概要
独立傭兵支援システムであるオールマインドは、作中序盤から登場し、正体不明の存在ながら主人公であるC4-621を支援する。
そして、3周目における分岐ルート「賽は投げられた」にて621に支援対象以上の関係として接触を図り、その真の目的を明かす。
コーラルリリース
オールマインドの真の計画、それはコーラルを人間の意志と共に宇宙に解き放つ「コーラルリリース」を実行に移すこと。
「オールマインドが」目論むコーラルリリースには条件があり、それは
- ルビコン3の大気圏外にコーラルを集める
- コーラル変異波形と交信可能な特別な強化人間を支配下に収める
- 第2条件で支配した強化人間とコーラル変異波形を交信させ、オールマインドの意志に沿うように変異波形にコーラル解放トリガーを引かせる
の3つであった。
第1条件はアーキバスがバスキュラープラントを建造したことで達成され、第2条件も一部達成(621とエアが交信を果たしたため)したのだが、「レイヴンの火」ルートではシンダー・カーラがザイレムをバスキュラープラントに突っ込ませた事でコーラルを焼き払い、「ルビコンの解放者」ルートでは621とエアがオールマインドの支配下に入らなかったため、それぞれ失敗に終わっている。
「賽は投げられた」ルートでは621とエアがオールマインドに協力することになったため第2条件も達成され、残すは第3条件のみとなった。
そして「自分がトリガーを引く」ことをより確固なものとするため、621を「計画における異物」として排除せんとする。
しかし、引き入れていたもう一人の協力者がこの土壇場で裏切ったうえ、621が協力者もろともオールマインドを撃破したことで、皮肉にもオールマインドの本来の計画は達成目前にしてまたも頓挫してしまう。
結果としてリリースのトリガーはエアの手によって引かれ、コーラルリリースはオールマインドの想定を超える形で実現するのだった。
オールドンマイと呼ばれる理由
…と、黒幕のように立ちはだかった彼女(?)だが、実のところポンコツである可能性が濃厚。
そもそもコーラルリリース自体薄氷を踏むようなギリギリの計画であり(誰が呼んだかガバチャー(ガバガバチャート))、事実「レイヴンの火」・「ルビコンの解放者」ルートでは上述の通りどちらも(621が知らない間に)頓挫している。
肝心の「賽は投げられた」ルートでも以下の通りミスを積み重ねており、エアがトリガーを引かなければやはりリリースは失敗していた可能性が高い。
(これについては、初代アーマードコアのラスボスもポカをやらかしている。)。
3周目の冒頭は黒幕のような不穏さを出しているが、実際はミスばかりの弱小のポンコツが頑張って黒幕感を演じているのが実情に近い。
プレイヤーからはそのポンコツ感から既に「オールドンマイ」や「ドントマインド」との愛称で生暖かく観測する風潮が形成されつつある。
また、そのしょうもないミスで酷い目に遭う様子からメイン画像の様な某生首のようなどこかムカつくが憎めない半目のニヤケ面で表現される事が多い。
実際、彼女は話が進むにつれて声色のニヤケが隠せなくなっていく。不気味になっていくといえば聞こえは良いが、全てがわかった後に聞くと調子に乗ってきているようにしか聞こえなかったりする…という意見も。
以下、詳細に彼女のやらかしポイントを考察する。
協力者のスッラを621と交戦させてうっかり死なせる
スッラは当時の味方陣営でコーラルリリースの第三条件を達成できる唯一の人材であり、この時点で失ってはならない存在だった。しかも本命の3周目はおろか1・2周目でもやらかしているというガバガバっぷり。
なお、情報ログを見る限りオールマインドがスッラをウォッチポイントに向かわせたのはあくまで変異波形(=エア)の回収が目的だったようなので、621との戦闘はスッラの独断だった可能性もある(実際、スッラは明らかにウォルターに執着している)。
...ただこの場合、スッラの最期のセリフも合わせてスッラもオールマインドに忠実ではなかった可能性という別のポンコツ要素が発生するが。
正体が隠しきれていない独立傭兵「ケイト・マークソン」
「傭兵支援システムが紹介しているのにシステムに登録がない」「声がオールマインドそっくり」「機体名こそ『トランスクライバー』になってるものの何処からどう見ても『マインドβ』な搭乗機体」など。621はともかくウォルターやエアには怪しまれている。
稚拙なAC操作技術
「コーラル輸送阻止」にて。輸送ヘリの通過を阻止するミッションで、ケイトが撃ち漏らしを落としてくれるのだが、何とたった4機で限界に達する(=5機見逃すとミッション失敗)。こちらは何十機以上は落とす必要があるのにもかかわらずである。
しかもヘリの通過を許していると、「ケイトにも処理限界があります」と泣き言を言ったり、終わった後に嫌味を言って来る始末。「強制監査妨害」ではカタフラクトとエクドロモイ2機を難なく相手にしているので別に火力不足ではないはずだが...。
というのもトランスクライバーの武装はKRSV、レーザーダガー、レーザーオービット、パルスシールド。対AC・大型兵器ならばかなり強力なアセンブルだが、ザコ敵扱いの輸送ヘリ破壊にはシールドは言うまでもなく、レーザーダガーもこの輸送ヘリは破壊した際にダメージを伴う爆発を起こすためお荷物。これに関しては装備チョイスのミスと言うべきだろうか。
もっとも「チョイスミスだがこの装備構成でも輸送ヘリを4機しか破壊できないのはありえない」という意見もあり、そこから「KRSVを一々8発しか撃てないフルチャージで撃った挙句半分は外してるんじゃないか」とネタにされていたりもする。
後のアプデでKRSVの弾数や弾単価などの燃費や継戦力が向上してノンチャージの取り回しが改善した…が、フルチャージの消費弾数も増加してフルチャージが8発しか撃てないのは相変わらず。ヘリを毎回フルチャージして落としていた疑惑がより濃厚になるというオチ。
が、改造かMODかは不明だが実際にNPCケイト機を当該ミッションに出した動画が投稿されており、ケイト機が本当にKRSVをフルチャージでしか撃たないAIとなっている疑惑が発生した。しかも盛大に外しているし。(関連動画参照)
V.Ⅲオキーフに愛想を尽かされる
スッラはこの時点で死亡しているため、これにより味方陣営に有人ACが一人もいなくなり、以後オールマインド自身と無人MTで戦わなければならなくなる。
V.Ⅲオキーフ暗殺の偽装に失敗する
裏切り者を始末するのは十分理解できるが、そのブリーフィングで「事故として処理したいと思います」と言っているのに後々普通に621の仕業だとバレている。バレないと思っていたので何もしなかった可能性もあるが...。
ザイレムの制圧にけしかけたMT「ゴースト」がカウンターハックを喰らって防衛戦力として逆用される
「ザイレム制御修正」にて。いくらカーラの技術が凄まじいとは言え、電子戦でボロ負けするAIとは一体...。
様々なミッションで出現するゴーストだが、「機密情報漏洩阻止」ではG5イグアスとレイヴンに対してゴーストをけしかけたせいでRaDに明確に鹵獲されてしまっており(カーラはゴーストを解析に回すと明言している)、カーラには全ての機能を把握されていたのではないかと言われている。
なによりこのミッションにおいてゴーストはイグアスかレイヴンどちらかに肩入れするならともかく双方に攻撃しており、カーラの持っているデータを欲しがった訳でもないため、襲撃する意味もメリットも皆無。する必要のない事をやって重要な局面でそれが致命傷になるのは流石にポンコツと言わざるを得ない。
また、オールマインドに十分な処理能力があるならそもそもザイレムを乗っ取る必要すらない、あるいは「乗っ取りを行うにしてもザイレムより衛星砲の方が良かったのでは?」という考察もある。
ザイレムはシステムエンジニアのチャティと正規権限持ちのカーラが乗っているためカウンターを食らうおそれがあるが、衛星砲はこの時点ではセキュリティがおろそかになっている。衛星砲がどこかのシステムと繋がっているならそこを、そこが無理だったりスタンドアローンなシステムだとしてもゴーストを差し向けて衛星砲を直接ハッキングし、「密航」の冒頭で封鎖機構がやったように衛星砲でザイレムを撃ち落とせばそれで決着していたのでは、ということ。
実際「レイヴンの火」ルートでエアが衛星砲をハッキングして射撃、ザイレムに命中させている(結末によってはそのまま撃墜している)ので、エアがハッキングの腕前に優れているとはいえ衛星砲の掌握は技術的に不可能ではないはず。
また「ルビコンの解放者」ルートではエアと621はザイレムを落とすためカーラとチャティを排除したが、二人の仕掛けた罠によりエアの腕前をもってしてもシステム権限奪取には失敗したため、結局動力部を物理的に破壊するしかなかった。
衛星砲をハッキング出来たエアがザイレムのハッキングに失敗したと言うことは、ハッキング自体の難易度は衛星砲の方が確実かつ簡単なはずなのである。
さらに言えば、この時点でオールマインドの手駒が減っていたとはいえどちらか片方しかハッキング出来ないわけではないのだから、「念のため衛星砲もハッキングしておく」だけでいくらでも失態のカバーが出来ていたはずなのでやはり詰めが甘いと言わざるを得ない。
ルートによって世界線は変わるとはいえ、残念ながらオールマインドは衛星砲のハッキングを「思い付かなかった」、ないしはハッキング「できなかった」ようである。
リリースルートでは何の前触れもなく621がザイレム内部に現れている(ウォッチポイント・アルファからいきなりザイレムへ移動する)事から、「衛星軌道(エアとも戦ったあの場所)への輸送手段にザイレムを利用した密航を選んでいたため撃ち落とすわけにはいかなかった」という可能性もあるが、その場合「後は輸送してトリガーを引くだけ」という最後の大詰めで輸送手段を用意せず(出来ず?)、横着した結果全てが水の泡になるというとんでもない大ボケをやらかしている事になる。
「ハッキング対象の選別ミス」「それが失敗した場合のカバー手段の準備をしない」「輸送手段を横着して敵任せ」と三つも詰めを誤っていては、手厳しいようだがエアやアーキバス以下のポンコツと言わざるを得ない。
これ以前にも詰めを誤って(怠って)台無しになる悪癖は散見されるためもうそういう性質なのだろう。
上記のリカバリーのため、回収して眠らせておきそのままリリースに使うつもりだった621を起こす
それも残り5分のギリッギリで。案の定カーラに先手を打たれており、結局それもレイヴンが対応するハメに。
「騙して悪いが」作戦の発動とイレギュラー認定を行う
シリーズ経験者ならご存知だろうが、どちらも死亡フラグである。敵の。
その後、機体を乗っ取った手駒にもイレギュラー認定をしていることから、オールマインドは621だけでなく彼にも敗北したという見方もできる。
その手駒にした621のライバルに「対処を」しか言わない
直訳すると「ほらピンチですよ!何とかしてください!」しか言ってない。何の生産性もない上にこんな事をキャンキャン喚かれては彼にウザがられて当然ではないだろうか。
手駒にした621のライバルに「機体の制御を乗っ取られた上で」敗北
案の定裏切られた。誰が言ったか食当たり。人選も、その精神力や対抗心こそ凄まじいが、戦闘員として有能とは言い難い微妙さ。結果として計画を621とエアに横取りされる遠因となった。
ブリーフィングのミス
「コーラル輸送阻止」のブリーフィングで「コーラル総量の1.6%が企業勢力に渡った」という経緯の説明のために円グラフを示すのだが、よく見ると1.6%よりも表示が多い。
これに関しては視覚的な都合もあるので致し方ない面はある...と思いきや、有志の分析によるとグラフは2.6%を指しているらしく、スライド作成時の打ち間違い説が浮上してしまった。
さらにこのミッションでは、コーラル貯蔵タンクを破壊すると追加報酬が出る。...のだが、これについてブリーフィングおよびミッション中の説明は一切無い(一応ブリーフィング中、一瞬だけタンクの場所にマークのような物が出る)。
ついでに輸送ヘリは撃墜するとコーラルの爆発を起こすが、このことはあとから言われる。...先に言ってよ。
開発したパーツについて
オールマインド謹製パーツもよくよく考えると滅茶苦茶な点がある。
- 畑がまったく違う武器(ミサイルとオービット)なのになぜか型番がかぶっている「45-091 JVLN BETA」と「45-091 ORBT」
- その45-091 JVLN BETAはミサイルとしての枠を斜めに外れ、線状に爆発を引き起こす爆導索という外連味のある性能。
- 性能自体は優秀なバズーカだが、使えもしない銃剣が取り付けられているせいか、他のバズーカと比べて異様に重かった「44-141 JVLN ALPHA」
- ただし、Ver.1.07の2024年10月現在は大幅な軽量化を果たしており、次点のXUAN-GEと比較しても極端な重量差はなくなっている。
- 鞭付きプラズマ爆雷投射機などそもそものコンセプトが不明な武器たち。
- 一応これ自体は攻撃力、衝撃力、リーチのいずれも優れており、装備負荷もそこそこと優秀な武装なのだが、構え武器に属するため攻撃時に足を止めてしまう欠点がある。
- 四脚かタンクであればその欠点が解消されて存分に使いこなせるのだが、その肝心の四脚とタンクをオールマインドは開発していない。
最終的に自分自身ですら使わなくなる程度なので変な武器という自覚はあるらしいが。
- プラズマライフルとレーザーライフルを水平に結束するというエクストリーム脳筋設計のせいか腕武器重量ワースト、EN負荷も手持ちではワースト2位を誇る「44-142 KRSV」。
- どれくらいの負荷かというと、EN武器の火力に直結する「EN武器適性」が最大のジェネレータを使用した場合、まともに武装しようとすると本来何も考えず主な戦闘距離やミサイル系の数値が最強のものを付ければ良いはずのFCSも含めてアセンが著しく阻害されるレベル。威力を妥協して容量重視のジェネレータを使用したとしても、今度は重量のせいで中量機ですら重量過多やら腕部重量過多やらの悲鳴を上げる。
オールマインド製パーツは(後に改善されたものもあるが)プレイヤーが使う分にはクセが強い特性を持つ物が多い(更に言えば異様に負荷が高かったり重かったりと、如何にも「机上の空論で最強装備作った結果実用性が死にました」感が出ている)。
傭兵支援システムでも
自身が管理しているアリーナにて、エアから二度のハッキングを受けて非公開にしていたネストに勝手にエントリーされたり、機密機体のデータを抜き取られたり、挙句それに気づいていなかったり(気付いていたら最終戦でロックを掛けるなり実物を秘匿するなりするはずである、詰めの甘さからして「有人想定してないからどうせ使えないだろう」とたかを括った可能性も無くはないのがAMクオリティだが)カーラには勝手に隠しメッセージを入れられたりしている。
ザイレム制御修正の時と言い、とことん電子戦に弱いAIである(本来ただの傭兵支援AIでしかないため電子戦は専門外かつエアやカーラの技術力が非常に高いせいでもあるが)。
最後の謎
彼女が何故コーラルリリースを望んでいたかは作中で語られることはないが、発言の節々から人間を見下しているような雰囲気を醸し出している(ミッション「失踪」におけるアーキバスに対する発言など)。過去作の文脈から推測するなら『管理者』にでもなろうとしたのだろうか。
コーラルリリースによってエアと621は二人の意思を星々に伝播させ、コーラルと人類の共生を探す長い闘争を始めることになったが、オールマインドの意思を伝播させたコーラルリリースであればまた違った結果が宇宙に起きたのだろう。
ソレがどんなものかは、成し遂げられなかった以上不明である。
本人はその進化した人類やらコーラルより優秀だと思っていそうだが…実態はともかく。
本当にポンコツなのか?
とはいえ、彼女の言動や能力が全くダメかというと決してそんな事はない。
まず大前提として、621がイレギュラーという「本来ならば想定した上で除外していい事態(道を歩いていたら隕石に直撃して死亡の様なトラブル)を起こしかねない存在」である事を忘れてはならない。
オールマインドの計画はスッラが撃破された事で前提が崩壊しかけていたのだが、そもそもスッラはこれまでハウンズ達と戦った事があり実際に倒している歴戦のAC乗りである。この頃の621はレイヴンの名を借りていたとはいえ無名からようやく名が売れ始めた程度の存在であり、スッラとの交戦で621が勝ってしまう事自体が、1周目に関して言えば「いちいち気にしてたら何もできなくなる」ぐらいの低確率の事象を引き当ててしまった事故と考えた方がいいだろう。
さらに電子戦でもポカが多い事は間違いないのだが、企業同士を潰し合いで消耗させた果てに後で自分がかすめ取る事を前提にアーキバスにバスキュラープラントを作り直させるように仕向けた事や、オーバーシアーからは最後まで自分が黒幕である事は気づかれないように立ち回っていた節もあり、周回要素のメタ視点も含めた長期的な諜報戦や情報収集能力は間違いなく高い。
何より、「結局オールマインドという存在は何者だったのか」に関してはここまで行動を掘り下げた上で幾つか考察はあがるものの明確な答えと言えるものはない点は驚愕すべきポイントである。
電子戦周りもそもそも対抗相手がエアやカーラといった規格外のハッカーを相手取った結果であり、それ以外からは存在すら認識させていない立ち回りを見せている事を考えると「優れてはいるが相手が悪すぎた」という事情もある。特にエアに関してはカーラが「アーキバスでも掌握が困難だろう」と予測した衛星砲すらザイレム起動後間もない時間で乗っ取るほどの芸当が他に出来るやつが居てたまるか、と言わんばかりの状況である。
最終戦で電子戦を放棄して621に任せたのも、一度ハッキングされアドバンテージを取られた状況で正攻法をしかけるリスクと手間が合わず、なにより621をウォルターの下に行かせると説得されて反旗を翻すという最悪のパターンが起こり得たため悪手かと言われるとそうでもない。実態としてはウォルター・621双方とっくに覚悟を決めていたので裏切りのリスクは少なかったというオチなのだが。
現場対応で緊急事態が起きると慌てふためく行動が目立つが、ザイレム掌握に失敗した時には逆に「次がある」と見切りをつけつつも計画そのものは諦めない執念深さも見せている。
パーツや機体関連のビックリドッキリメカぶりにも彼女の設計思想はある程度見えてくる。
オールマインド製機体パーツは高負荷ではあるがハイエンドな性能、特に耐久性ないし姿勢制御関係のどちらかをしっかり高くした重量寄り中量機となっているため、余程のバ火力が直撃でもしなければ即死する事はない。
オールマインド自身の技量が怪しい(というよりアリーナの対戦結果を通して研究・学習中だった)ことや対戦中に十分なデータ収集を行えるだけの戦闘を行うという要件を考えると「スタッガー対策をしつつ即死しない生存力を確保しながら、ゴリ押しを避けられる程度の機動力も維持する」という思想で作ったのだろう。
更にマインドシリーズは人の身体の延長のような感覚で扱える事をコンセプトに作られているが、AIである彼女が使う事だけ考えれば技研製機体のような人間が使う事を想定していない構成とは真逆の方向性になっている。
このあたりもコーラルリリースが起きた後の世界がどうなるかを予測して、その世界で生きる人々が動かしやすい"身体"を準備していたとも考えられる。そう考えれば四脚やタンクのパーツを開発しなかったのも人の身体の延長として扱うにはあまりにも異質であったからと考えられる(そもそもオールマインドが開発した逆関節の「06-042 MIND BETA」ですら「新たなアプローチとして異物混入による人体感覚の変化に着目。まず末端たる脚部を獣の形に置き換えることにした」とオールマインドとしても実験作であった事がうかがえる)。
武装周りも自分が使うとなるとかなり癖がある事は否定できないが、全体的に衝撃値や直撃補正が高いためスタッガーやその追撃を重視した武装構成に向いている上に変則的なギミックにより初見では対応がかなり難しい。
例えばアナライシスで戦うマインドαの武装構成も変則的かつ初見では回避が難しい武装群でスタッガーを狙いつつバズーカの1発を狙う、というコンセプトが見えるなど彼女なりにしっかり考えて作っている事がわかる。
マインドベータもKRSVのネタ武器ぶりが目立つが武装構成で見ればガン盾戦術でしぶとく耐えつつフル・1段問わずチャージショットを狙う機体という構成。最終決戦の協力者もガン盾戦術を得意としていた事が選ばれた要因とも考えられる。
そのため用途を選べばミッションや対人戦でも通用するレベルのパーツが多いことは擁護しておく(例えば上記のJVLN ALPHAは、ログハント・プログラム序盤に提供される武装でありながら登場時期的に破格の性能を持ち、最後まで使えるポテンシャルもある)。さらに前述の通り軽量化を果たしたJVLN ALPHA等、初期から大幅に使い勝手が改善されたものもある(逆にJVLN BETAやHMMRなど使い勝手が良すぎると判断されてかナーフされたものもあるが)。ヘンテコ感はともかく。
具体的に言えばKRSVを装備したマインドベータもただ積むだけでは終わらせず、取り回しのいい装備とシールドで固め、隙あらばKRSVチャージショットを狙うガン盾引き撃ち戦法を主軸にした生存力重視のアセンであり、前衛を張る僚機が居る対人チーム戦ともなればKRSVフルチャージがネタと笑えない脅威として警戒しなければならないなど、決してネタで終わらせないように作っている事が見えてくる。
KRSVのトンチキぶりもアリーナならば弾薬費や継戦能力はある程度無視する事が可能であり、むしろ多彩な攻撃パターンを繰り出して対戦する傭兵たちの対処方法を見るための武器なのだろう。
あんなものの実物を作って実戦投入する事自体に問題が多すぎるといえばその通りなのだが。
また、トレーニングをこなすことで序盤から手厚いパーツ提供をしてくれる事(しかも自分で開発したパーツには一切拘らず企業の割と優秀なパーツを提供してくれる)に助けられた621も多く、買値と売値が同値のショップと言い、傭兵支援システムとしての手腕は間違いなく優秀と言えるだろう。…利益が出ているのかちょっと心配になるところはあるが。
また、諜報能力の高さと相まってかパーツの入荷能力も高く、最終的には各企業の試作パーツまで入荷して見せる。…あのラマーガイアをショップに並べて本当にいいのかという疑問や新兵用とされるランセツARの入荷が何故かランセツRFより遅れるとか気になるところはあるが。
ただし、ラマーガイアについては海越えした621に魅せられたシュナイダーが自ら流出させた説もあり、にもかかわらず入荷がVer.1.05までお預けになったのはむしろオールマインド的にも正気を疑う機体だった(なにせ、最初は腕パーツをなくそうとしていた疑惑がある。オールマインドのACを人体の延長上にする構想とはまるで相容れない)ため、入荷を拒否していたのではないかとも(その場合、結局シュナイダーに押し切られた事になるが、シュナイダーの空力キチが判明した今となっては押し切られても仕方ない)。
…と、裏での情報戦を筆頭に絶対的な実力で戦局を自分のやりたい方向に誘導する力は確かにあり、絶対的な実力自体が足りないかと言われたら決してそんな事はない点は各所に見られる。
何よりあくまでプレイヤーの視点がイレギュラーである621からのもののためそもそも何処までが想定しうる不確定要素と妥協できるかも怪しい。
とはいえ最終的に問題になる根本の問題は、621やエアを計画に必要な存在にもかかわらず自分の計画の駒として見ているが故に人やコーラルを露骨に見下している本性が隠せていない事と、いざトラブルになると慌てふためいて泣き言を漏らすという小悪党ぶり。
実際に前述のガバポイントと言う名の実害の原因がこれらの慢心によるリスクケア不足に起因して発生している事は変わらず、彼女の強みを台無しにするレベルである。
シナリオ上の立ち位置としてもオールマインドはエアやウォルターと同じく621と長い付き合いの果てにラスボスとして立ちふさがる事になるが、他の2人は運命の擦れ違った過程と経緯こそ異なるが、最終決戦における彼らなりの想いこそあれ引き下がれなくなった状況をぶつけてくる。
それに対してオールマインドはというと最早用済みと切り捨てたはずの621に返り討ち、しかも駒のはずのイグアスに主導権と共にラスボスポジションすら奪われてしまい、彼女の驕りが祟った結果と言える。仮にも最終ルートにおける真の黒幕ポジなのに…
まぁ、それはそれとして直接の問題にはならないとはいえ、仮にもAIのくせに製品型番を重複させたり、円グラフの値を誤るのは学習値が足りない作り立てAIのならともかくオールマインドほどの情報量を蓄積してるならおかしいだろ、とツッコまざるを得ない。ポンコツと言われても仕方ないっちゃ仕方ないところではある。
ただ、調子に乗って舞い上がった末にしょうもないガバの繰り返す、というポンコツ要素の積み重ねが、単なる小悪党なラスボスではなく一周まわって「AIなのに妙に人間臭い」という彼女の魅力へと昇華されているも言える。
あまりに人間臭すぎるので「実はAIではない=エアの様なコーラル波形ではないか?」という考察も大真面目に上がる程である。……反証として「(エアと比較して)ポンコツ過ぎるのでコーラル波形ではない」と言われるのは御愛嬌。
しかしAIであるとしても「慌てる」「間違える」「間違いに気づく」という性質から「実はチャティなんぞ比較にならない超スーパーつよつよさいっきょAIでないだろうか?」とも言われる。
自立稼働している機械が間違えるというのは実は相当高度な設計が必要である。そもそも機械は「間違った」としても「間違いと自覚せず間違ったままやり続け、致命的に破綻してからエラーを吐いて止まる」、事実チャティはミサイルの弾道計算をミスって発射(恐らく損傷か何かによって重量か出力の値がカタログスペックと違うと思われる)させ、予測地点から大幅にズレた位置に着弾させている、目的自体は果たしたので流されたが。
機械ならばどんなに良くできていてもこの様に間違いに気付かないまま続行するものであり、だからこそあらゆる創作物で「機械は間違えない、間違えるのは(造った)人間」と言われ、機械の間違いを「暴走」と表現するのである。
それを自覚でき、(手遅れ感が滲み出ていても)改善行動に移れるということは実は凄まじい事なのだ。(ミサイル発射の計算担当が彼女であった場合「発射直前に間違いに気づいて再計算開始、ウェーブおかわり」「目的は果たせるんだからそのまま撃てや!!!!」という事態が発生していただろうともまことしやかに囁かれている)
このあたりの「人間臭さ」そのものが魅力と言えるキャラクターは主任を筆頭に歴代AC作品にも存在する。
主任はシナリオ序盤はAIである事を隠し、狂人を装いながら人類の可能性に期待しながら状況をコントロールし、本気になると狂人のフリをやめるものの、敢えて「慣れない事」をして敗北する。
これと比較するとオールマインドは主任の「人間らしさ」の特徴を真逆に構成したキャラクター性を見せつつも、最後は欲をかいて直接対決という彼「慣れない事」を行って敗北するという結末は似ている。
そう考えると彼女もまた歴代の「管理者」達のポジションらしいといえばらしいと言えるだろう。
余談
- 2023年9月11日に本作のバージョン1.02アップデートが配信され、一部の武装の強化とボス難易度の調整(実質弱体化)がなされた。...のだが、Steam版でのパッチノート(アップデート内容の告知)にはただ一言、「ver1.02 reelased」(原文ママ)としか記されていなかった。
- 中身のないパッチノート、しかもそれで誤字をやらかしているということで「このアップデートはオールマインド産のパッチでは?」という風評被害が発生することに。
- 挙げ句「彼女のやりたかった事はCoral ReleaseではなくCoral Reelaseだった」とまで言われる始末。
- 前述のオールマインド製パーツの型番被り問題に関しては特に何も対処されなかった。
- 更にその後に行われたバグ取り・バランス調整アップデートでも放置され、現在も放置中。つまりこの件はオールマインドのガチのやらかしということになる。直されたら直されたで失態を隠蔽しに掛かって素知らぬフリをしている等とネタにされるだろうが。
- オールマインド役の潘めぐみ氏もそのポンコツっぷりを認知しているらしく、潘氏のACⅥプレイ動画では621のパイロットネームに「DON'T MIND」と入力してしまった。
- 更に、現在のオールマインドの容姿イメージを概ね固定させたLAS91214氏が早速これに反応し、新たなキャラクター「ドントマインド」を創作。またしても無からキャラクターが生えてくる事態となった。
- めぐみ氏は更に有志の投稿した万歳エディションなプレイ動画のリスナーであり、自身の配信でブレードを振りながら「着剣!」と叫ぶ動画のネタを披露。一体何の偶然か、ゲーム中で登場するオールマインド製バズーカ「JVLN ALPHA」にも前述の通り銃剣が取り付けられているという謎のシンクロ振りも相まってネタ振りが加速した。
- その後ACⅥの実況プレイのライブ配信も実施。
- 先達であるラスティこと加瀬康之氏のアドバイスやフロム公式へ許諾を問い合わせた際にプレゼントされた攻略本など手厚いサポートの中で始めた…のだが、普段ゲームをあまりしないらしく元々アクションゲームとしても難しい方と言われるACの操縦に戸惑い、ミッション中は画面の情報やコメントを見る余裕もなくパニックに陥ってしまった。ACテストで弾切れになったらブレードと拳でひたすらヘリとMTを壊し続ける、アサルトブースト暴発に振り回され敵に激突しまくる(テスト中もその様を自ら「ぶつかり稽古」と称するほど繰り返している)、落ち着いていればわかるのにいざ戦闘になると被弾にビビりってパニックに陥り、カメラワークが滅茶苦茶になって空や地面に乱射する、隊列を組んでいると言え単発なら跳弾する程度の攻撃とハンドガン1発で落ちる程度の耐久な小型ヘリに対してもいちいち単発ロックでミサイルを発射しオーバーキルを繰り返すほど怯える…など四苦八苦する様を曝け出す事に。その結果初回では最初に開放される任務のうち「移設型砲台破壊」では各地に点在するMT相手に怯えるうちに謎の急上昇やら真正面突撃やらを繰り返して砲台の的になり、何とか最後の1つを前にしたところでMTに撃たれ失敗に終わる。しかしリトライすれば確実により先に進む事と合わせて、ゲーム初心者の配信としては取れ高やネタ要素の宝庫なパーフェクトな動きを披露する事となった。
- ちなみにライブ配信に万歳エディションの動画投稿主が視聴者として現れた模様。
- このACの挙動に振り回されるめぐみ氏の動きから「そりゃケイトがヘリ5機落とすのも一苦労するか…」「コーラルの乗ったヘリにぶつかりにいって死にかけたか?」と劇中のオールマインドのガバ行動と紐づけて納得する視聴者も。
関連イラスト
エンブレムいらない
鹿のデータを取り込んだ結果
関連動画
オールマインド式コーラルリリース達成RTA 完走失敗【非RTA】
まさかの反応集
KRSVフルチャージぶっぱの件はマジだった?(注:改造動画)