概要
MARVELコミックのスーパーヒーロー。北欧神話の雷神・戦神「トール」その人。
彼を主人公とした『マイティ・ソー』や、ヒーローチーム「アベンジャーズ」で活躍している。
なお元々はMARVELの前身にあたるタイムリィコミックのキャラクターで、デビューは1950年7月の『Venus #11』。
現在のソーは1962年6月の『Journey into Mystery #83』から登場した。
なお、コミック版の正史世界(アース616)で一時的にムジョルニアを持つ資格を失なっていた時期が有ったが、その時期には単に「オーディンソン」と名乗っていた。(アース616では「ソー」は「ムジョルニアの主」の名前でも有った為)
能力
- イドゥンの金のリンゴを定期的に摂取することで、寿命を伸ばし不老の体を得ている。
- アスガルド最強とまで謳われるほどの怪力を誇り、スタミナや身体強度も並みの相手では全くダメージを与えられない。
- 近距離戦での格闘能力は非常に高く、ハンマーや剣や棍棒といった武器の扱いに長けている。
- 神としての長い経験のおかげで、非常に高い戦略的知識と直感力がある。また、ほぼ現代人であるヒーローたちの中では、豊富な魔術・神秘に関する知識も役立つことが多い。
- 宇宙服などの防護スーツ無しでも宇宙や深海といった環境に対応できる。
等々、アベンジャーズでもハルクと共に実質的な二強である。
また原典でも得物としているハンマー「ミョルニル」ももちろん持っているが、日本語版での名前は「ムジョルニア」となっている。
ちなみに媒体によっては、これを使わなくとも雷撃を放射可能。
来歴
アスガルドの神々の王オーディンとミッドガルド(人間界)の女神ヨルズの間に生まれ、世継ぎになるべく育てられた彼は最強の戦士と呼ばれるまでに成長。しかし、その強大さゆえに傲慢なまでに増長し、事あるごとに横柄な態度をとるようになってしまったため、オーディンは自分の息子が謙遜を覚える必要があると悟り、記憶と能力を奪い右足に障碍を持つ人間ドナルド・ブレイクへと転生させた。
成人し、医者となったブレイクは子供の頃から何故か北欧神話に心引かれ魅了されてきた。そして休暇でノルウェーに旅行をするが、その旅先で地球へ侵攻してきた土星人の先遣隊に遭遇する。洞窟に逃げ込んだブレイクであったが、入り口を塞がれ閉じ込められてしまう。そこに転がっていた杖ほどの長さの木切れを使って脱出を試みたが、非力なブレイクの力ではどうしようもなく途方に暮れる。そして、苛立って自暴自棄になり木切れを投げ捨てたその瞬間、奇跡が起こる。木切れは魔法のハンマー「ムジョルニア」に変貌し、それと共にかつての姿と記憶を取り戻してソーとなったブレイクは、その力を使って土星人達を一蹴する。
その後帰国したブレイクは、看護婦のジェーン・フォスターと共に医師として病気の人々を救いつつ、ムジョルニアを使ってソーとなり侵略者から人々を守る二重生活を送ることとなった。
やたらと世紀末感のある出で立ちをしていたこともあるとか(拝借表現)。
今では地上最強のヒーローチーム「アベンジャーズ」に長年所属する主力メンバーであり、キャプテン・アメリカ、アイアンマンと共に「ビッグ3」と呼ばれる。
誠実で実直な戦士であるキャプテンのことは尊敬している一方、ハルクとは少々スケールの大きい喧嘩友達。とは言え、最強のパワーを持つハルクにとっては本気で喧嘩出来る相手など貴重な存在でもある。
MCU版
演:クリス・ヘムズワース / 吹替:三宅健太
単独主役映画『マイティ・ソー』で初登場。
アッセンブルとなる『アベンジャーズ』シリーズにも皆勤している。
なお、トレードマークの1つである髭はコミックの正史世界である【アース616】のものではなく、別の平行世界を舞台にした現代風アレンジ版から取り入れられたものだったが、後に【616】の彼も髭を生やすようになった。
マイティ・ソー
オリジンが変更され、記憶は奪われず「ソー」として地上に落とされた。ただ力自体は奪われているものの肉体能力自体は人間離れしている為、暴れ放題するシーンもチラホラ。
またヒロインのジェーン・フォスターも天文学者の設定になり、ドナルド・ブレイクは彼女の元カレとして、ソーが偽名で名乗っている。
ジェーン、エリック・セルヴィグ、ダーシー・ルイスの他、後に共闘するS.H.I.E.L.D.と出会う。
最終的に、地球の面々と別れアスガルドに帰還。義弟ロキの野望を止めるべく、地球への唯一の移動手段である虹の橋ビフレストを破壊し、ジェーンと再会する望みを断つ。
アベンジャーズ
地球侵略を企むロキを止めるべく、オーディンの黒魔術によって再びアスガルドから地球に来訪。
ロキと、彼が持っているスペース・ストーンをアスガルドへ持ち帰ることを至上の使命としており、地球のヒーローであるトニー・スターク / アイアンマン、スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカとは当初反目し合うも、ある人物の死をきっかけに結託した。
ジェーンの無事を案じながらも、最後まで再会を果たすことはなく、ロキとともにアスガルドへ帰還した。
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
封印から蘇ったマレキスたちダークエルフと、ジェーンの体内に宿ったリアリティ・ストーンを巡る戦いに挑むが、母フリッガと弟ロキを失い、また王座を辞してジェーンと共に地球で生きることを選ぶ。
なお、ロキは(またも)実は生きており、自身が最後に会ったオーディンも魔術で変装したロキだったのだが、それに気づくことなくアスガルドを後にする。
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
アベンジャーズの一員としてヒドラ残党、そしてウルトロンとの戦いに挑む。
トニーと、互いのパートナー(ジェーン、ペッパー)で張り合ったり、ムジョルニアをネタにメンバーと遊んだりと、くだけた様子が見られる。
最後にはインフィニティ・ストーンの謎を追うとして、再びアスガルドに帰っていった。(王座を辞したのは一体…)
マイティ・ソー バトルロイヤル
ストーンを探して各世界を巡り、ムスペルヘイムでスルトを倒してアスガルドに帰還するが、アスガルドはオーディンに化けたロキが支配しており、ヘイムダルもビフレストの番人から解任されていた。
ロキの変装を見破り、本物のオーディンを見つけるべくロキと共に再び地球に来訪(経緯は定かではないが、本作開始時点でジェーンとは破局していたとされる)。
ドクター・ストレンジの協力のもと、ノルウェーにいたオーディンを見つけるも、老齢のために彼は死に、代わりに父に封印されていた姉・ヘラが復活してしまう。
ヘラとの初戦でムジョルニアを破壊された挙句、惑星サカールに飛ばされ、奴隷戦士として戦わされる羽目になるも、ロキ、ハルクと再会、更に仲間となるヴァルキリーやコーグと出会う。
この地にて、トレードマークの一つであったロングヘアをさっぱり刈られ、短髪になってしまう。
サカールを脱出し、アスガルドでヘラと対決。父オーディンのように右目を失うも、雷神としての力を発揮してヘラを圧倒。アスガルドの城に保管されていたスルトの頭蓋骨に火を灯して復活させ、2人を同士討ちさせる。その代償にアスガルドは失われ、生き残ったアスガルド人たちを率い、地球を目指す。
ちなみに覚醒・無双シーンの挿入歌はLed Zeppelinの「Immigrant Song」。
この歌自体がバイキングを元ネタにしているという解釈もあり、歌詞には「ヴァルハラ」「神々の鉄槌が我等の船を新天地に送り出す」などが含まれている。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
『バトルロイヤル』直後、難民船をサノスに襲撃され、ロキやヘイムダルを含む乗員の半分を殺され、スペースストーンを奪われるという、最悪の悲劇に見舞われる。
崩壊した船の残骸と共に宇宙空間に漂っていたところを、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに救われ、ロケットラクーン、グルートとともに、ムジョルニアを作り出したドワーフの星ニダベリアに赴き、唯一の生き残りであるエイトリの助力で、最強の戦斧ストームブレイカーを得て、地球に向かう。
ニダベリアに向かう道中で、ロケットから使っていなかった義眼を渡され、右目が復活する(ただし義眼の瞳の色がブラウンのため、オッドアイになる)。
ビフレストを生み出すストームブレイカーの力で、ワカンダに降り立ち、サノス軍相手に無双。すべてのストーンを手に入れたサノスの肩にストームブレイカーを叩きつけるも、指パッチンを許してしまう。
アベンジャーズ/エンドゲーム
生き残ったアベンジャーズとともに、他の星へ逃げたサノスを追い、その首をはねるものの、既にストーンは失われており、指パッチンで消滅した人々を取り戻すことは叶わなかった。
5年後、アスガルド人たちが定住するノルウェーにて隠遁生活を送っており、髪と髭は伸び放題、体はぶくぶくに太っているという、見るも無残な姿に落ちぶれてしまった。サノスとの戦いでの敗北は、ソーから戦士としての誇りを奪ってしまっていたのだ。
最初は拒否していたものの、アベンジャーズのタイム泥棒作戦に参加。自らは2014年のアスガルド(『ダークワールド』の時期)に行き、ジェーンの体にとりついたリアリティストーンを回収する任務を負うも、土壇場で逃げ出してしまう。が、生前の母フリッガと出会い、当時のムジョルニアを引き寄せることに成功、高潔な魂が失われていないことに自信を取り戻す。
現代に戻った後、2014年からタイムスリップしてきたサノス軍と対決。ムジョルニアとストームブレイカーの二刀流で、往年の父オーディンの如く威厳に満ちた勇壮ぶりを発揮する。
戦いが終わった後、ノルウェーのアスガルド人たちのまとめ役=王の座をヴァルキリーに譲り、自らはガーディアンズとともに当てのない旅に出る。
なお後年、ヴァルキリーとイチャイチャ?するコメディシーンが追加される予定だったが削除されてしまったという裏話が監督から明かされている。
ホワット・イフ...?
MCUのIFの世界を描いたアニメシリーズでは、複数のエピソードに登場。
第3話では『マイティ・ソー』同様、地球に追放され、S.H.I.E.L.D.が監視するムジョルニアを持ち上げようとするが、クリント・バートン / ホークアイに矢で射られて死亡する(この時のソーは神の力を失っていたので、普通に死んだ)。
クリント自身にその意思はなく、アベンジャーズを結成させまいとする真犯人が、矢をつがえていたクリントの手を動かして矢を射させた、というのが真相。
第7話では、主人公を務める。
オーディンがロキを養子に迎えなかったため、一人っ子として育ち、パリピ=「パーティ・ソー」となってしまった。
オーディンが眠りにつき、フリッガが夏至祭で留守にしたことをいいことに、ウォーリアーズ・スリーやシフとともに地球へ行き、地球全土を巻き込んだパーティーを開催する。そこには、ヨトゥンヘイムの王子として育ったロキや、『バトルロイヤル』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズに登場した宇宙人たちも参加した。
ジェーンとも出会うが、事態を重く見たS.H.I.E.L.D.によりキャロル・ダンバース / キャプテン・マーベルが召喚され、ソーを追い返すべく『ドラゴンボール』並みの空中バトルを繰り広げる。
それでもソーは帰らなかったため、ジェーンがヘイムダルを通じてフリッガにチクり、ようやく帰らざるを得なくなった。
第9話では、第7話のパーティー・ソーが再び登場。
第7話のラストで登場したインフィニティ・ウルトロンによって数々のマルチバースで生命が絶滅させられ、更なる被害の拡大を恐れたウォッチャーによって、ウルトロンを打倒するヒーローチーム「ガーディアンズ・オブ・マルチバース」の一員に選ばれる。
異世界のブラック・ウィドウ、ペギー・カーター、ティ・チャラ、キルモンガー、ガモーラと共闘し、ウルトロンの野望を打ち砕いた。
ソー:ラブ&サンダー
『エンドゲーム』後、ガーディアンズの協力でダイエットに成功。各地の星を旅しながら傭兵のような活動をしていたが、ある日各地の神が次々に殺されているという情報を聞き、さらに同郷のシフから救難信号を受信。
ガーディアンズと別行動をとることにし、自身はコーグとともに彼女の元に駆け付け、そこで「“神殺し”のゴア」という存在を聞く。
次に狙われるのはノルウェーのアスガルド人たちと考え、早速向かうも、すでにゴアが襲来していた。
ヴァルキリーと彼を迎え撃つが、とある事情でムジョルニアを持ったジェーンと再会する。
デッドプール&ウルヴァリン
TVAに連れてこられたウェイド・ウィルソン/デッドプールがエージェント・パラドックスに見せられた映像の中で登場。
映像の大半は『アベンジャーズ』のものの流用だが、一瞬ではあるがソーが涙を流しながら瀕死のデッドプールを抱きかかえるという意味深な映像が流される。パラドックスは慌てて「これは未来の映像だ!」と述べて映像の再生を止めたが、当然、ウェイドからは「いったいあれは何だ?どうしてソーは泣いているんだ?」と詰め寄られることになった。
なお、結局作中でこの映像の詳細が語られることはなく、真相は有耶無耶のまま終わっている。
監督のショーン・レヴィ氏、デッドプール役のライアン・レイノルズ、ソー役のクリス・ヘムズワースのいずれもこの件に関しては曖昧な解答に終始しており(参考)、深い意味などない単なるノリで挿入した映像だったのか、それとも何か意味のある映像だったのかは謎である(一応、ファンの間では、今後デッドプールに起こる可能性のあるいくつかの未来の1つではないかとする説が有力視されているようだ)。
他メディア版
『MARVEL vs CAPCOM』シリーズ
- MARVEL SUPER HEROES
最終ボス・サノスのステージの背景に石像の姿で登場。
- MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES
スペシャルパートナーとして使用可能。
- MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds
プレイアブルキャラとして参戦。
ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ
CV:加瀬康之
主要人物の1人。
ロキのたくらみを知り発表会の場に駆けつけるもディスクに封印されてしまう。
ディスクの属性はエナジー。スパイダーマンが所持していたがアカツキ・ヒカルに渡され彼のパートナーとなる。
ちなみに本作で声を担当している加瀬氏は、MCUにてトニー・スターク / アイアンマンの相棒兼話し相手である人工知能・J.A.R.V.I.S.の声を担当していたことで有名。
関連イラスト
日本ではコミックよりもMCU版の方が知名度が高いこともあり、クリス・ヘムズワースの演じたソーのイメージでイラストが描かれていることが多い。
また、数は少ないが『マブカプ』仕様のイラストも存在する。
関連タグ
:MLBの野球選手。金髪のロン毛に筋骨隆々とした体格がクリス・ヘムズワース演じる映画のソーを彷彿とさせることから、ファンからは“Thor”というニックネームで親しまれている。本人もソーの動画で応答したりと割とノリノリなご様子。
:『キン肉マン』で知られる日本の漫画家。近年週刊少年ジャンプにおいて、ソーとキャプテン・アメリカを描いたイラストが掲載された。