概説
投下されると重力に従い沈降し、水圧や時間経過で信管が作動し爆発する対潜兵器。
かつては小型艦艇や航空機が装備していたが、現在では警告代わりとして、あるいは機雷処理などのために使用されている。ドラム缶のような外見をしていることが多い。
なお、元々は、攻撃用爆発物(要は爆弾)全般を「爆雷」と呼び、魚雷もその一種に含まれる。
水中で爆破しても威力がなさそうに思えてしまうが、爆破自体が狙いではない。
水中において物体が強い爆発を起こすと、その勢いで空気中よりはるかに強い衝撃波が発生、水中で発生した泡(バブル)が膨張と収縮を繰り返す現象(バブルパルス現象)が起こり、どんな物体でも圧し折ってしまうのである。
使用方法
潜水艦がいそうな場所、ないしは潜水艦を探知した場所目がけて深度調整ないし時間調整した信管を備えた爆雷を落とすだけ。以上。実にシンプルである。
1911年に潜水艦による被害に悩まされてきたイギリス軍によって開発された当初は、ドラム缶のような爆雷を投下軌条(簡単に言えばレール型投下機)から転がして落とすというこれまたシンプルなものであった。
旧日本海軍の爆雷史は大正10年(1921年)にイギリス軍から爆雷を購入して八一式爆雷投射機として制式化したものを神風型や睦月型駆逐艦に搭載したのが始まりである。
1930年代に入ると各国で爆雷投射機が実用化されるようになり、投射機によって射程が伸びた爆雷は第二次世界大戦における対潜戦闘に大いに貢献した。
中には、空いた風穴に放り込むことでタンカーを撃破した駆逐艦もいた。
しかし、イギリスによって更に使い勝手の良いヘッジホッグを始めとする対潜迫撃砲や対潜ロケット砲といった対潜前方投射兵器が開発されると、従来型の爆雷では攻撃できる方向が限られて狙いにくいことなどから、主力対潜兵器の座から転げ落ちてしまった。
迫撃砲などで前方へ打ち出すタイプの対戦弾頭を「迫撃爆雷」とも呼ぶことがある。
概要でも述べたように現在では攻撃用の手段として爆雷が使われる事はほとんど無く、その役割は命中精度の高い対潜ミサイルや対潜魚雷といった兵器に取って代わられている。
余談ながら、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』における爆雷を使った対潜攻撃は「単発で敵潜水艦目がけて放り投げる」演出となっており、ゲームを通じて爆雷を知ったプレイヤーからはしばしば勘違いされるケースも多いが、実際は「投下軌条や投射機を複合的に用いて多数の爆雷を敵潜水艦の存在予想範囲にバラ撒く」のが本来の用い方である(ただし、投射設備を持たない某特務艦は爆雷を潜水艦の真上に足で蹴り込んでいた)。
『艦これアーケード』では、これに倣い数個をまとめて放つモーションが見られる。基本的には艤装から投下するパターンと手で持って投げつけるパターンの二種類に分けられるが、中には豪快に蹴り飛ばしたり、妙に色っぽい仕草で落としたりする艦娘も……
ちなみに暁型や白露型のモーションは漫画『いつか静かな海で』にて各々が行っていたものに近いという小ネタがある。
陸軍の爆雷
しかし、爆雷を用いたのは海軍だけではなかった(広義の「攻撃用爆発物」的意味で)。
これについては刺突爆雷の記事を参照のこと。
関連タグ
ダイナマイト漁(副次的効果、もしくは艦隊これくしょんの恒例行事)