全ての運命を見届けろ──
概要
2021年12月17日全米公開。日本では2022年1月7日公開。
MCU映画第26作であり、MCUでのスパイダーマンシリーズ、いわゆる「ホーム三部作」の第3作にして完結編。
ドラマ『ロキ』、アニメ『ホワット・イフ...?』などで示唆されていたマルチバース展開(※1)を初めて本格的に描いた作品であり、MCU以前のスパイダーマンの実写映画(サム・ライミ版、アメイジング・スパイダーマンシリーズ)のヴィランたちが全員オリジナルキャストで登場すること(一部は新規音声のみでのライブラリ出演)で話題を呼んでいる(※2)。
※1 『エンドゲーム』などのタイムライン/時間軸は、厳密に言えば別の概念。
※2 その関係上、上記の過去シリーズも予め視聴しておかないと、演出や台詞の意図が掴みにくいシーンも結構な数存在する(勿論、視聴していなくても十分楽しめるように作られてはいる)。
エクステンデッド版
『The More Fun Stuff Version』と題して、日本では同年9月9日に公開。
直訳で「もっと楽しい版」の通り未公開もしくは新規映像として、主演であるトム・ホランドの弟ハリー・ホランドの出演シーンやベティの出番が追加されている。
現在は各種VODで配信している。
ストーリー
前作『ファー・フロム・ホーム』におけるミステリオの策略により、世間に正体を知られてしまったピーター・パーカー / スパイダーマンは、ミステリオ殺害容疑をかけられたうえ、連日野次馬に囲まれ、ミシェル・ジョーンズやネッド・リーズを始めとした身近な人々にも迷惑が掛かっていた。
そんな状況を打破するため、ピーターはかつて共に戦ったスティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジに相談を持ち掛ける。
ストレンジは魔術によって、世界中の人々から「ピーターがスパイダーマンである」という記憶を消し去る事を提案するが、その魔術の悪影響により「ピーターの正体がスパイダーマンだと知っている」グリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、サンドマン、リザード、エレクトロといった、別の世界のヴィラン達が次々とスパイダーマンの前に姿を現わし始める。
ストレンジは呪文を逆転させ、彼らをそれぞれの世界に戻す準備を始めるが、その時にスパイダーマンは衝撃の事実を知る。
それは彼ら全員が「それぞれの世界でスパイダーマンと戦って敗北し、更にその戦いの中でグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロの3人は命を落とす」運命にあることを。
スパイダーマンは彼らを救うために、彼らの力を失わせ、善人に戻してから元の世界に戻す事を提案するが…。
キャラクター
カッコ内は、俳優 / 日本語吹替版声優。
- ピーター・パーカー / スパイダーマン (トム・ホランド / 榎木淳弥)
- ミシェル・ジョーンズ (ゼンデイヤ / 真壁かずみ)
- ネッド・リーズ (ジェイコブ・バタロン / 吉田ウーロン太)
- メイ・パーカー (マリサ・トメイ / 安藤麻吹)
- ハッピー・ホーガン (ジョン・ファヴロー / 大西健晴)
- ユージーン・“フラッシュ”・トンプソン (トニー・レヴォロリ / 畠中祐)
- ベティ・ブラント (アンガーリー・ライス / 水瀬いのり)
- J・ジョナ・ジェイムソン (J・K・シモンズ / 立川三貴)
- スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ (ベネディクト・カンバーバッチ / 三上哲)
- ウォン (ベネディクト・ウォン / 田中美央)
過去シリーズより
ヴィラン
サム・ライミ版
- ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン (ウィレム・デフォー / 山路和弘)
- オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス (アルフレッド・モリーナ / 銀河万丈)
- フリント・マルコ / サンドマン (トーマス・ヘイデン・チャーチ / 石田圭祐)※
マーク・ウェブ版
※ライブラリ出演、声のみ新規収録。
"想像しろ。超えてやる"
全ての運命が、集結する
ヒーロー
評価
ホーム三部作のみならず『スパイダーマン』実写映画の約20年の集大成ともいうべき内容なだけあって、非常に高い。
その結果は数字にも表れており、米国では公開から3週間で歴代累計興行収入のTOP10入りを果たしている。
結果、世界歴代興行収入第6位にランクイン。コロナ禍以降に公開された映画に限れば第1位である。また、MCUでは歴代第3位となった(いずれも2022年8月現在)。
これで、先述した「もっと楽しい版」が公開されれば、直上の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を超える可能性もある。
余談
可能性の拡がり
直前に公開された『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンでも、本作とリンクするシーンが挿入されており、本作のポスクレと合わせて、いよいよMCUとSSUの本格的なクロスオーバーが始まったことをファンに示している。
そして後に公開された『モービウス』でも、ポスクレで本作とのリンクが描かれた。
2023年公開予定のCGアニメ映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』においては、本作の出来事が言及されている。
今作の「他の次元からキャラクターが集結する」という展開は、コミック「スパイダーバース」を意識したと思われる。
また今後も、同じキャラクターを演じた異なる複数の俳優たちの共演の可能性があるかもしれない。例を挙げると、
- ブレイド:MCUでは前作『エターナルズ』で先行登場(声のみ)したが、1998年~2004年に3部作で映画化されている。ウェズリー・スナイプス主演。
- ハルク:MCUの前にエリック・バナ主演で映画化されている。
- デアデビル:Netflix版ドラマの前に、後にDCEU版でバットマンを演じるベン・アフレック主演で映画化されている。
- ちなみにハッピー役のジョン・ファヴローはこちらでは主人公の親友役。
- ファンタスティック・フォー:これまで3回実写映画化されており、4回目となるMCU版で監督を務めるのはホーム三部作と同じジョン・ワッツ(後に降板)。
- なおメインキャラクターであるヒューマントーチは、2回目の映画(2005,07年)ではクリス・エヴァンスが、3回目(2015年)ではマイケル・B・ジョーダンがそれぞれ演じたが、2人とも後にMCUにキャプテン・アメリカおよびキルモンガー役で参戦している。
小ネタ
- 本作で使われた劇伴の曲名および本作に出て来た架空の本の書名である「Flashpoint」は、DCコミックに同名の作品が有るが、その内容は「過去に起きた悲劇を無かった事にしようとした結果、予想外の影響が起きてしまい……」と云う本作の内容を連想させるもの。
- 『エターナルズ』でもDCネタがある。
- DCコミックの方の「Flashpoint」も映画化が決定している。
- 本作で共演したある2人の登場人物は、コミックでは結婚しかけた事が有り、それを念頭に置いて本作を観るとまた面白いかもしれない。
- サプライズ出演したアンドリュー・ガーフィールドは、元カノにしてかつての共演者にまで「出演する訳ないだろう」と言っていた為、当然ながら、本作公開後にその元カノから「アンタは嫌なヤツね。」と言われる羽目になった。
- そして、あるTV番組に出演した際に、この話をした結果、司会者から「あんた、元カノまで騙してたのか?」とツッコミを入れられる事になった。
- ちなみに、アンドリュー・ガーフィールドはこの本作公開前に同じ番組で「出演しない」と言い切っていた為、公開後に再出演した時の最初の一言が「弁明の機会を与えてくれて、ありがとう」だった。
- この影響か、MCUをはじめとするMARVEL映画に出演経験のある俳優陣の一部では「今後のMCUに自分が持ち役で再登場するという噂を否定したが、実際は登場した」ことを「アンドリュー・ガーフィールドする(do an Andrew Garfield)」と表現するのが半ば定着しているらしい。(参考)
- 「ネタバレ王子」の異名を持つ主演のトム・ホランドは、たまたま、隣のスタジオで撮影中だった『ミズ・マーベル』の主演のイマン・ヴェラーニに「『スパイダーマン』はどんな調子ですか?」と聞かれて、この時点で出演する事が秘密にされていたある俳優と一緒に写っている写真を見せてしまった。無論、MARVELオタクとしても有名なイマン・ヴェラーニがその写真が何を意味しているか一瞬で判ってしまった事は言うまでもない。
国内では
※批判的な意見を含むので注意 |
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日本では全米公開から3週間遅れての公開だが、実は世界中のほとんどの国は同時公開。日程が発表されると国内ファンは海外からのネタバレを警戒し、SNS断ちなど対策を各自始めた。
しかし公開後、海外では一部の心無い観客が上映中の盗撮動画を蔓延させたり、公式がTwitterで試写会の募集やネタバレすれすれの宣伝を行ったり、と日本のファンにとっては素直に喜べない年越しとなった。
日本より遅いのはフィリピンだけで、こちらは理由が明言されているが、日本で遅れた理由は現時点で明らかにされていない(恐らく、本作とは逆に日本先行公開となったこれや公開日が作中でも重要な日であるこれとの兼ね合いだが、これ関連という噂もある)。
しかし、奇しくも遅かったことによってスパイダーマン誕生60周年と実写化20周年いう節目の年に映画が公開される運びとなった。
またエンドクレジットでは今作で重要な役割を果たしたドクター・ストレンジがある人物を訪れる場面が描かれるのだが、
- その映像がストレンジが主役を務めるMCU次回作の特報とほぼ同じであったこと
- 特報の発表が全米公開日の1週間後だったため、もちろんネタバレ要素はなかったものの、日本のファンには結果的にフライングになってしまったこと
- その次回作の日本公開日が全米より2日早いことで、今作の3週間遅れが目立ってしまったこと
さらに「もっと楽しい版」についても
- 上映館が当初は東京と大阪の2館だけで、さすがに少ないと署名活動が起こり、札幌・名古屋・福岡の1館ずつが追加されたが、依然追加を求める声も多い
関連動画
予告編
エクステンデッド版
関連タグ
スパイダーマン MCU
ホーム三部作 スパイダーマン(映画) アメイジング・スパイダーマン
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| 発表順 |
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム | シリーズ | |
| 時系列 |
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スパイダーマン:スパイダーバース…ある意味先駆けと呼べるアニメ映画。
ゴーストバスターズ…本作中にて、とある台詞が引用されている。
ザ・フラッシュ…DCコミックのヒーロー。単独実写映画にて、過去にバットマンを演じた複数の俳優が、再度バットマンとして登場することが噂されている。
ダークナイトライジング…DCコミックの映画であるが、完結作で前作のヴィランが原因でヒーローが悪人の汚名を背負うといった展開が共通している。
グリッドマンユニバース…マルチバースの交錯とその住人同士の交流・共闘という似たストーリー展開となっている(本作のピーターのような並行世界の同一人物と言える存在も登場する)。また、ピーターの吹き替えを担当した榎木淳弥も声の出演をしている。