概要
『ソー:ゴッド・オブ・サンダー』にて登場。
名もなき不毛な星で生まれた普通の人間だったが、生まれながらに足が不自由であり、故郷で信奉されている神に対して強い信奉心を抱いていた。
しかしながら、信心深い父を亡くし、神への疑問を抱くようになる。
その後、母も亡くし、家族に恵まれるが、妊娠中の妻を地震で亡くす。
さらに子どもたちもゴアと同じ病気にかかって次々と死んでしまい、残った最後の息子とともに、治療法があるかもしれない他の星を目指すも、やはりその子も道半ばで死んでしまう。
次々と襲い掛かる不幸に対し、いくら祈っても神が応えてくれなかったことから、信仰心を捨てて神々に強い憎しみと呪いを抱くようになる。
そんなゴアを故郷の人々は迫害・追放する。
行く当てもないゴアは、ある場所で金色の神と黒い未知の存在が戦うさまを目撃した。
金の神に負けそうになった黒い存在「ヌル」はゴアに助けを求めたが、ヌルを神と考えたゴアはこれを拒否。
すると、ヌルから何かが飛び出し、ゴアに取りついた。
それは黒い鎧と腕から生える刀となり、ゴアはその力を使って金の神を殺害。
そしてその「神殺し」の力を使って、家族を救ってくれなかったすべての神を殺すことを決意する。
ソーとは現代から1000年前に出会っており、その際はソーが辛くも勝利し、ゴアの命を奪ったが、ゴアはシンビオートの力で長い年月を経て蘇った。
蘇生後も神々を殺したゴアは、神々の血で時間移動する術を手にし、多くの世界・時代において神々を屈服させた挙句、すべての世界・時代の神を殺せるゴッドボムを作らせた。
そのことに気づいた現代のソーは、再度ゴアと激突。
激しい戦いの末、神々の祈りをバックアップにボムの爆風とゴアの力を吸収、それをもってゴアを倒した。
能力
その源は、ヌルから彼に乗り移った「何か」、即ち最古のシンビオート「オールブラック」。
ヌルはシンビオートを生み出した邪神であり、ヌルとともに戦っていたオールブラックはヴェノムなどとは比べ物にならない強さを秘めている。
この力を得たゴアは、飛行能力や超人的な怪力、回復力に加えて、鎧や「オールブラック・ザ・ネクロソード」という剣を出現させる能力を得た。
ネクロソードは空間を切り裂き、闇の生物やシュラウドという戦士を生み出す。
ただし、最古にして最強のシンビオートであるオールブラックも「炎と轟音が弱点」という特質は他のシンビオートと共通しており、ソーとの相性はよろしくない。
MCU
「今ここに誓おう すべての神を殺す」
演:クリスチャン・ベール、日本語吹替:子安武人
映画『ソー:ラブ&サンダー』にて初登場。
シンビオート関連はスパイダーマン・ユニバースを展開中のソニーに映画化権があるため(つまり大人の事情で)、オミットされている。
武器は呪われた剣「ネクロソード」という名前で、能力も剣を地面に突き刺して影を作り出し、その中を移動したりそこから闇の生物を生み出す、といったものになっている。
姿も少し変わっており、大理石のような真っ白な肌はそのまま、切れ込みを入れたような鼻は普通に、黒い服から白い服に。
これについてはタイカ・ワイティティ監督曰く
「コミックでの彼は(『ハリー・ポッター』の)ヴォルデモートそっくりだから」とのこと。
また家族も、息子から娘に変更。
演じるベール氏は『ダークナイト・トリロジー』にてブルース・ウェイン / バットマンを演じており、同役以来のアメコミ映画出演となる。
吹替の子安氏は、'93年公開の『スウィング・キッズ』以来約30年ぶりにベール氏を担当。ちなみにマーベルのアニメ作品などではデッドプールを演じていた。
劇中ではMCU特有の特殊メイクとベール氏の怪演により、非常に禍々しい表情が印象的である。吹替版でも子安氏の独特の声演は言わずもがな。双方共に引き込まれる演技力は必見もの。
ソー:ラブ&サンダー
メインヴィラン。
荒廃した惑星で、神に祈りながら愛娘のラブとともに水と食料を求めてさまよい尽くした挙句、娘が飢え死してしまう。
娘の死に絶望して自身も死を待つだけだったが、頭の中で不思議な声が聞こえだし、その声に導かれるように砂漠のオアシスにたどり着く。
そこで自身が信仰する黄金の神・ラプーその人に遭遇するも、神々は人間の事など歯牙にも掛けず、虫けらのように思っているという事実を知り、信仰を捨てる。
そしてラプーによって倒された邪神が有していたネクロソードこそが語りかけてきた声の主であり、ネクロソードに呼ばれ、その力を手にするとともにラプーを惨殺。
ネクロソードの見せる幻に従い、すべての神を殺すべく動き出す。
数々の星で神々を殺したゴアは、ソーの旧友シフに重傷を負わせた(致命傷だったが、ソーの助力で助かった)あと、地球にいるアスガルド人の街・ニューアスガルドを襲撃。子どもたちをさらって、一路、拠点である「影の星」に戻る。
ゴアの目的は、最初に辿り着いた者の願いを叶える「永久(とこしえ)」の居場所である宇宙の中心へ行くため、如何なる場所へも念じるだけで移動できるビフレストの力を持つストームブレイカーをソーから奪うことであり、子どもたちはソーをおびき寄せる餌だった。
影の星で辛くも勝利したゴアはストームブレイカーを奪い、「永久」の居場所へ赴くが、駆け付けたソーとジェーンによってネクロソードを破壊され、致命傷を受ける。しかし「永久」への扉は開いており、ゴアはついに「永久」の前へと辿り着いた。
「神々の抹殺」を願おうとしたゴアだったが、子どもたちを救うために命を落としたジェーンと、彼女を抱くソーの姿を見て改心し、故郷の星で死んだ愛娘のラブを生き返らせることを「永久」に祈る。
そして、蘇ったラブの行く末をソーに託し、自らはその生涯を終えた。