概要
宇宙世紀0070年代の軍備増強計画によって、大量建造された地球連邦軍の宇宙巡洋艦。
本艦の名称は宇宙世紀初頭に運用されたサラミス級宇宙警備艇に由来する。
同じく連邦軍のマゼラン級戦艦とともに連邦軍宇宙艦隊の中核を担っていたが、一年戦争でジオン公国がモビルスーツとミノフスキー粒子を実戦投入した結果、これまでの艦砲戦が主流であった宇宙戦闘の様相は塗り替えられ、有視界戦闘が中心となったため、大多数が撃沈された(ガンダム冒頭OPでも真っ二つに折れて撃沈するシーンがある)。
ジオン軍の艦艇と比較すると、MS搭載能力が付く前は同クラスの戦闘艦(ムサイ及びチベと思われる)と比較して4割程度の戦力しか持たないとされていた。
なお前述の通り、大半のサラミス級にはMS運用能力は無いが連邦は苦肉の策としてなんとジムを甲板に立たせて出撃させるという方法でMS部隊を運用する場面があった。
一年戦争後期より「ビンソン計画」に基づきモビルスーツ運用能力を追加されるようになり、戦後は更に本格的なモビルスーツ母艦機能を有するサラミス改級へと改修されていった。
デザイン的には放映当時の1970年代における、イージス艦登場以前の西側水上戦闘艦の影響が強く、艦橋以外に大型の艦上構造物がなく、スリムでスマートな印象。
尚、船体中央部には回転式の人工重力区画があり、そこにはトレーニングルームや手術室、厨房などがある。
宇宙世紀0153年まで現役として前線に元気な姿を見せている唯一の巡洋艦である。80年近く働いてないか?
スペック
バリエーション
後期型
連邦軍の「ビンソン計画」に基づいて、モビルスーツ運用能力を応急的に搭載したタイプ。
上甲板や艦体下部にモビルスーツを係留・搭載できるように改修が施されている。そのため、単装メガ粒子砲が一部撤去されている個体もある。
ボール搭載型
「MSIGLOO」に登場。
上甲板と艦体側面のメガ粒子砲、ミサイルランチャーをオミットし、上甲板にボールを6機搭載可能なプラットホームを増設している。
この艦とボールによってルナツー周辺は護衛の無い輸送船団にとっても危険なエリアとなった。
防空型
「0083」に登場。
艦単体の攻撃能力を向上させたタイプであり、全長こそ198mと小型化されたが、単装メガ粒子砲の配置変更や連装メガ粒子砲の新設によって、外観は様変わりし火力は原型艦より大幅に強化されている。
その半面モビルスーツ運用能力は応急的なものに留まり(一応漫画0083 REBELLION版では、MS運用艦としての役割は、ある程度果たしており下部ハッチから出撃している。)、後発となるサラミス改級とくらべて総合的に高い評価はつけられない改設計であり、本質は初期型と何も変わっていない場つなぎ的な存在である。
これは戦後の連邦軍上層部がジオン軍という強大な敵を失ったにもかかわらず大艦巨砲主義が残っており、大艦隊運用を前提とした艦艇整備を進めていた事に起因しており、本級の偏った性能は艦隊旗艦のバーミンガムやMS母艦を守るための護衛艦としての能力が求められたためだと思われる。
防空能力は一定の成果を挙げたものの、結果的にデラーズ・フリートの熟練のパイロットによって多数の本艦が撃沈されている。
本級はその後の情勢変化により早期に見切りを付けられたのか、グリプス戦役以降には改修艦すら全く登場しない。
おそらく早期に部品供出のうえでの退役・解体処分となったと思われたが漫画『機動戦士ガンダムF90FF』では、解体処分されていなかった防空型が闇市で流通したのか宇宙世紀0115年で宙族となったジオン残党の戦艦として登場している。
尚、漫画『機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統』では、宇宙世紀0123年のフロンティア・サイド駐留艦隊所属として両舷にラー・カイラムに似たカタパルト・デッキを増設したネルソン級MS空母に酷似したタイプが登場している(後述のネルソン級の発表以前であるが)。
フジ級輸送艦
富士急ハイランドのアトラクション「GUNDAM_THE_RIDE」、ゲーム「ギレンの野望 ジオン独立戦争記」に登場。
サラミス級を改造した輸送艦。艦の後部がカーゴになっている。
なお後にエゥーゴの幹部としてアーガマやラーディッシュの艦長を務めるヘンケン・ベッケナーがア・バオア・クーでの最終決戦時に乗艦していたのもこのフジ級輸送艦の一つスルガである。スルガはサイド6への移民者たちを輸送している最中に敵の襲撃を受けて撃沈したが人々はランチで脱出した。
ネルソン級MS軽空母
「MSV-R」に登場。
軽空母の名が示す通り、サラミス級巡洋艦にモビルスーツ搭載空母としての機能を付与した艦艇である。改修時の敵襲と言ったアクシデント等で建造が遅れた。
詳細はネルソン級MS軽空母を参照。
サラミス改級
「Ζガンダム」等に登場した近代化改修タイプ。MS搭載が可能となっており、不要なコスト増加を抑えた旧来の構造に一部差し戻したうえで、戦後型の主流となった本格的かつ徹底した大幅な設計変更が功を奏して、UC150年代(Vガンダム時代)まで現役で運用され続けた。
詳細はサラミス改級を参照。
立体物
ベストメカコレクションシリーズにラインナップ。 小型ながらジムとボールが同梱する。※製作には、プラスチック用接着剤が必要。
EXモデルではマゼランとセットで発売されている。こちらもジムとボールが同梱しており、ボール搭載用デッキがついているコンパーチブルキットでもある。