概要
「死にゆく星の心臓」ことウルと言う特殊金属によって作られており、長さは60cm。オーディンの魔力によって生成されている。
稀に見るとんでもない超兵器でもあり、ソーの強さの根源と言っても過言ではない(これなしでも元が戦神なので十分強いが)。そのあまりの高性能と破壊力から、「キューブ」同様「オメガ級兵器」としてみなされている。落としただけで地球が滅ぶと言われることもあるらしい(拝借情報)。
ちなみに、ある理由で、側面に「ここに電話しろ」の一言とトニー・スタークの電話番号が刻まれた状態で地球に落ちてきた事が有る。この際、地球は無事だったがトニー・スタークはしょ〜もない騒ぎに巻き込まれる羽目になった。
なお、完全なワンオフ武器ではなく、量産とは言わずもある程度製造されている。アニメ版など一部で形状に差があり、トゲやトンカチ状のハンマーの片側に斧が付いているケースも。
なお、コミックでは、ある理由でオリジナルのムジョルニアが失なわれた際に大量のレプリカが作られたが、最終的にその大半が壊れてしまった。
極めて高い強度と質量および威力に反比例した取り回しの良さを誇り、ソーと同等以上の高潔な心の持ち主でなければ持ち上げることが出来ないという高度なセキュリティがかかっている。
今まで鎚に認められた使用者は決して多くはない。アベンジャーズ内ではスティーブ・ロジャースと、ソーが死亡した世界線ではブラック・ウィドウのみが運用経験があり、キャップレベルの高潔さを持ち合わせなければ無用の長物と化す。ハルクは除くが。
- 今まで持ち上げた事があるのは、クロスオーバーも含めて、ベータ・レイ・ビル、ジェーン・フォスター、キャプテン・アメリカ、ブラックウィドウ、ストーム、ヴィジョン、コナン・ザ・バーバリアン、オウサム・アンディー、デッドプール (ただし偽物のハンマー)、ハルク、スーパーマン、ワンダーウーマン。
- ちなみに、「ソーが持っている状態なら、ソーごとであれば持ち上げられる」「宇宙空間ではそもそも持ち上げる必要が無いので普通に振り回せる」という点がハルク誌で判明しており、レッドハルクにこの方法で奪い取られたムジョルニアでソーが叩きのめされてしまった事もある。
- またコミック版の正史世界(アース616)とは設定が異なる平行世界の出来事ではあるが、マグニートーの「磁力を利用して金属を操る」能力により奪われた事も有る。(ただし、この世界のマグニートーは、ある理由で力を抑制する精神的なリミッターを欠いた状態になっており「ムジョルニアを奪う」など些事に過ぎないレベルの天変地異を引き起している)
- 「未来からの過去の歴史への干渉」によって正史世界(アース616)から分かれた「ソーを初めとした多くのヒーローが死んだ時間軸」ではギリシャ神話の軍神アレスが使用していたが、この際は「高潔な者しか持ち上げられない」というセキュリティは無効になっていた。なお、ソーの遺品を使っているアレスを目撃したアレスの娘の1人は「お前、どんだけ、ソーが好きなんだ」というツッコミを入れている。
普段は足に障害のあるドナルド・ブレイクの杖の姿になっており、これを地面に叩きつける事で杖はムジョルニアに変化。同時にドナルド・ブレイク自身もソーへ変身する。すなわち、ソーへ変身するための鍵としての役割も有しているのだ。※
叩きつける回数は一回で、再び一回地面を叩きつけると、ムジョルニアは再び杖に変化。ソーもドナルド・ブレイクの姿に戻る(ソーの時にムジョルニアの持つ能力を用いる時には、地面を続けて二回叩く)。
なお、昔はアスガード以外の場所で手を離すと、60秒で元の姿に戻るという欠点があった。
※後に、この変身の魔法は、ベータ・レイ・ビルの持つ新たなハンマー『ストームブレーカー』にも付与された。非戦闘時には杖となり、ビル自身も改造前の姿に変身するように。
攻撃面では文句のつけようがなく、天候を操り強力な自然災害を武器として使える。最も有名な雷撃に加え、隕石、地震、津波、最強クラスの竜巻などの気象操作のほか、聖なる力を使った破壊光線、神力を込めた一撃必殺の破壊光線「ゴッド・ブラスト」、非常に強大な敵や惑星サイズの物体ですら易々と瞬殺・吹き飛ばしてしまう「アンチ・フォース」、あまりの熱エネルギーの量に周囲の銀河が振動し銀河系を丸ごと焼き尽くしてしまう「サーモ・ブラスト」を発射可能とするなど、莫大な攻撃力を所持者に与える。
また、変身能力、亜空間の出入口を作り出してのテレポートや対象の透明化(超能力を持つ敵の探知も無効にする)、殺めた対象を生き返らせる事さえ可能にする。エネルギーの吸収と方向自在の受け流し(敵エネルギーの再利用)、磁力の吸収、分子レベルでの「事象」の操作、敵の武器を分解・無力化するアルファ波の放射、神力の操作、エネルギーや幻術の探知、無限のコズミック・パワーや宇宙の暗黒面のパワーへのチャンネリング、吸血鬼など不死の存在の浄化、生命力の吸収と強奪、対象の魂の強制操作、ありとあらゆるエネルギーや魔力への耐性など、非常に広範囲の能力と高性能を誇る。記憶の復活(カレンダー)、テレパシー(電話)などへの転用も可能。
これらの能力だけでなく、単なる打撃武器として用いても、非常に強力。ただのハンマーとして接近戦で用いるのももちろんだが、投擲した際には、目標に必ず命中し、手元に戻って来る。そのため、投げっぱなしで無くしてしまったり、回収するための手間をかけずに済んでいる。
なお、性別は女性らしい(参照)。
よくよく考えると、その中でも最強クラスとは言え無数に居る地球ローカルな神々の1柱に過ぎないオーディンが作り息子ソーに与えたものにしては明らかにオーバースペックだが、後付で「ゴッドテンペストと呼ばれる宇宙規模の存在が封じ込められている」という設定となった。
実写版(MCU)
惑星ニダベリアのドワーフたちによって製作されたことが明かされている。
自動飛行機能、雷撃を発する(雷雲から発した雷をムジョルニアを経由して標的に撃つパターンと、ソーの能力として発した雷をムジョルニアを経由して撃つパターンがある。前者はソー以外にも行える)機能、地面に叩きつけることで同心円状に衝撃波を発する機能が披露されている。
キャプテン・アメリカの盾にぶつけると、盾を中心に衝撃波が生まれ、これを応用した対多数の技が何度か使われている。
また、非武装状態のソーがムジョルニアをつかみ取って戦闘態勢になった瞬間、それまでがどんな服装であっても、瞬時に鎧とマント姿に変化する。
飛んできたムジョルニアを取ろうとして逆にムジョルニアに引きずられるなどの描写から、とても重い様に思われがちだが、実際に持っているソーやヴィジョンは軽いと述べており、キャップも軽々と持ち上げ操っていた。
エイジ・オブ・ウルトロンで机の上に置いていたり、同作の後日談で「エレベーターにハンマーを乗せたら持ち上がる」という会話があるため、持ち上がらないのはあくまでオーディンの呪術による効果で、実際は通常のハンマーと同じ重さなのかもしれない。
マイティ・ソー
冒頭でオーディンにより高潔な者にしか持てないというセキュリティ魔術をかけられるシーンが登場。
ソーが地球に落とされた時は一緒に落ちてきてクレーターを作って騒ぎを起こした。
人間界に落とされたばかりで増長が治っていなかったソー(ドナルド・ブレイクとしての姿は描写されない)を拒絶していたが、映画中盤のデストロイヤー襲撃に際し、人々を守るために奮起したソーの下へと舞い戻る。
デストロイヤー撃破後はロキとの決戦に挑むソーの相棒(杖には変身しないので終始ハンマーだが)としてロキを叩きのめし、ロキが勝手に逃げ出さないよう、上に乗っけられて押さえつける重りにされる。(当然ながら高潔な精神を持たないロキは持ち上げられず、胸の上にハンマーを乗っけられた状態で唸っていた)
「ムジョルニア」というのは発音しにくい名前のようで、ソーがムジョルニアを探すシーンではダーシーに「ムニョムニョ」呼ばわりもされたりした。
アベンジャーズ
ヘリキャリア内で暴走したハルクがソーをぶっ飛ばした後、持ち上げようとして引っ張り続けるもできない…というシーンが描写された。
キャップとソーが投げたそれぞれの得物を同時に掴み直すシーンはかっこいいので必見。
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
ソーがダークエルフの長マレキスとの戦闘中にジェーンの開発した特異点を発見する為の装置によってマレキス共々地球内外をテレポートしながら戦う。
ムジョルニアを手に取ろうと呼び出すソーだったが、地球に出たり他所の星に現れたり次々居場所を変えるせいでムジョルニアはすっとびながらソーを求めて右往左往した。
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
アベンジャーズタワーでのアベンジャーズメンバーによる祝宴の最中、クリント・バートンがムジョルニアを持ち上げようとしたことでアベンジャーズメンバー男衆による(ナターシャ・ロマノフは遠慮した)ムジョルニア持ち上げ大会が開かれるという一幕があった。
クリントは失敗、プレイボーイのトニー・スタークはスーツの腕部分を持ち出してもお友達のローディと一緒に掴んでもダメ。ブルース・バナーは延々やっても持ち上がらなかったのでハルクのモノマネを急にやって誤魔化した(そしてスベった)
最後に挑戦したスティーブ・ロジャースが手に取ると、ムジョルニアは少しだけ動いた(ように見えた)。が、キャップは一瞬ソーの顔を見て、そして「やっぱりダメみたいだ」と手を離した。(ムジョルニアが一瞬動いた時にソーがこの世の終わりでも見るような顔をしていたためにソーを慮ってやめたという説がある)
誕生したばかりのヴィジョンがソーに手渡すべくムジョルニアを持ち上げたことで、結果的にウルトロンによって誕生した彼の潔白を証明したシーンもある。
マイティ・ソー バトルロイヤル
序盤にてスルト相手に大立ち回りを演じたが、封印が解かれて降臨したソーの姉ヘラに向けて投擲されたものの、ヘラはなんとムジョルニアを片手で受け止め、 そのままスパークを散らしながらあっさり粉砕してしまった。
補足しておくと、ヘラはオーディンの封印から復活したばかりであり、アスガルドで戦うとパワーアップする性質を持つ。 ムジョルニアが破壊された戦いは地球で行われたものであり、この時のヘラは本調子ではない可能性が高い。
それでもムジョルニアを受け止めてあまつさえ粉々にしたそのスーパーパワー、推して知るべしである。
こうしてメインウェポンであるムジョルニアを失ったソーは、その後の戦いにおいて大変苦労させられる羽目になってしまう。
こうして『バトルロイヤル』でその役目を終えたムジョルニアであったが…
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
登場はしないものの、ニダベリアのドワーフによって作られたことが明かされる。
そのため、ソーはサノスへの対抗手段を得るためにニダベリアを訪れ、馴染みのドワーフであるエイトリに強化版ムジョルニアとも言えるストームブレイカーを作ってもらった。
なお、アベンジャーズに現代風アレンジを加えたリメイク版コミック「アルティメッツ」におけるムジョルニアは、(MCUのストームブレイカーと細部が異なるものの)細部は違うが、やはり斧とハンマーを組合せた武器で、大きさもMCU版ストームブレイカーに近い。
アベンジャーズ/エンドゲーム
なんとソーの手に戻ってくる。
「タイム泥棒作戦」において2013年にタイムスリップした(五年間の自堕落生活でおデブになった)ソーが、自分に高潔なる精神が復活したかを確認するかのように、当時のムジョルニアを呼び出し、飛んできたこれをキャッチすることに成功。再会した母と別れを告げつつ、ムジョルニアを持って現代に帰還した。(当初の目的であったリアリティ・ストーンはロケットラクーンがジェーンに針ぶっ刺して無事回収しました)
サノスとビッグ3の戦いでは、ソーがムジョルニアとストームブレイカーを同時に引き寄せ、両者をつかみ取った瞬間、稲妻に包まれながら武装される。延び放題だった髪と髭も、一部がまとめられた。
最初ソーがストームブレイカーとの同時運用でサノスに立ち向かうが、絶体絶命のピンチに陥る。
しかし…ソーにトドメを刺そうとしたサノスの背後にムジョルニアが叩き込まれる。
それを操っていたのは…キャプテンアメリカだった。
ソーは笑顔で呟く。「持てると思った!」
その後は、再度ソーに持たれてはいたが、「小さいのはやる」とキャップに返されてしまい、戦いが終わるまでキャップが使い続けた。
戦いが終わった後は、キャップがリアリティ・ストーンを戻すついでに、2013年のアスガルドへ返却した(2023年に残したままにすると「2013年から2023年までムジョルニアが存在しないタイムライン」が生じてしまうため)。
ソー:ラブ&サンダー
『エンドゲーム』後のストーリーであるため、ソーの手には上記の通り無い。
が、ソーの元カノであるジェーン・フォスターが使用している。
以下ネタバレ注意!!
ヘラに破壊されたムジョルニアは、その破片を回収されており、『エンドゲーム』にて存在が明かされた「ニュー・アスガルド」(ノルウェーのトンスベルクに開かれた、アスガルド人たちの居住区)の一角に、観光の目玉として置かれていた。
そこに、末期ガンに侵されたジェーンが、「手にした者は健康な肉体を手に入れる」というバイキングの伝説を頼りに訪れた。
彼女の想いに反応したムジョルニアは、雷雲を呼び寄せるとともに、彼女をマイティ・ソーとして覚醒させた。
その原因は、かつてソーとジェーンが同棲していた頃、彼が無意識のうちにムジョルニアに「彼女を守ってくれ」と語りかけていたのをなんとムジョルニア自身が覚えていたのである。
完全に直ったわけではなく破片同士をジェーンの力でつなぎ合わせているので、作中ではこれまでの投擲や雷撃のほかに、破片を飛ばす攻撃も見せている。
余談
MCUでは、ムジョルニアは登場するたびにプロップが作り直されており、基本的に過去作のものは転用しない。
ソーを演じたクリス・ヘムズワース氏は、毎作のムジョルニアを出演記念に持ち帰っており、自宅に何本もムジョルニアのプロップがあるので置き場に困って奥さんに怒られたことがあるそうである。
表記について
往々にして「ムジョルニア」が「ミョルニル」の英語読みであると紹介されているがこれは間違い。
正しくは「『マイティ・ソー』という作品におけるミョルニルの日本語表記の一つがムジョルニア」である。
実際、映画やソーが出演しているゲームの英語音声では「ミョルニル(より近い発音表記だと「ミョルニア」)」と発音されている。
(日本語吹き替えや字幕では「ムジョルニア」となっている)
上述の「ムジョルニア」が言いにくいため「ムニョムニョ」と言うシーンも英語では「ミャウミャウ」もしくは「ミョウミョウ」と言っている。
また、アメコミを邦訳したものの内、より英語発音に近い表記にしているヴィレッジブックス版では「ミヨネア」となっている。
なぜ日本語表記が「ムジョルニア」となったかの詳細は不明であるが、ミョルニルの表記が「Mjöllnir」であるため、発音しない「j」を翻訳の際にそのまま読んでしまった可能性がある。