要するに、こういうことである。
真面目な概要
アクションゲーム『アーマード・コア』シリーズ伝統のシチュエーションのひとつで、偽情報や高額報酬につられた相手へのだまし討ちのこと。転じて、初見殺しやゲームの進行度に対して難しすぎるミッションなどにも用いられる。
大半の場合は主人公が不意討ちされる側なのだが、この手のお約束でこちらから仕掛けるミッションももちろんある。
なお「不可抗力によりブリーフィングとは異なる状況になっていた」場合を「騙して悪いが」に入れるかは意見の分かれるところ。
なお、原文では概要の通り「騙して悪いが」ではなく、「だまして悪いが」である。
Pixivでは
Pixivではアーマード・コアシリーズに限らず、誰かが騙されている/いた状況に対してこのタグが付くことが多いようだ。
頻出パターン
- 依頼文から読み取れる情報が少なすぎる、もしくは詳細すぎる
前者の場合は過剰戦力が投入されて袋叩きにされる可能性が高い。後者の場合はたいてい情報と真逆の敵が出てくる。
- 報酬が依頼内容に対して高額、もしくは前払い
これも定番。調査任務やMT排除と偽ってACが出てくる事例は数知れず。何なら報酬自体ゼロの場合もある。
- 共闘を依頼される
たいてい裏切って殺しにくる。
具体的な事例(ネタバレ注意)
海底基地占拠者排除 (初代)
「……部屋のドアはロックした。悪いがお前を殺すのが俺の受けた依頼なんでな。じゃ、俺は帰らせてもらう」
ランカーレイヴン、ボス・サヴェージからの依頼。海底基地に巣食うメカを排除してくれという依頼だが、ある部屋に入ると上記の台詞と共に自分だけ離脱して見殺しにされる。
この時点で「報酬前払い」「閉じ込められたうえで大量のMTを相手取る」といったお約束は確立されていたと言える。
ちなみにこのボス・サヴェージは、主人公をイレギュラー認定した初めての人物でもある。
テロ集団襲撃 (『マスターオブアリーナ』)
サブアリーナ参加権を得たい主人公が「MT部隊の殲滅」という偽依頼でレイヴンを釣って不意討ちするミッションなのだが、いざ行ってみると出てきたACが1機ではなく2機。つまり双方騙されていたわけである。
レイヴン撃破 (『2 アナザーエイジ』)
「よく来てくれた。残念だが、目標などはじめからいない。だまして悪いが、仕事なんでな。死んでもらおう」
上記の通り、「騙して悪いが」の語源となったミッション。
ランバージャックというレイヴンからの依頼で、本来ならアリーナトップランカーのレイヴンを共同で撃破してくれ、というもの。
それを真に受けて出ていったところに、上記の台詞と共にAC「ビルニーズ」で襲い掛かってくる。
「所詮捨て駒か...まぁいい。こちらディアハンター、作戦通り目標の排除を開始する」
だが、彼は前座にすぎず、彼を倒すとおかわりでもう一機AC(ディアハンター、AC「ツァーデン」)が来る。このことからランバージャックはかませ犬の代名詞としても扱われるようになった。
管理局強行偵察 (『ラストレイヴン』)
プレイヤー側に対する初見殺し的な意味での「騙して悪いが」の代名詞。
警備部隊を排除しろという割にやけに手薄な通路を進むと...
「命令だ、死んでくれ!」
案の定レイヴン・ライウン/AC「ストラックサンダー」が控えている。逆関節でぴょんぴょん跳ねながら肩のレーザーキャノンを撃ち込んでくる強敵。
...だが、真の問題は最初のミッションでこいつと戦わされることである。他のミッションに逃げて2周目以降に回せる分まだ有情だが、最初に選べる3ミッション中報酬が最高額であるため「最初のミッションだし初期機体でいいでしょ」と甘えて選んで消し炭になったレイヴンは数知れず。
そのせいで、『ラストレイヴン』初心者にはこのミッションを勧める「リアル『騙して悪いが』」を仕掛けるのがプレイヤーたちのお約束になったとかならないとか。
敵AC撃退 (『ラストレイヴン』)
ある独立武装勢力からの依頼で、エネルギー系の武装で固めたACが襲ってきて手に負えないので助けてくれ、というミッション。
同時期に選べるミッションに比べ報酬の額が1ケタ多い、しかも敵の情報を教えてくれるという破格の待遇だが...?
「まんまと騙されてくれたな。お前に作戦を依頼したのはこの俺さ」
「そうとも知らずに...おめでたい野郎だ。だが安心しな、すぐに楽にしてやるよ!」
まあそんなにうまい話はなく、武装勢力のぶの字もないどころかズベン・L・ゲヌビ/AC「サウスネイル」が襲撃してくる。なお彼の武装はすべて実弾なので事前情報も役立たずである。
「じょ、冗談じゃ...」
「こんなはずじゃ...おい、早く加勢してくれ!」
「助けるつもりなどもとよりない...おまえもここで終わらせてやる」
「俺が倒してきたヤツらと同じくな」
そしてサウスネイルを撃破すると、おかわりでリム・ファイアー/AC「バレットライフ」が出現する。こちらもオール実弾。金だけもらってズベンをあっさり見捨て、主人公を消しにかかってくる。...要するに上記の「レイヴン撃破」の再来。
ちなみに『ラストレイヴン』の仕様上このミッションはスキップできるが、その場合はリム・ファイアーから「勘のいいやつだ」という旨のメールが来る。
ただ、このミッションは『ラストレイヴン』の真エンドとも言うべき「中枢突入」ルートへの突入に必須なのが困りもの。しかもこれまた3つ目のミッションに配置されているため、ニューゲームでやろうとするとまたしても地獄を見るハメになる。
第8艦隊撃破 (『フォーアンサー』)
インテリオル・ユニオンからの依頼。同社のアームズフォート・スティグロと協働して、アームズフォートすら沈めるというBFFの海の主力「第8艦隊」を叩くミッション。
一見すると普通だが、問題はハードモードで挑んだ際。なんと開幕早々スティグロが裏切ってこちらを攻撃してくる。これにはさすがのオペ子も「つまらない裏切りを後悔させてやる...いい見せしめだ...」と怒りを通り越してノリノリ。
なお、だからと言って報酬が高額...などということはない。インテリオルの腹黒さが透けて見える。
アルテリア・カーパルス占拠 (『フォーアンサー』)
オールドキングと共謀し、人々が住まう空中プラットフォーム「クレイドル」を襲撃、1億人近くの人を手に掛けた主人公・首輪付き。
そんな彼に、どういうわけかインテリオルから「人々の安全と世界の安定」のため、クレイドルにエネルギーを供給する地上施設・アルテリアのひとつ「カーパルス」を占拠してほしい、という依頼が届く。曰く「細かなプランはないのでどうやるかは全部お任せ」だそうだ。
...もうお分かりだろうが、このミッション、アーマード・コアシリーズ中でも最凶クラスの「騙して悪いが」である。
そもそもブリーフィングの時点でインテリオルからの依頼のはずなのにしれっとオーメル・GA両社のロゴが映っているうえ、ブリーフィングの内容は本当に上記の「お任せ」しか言われない。
加えて報酬全額前払い。もう嫌な予感しかしない。
そしてオールドキングとともにカーパルスに赴くと...。
「偽りの依頼、失礼しました。あなた方には、ここで果てて頂きます。理由はお分かりですね?」
「まあ、そういうことだ。どうせ、確信犯なんだろう? 話しても仕方ない」
まさかの4vs2、それもカラードランク最上位の4人が一斉に殺しにかかってくる。首輪付きがやったことからすれば妥当なのか...?
「お前とこうなるとはな...。残念だが、私の蒔いた種だ。刈らせて貰うぞ」
ハードモードではダメ押しとばかりにもう一人追加、5vs2となる。ここまで来るともはやオーバーキル。
オールドキングは「選んで殺すのがそんなに上等かね?」と吐き捨てるが、順当にやると彼は撃墜されてしまう。
そして一人で彼らを皆殺しにした暁に、首輪付きは晴れて「人類史上最も人を殺戮した個人、人類種の天敵」呼ばわりされることとなるのである。
大型ミサイル発射支援 (『VI』)
本ミッション自体は「騙して悪いが」系ではないのだが、「騙して悪いが」事案が発生したためここに記す。
『VI』発売前のイベントで、その場でプレイヤーを抽選してこのミッション(ミッション内容どころかアセンの仕様すら完全な初公開である)を試遊してもらう、という企画があった。
しかもただプレイさせるだけではなく、なんと前情報無しの防衛ミッション+初公開のアセン仕様+アセン時間たった一分という殺意に満ち満ちた縛りを課される。
開発サイド曰く「リハーサルで誰も成功しなかった高難易度ミッション」であり、本来は「1回目は失敗し、スタッフが説明してからリトライし、"ACはアセンブルが重要なのでじっくり組めばこんなに違うんですよ"とする」という段取りが組まれていた。
しかし選ばれたプレイヤーが全シリーズプレイ済みの猛者だったのが運の尽きで、彼はわずかな情報と時間で的確なアセンブルを組んで初見クリア。フロムとしては「挑戦者を『騙して悪いが』するつもりが、初見クリアをされて『騙して悪いが』し返される」格好となった。
詳細は当該プレイヤーの異名「渋谷の花火師」の記事で。
ヴェスパー7排除 (『VI』)
プレイヤーが「騙して悪いが」を行えるミッション。
ミッション内容は「V.Ⅶスウィンバーンを始末する」というもので、至って普通のAC戦。彼を奇襲し、戦闘の途中までは問題なく進む。
が、戦闘の途中でスウィンバーンは両腕武装をパージしてパルスアーマーを張り、どこかで見たような命乞いをしてくる。
取引に応じない、もしくは返事をせず問答無用とばかりにバカスカ殴り続けた場合はそのまま戦闘続行となり撃墜することになる(命乞いのために武器を捨ててしまっているため、よほど消耗しなければ一方的に撃墜できる)。
一方取引に応じると彼は機嫌のよさそうな言葉を並べて撤退するのだが、取引に応じた上で撤退する前に攻撃を少しでも当てるとどんなカスダメでも一撃で倒すことができ、スウィンバーンは断末魔を上げながら爆散する。無駄な消耗を抑えたいならこれが最適解ということもあり、なおさらたちが悪い。
「なっ…貴様!?どういう教育を受けっ」
「おあーっ!?」
...ただ、この「騙して悪いが」した場合はエアに「今のやり口はウォルターに教わったのですか?」と引き気味に尋ねられることになる。
ちなみに完全に撤退するのを見届けてしまうと解放戦線のニンジャがエントリーし、金で寝返るというスゴイ・シツレイを働いたレイヴンをケジメしにくる。備えよう。
ヴェスパー部隊伏撃 (『VI』)
共闘を依頼されるという、今までならよくあった騙されるパターンなのだが、今回の依頼人であるミドル・フラットウェルは裏切らずちゃんと一緒に戦ってくれる。
その戦う相手はヴェスパー部隊2名なのだが、作戦は「上官からの命令と偽って標的たちを呼び出し、頭上から奇襲する」というもの。
これまたプレイヤーが「騙して悪いが」を行えるミッションである。
ちなみにその上官はしょっちゅう人を呼び出しては偉そうに遅れてくるらしく、そのせいで標的たちはコロッと騙されてしまうが、早く奇襲しないとさすがに警戒し、プレイヤー達を見つけてしまう。
なお、奇襲と聞いていたからと喜び勇んで突撃して扉の前に陣取り、彼らが到着、扉がオープンされると同時に攻撃をぶちこむと「自分から見つかりに行く伏兵があるか!」と叱られてしまう(だって奇襲って言われたから…)
あくまで「会話している彼らを見つからずに襲撃する」のが奇襲であり、「待ち合わせ場所に着いたと思ったら突如野良レイヴンの攻撃」は奇襲ではなく強襲なので注意(なお、奇襲の手段に対する指定は特にない。放置だけがデメリットあり)。
未踏領域調査(『VI』)
様々な障害を乗り越え、さあ集積コーラルあるであろう未踏領域の調査に向かおう!というアーキバスからの依頼なのだが、ブリーフィングでの留意事項として「お前が通ってきたルートを勝手に尾けてきている奴がいる、少なくとも誰も依頼してない奴だから、そういう抜け駆けは許されないので、もし会ったらぶち殺せ」(要約)と言われる。
ある程度進むと見覚えのある機体が接近してくるのだが、その正体はなんと戦友ことV.Ⅳラスティ。合流と共に彼は「独断で突入した傭兵を始末しろという話だったが…」と溢す。
つまるところラスティも621も「騙して悪いが」の被害者。
…まぁ、この直前の3ルート中2ルートがアーキバスに被害を与える展開(しかも内1つが「ヴェスパー部隊伏撃」)なので621について単に意趣返しされただけになっている場合もある。
ラスティの方も長い付き合いであるが故に「621が独断専行等するわけがない」また「アーキバスは鬱陶しい自分を殺そうとしていて、あわよくば共倒れを狙っている」とは分かったうえで「いずれ潰し合うなら今のうちに」と戦闘を続行することとなり、621の戦う理由について問いかけ、「理由なき強さ程危ういものはないぞ」と忠告してくる。
なお、最終的にはラスティは621に敗れてその場は撤退する事になるのだが、解放者ルートではラスティが現れた事にアーキバス艦隊が「死んだはずでは…!?」と驚愕している。
つまり、621はラスティの生還をアーキバスに報告しない形で「騙して悪いが」をしていることになる。
多重ダム襲撃(ALT)(『VI』)
2周目以降に現れるミッション。途中までは1周目と同じように事が進むのだが、ある時点まで進むとルビコン解放戦線から「ベイラムの倍報酬をやるからこちらに寝返ってレッドガン2名を排除してほしい」(要約)と通信が入る。
これを受諾すると僚機だったレッドガンの2人をそのまま敵として倒すことになる。621からしてみれば騙したつもりは毛頭ないだろうが、『遠足の安いおまけ』2名としては僚機だと聞いていた奴が襲いかかってくるのだから「騙された」以外の感想が出てこないだろう。結果としてやはりプレイヤーが「騙して悪いが」するミッションと化す。
コーラルリリース(『VI』)
本作のラストミッションのひとつ。
今まで散々敵を騙してきた621だが、このミッションのブリーフィングは「障害は排除されました。共にコーラルリリースを成し遂げましょう」だけで終わってしまう上、報酬が全ミッション最高と『騙して悪いが』のお約束パターンを綺麗になぞっている。過去作の情報が一切ない新規プレイヤーだろうと「やること終わったのに出撃?」と疑えるレベルで胡散臭い。
そしていざ出撃すると案の定「用済み」として裏切った張本人がかつて倒した敵を手駒にしており、AC「マインドγ」と取り巻きがこちらを殺しにかかってくる。
ただ今回はマインドγを撃破して終わり…ではなく、ラスボスらしくより強大な特製メカ(オールマインド)と常時飛行形態のシースパイダーっぽいオールマインド・オービット(ブースター炎色から恐らく非コーラル機)の連戦になる。
そして最大の障害となった彼らを返り討ちにする事で、621達は無事に計画を(横取りして)実行することになる。その先に待つのは希望か破滅か、行く末は誰も知らない。
「我々の…計画が…」「人類と生命の…可能性が…」
なおここまでコーラルリリースの目的を知った上で協力してきたレイヴンを裏切る必要性は一切ないし、うまくやればそもそもレイヴンに抵抗を許さず計画を完了できていたが、凡ミスと判断ミスで全て台無しにしている。
関連タグ
バーボンハウス:「釣り」という意味合いでは類義語に当たるだろう。