概要
キュウレンジャーの拠点である非武装宇宙母艦で、解放組織リベリオン所属。
正式名称は“Offensive Resistance Interstellar Orbiter of REBELLION”(リベリオンの攻撃反抗軍星間軌道艦)で、太文字の部分を取って『ORION』と名付けられている。
操艦パイロットは司令官ショウ・ロンポーの秘書も務めるラプター283だが、彼女が戦闘の前線に出る際はショウ司令やバランスが代行を務める模様。
ワープ機能を持っているが、前述の通り非武装艦の為、敵襲時には後述のキュウボイジャーの護衛が必須となる。
横倒しにしたルーレット式おみくじ器(※ラーメン店等のテーブルによく置いてあったやつ)の天辺から、棍棒を構えたオリオンの上半身(通称:おじさん)が生えた様な外観が特徴的。
オリオン部分にメインコンピューターやキュウレンジャーの居住区、メインブリッジ(先端の棍棒部分にある)等があり、後方部分は実体化したキュウボイジャーの格納庫となっている。
おじさんはラプターからはおじさまと呼ばれており、彫像部分が動いたり「お~り~お~~~ん」と返事を返している事から、意思疎通を持ち合わせていると推測される。
しかし、ジャークマターとの激戦に継ぐ激戦での損傷が重なり、Space.32においてこれ以上修復不能となってしまう。そして同話、ドーギュンが最後っ屁として生み出したスーパービッグモライマーズがチキュウへ投下されるのを防ぐ為に自ら動きだし、小太郎らをキュータマジンへ転送。乗組員を逃したオリオン号は相手に特攻して犠牲となり、あの海賊漫画のあの船を思わせる展開でモライマーズと共に爆発し、宇宙の藻屑となって消えた。『GOOD LUCK』の文字をラプター達に伝えて…。
その様を見届けたスティンガーからは、キュウレンジャー13番目の戦士の名を贈られている。日々を共にした仲間として、オリオン号も立派な救世主だったということだろう。
オリオン座最強の戦士との数奇な縁
Space.19にてリュウコツ座系惑星キールの森を守る精霊・エリスの口からかつての救世主オライオンの存在と、その彼がエリスにリュウコツキュータマを託した経緯が語られる。
このオライオンとはアルファベット表記でORION…すなわちオリオンの事であった為、この人物とオリオン号には何らかの関係がある事が仄めかされていた。
その後、鳳ツルギの導きでトケイキュータマを手にしたキュウレンジャーはかつてツルギが倒した筈のドン・アルマゲが生きている謎を解明すべくトケイキュータマをオリオン号に接続してタイムマシン化。それでツルギ達一部のメンバーが333年前の過去へ赴くのだがこの時代のツルギに倒されても健在だったアルマゲから激しい集中砲火を貰い撃墜、それでも何とか過去のチキュウへ逃げ延びるも航行不能になり墜落してしまう。
これにより一時期未来に影響が発生、墜落後333年放置されボロボロに朽ちたオリオン号が、現在に残っていたラッキー達の前へ現れる。しかしトケイキュータマはまだ内部に残っていた為、それをシシボイジャーに乗って使ったラッキーが墜落直後の時間軸に赴く。
そこでラッキーが出会ったのが、満身創痍だった過去のツルギをアルゴ船ごと眠らせた後、そのアルゴ船を復活させるカギである3つのキュータマを携えたオライオン本人であった。彼との邂逅の後、手傷を負いながらも生きていたツルギ達と合流したラッキーはオリオン座最強の戦士でもあるオライオンの力も借りこの時代のジャークマターと対決。激闘の末オライオンの子孫であったラッキーの血筋により最高の救世主・シシレッドオリオンが誕生、その力でこの時代のドン・アルマゲを撃破する。
だが、その過程で致命傷を負っていながら無理を押して戦ったオライオンが力尽きて死亡、オリオン号もアルマゲからの攻撃により修復不能のダメージを負ってしまう。それでも何とか現代には帰還したが、程無く前述した様にキュウレンジャーやチキュウを守って宇宙の藻屑と化してしまう。
しかし過去での戦いを通し、オリオン号がもう保たないと予測したショウ司令は過去の時代へ残り、死んだオライオンの代わりにキュウレンジャーの伝説を広めた後オライオンが残したバトルオリオンシップを現代でキュウレンジャーが手に入れられる様手配。内装や操縦系統をオリオン号と同じ物へ作り替え、実質のオリオン号の後継機とした(ついでに自らの入ったコールドスリープ装置を内部に置き、キュウレンジャー側から解放して貰う事で現代に帰還した)。
そして333年経っても残っていたオライオンの墓、そこに備えられていた遺品の棍棒からオリオンキュータマが出現。それにより誕生したオリオンボイジャーと接続したバトルオリオンシップは起動、キュウレンジャーの新たなる母艦となった。
しかしそれが変形したオリオンバトラーは、変形完了時にオリオン号の姿が浮かび上がる、「お~り~お~~~ん」と叫びながら操縦者の意に反した動きをする等、オリオン号“本人”を思わせる点が散見される様になった。これに対しキュウレンジャーは、『オリオン号のキューエナジーがオライオンの物と混ざってオリオンキュータマになった=オリオン号がオリオンボイジャーに生まれ変わった』と解釈をした様で、ジャークマターの本拠地へ向かうべく宇宙へ旅立った以降もバトルオリオンシップの事を『オリオン号』と呼び続けた(詳しくはこちらの記事も参照)。なお、“キュータマを生むキューエナジーは機械にも宿る”事実は作中終盤で証明されている。
ジャークマターとの決戦が終わった後、ショウがリベリオンの総司令へと就いた事で司令官も新任へと代わるが、後を継ぎ新司令官となったのは奇縁にもかつてオリオン号を13番目の戦士として認めたスティンガーだった。
そんなスティンガーと、その弟分にして命の恩人(Space.10より)である小太郎、そして一番の理解者であるラプターを乗せて、自身等が取り戻した平和を守るべく引き続き宇宙を駆けるバトルオリオンシップ=オリオン号の姿がそこにはあった。
余談
デザインは久正人が担当。
『オリオン号』と言うネーミング自体は昔から現実・フィクション問わず採用されており、前者はアポロ16号を積んだ月着陸船の名称、後者は特撮作品内でウルトラマン80に登場した宇宙観測船やアニメ『無人惑星サヴァイヴ』の恒星間輸送船が例となっている。
他にも将来スペースシャトルに代わるべく開発されている次世代宇宙船の名もまた『オリオン』と名付けられている他、オリオンには海上を自在に歩く力を与えられていた逸話もあり、それへ肖ったイギリス海軍はオリオンの名を冠する(※英語名の『オライオン』名義で)軍艦を幾つも建造している。
関連タグ
ゴーカイガレオン:オリオン号と同じく、戦隊側の拠点となった宇宙船。
オライオン・パックス:宇宙を舞台に戦う超ロボット生命体の代表的キャラクター、それがリーダーとなる前の姿でオリオン(オライオン)を冠する名を持つ。
因みに初代版(G1シリーズ)での声を演じた人は長らくスーパー戦隊シリーズの玩具CMでナレーションを担当している。
ジュリエッタ・ジュリス:パイロットであるラプターと同じ声な別作品の人物。こちらは世界を破壊する上で作り変えようとする主人公陣営と戦う逆の立場に所属。彼女も敬愛する人物の事を『おじさま』と呼んでいる。
ゴーイングメリー号:時間帯が被る海賊アニメに登場した海賊船であり、物語の途中で消滅してしまう戦艦繋がり。麦わらの一味の拠点であったが、彼らがあらゆる戦いを強いられる中で、船が老朽化していき、最終的に船体が真っ二つに割れてしまう。そして、主人公が号泣しながら船に火を付けて燃やしたと言う悲しい別れで終わる。
その後、メリー号の遺志を継いだサウザンドサニー号が彼らと共に航海している。
※以降は、Blu-rey COLLECTION特典漫画最終巻の内容をネタバレしています。
キュウレンジャーが宇宙を救ってから9年目のある日、惑星オハラハンがスーパーフレアに焼かれる大災害が発生。要請を受けたキュウレンジャーは現場で救助活動をこなすがその最後でラプターが避難民諸共スーパーフレアに焼かれそうになる。
しかし直後、何所からか太陽の前に大きなデブリが出現、それが作った影にラプター達は救われる。そしてギリギリシェルターへと逃げ込んだラプターは振り向きざまにデブリを見て驚く。
その後、スーパーフレアに焼かれたデブリはオハラハンへと墜落したが、ラプターは墜落場所を特定した後にかつての仲間達を招集、墜落地点に赴く。
「だって―――、9年ぶりの再会ですよ。こんな事“ナイショ”にできないです」
左半身がボロボロであちこち傷だらけの姿だが、何かを求める様に右腕を上げた巨大な“おじさん”……、オリオン号“本人”がそこにいた。
あの轟沈後、自らのキューエナジーをオライオンに託した“おじさん”は宇宙へ旅立ち、長い旅を経た後自身の最大の理解者であるラプターを助け、かつての仲間達と今ここに再会したのである。
「あの日チキュウを守る為に特攻したオリオン号の破片が飛ばされて―――」
「9年かかってこの星にたどり着いたんだ。偶然……じゃないよね」
「ええ。おじさまは私たちと、この星の人たちを救ってくれたんです」
「すげえなオリオン号は。あれからずっと宇宙を救い続けてきたんだな」
「あれから随分学んだつもりだったが…この感情は何て呼んだらいいんだ?バランス」
「無理ないよ。300年生きてたって、こんな経験できないんだから」
「それにしても…示し合わせた訳でもないのに、みんな揃って古い格好で来たな」
「オリオン号に会うんだって思ったからね、他に選択肢なかったよ。見て、オリオン号。私たち成長したかな」
「俺様も……うぐっ、もう一度会って直接謝りたかった……。すなわち!えぐっ、オリオンごう…、うぐぇあぅおぉ…」
そして、かつての仲間の帰還を各々の言葉で祝福した12人のキュウレンジャーはラッキーの言葉と共に、自分達の左手をオリオン号に押し当てる。
「オリオン号、あんたも間違いなく救世主だ―――。13人目のな」
……するとその言葉を証明するかの様に、キューエナジーが集まって新たなキュータマが誕生。オリオン号の掲げた右掌へと納まった。