海底王国アトランティスの王子。地上人とのハーフであり、海洋汚染を繰り返す地上に対し宣戦布告しては、和解するといった事を繰り返していた。海中で呼吸し自在に活動できるほか、足首にある小さな翼を用いて飛行する事も可能。
リードとは、スーを巡る恋のライバルでもあった。
- アリシア・マスターズ
- ウアトゥ
世界最高齢の魔女。ドクター・ストレンジと同様に、強力な魔法を用いる。ワンダ・マキシモフ / スカーレット・ウィッチの師匠でもある。
F4とは友人同士で、フランクリンが赤子の頃には乳母もやっていた。
首都アッティランに住む、超能力を有する種族。
王のブラックボルト、その妻メデューサ、物質破壊の格闘技を用いるカーナック、足から振動波を放ち全てを破壊するゴーゴンといったインヒューマンズたちは、F4の友人である。
- ウィリー・ランプキン
1963年の原作コミック#11から登場し続けているキャラクター。
臨時メンバー
ジョニーとは仲が良く(ただし、ジョニーは正体がピーターとは知らない)、コンビを組んだり臨時メンバーに迎えられたりしていた。一時期は、ニューファンタスティックフォーのメンバーになった事も。また、ジョニーが生死不明の時には彼の遺言でメンバーになっていた事もあった。
- ジェニファー・ウォルターズ / シーハルク
一時期、ザ・シングが抜けた時に臨時メンバーとして参加した事があった。
- サンドラ
- シャロン・ベンチュラ / シー・シング
- オロロ・マンロー / ストーム
- ティ・チャラ / ブラックパンサー
元々デビューがF4誌(ただしヴィラン側)だった縁もあり、それ以降もF4とは親しい間柄だった。
- クリスタル
かつてはジョニーの恋人だった。スーがフランクリンの出産・育児に大変だからと一時期F4の交替メンバーとして在籍していた。後に離脱し、ジョニーとも別れ、ミュータントのピエトロ・マキシモフ / クイックシルバーと結婚、娘をもうける。
- ライジャ
ヴィラン
- ヴィクター・フォン・ドゥーム / Dr.ドゥーム
宿敵にして、おそらく最も有名なヴィラン。
敵であると同時に友人でもあり、時には味方として協力する事も多い。
スクラル星人の切り札。F4全員の能力を1人で使うことができる。
- フィリップ・マスターズ / パペットマスター
しかしヴィランであっても、根っからの悪人ではなく、アリシアに諭されて改心する。
- ハーヴェイ・エルダー / モールマン
醜い外観のために人々から迫害を受け、人間社会に見切りをつけて日本の沖合いに浮かぶ巨大怪獣が住む島『モンスターアイランド』から地底世界へと潜り込み、地底に自分だけの王国『サブタレイニア』を築く。
地底人モールピープルとモンスターアイランドに住む怪獣達を手懐け、地上への復讐を企んでいる。
- ベントレイ・ウィットマン / ウィザード
- フライトフルフォー
- ウィザード
- ピーター・ペトルスキー / ペーストポット・ピート / トラップスター
- メデュサリス・アマケリン / メデューサ
- フリント・マルコ / サンドマン
後にメンバーを入れ替えて何度も挑戦するが、一度も勝てた事は無い。
- イワン・グラゴフ / レッドゴースト
同様に能力を得た猿、ヒヒのイゴール(変身)、ゴリラのミーロ(シングに匹敵する怪力)、オランウータンのピョートル(磁力を操る)の3匹「スーパーエイプス」を操る。
- サイコマン
シルバーサーファーやマイクロノーツ、ドゥームとも対戦した事がある。
- ナサニエル・リチャーズ / 征服者カーン
ナサニエルはリードの祖父(または父)の名だが、同姓同名の別人。
- マッドシンカー
- アニヒラス
身に付けているカプセルにはエネルギー源である反物質が入っており、スーがフランクリンを出産する際に必要だったため、リードに盗まれたことがある。
- ブラスタール
見た目は獣のような姿で、強靭な肉体を持ち、腕から爆発する衝撃波を放つ。
- マリス
その正体はスーの悪の心が実体化したもの。
- インポッシブルマン
緑色でとんがり頭の宇宙人。変身能力と物質精製能力を有し、あらゆるものに変身可能。その行動はカートゥーンのギャグキャラクターのようにも見える。あの饒舌な傭兵から、人殺し分を除きギャグ分を多めにした感じだろうか。
レストランで大食いしたり、タクシーを奪い運転したり、爆弾に変身して皆を大慌てさせたりと、その行動原理は「遊ぶこと」のみ。奇想天外な行動は、自身の母星をギャラクタスに食わせて食あたりを起こさせたほど。
ベンの怪力やジョニーの炎などを含め、こちらからの攻撃はまったく効かない。
ただし、無視され退屈する事は我慢ならず、リードたちは彼を無視しまくる事で、地球から自主的に去ってもらった。
後に何度もちょくちょく地球に来てはトラブルを起こしていたが、自身の女性の分身「インポッシブルウーマン」を作り、結婚。さらに自分たちの分身を作り、ポップアップ星を復活させ、子供ももうける。
派生チーム
- ファンタスティックフォース
征服者カーンにより未来に連れ去られたフランクリンが、未来世界で青年に成長したのち、現在に帰還して結成したヒーローチーム。十代の戦士を中心に構成されていたが、フランクリンがもとの年齢に戻り離脱したのを機に、ブラックパンサーが指揮を執るようになった。振動波を武器にするワカンダの若き戦士ビブラクサス、怪力を持つ大男ティブラー、あらゆる物質を斬る長柄の斧・サイオニックブレードを持つ女戦士ハンタラといったメンバーが居る。
- ニュー・ファンタスティックフォー
:スクラルに襲われ殺されたリード(後に生存が判明)の仇討のためにスーが結成。
メンバーはハルク、ウルヴァリン、ゴーストライダー、スパイダーマン。
2009年版
;サノスがインフィニティ・ガントレットでヒーローを壊滅させたIF世界におけるメンバー。
スパイダーマン、ウルヴァリン、ハルク、ゴーストライダー、アイアンマンで構成。
実写化
過去4度にわたって実写映画が制作されているが、『スパイダーマン』や『X-MEN』、MCUと比べるといずれもその評判は芳しくなく、いまひとつ不遇なままである。
1994年版
最初の実写化だが、劇場公開もソフト化もされておらず、公式にはいまだ日の目を見ていない。
というのも、経営難のMARVELからF4の映画化権を買い取った製作会社が、一定期間実写映画を製作しなかった場合はMARVELに戻ってしまう取り決めだったこの権利を手元に留めるためだけにとりあえず作ったため。「映画を作った」という事実だけが重要で、公開する気がそもそもなかったようだ。
実際、製作費はわずか140万ドル、プロデューサーはB級映画の帝王ことロジャー・コーマンで、その出来は非常に安っぽい。
2005年版
- ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]
- ファンタスティック・フォー:銀河の危機
他ヒーローの実写化成功を受けて再び実写映画が企画され、『X-MEN』シリーズを成功させていた20世紀フォックスによって制作された。
1994年版と違って1億ドルの巨費が投じられた大作で、発展したCG技術を駆使してF4の超能力が見事に映像化されており、一定の人気を得た。
これを受けて2007年には続編が制作され、1億3000万ドルという前作以上のA級予算でF4とシルバーサーファーの戦いが描かれた。
しかし、視覚効果はともかくとして映画作品としての評価は2作ともいまいちであり、特に『銀河の危機』の興収が前作以下に終わったこともあって、3作目が企画されることはなかった。
2015年版
上記のリブート版として制作・公開。MCUの人気を受けてか、20世紀フォックスが権利を持つヒーロー作品でユニバースを形成することを目指しており、(作中では明言されていないものの)『X-MEN』シリーズと世界観を共有する作品となっていた。
しかし、2005年版をも遥かに下回るすさまじい不出来と評価され、ゴールデンラズベリー賞で3冠に輝く不名誉に預かってしまった。興収面も、1億2000万ドルの製作費に対して世界累計興収がわずか1億6000万ドルという大コケっぷりで、続編の企画はすぐさま消滅してしまった。
MCU版
20世紀フォックスがディズニーに買収されたことで、F4の実写映画化権はX-MENともどもディズニー=マーベル・スタジオの元に渡った。
そして2020年には単独映画の制作が正式発表。MCU版『スパイダーマン』を大成功に導いたジョン・ワッツ監督が手掛けるとあって、期待をかけるファンは多かった。
その前段階として、2022年公開の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にリードが、並行世界【アース838】のイルミナティの一員として登場。
しかし前後してジョン・ワッツの降板が発表され、やや先行き不透明に。
2022年7月に、2024年11月8日に公開予定であること、フェイズ6の幕開けを飾る映画であることが発表された。
カーンがフェイズ4~6、通称「マルチバース・サーガ」のラスボスとなるため、重要な役割を担うのではと再び期待されている。
その後、新監督にアガサが初登場した『ワンダヴィジョン』のマット・シャックマンが就任したり、同じくリブートされる『ブレイド』の監督降板を受けて本作も公開が2025年2月14日に延期したり、MCUの一部として徐々に制作が進んでいることが報じられている。
その他
アニメ化もされており、日本では昔『宇宙忍者ゴームズ』という邦題で放映された。
ファンタスティック・フォーと分けられることがある。
さらに略してFFのせいかファイナルファンタジーと誤解されやすい?
DCとマーベルのキャラが合体する大規模クロスオーバー「アマルガム」では、原作者が同じジャック・カービー御大であるヒーローチーム「チャレンジャーズ・オブ・ジ・アンノウン」と合体。
「チャレンジャーズ・オブ・ザ・ファンタスティック」となって登場する。
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