概要
タムリエル大陸北西部のHigh Rock地方出身の種族。英語表記では『Breton』。
プレイヤーキャラクターの種族として選択することもできる。
抽象的な思考を得意としており、人間種の中では珍しく生まれつき優秀な魔法適性を持つ種族。特に魔法ダメージへの高い抵抗力は竜皮(ドラゴンスキン)と呼ばれて広く知れ渡っている。
特徴
人間種としては小柄な体格。男女共に全体的に丸顔の童顔で、デフォルトですっきり整った顔立ちをしていることから、キャラメイクの際にMOD無しでもそれなりに美男美女を作ることが容易な種族としてもファンの間では有名である。
但し、ドラゴンスキンの設定を汲んでか、肌質がやや荒れているようなタッチになっているため、つるつる肌のキャラを作ることは難しい。TES:Ⅳ Oblivionではこの特徴を逆手にとってそばかす美少女を作ったりするプレイヤーもいたが、TES:Ⅴ Skyrimでは肌色が土気色っぽく調整された上に額に謎の深いシワが追加されたため、これまで通りにはいかなくなっている。そしてTESOでは、今までの執拗な拘りはどこへやら、つるつる肌の美男美女、美少年美少女を作れるようになった。設計者マグナスに感謝を!
種族的特徴として、先述の通り魔法耐性を持っている事が第一に挙げられる。これは、ブレトンの原種である古代ノルド族『ネード』がHigh Rockに入植した際、先住していた古代エルフ『アルドマー』に隷属する形で共存を図った結果、彼らとの間で混血が進み、遺伝形質として獲得していったものである。
俗にハーフエルフに例えられるが、長年を経て単なる混血ではなく独立した種族となっている。すなわちエルフと人間の単純な混血であるハーフエルフとは異なり、一般にブレトンとブレトンとの子はブレトンであって、エルフやノルドになったりはしない。
アルトマーが魔法との親和性が高すぎて魔法に影響されやすいのとは対照的に、ブレトンはアルトマーほどの魔法ではないものの逆に魔法への耐性を獲得しており、人間族で魔法使いプレイをしたいプレイヤーからすれば最も良いキャラとなる。
モデルは現在の英仏地域に居住したケルト人、またはイギリスからフランスに移住して定着した古代イギリス人(ブリトン人)だと言われている。種族名は古代のイギリスを指すブリテンからきているようだが、人名はフランス風も多い。
歴史
先述の通り、サマーセットから移住してきたエルフのクランである「ディレニの一族」「ディレニ家」(クラン・ディレニ)がハイロックにおいて当初は支配的な立ち位置を持っており、後に入植してきたネードの民(ネディック、古代ノルド)との混血が進んだとされる。
人間を奴隷にして徹底した支配や残虐行為を行ってきたアイレイドとは異なり、ディレニのエルフたちの場合は人間を臣下として自分たちの階級・封建社会の中に組み込んだだけであった。それどころか、ディレニの上流階級の間では「魅力的なネードの臣下をいかに多く抱えられるか」が競われたり「魅力的なネードとの性交」が特典や娯楽として扱われるなどしていたという。 (※1)
こうしてディレニとネードとの間に生まれてきた混血(ハーフエルフ)は、結婚は人間と行う事だけ許されていたことで、長い時間をかけてネードの外見が濃く出た「ブレトン」が形成されていったとされている。それに加えて半エルフとブレトンの数が着々と増えていった事により、徐々にハイロックの支配や管理の主体がブレトンを中心とした社会に移っていったとされている。
- エリンヒルのファラスタス著『ブレトン: 雑種か上位種か?』
【第一紀】
ハイロックにてアレッシア帝国との戦いが発生。このとき"最後の王"と呼ばれるアイレイドの王、および親エルフのブレトンたちが参加していたとされる。 (※1)
アレッシア帝国軍は撃退したものの、この戦いによりディレニは大幅に戦力を喪失しハイロック内でのエルフ勢力が弱体化。のちに「エルフの大君主たちから領土を解放する」としたブレトン達との争いに破れたことでディレニのエルフたちはハイロックから排除され、ハンマーフェルとの間のイリアック湾にあるバルフィエラ島に移住する事となった。
それ以降のハイロックは、エルフ達の封建社会や階級制度を引き継いで自分たちが新たな上流階級となった、ブレトンたちによって支配されることとなる。
ブレトンたちは王もしくは公などを支配者とする無数の都市国家に分かれ、ハイロックを分割支配する。その後のブレトンの歴史は、都市国家間もしくは都市国家内での日常的な複雑な陰謀と政争、そして時にその結果としての激しい戦争の繰り返しを基本として記述される。稀にはレッドガードや帝国の様な外部勢力に対抗して団結したり、さらにそれら外部勢力と共同して大帝国を築いたりもしている。
- 歴史においては当時のハイロックの人間たちは一般的にエルフたちの従属とされていたが、エルフに親愛の意思を持ち、自らの意思でエルフ側に参加して戦ったブレトンもいたとされる。(ESOクエスト「過去へ1歩戻る」)
【第二紀】
580年代、アカトシュの障壁が破られたことでデイドラの王モラグ・バルの軍勢がタムリエルに侵攻しシロディールを占拠する、「ソウル・バースト」事件が発生。ハイロックのブレトンはレッドガード、オーク達と共に同盟勢力「ダガー・フォール・カバナント」を結成、他勢力とのタムリエルの覇権をめぐる対外戦争に身を投じる事となった。(※1)
- ゲーム『エルダー・スクロールズ・オンライン』(ESO)
【第三紀】
第三期に入ると、タイバー・セプティム帝の征服により第三帝国の一部となる。
さらには「西の歪み」事件により都市国家が西のダガーフォールと東のウェイレストの二国に整理されて比較的平和になったとされる。(※1)
- 『TES2: Daggerfall』
【第四紀】
だが第四紀のスカイリムにおいても、ブレトンがわざわざスカイリムに来るとすれば一般的に想定される理由は政治的な闘争から逃げてきた場合、らしい。 (※1)
どうやら政治的な伝統はあまり変わっていないようだ。
タロス信仰をめぐる『大戦』の後の188年、大都市の一つであるウェイレストが海賊の襲撃にあって陥落し無法地帯と化している事が伝えられている。(※2)
- ハドバル(TES5)、ベレソア(TES5)
- 『シセロの日記 第2巻』
地理
ブレトンの故郷は、タムリエル大陸の北西にある細長い国ハイロック。南にはレッドガードの故郷ハンマーフェルがあり、その間は細い海イリアック湾で隔てられている。東部には山脈を挟んで北の大地スカイリムがある。ハイロックの主要都市は、西部の半島の先端にあるダガーフォールと、イリアック湾の奥の方にあるウェイレストなど。
エルフ達から社会や文化を引き継いだ人間たちによって貴族社会が形成されており、全体を統括する「上級王」とは別に、複数の地域において自治を行う王や貴族が配置されている。
ただし、オーク(オーシマー)が"生息"しているロスガリアン山脈のあたりは別。長年に渡りオークが本拠地としており、これを奪おうとするブレトンやレッドガードとの抗争が続いている。
また、ハイロックとサマーセットとの間にあるアビシアン海、シストレス諸島は少なくとも第二紀末期までハイ・アイル島を中心とした独自の文化を有するブレトン騎士たちが支配してきた。
【リーチの民】
スカイリム西部のリーチ地方では、主要民族ノルドとほぼ同数に近いブレトンが住む。彼らは「リーチの民」(もしくはリーチメン)と呼ばれ、独自の文化を持って生活している。(※1)
第二紀560年代におけるリーチ地方は、さまざまなクランによる統治を基本としている。定住するクランもあれば遊牧民的な性質を維持するクランもあったとされ、気の合う一団で集まって大きなクランになったり逆に分裂して小さなクランになったりと、非常に流動的に変化していったと伝えられる。クランの性質も多種多様で、よそ者(外部)に無関心なクランもいれば友好的なクランもいる。もちろん、排他的なクランから攻撃的なクラン、よそ者を捕らえて闇の儀式に使うヤバいクランまで。
第四紀においては、リーチメンの中でも特に攻撃的なフォースウォーンと呼ばれる集団が登場している。個別記事についてはこちらを参照。 → フォースウォーン
文化
エルフとの混血によって人間とエルフの文化が習合されており、人間種族の中ではインペリアルと並んで、文化や知的水準レベルもエルフに近い高さとなっている。加えてエルフからの引き継ぎ要素もあって、華やかで煌びやかな宮廷文化と貴族文化を持つ。
なお他種族に対する一般的な敵意は薄いようで、故郷のハイロック以外にもタムリエル大陸各地に居住している。
【名前】
地球でいうところの欧州系をモデルとしたキャラであるためか、イギリス系の名前やフランス系の名前が使われている。
■男性名の一例
- ベレソア(Belethor)
- ダリアン・ゴーティエ(Darien Gautier)
- アーニエル・ゲイン(Arniel Gane)
- ルイス・レットラッシュ(Louis Letrush)
- メルセル・フレイ(Mercer Frey)
- ジャン・ピエール・レモンズ(Jean-Pierre Lemonds)
■女性名の一例
- ソリーヌ・シュラルド(Sorine Jurard)
- アンジェリン・モラード(Angeline Morrard)
- ジュリアン・ファニス(Julienne Fanis)
- キャロライン(Caroline)
- ガブリエル・ベネレ(Gabrielle Benele)
【建築】
人間文明の発祥地とされるスカイリム地方では家や城を問わず丸石や藁葺きの建物が多いのに対し、ハイロックでは石レンガの建物が数多く作られている。
家具の分野などでその傾向が顕著になっており、(例えば棚や机などで)ノルドたちが作る家具は無骨で粗野な作りが多いのに対し、ブレトンの家具などは丁寧に揃えられ仕上げられていてデザインも洗練されているものが多い。(※1)
- オンラインゲーム『エルダー・スクロールズ・オンライン』(ESO) ハウジング
【食文化】
食文化に関しては、他種族に比べて特にずば抜けて優れている。多くの宮廷料理人や名コックを輩出している他、名物のブレトンチーズはタムリエル中にファンがいる模様。
作中に具体的な詳しいレシピが上がっている料理には「サンライト・スフレ」(メレンゲとベシャメルソースの焼き菓子)「ポタージュ・ル・マグニフィーク」(人参と玉葱のコンソメ)があるが、控えめにいっても凝っていて普通に美味しそう。ブレトン料理の力量を見せつけている。 (※1)
- 美食家著『無類の味わい』
【階級社会】
「貴族の伝統の維持」と「有事の際におけるハイロックの防衛強化」との理由から騎士社会が作られたとされており、上級王から小作農民まで階級制度が定着している。
都市国家はそれぞれに騎士団を擁し、しばしばエルフの大君主からハイロックを解放した戦いに遡ると称する程の長い伝統を誇っている。それが例えば、ダガーフォールの竜騎士団、カムローンの獅子の守護団、アルカイアのフレイム騎士団などである。
しかし、階級や職業にこだわるあまり、能力に関わらずたくさんいる貴族の息子や娘たちに「商人」の職業が与えられたり、下層階級に対しても社会貢献や戦闘以外の功績(おサイフ役など)へのお手軽な報酬として「騎士爵」を与えられることがあるため、やや職業と階級のバーゲンセール状態になっている部分もある(運送会社の社長や宿の経営者にすら「卿」の付く人がいるらしい)。 (※1) 実際、ウエイレストの上級王家にせよ、ノースポイントのドレル男爵家にせよ、先祖は商人として都市国家を建設し、その領主として貴族に叙任されている。(※2)
また、「食文化」の項目で記述された、タムリエルで一般的に知られる"洗練されたブレトン料理"はあくまで熟練の料理人が貴族などに提供するものであり、農民などの下層階級は自分たちで栽培した日々の材料でしのいでいるなど、ハイロックでの階級社会が食にも反映されているという。(※3)
- タネスのレディ・シンナバー著『ハイロックの騎士団』
- 長老サシル・ロングリート著『ウェイレスト、湾の宝』、内務省書記レギナ・トロアヴォア報告『ノースポイント: その評価』
- 『The Elder Scrolls オフィシャルクックブック』(誠文堂新光社)
宗教
帝国の八大神教を概ね受け入れているが、エルフの神々への信仰も併存している。
ブレトンの神々 | 相当する他の神格 | 解説 |
---|---|---|
アカトシュ | 主神であり時間と秩序を司るドラゴンの神。 | |
マグナス | メイガス、魔術の神。 | |
イフレ | 大地の神。ボズマーの信仰対象の一柱。 | |
ディベラ | 美の女神 | |
アーケイ | 死と輪廻の神。ブレトンの信仰では定命の者から神となった | |
ゼニタール | 商売と交易、労働の神 | |
マーラ | ブレトンの神話ではアカトシュの妻であり、神々の母。 | |
ステンダール | 人間を憐れむ神、正義の神。 | |
キナレス | 大気と自然の女神。旅人や船乗りを守護する。 | |
ジュリアノス | 識見と論理の神、およびシロディールの文学、法学、歴史と矛盾の神。 | |
シェオール | ロルカーン | 邪神、災いの神、凶作の神など。ノルドのショールを悪魔化したものと考えられている。エルフの影響を受ける前はノルドと同様の信仰だったらしい |
フィナスタール | エルフ側の神の一柱でサマーセット島の英雄神。エルフに寿命を伸ばす方法を伝えたとされる。 |
余談・その他
- 当時ハイロックを支配していたディレニ一族は、サマーセットを去る以前に始祖が農園主をやっていた頃の土地が「ディレン」という名称だったことからそれが一族の名前になったという(ヴァリアン・ディレニ著『デ・レルム・ディレニス』)