概要
キュウレンジャーの誕生した宇宙における地球その物で、宇宙人のみの初期メンバーから見て異星である事を強調する為カタカナ表記を用いている。
それまでのスーパー戦隊(ゴレンジャーからジュウオウジャーまで)が活躍した世界とは別の宇宙にあり、時間軸も遥かな未来に位置しているらしい。
Space.1冒頭で宇宙幕府ジャークマターの侵略に遭ったシーンが挿入され、その後Space.4でキュウレンジャーがオリオン号ごと近海にワープして初到着する。
本編序盤時点では「ド田舎の惑星」(byチャンプ)との認識だったが、調査するにつれ他の惑星とは明らかに異なる特徴を見出せた事から、Space.5でのキュウレンジャー初期メンバー集結を契機にメンバーの意見一致を持って彼らが優先的に開放を目指す惑星と定められ、実質上の活動拠点となった。
特徴・内情
他の惑星と異なり、本来1つだけであるプラネジュームを多数持っている特別な星であり、搾取装置『モライマーズ』も各地の至る所に配置されている(※正確には、無数機のモライマーズでも搾取出来ない程プラネジュームが無尽蔵に湧き出ている)。そしてこのモライマーズを中心に、それを管理するダイカーンが主導する自治領、もとい支配地区が地上へ無数に広がっている様子。
各支配地域の生活水準は、支配するダイカーンの欲望の内容によって大きく差があり、トゥーミー支配下の様にお誕生日会を開けるくらいの余裕(=後で誕生日を起点に根こそぎ搾取する)がある地域もあれば、ユメパックン支配下の様に子供の夢が「お腹いっぱい食べたい」になるレベルで困窮している(※夢=人々の生きる希望を後先考えず搾取した為、今得られる利益が目劣りしてしまった)地域等もある。
その一方で、プラネジュームをある程度の時間で搾取されて星が自壊する末路を迎える他の惑星と違って、無尽蔵のプラネジュームを延々と搾取され続ける状況が長らく続いたせいでそれに付随するダイカーンらの圧政も長い事続いていたのが想像され、それに苦しめられ続けた元の住人達=チキュウ人の大半は、今現在の圧政に抗うより苦しみつつも従って死んでいる様に生きる、Space.1前半時点でのガルと同じ諦観と絶望のスタンスに精神が支配されてしまっている。
しかも、“同族の根絶”という取り返しがつかない被害を被った事で逆にある種の踏ん切りが付いていたガルと違い、未だに故郷が滅びない現実はチキュウ人に半端な希望も抱かせていた節があり、それが却って「ジャークマターの圧政を受けている現実は変わらない」との悲観と意固地な態度をチキュウ人へ齎していた可能性もある。
挙句の果てには、モライマーズの追加投入で星の自壊を一気に加速させたカロー・スコルピオの言葉に従ってキュウレンジャーをスコルピオに突き出して命乞いを画策するという愚行が起こった始末で、チキュウ人達の心の奥底にネガティブ感情が深く根付いてしまっているのを窺わせている。
いずれにせよジャークマターからすれば、反乱を起こす事無く寧ろその流れを断ち切ってくれるだろう上の思考がチキュウ人の間に蔓延しているのは、圧政を持続するのにより好都合だった。
総じてその光景と実情は、ほぼ全てをジャークマターに支配されて嘆き苦しむ宇宙全土の縮図その物とも言えるだろう。
救世主達のチキュウ開放活動略歴(Space.6~21、劇場版)
上で述べた様に、徹底的に希望が奪われ人々がただ生きているだけのチキュウで集結、伝説を実現させ誕生したキュウレンジャーは、Space.6以降この星の完全開放を当面の目標とする事を決めた。
その理由はラッキーがチキュウ人の諦めと意固地に染まった態度へ対抗心を持った事も一つだが、基本的にレジスタンス勢力であるキュウレンジャーの戦力規模ではジャークマターとの正面対決では限り無く不利である事が大きく関係している。カローが率いるビッグモライマーズとその搭載機からなる規模の戦力ならキュウボイジャーフル出撃で難無く殲滅出来るキュウレンジャーだが、そもそも潤沢な戦力補充をバックに圧倒的な物量戦を展開するのが本領であるジャークマターからすれば、多少突出した勢力などひたすら戦力を送り続けて磨り潰すパワープレイで押し切れてしまう。
そんな状況に持ち込まれるのをキュウレンジャーも、その支援者である解放組織リベリオンも懸念していて、圧倒的な差を覆す起死回生の方法=ジャークマターの弱点を探しながら力を蓄えつつ水面下で機会を窺うしかなかった。それ故に、Space.1~3みたく宇宙中を航海し続けて惑星を渡り歩く方針は、裏を返すと上のパワープレイに踏み切られるリスクと隣り合わせでもあった事から、反抗の手段探しと準備の出来る活動拠点を探すのがキュウレンジャー探索・招集と同等の最優先目的であったのが想像出来る。
またこの推測からして、キュウレンジャーが8人判明したタイミングでショウ司令がチキュウへ移動する判断を下したのも、司令が前々よりチキュウを拠点にするのを考えていた為との可能性が出て来る。到着直後は非戦闘要員だったラプター283の覚醒も計算していたかは不明な物の、何にせよ結成と同時に活動拠点も得たキュウレンジャーは打倒ジャークマターへ向けての基盤作りも兼ねた、チキュウの完全開放へと精を出す事となった。
まずはとりあえず、支配地区に居座るダイカーンをモライマーズ諸共一人ずつ潰す、確実だが気の遠くなる手段で開放活動を始めるキュウレンジャーだったが、ジャークマターもといショーグン・ドン・アルマゲも直属の刺客であるイカーゲン・マーダッコを送り込んでピンポイントに抹殺する事を狙う。
しかし逆にこれが呼び水となって、ショウ司令が過去のトラウマを乗り越えて10人目のキュウレンジャー・リュウコマンダーへと覚醒。それにほぼ連動して、チキュウ人の一人であっても希望を捨てていなかった少年、佐久間小太郎が11人目のキュウレンジャーであるコグマスカイブルーとなるイレギュラーも発生。それによって戦力アップを果たしたキュウレンジャーは、ダイカーン討伐の傍らで探し出したラシンバンキュータマを手掛かりとし、ジャークマターを倒す力を持つとされる『アルゴ船』を手に入れる新たな目的へと進み出す(Space.8~11)。
一方、キュウレンジャー討伐が遅々として進まないのにアルマゲは痺れを切らし、補充戦力としてスコルピオを派遣したが、それが不満だったのかイカーゲンの単独行動が発生しそのまま11人のキュウレンジャーに返り討ちヘされ戦死する事態が引き起こされる(Space.12)。
また派遣されたスコルピオも、キュウレンジャーが得ようとしているアルゴ船を横取りしてアルマゲへの下剋上を果たす力にしようと企むも、その程度の想定外はアルマゲも許容しており、最終的にスコルピオが持ち込んだビッグモライマーズと補充で送り込んだ無数のモライマーズ艦隊とでチキュウのプラネジュームを一気に搾取して自壊させる強行策を、マーダッコを介する方法で実行に移す。
しかし実行と同タイミングで、アルゴ船を復活させる条件を整えていたキュウレンジャーの手でチキュウに封印されていたアルゴ船が浮上。その中でコールドスリープに就いていた鳳ツルギ/ホウオウソルジャーの獅子奮迅の活躍によりビッグモライマーズが撃沈され、チキュウ壊滅は寸前で阻止された(Space.21)。
だがツルギが目覚めた事と、それで大規模なプラネジューム収奪作戦が頓挫した結果は、惑星ごと反抗戦力を駆逐する最終手段を実行する、ゲース・インダベー率いる独立部隊の介入を招く事態も引き起こした。
しかしツルギも合流したキュウレンジャーは、禁断の存在とも言われたケルベロスボイジャー/ケルベリオスの力を借り、独立部隊の撃破と二度目のチキュウ壊滅阻止を成し遂げる(劇場版)。この事実がジャークマター側へ大きなショックとして伝わったのは想像に難くなく、キュウレンジャーと戦うのを恐れて壊滅するだろうチキュウから逃げ出したダイカーン達が二度とチキュウに戻る事が無くなり実質支配地区が一斉消滅、その他の(極一部を除いた)ジャークマター構成員もチキュウに近寄らなくなる状態になった可能性が高く、この時点をもってチキュウの完全開放が達成されたのが示唆されている。
『宇宙の箱庭』であった真実の過去、そこより生まれた未来を切り開く鍵(Space.22~34)
小太郎と同じチキュウ人であり、ジャークマターに支配される以前の宇宙を知るツルギが目覚めたSpace.22以降、彼がほぼ絡む格好でチキュウに纏わる真実が断片的に提示されていった。
まず最初に、この星は同宇宙で史上初となる宇宙連邦の創設者にして初代大統領となったツルギの出身地であった事から、事実上宇宙規模の社会ネットワークの根幹基準となる文字通りの主星(首都)として扱われていた可能性が高い。
現に当宇宙を大きく区分けする88星座とは、そもそもチキュウ(地球)より見た星の配置が元になった代物な上、それの力を司るキュータマのモチーフ元になる天球儀は地球より見える全方位の星空を外側より見る形で作られた事から、結局その中心には地球が起点座標として仮想存在する構造になっている。
要するに、惑星チキュウの正体はこの星がある宇宙の地理を定めた基礎にして、事実上この宇宙のミニチュア=箱庭とも呼べる存在だったのだ。更にツルギを不死身にしたホウオウキュータマの性質が“常にプラネジュームを引き寄せ続ける”物であると考えれば、それと繋がったままのツルギを眠りに就かせたアルゴ船が安置されたチキュウにプラネジュームが集まり続けるのは当然であり、そうして蓄えられ続ける無尽蔵のエネルギー資源を狙ってジャークマターが星を占拠、前述した内情の支配体制が構築された経緯も生じており、必然的に宇宙の箱庭としての側面はより強くなっていた。
対するジャークマターもといアルマゲも、この事実を軽視出来なかったのが窺え、情報操作と隠蔽によってチキュウの存在価値を欺瞞させての時間稼ぎをしている内に、プラネジュームを奪い尽くして自壊させる方法で始末しようとしたのへ手こずっていた結果、チキュウに到着したキュウレンジャーによって解放・奪還されてしまった過程が、本編前半までの物語だったとも言える(※本当だったら独立部隊による直接破壊が最も手っ取り速かったが、真の目的の為膨大なプラネジュームを求めていたアルマゲに取って、チキュウはそれを大量採取出来る唯一無二な資源惑星であったのも大きいだろう)。
ジャークマターの弱点を掴む為の第一歩として、合流したツルギの導きによりSpace.25でトケイキュータマを入手したキュウレンジャーは、それを元にオリオン号をタイムマシンに改造、かつてツルギがアルマゲを滅ぼした証言を確認するべく過去の世界へ赴く事に。
Space.26の時点では独立部隊を打倒し後顧の憂いも断っていたのだが、密かに来訪していたフクショーグン・アキャンバーの策略によってナーガ・レイが敵に回るアクシデントが発生。止むを得ずキュウレンジャーは戦力を半々に分けてツルギを中心にしたメンバーが過去に飛ぶも、そこでアルマゲの奇襲に遭いオリオン号が過去のチキュウへ墜落、メンバーも全滅する最初の過去改変が発生する(Space.28)。
これに対して、ラッキーが現在に現れたオリオン号の残骸内にあったトケイキュータマを用いて自分もタイムスリップ。そこで自分の遠い先祖でもあったオリオン座最強の戦士・オライオンとの邂逅・共闘を経てシシレッドオリオンの力を獲得、過去のドン・アルマゲ(の分身)を打ち倒す事に成功する(Space.29、30)。ただアルマゲを滅ぼす事は出来ず、後にキュウレンジャー誕生の元になった伝説を宇宙に伝える役割のあったオライオンを死なせてしまった事で、その役割を代行するべくショウ司令がチャンプと共に過去へ残る羽目に。
更にアルマゲの攻撃で修理不能のダメージを負ってしまったオリオン号が、現在に戻ったキュウレンジャーの窮地を救うべく特攻を行って轟沈。キュウレンジャーは母艦を失ってしまう(Space.32)。
しかし、こんな連続のアクシデントに見舞われても決して諦めない、ポジティブシンキングを貫き続け培ったキュウレンジャーは、むしろこの状況から更なる力を獲得してゆく。
まずナーガは、相方であるバランスの懸命な努力とそれを後押しした仲間達の手でアキャンバーの魔手から解放され復帰(Space.31)。更に自らに眠っていた感情のコントロール法を掴み新たな力としただけに留まらず、アキャンバーらに聞かされただろうジャークマター本拠地の情報とそこで重要な役割を果たすブラックホールキュータマを携えていた。
またショウ司令が過去に残ったのは、限界を迎えていたオリオン号に変わる母艦を探すのも目的であり、オライオンの遺産となっていたバトルオリオンシップを確保するやそれを自分ごとチキュウに隠させ現在に戻ったキュウレンジャーに探させる様御膳立て(Space.33)。不確定要素だったオリオンキュータマ/オリオンボイジャーの入手をラッキーの手を借りる事でクリアし、バトルオリオンシップを起動させてキュウレンジャーの新たな母艦とした(※ついでに自分もコールドスリープで現代に帰還した他、キュウレンジャー以外の反抗勢力も後押しする工作等も過去で施していた可能性がある)。
結果的にチキュウの過去に干渉した事で、救世主達は遂にジャークマターの弱点とそれを突く為の力≒未来を切り開く鍵を手に入れた。その後一足遅れてチャンプも合流し、こちらを討伐しようと追い縋って来るフクショーグン・ククルーガをも下したキュウレンジャーは、救世主としての使命を果たすべくチキュウを発ち、宇宙の大海原へと漕ぎ出すのだった(Space.34)。
始まりの惑星へ救世主は凱旋し、宇宙を救う伝説を打ち立てる(Space.45~Final)
チキュウで十分な力を蓄えてから改めて、宇宙へと飛び立ったキュウレンジャーの勢いは正に破竹の如しで、多少の困難にぶち当たってもそれを次々と乗り越えて突き進み、遂にはSpace.43でアルマゲらジャークマターの中枢部が潜むミナミジュウジ座系・惑星サザンクロスを陥落させるへ至った。そしてそこで知ったアルマゲの真意を宇宙中に知らせた事でジャークマターの権力層の戦意と忠誠心を失わせた結果、ジャークマターの組織網を自壊させる事にも成功する。
残るは圧政の象徴であるアルマゲを討ち倒すだけだったが、Space.44終盤でアルマゲと一体化して陰ながら組織運営に勤しんでいたツルギの親友、クエルボ/ドン・クエルボが表舞台に姿を現しツルギらへ改めて宣戦布告。その際にクエルボが言い残した「君達の大切な場所で待っている」との言葉と、ホシ★ミナトからの連絡でジャークマターの旗艦と思わしき超弩級ビッグモライマーズが現れたのを知ったキュウレンジャーは、アルマゲ及びクエルボらがチキュウへ赴く事を察知。全ての決着を付けるべくチキュウ近海へとワープする。
かくして、あらゆる物事の始まりになった惑星を舞台に、救世主達の最後の戦いが幕を開けたのだった。
一足早くチキュウに到着したドン・クエルボは、拠点として座乗した超弩級ビッグモライマーズをチキュウ表面に突き刺して膨大な量のプラネジュームをダークプラネジュームへ変換、即席の宇宙破壊爆弾へ変える事で実質上宇宙壊滅のカウントダウンを開始する。
とは言え、状況自体は物語序盤と違い、キュウレンジャー側に地の利が傾いていたと言える。今度は星はおろか宇宙が滅び去る危機に見舞われたのに対し、自分達のかつての愚行に怯まなかったどころかジャークマターの支配と脅威を乗り越え一掃して見せたキュウレンジャーの奇跡を目の当たりにしたチキュウ人達はいつの間にか勇気を取り戻しており、後ろ盾の強大な力をちらつかせて言う事を聞かせるジャークマターの常套手段を用いたアントンゼロに猛反発して反撃する事が出来るまでになっていた。
虫の良い絵面かもしれないが、こうやって人々が理不尽に立ち向かう勇気を奮い立たせる希望の象徴にキュウレンジャーは成っていたとも取れる結果でもあり、これにチキュウ人の一人としても奮い立った小太郎は自分が中心となる形でアントンゼロを打倒。兄貴分とその相棒に代わって、アントン博士に纏わる因縁への決着を付けた(Space.45)。
こうして露払いを済ませた後、Space.46でキュウレンジャーは超弩級ビッグモライマーズを破壊すべく総力戦を仕掛け、最終決戦が開始された。対するドン・クエルボも時間稼ぎの抵抗を試みるが焼け石に水、自分の屈折した内面をカラスキュータマの力で具現化した精神攻撃もラッキーのポジティブシンキングの前に破られる。そしてそこを起点に逆転されて超弩級ビッグモライマーズは撃滅、クエルボ自身もアルマゲの力を失った上でツルギに斬り捨てられる結末をもって戦死、完全敗北の結果に終わった。
しかし、クエルボと意思を一体化したと偽っていたアルマゲに取ってはここからが本番。サザンクロス突入作戦中に不死身の力が失われ掛けている事実に心が揺らぎ出したツルギをあらかじめ心理工作で揺さぶっていた事で、自ら親友を斬って未練を無理に断ち切った事で自分が間もなく死ぬ絶望感に苛まれたツルギに憑依、身体の主導権を掌握しドン・ツルギへと変貌。彼に宿っていたホウオウキュータマの力とチキュウのプラネジュームを用いて自分の肉体を再生すると共に、宇宙全土の生命を我が身に吸収し全てを支配する力を持った最終形態へと進化する、真の目的にして身勝手な野望を実行に移すのだった(Space.47)。
詰まる所、アルマゲとクエルボに取ってもチキュウは自らの目的達成に重要な場所だったが、そこに眠っていたツルギに対する認識が両者の間で異なっていた。アルマゲにとってのチキュウは進化の要になるツルギ(に宿ったホウオウキュータマ)とそれを成すのに必要なプラネジューム=莫大なエネルギーの保管・貯蔵された絶好の場所だったのに、自分の劣等感の投影対象としてツルギへの憎悪が延々と募っていたクエルボから見たチキュウは、宇宙破壊の為プラネジュームだけを利用してツルギ諸共潰すだけの存在にしか見られていなかった。
こうした両者の思惑のズレは、アルマゲがジャークマターを前々から丸ごと切り捨てる事を考えていた事実と、アルマゲになったと思い込まされ組織運営の面倒事を全て押し付けられた上で手柄は横取り、最後の最後まで都合良く使い潰されたクエルボの哀れな真実を如実に表していたとも言えよう。またある意味では、アルマゲが自身の真の目的を実行に移すのに邪魔となるクエルボを、お互いの思惑のズレをギリギリまで悟らせずに切り捨てた過程が、キュウレンジャー後半の物語だったとも言えるかもしれない。
何にせよ、ジャークマターに頼らず全てを手に入れる力を掴む方法の実行に成功したアルマゲは、キュウレンジャーの抵抗も物ともせず“天動説の宇宙”を模した姿の最終形態に進化。能力の要であるツルギを、心身の不調も全快した状態で引き剥がされる想定外が発生するも、代わりに取り込んだ全宇宙の生命の嘆きと苦しみを一斉にキュウレンジャーへ叩き付ける途方も無い規模の精神攻撃を仕掛けた。
しかし、チキュウに長く留まりながら幾つもの困難を受け止めて乗り越える事を繰り返し、成長を遂げた救世主達は無数の絶望の念を受け止め、更にその状況を逆用して全宇宙の生命を説得し味方に付けた事で精神攻撃を打破。そしてプラネジュームを分け与えて貰う事でアルマゲとのエネルギー総量によるパワー差を埋めた上でキュウレンジャーは総力を再び結集、アルマゲと真っ向から激突しその果てでとうとう撃破・討滅に成功した(Space.Final)。
結局、クエルボに率いらせていたジャークマターの齎す利益のみを貪り続けるだけの存在に堕落していたアルマゲが、手っ取り早く全てを手に入れる力を得てもいきなり扱いこなせる筈が無かった訳で、奴がツルギのオマケ程度に考えて半ば放置していたキュウレンジャー(※クエルボ主導で動いていたと思われる序~中盤のアルマゲと比べ、ここも認識が食い違っている)にそこを突かれる形で思惑が狂い、宇宙の頂点から矮小な悪党に引き摺り下ろされ滅ぼされる末路に終わったのだった。
そしてこれを持って、究極の救世主達は遂に使命を果たすと同時に、宇宙を救った伝説を見事打ち立てたのだった。
それから4年の間で、宇宙中の復興の流れに乗ってチキュウも急速に発展していき、スパーダも自分の店であるレストラン『グラッツェ』をこの星に開店した。
その一方、別次元宇宙よりの侵略者である宇宙忍デモストの暗躍により、救世主達はこのチキュウを決着の場所として再集結する事にもなった(VSスペース・スクワッド)。
余談
最終的に、本編中3分の2の話数分もチキュウで活躍する事になったキュウレンジャーは、結局大人の事情に負けて壮大なモチーフに反し尻すぼみな作品で終わったとの辛辣な評価を受ける事も少なくない。
しかし星座の成立背景やレジスタンス勢力としての事情等も考慮すれば、チキュウが主な舞台になったのは本記事で書いた様に色々道理や納得がゆく。それらを視聴者に説明したり察する演出等を省いたのが、ストーリー構成面での惜しい点だろう。
関連項目
天動説:星座の根幹概念からして、この考えは廃れるどころか矛盾点を解消して現代の宇宙観=地動説と共存しているのが解かる。またここから、インドの宇宙観=間違った天動説を模した最終形態に進化したアルマゲと、88星座=天動説とも共存した宇宙観の力を司るキュウレンジャーが激突した最終決戦の構図も浮かび上がってくる。
チーキュ:『激走戦隊カーレンジャー』における、宇宙語での地球の呼称。特にパラレルワールドとかではない。
チキュー:『王様戦隊キングオージャー』における、地球人が入植して開拓したとある惑星。自分達のルーツを忘れるぐらいの世代を重ねた結果、複数の君主制国家が存在するファンタジックな世界観を有する様になった。ちなみにこの世界の「地球」の方にはこの世界の『獣電戦隊キョウリュウジャー』が存在している。
ゼンカイトピア:『機界戦隊ゼンカイジャー』の舞台になった地球の存在する並行世界(パラレルワールド)。物語の発端の一つになった主人公の両親はスーパー戦隊の存在する様々な並行世界を観測していたが、惑星チキュウがその観測対象の一つだった可能性は高い。
スーパーロボット大戦Zシリーズ:当作内の平行世界を巡ったキーアイテムの出自は、後に『惑星エス・テラン』と呼ばれる事になる地球及び太陽系の在る平行次元(宇宙)の一つ『カオス・コスモス』。その次元にあった太陽を事象操作装置に作り変えた際、偶発的に宿った自我が装置の自壊後十二星座のコードネームを持つ12個の無限エネルギー動力炉兼限定事象操作器と化した。また自壊した事象操作装置の残存部を資産とし、その次元の全地球人を犠牲に誕生した高次生命体が装置の復元計画も兼ねて他の平行次元に干渉・侵略を開始。シリーズ全体の黒幕及び元凶として無数の戦乱や悲劇等を引き起こしている。