「一本角、許さん!」
CV:仮屋昌伸
登場話数:Quest47「蒸気機関、爆走!」
概要
作中に登場する最後のオルグ魔人。
日本各地に残存していた微量の邪気の数々が一箇所に結集し、蒸気機関車を模した形で具現化した存在である。もっとも、蒸気機関車の意匠は頭頂部や、クランク棒型の両腕など一部に見られる程度であり、全体的に見ればむしろその心臓部である燃料炉の要素の方が表に現れた出で立ちとなっている。また、オルグ魔人の共通項である「二本角」は、その頭頂部の後ろから生えている。
その発生をガオレンジャーへと伝えた風太郎をして、「微かな衝動の集まりでも「塵も積もれば山となる」と評するだけあってかなりの実力を備えており、黒く頑丈なボディは相手からのあらゆる攻撃を防ぐだけの耐久性を発揮。モチーフがモチーフなだけにパワーも凄まじく、2体の精霊王の攻撃を両腕で受け止め、そのまま押し返してしまえるほどである。
攻撃手段としては、腹部の罐から超高熱の炎を、そして頭部にあるピストンのフル稼動によって強力な蒸気をそれぞれ繰り出し、いずれもパワーアニマルや精霊王でさえ一撃で戦闘不能に追い込むほどの威力を有する。
作中での動向
先に出現した正月オルグが敗れ去って以来、しばらくの間オルグ魔人は出現する気配を見せず、「後はヤバイバを倒せばパーフェクト勝利(byイエロー)」と、ガオレンジャーの間にもすっかり楽勝ムードが漂う状況にあったが・・・それが嵐の前の静けさでしかなかったことを、風太郎として姿を現したガオゴッドの再来により思い知らされることとなる。
「オルグとの最終決戦が近い。今正に最後のオルグが産まれようとしているんだ」
果たしてその言葉通り、日本全国の微かな衝動の数々は埼玉県の熊谷市に結集し、蒸気機関オルグとしての姿を現す。その反応をキャッチしたガオレンジャーは直ちに急行するも、彼らの攻撃は頑丈なボディの前にことごとく跳ね返され、火炎放射などの強力な攻撃によって叩きのめされるなど、前述した評を地で行く強さの前に絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。
しかし、蒸気機関オルグの圧倒的優位は、思いもよらぬ形で覆されることとなる。というのもこの時、ヤバイバが彼らの戦いを密かに影から窺っていたのだが・・・今にもガオレンジャーに止めを刺さんとするタイミングで突如乱入するや、不意を突いての一撃に続けて蒸気機関オルグを羽交い締めにするという、敵味方共に予想外の行動に及んだのである。
このヤバイバの行動を前にして当惑を禁じえないガオレンジャーであったが、ともあれ好機を逃す手はなく直ちに破邪百獣剣を繰り出し、身動きの取れない蒸気機関オルグを一閃。「味方」であるはずの一本角に騙し討ちにされるという、完全に予期せぬ幕切れを迎えてしまったのであった。
・・・勿論、これがガオレンジャーを助けるための行動でないことは言うまでもなく、この間に「目的」を果たしていたヤバイバは蒸気機関オルグをオルグシードで再生・巨大化させると、冒頭の台詞を言いながら怒り心頭の彼の前から早々に退散。
かくして、戦闘は精霊王を繰り出してきたガオレンジャーとの巨大戦にもつれ込むこととなるが、等身大時の実力は巨大化後も依然として健在であり、最初に蒸気機関オルグと相対したガオキング ソード&シールドとガオハンターの攻撃は難なく受け止められ、前者に至っては蒸気噴射によって合体を解除されるほどの大ダメージを受けてしまう。
その後も、ダメージを回復させるために召喚されたガオディアスを火炎放射で戦闘不能に追い込み、ガオレンジャーが乗り換えたガオマッスルストライカーをも怪力で圧倒。ガオハンターからリゲーターブレードを奪ってダメージを与えるなど猛威を振るい続けた。
対するガオレンジャーも、ガオマッスルストライカースピアーでどうにかダメージを与えるも焼け石に水でしかなく、遂には火炎放射によってガオハンターもろとも合体解除に追い込まれるに至った。
ガオレンジャーも地上へと投げ出され、最早打つ手なしかに思われたものの、なおも諦めない彼等はここで、まだ活動可能な4体のパワーアニマル(ガオファルコン、ガオバイソン、ガオウルフ、ガオハンマーヘッド)を合体させるという一手に最後の望みを託すこととなる。
かくして誕生した「ガオイカロス アナザーフット&アーム」は、自慢の火炎放射をディフェンスモードで完全に防御し、さらにはバイソンキックと両翼からのエネルギー放射の連続攻撃で大ダメージを与えるなど、それまでの蒸気機関オルグの優勢ぶりを完全に覆すほどの強さを発揮。そしてそのまま必殺の「悪鬼撃滅・イカロスブレイカー」によって、「最強最後のオルグ」も敢え無い最期を迎えたのであった。
これにより、後は今度こそ本当にヤバイバを倒せばオルグとの戦いも終わる・・・かに思われたがしかし、ガオレンジャーと蒸気機関オルグの死闘の裏でそのヤバイバが、密かにある目的を果たそうとしていた。
それは先に散っていったツエツエを、彼女が落ちた先の鬼地獄から現世へと呼び戻すというものであり、前述した謎の行動もそのために必要な「破邪百獣剣のエネルギー」を、彼女の遺した角へと取り込むための苦肉の策だったのである。蒸気機関オルグという犠牲を払ってまで目的達成のために奔走した結果、ヤバイバは目論見通り鬼地獄からツエツエを呼び戻すことに成功するのだが、それと同時にある存在もまた、期せずして復活を果たすこととなるのである・・・。
備考
デザインは原田吉朗が担当。デザインに当たっては、制作サイドより「そのまま機関車にする訳にはいかないため、火をくべる炉をモチーフにして欲しい」との注文があったといい、それに準じた形でまとめられた一体となっている。また、「ここまで来ると角を生やさなきゃいけないのはオルグ側の都合であって、こっち(デザイナー)がどこに生えてるのか考えなくてもいいじゃん」といった心境に達していたことから、二本角の処理については申し訳程度に留められている。
デザインの段階では特に「最強最後のオルグ」という意識はなく、単純に蒸気機関の怪人を描いただけであるといい、原田自身も「蒸気機関って単純に力がある印象でしかないかな」とも語っている。
関連タグ
タクミガミ:『轟轟戦隊ボウケンジャー』に登場する敵怪人の一体。蒸気機関オルグとはCV担当を同じくすると共に、デザインに工業的な要素を含んでいるという点でも近似点を有する
機関車仮面、スチームパンクス、バラガード、スチームロイド、SL邪面、烈車鬼:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、蒸気機関(車)をモチーフに含む戦隊怪人達
コンピューターエンジニア・ゲート←蒸気機関オルグ→呪扇獣マドーギ