概要が人を喰った時お前はどうする
漫画及びアニメ『鬼滅の刃』に登場する、主人公の師匠・鱗滝左近次の台詞である。漫画では3話、アニメでは1期2話で登場。
短いフレーズながら状況も相まって強く印象に残る、ストーリー序盤の名台詞のひとつ。
ファンの間では天狗の絵文字 👺 と併せたり、「判断が早い」などと文脈に応じてヒネって使われることも。
言われた状況を肝に銘じておけ
お堂の鬼が太陽に焼かれて滅んだ後、主人公・炭治郎に「妹が人を喰った時 お前はどうする」と問う鱗滝。この問いによって鬼と化した妹・禰豆子と行くことの覚悟のほどを質したのだが、困惑し何も答えられない炭治郎を見るや即座に平手打ちを浴びせて「判断が遅い」と叱り、こう続ける。
「お前はとにかく判断が遅い」
「朝になるまで鬼に止めを刺せなかった」
「今の質問に間髪入れず答えられなかったのは何故か?」
「お前の覚悟が甘いからだ」
「妹が人を喰った時やることは二つ」
「妹を殺す」
「お前は腹を切って死ぬ」
「鬼になった妹を連れていくというのはそういうことだ」
「しかしこれは絶対にあってはならないと肝に銘じておけ」
仮に炭治郎が「自分や身内さえよければ他人はどうなってもいい」と考えるような独善的な性格だったならともかく、そうでないことは物語導入時にて、彼が炭を売りに訪れた町の人達と仲良く接する場面で描かれている通り。だが妹を愛するがあまりに視野が狭まり、禰豆子がそうした罪の無い人たちを手にかけるかもしれない危険性を全く想像できなかった炭治郎の考えの甘さ、そうならない/してはいけないのは大前提としてそうなった時に事態を収めて責任を取る覚悟が無かった点を鱗滝は戒めたのであった。
ネタにされるのはお前の覚悟が甘いからだ
アニメ1期が放送された2019年頃から、漫画版のこのセリフが飛び出た前後のシーンを切り抜き、さらにこの時の炭治郎と鱗滝のやり取りを改竄したコラ画像がネットに出回るようになった。4コマ漫画的な起承転結が1ページ内に収まっているため改変しやすいのだろう。
このセリフ単体も一昔前の「どん判金ドブ」のように他者を批判するネットスラングとして、劇場版「無限列車編」が大ヒットした2020年夏頃からネットの方方で流行した。
その結果、鬼滅の刃をよく知らない者達の間で「天狗が男の子にワケの分からないことを問い詰めた挙句、いきなりビンタをかます」といった理不尽な構図のみが有名になってゆき、やがて鱗滝に「ビンタ天狗」などの通称が定着した。
炭治郎も「いつも天狗にビンタされてる子」といった風に認知されるなど、鬼滅への第一印象がおかしな事になってしまうという妙ちくりんな風評被害が発生したこともあった。
参考:ニュースサイトしらべぇ 『鬼滅の刃』未読者、「主人公が天狗にボコられる作品」と誤解する事象相次ぐ
なお、ストーリーの詳細な経緯を振り返ると、実は鱗滝は炭治郎の知らぬ間に冨岡義勇からの紹介状によって、禰豆子が鬼にもかかわらず人を食べようとしない珍しい存在であることを既に伝えられており、それを承知で炭治郎に「食べた時どうする」と問うて暴力をふるっている。これを「暴力ネタとして広まる前の原作の時点で理不尽だった」と感じる者もいるようだが、結果的に炭治郎に己の想像の至らなさを認めさせたのは必要な教育だったと言えよう。
そもそも柱合会議でも指摘されているが「だからなんだ、殺せば確実だろ」「害さないっつって害さなかった試しがあるか?無いだろ」「それで誰か殺したらどう始末つける気だ?お前が腹切ったらお前の妹が殺した人間が戻ってくるのか?」という意見がド正論な状況である。
身近な例で言うなら「ウチの犬は人を噛まないから狂犬病の予防接種は必要ない」などという意見が罷り通るかという話である。
「万が一咬むかもしれないからその時のために狂犬病に罹らないよう予防接種しましょうね」どころか「既に狂犬病の犬なのに「噛まないから」とリードもつけず放し飼いにしている」と言えばどれだけ常軌を逸した事をやっているか分かるだろう。
また、一部の絵師はこの場面に独自のアレンジを加えた作品にしてイラストを閲覧したファン達の腹筋にビンタをかまし続けている。
パロディ例を連れて行くというのはそういうことだ
公式パロ
アニメ2話の大正コソコソ噂話で鱗滝が炭治郎に夕食を「肉じゃがとおでん、どっちがいい?」と厳しい口調で聞くいた際に即答できなかったので、「判断が遅い!!」と叱責するなど、公式もネタにしている。因みに叱り飛ばされた炭治郎は慌てておでんを選択した。
登場人物たちが学生や教師として鬼とは無縁に生活している公式スピンオフ「キメツ学園」の記念すべき第一話にて、校則違反(※ピアスと染髪)で生活指導の義勇に追いかけられる炭治郎と善逸。廊下を走るなと数学教師の実弥に怒られた際、冷静に逃走を継続しようとしたため、
「『判断が早すぎ』んだろどんだけ逃げ慣れてんだテメェら!!」
と怒鳴られる一幕があった。
外部作品
実況パワフルプロ野球のコラボCMにもこのセリフが使われた。
リミックスされて帰ってき(てしまっ)た某クソアニメでも使われた。